介護士
『横浜介護求人センター』

第27回【高齢者のお通じ対策7選】

高齢者と便秘・便失禁・下剤って切っても切り離せない問題ですよね!数日間排便が見られないと“下剤・下剤・下剤”とすぐに下剤を使いがち。便失禁していても排便が緩くても出ないよりは出た方がいいと内服を継続している事多くありませんか?

出来る事であれば便失禁や緩い排便ではなくトイレで自然にバナナ型の排便が出てくれるといいですよね。緩い排便って強いアルカリ性なので肌にもよくないですし、漏らす感覚はやはり慣れないうえに気分が悪いですよね。以前の施設で下剤に頼らず他の物で便秘を解消しようと取り組んだことがあります。

便秘解消には水分量や運動量も関わってきます。以前の施設では水分量や運動量もしっかりと分析した上で利用者様1人1人に合った便秘解消食材は何かを試しながら調整していきました。全員同じ物がいいという事はありません。下剤で悩まれている方や便秘解消で悩んでいる方の参考になりましたら幸いです。

【1. モリモリスリム】

楽天やAmazonなどでよく見かけますよね。ティーカップに1包の濃さで飲む事が推奨されていますが、これ結構高齢者には効き目が強い印象があります。分量を守って提供した時には排便が緩い事ももちろんですが、排便が1日に数回続いてしまう事も多く見られました。

高齢者に提供する場合には2Lに1包の濃さかから調整する事をお勧めします。また、毎日飲むと慣れてしまい出にくくなってしまう事がある為、排便が〇日出ない時に飲むようにする・起床後食事前に飲んで頂く等その方が飲んで出る時間の間隔を調べながら飲む時間を調整することが大切です。

2Lに1包で効き目がない時は1.5Lに1包、1Lに1包等濃さを調整します。これも皆同じ濃さが合うわけではありませんので、複数の濃さを用意しておくといいですね。しかし、冷蔵庫の容量などの問題でそれが出来ない可能性もあります。

その場合は飲む濃さの中で一番濃い物を作っておいて、薄めがいい方にはお湯で薄めて提供するやり方がおススメです。この方が捨てる事も減るのでモリモリスリムが無駄になってしまう事もないかもしれません。

【2. 寒天】

牛乳寒天や粉ジュース・紅茶を使用して作っていました。料理が得意ではない事もあり、私が作ると固まらなくて失敗することが何度かありました(泣)同じ分量で同じ作り方をしているのに何故私だけ上手に作れないのかと凹んでいました…。

家でも作って練習していたのはここだけの秘密!!失敗した原因は今でもよくわかっていないですが、回数を重ねるごとに上手く作れるようになりました。熱する時間が足りなかったのかなぁと自分では思っていますが、あなたは寒天作った事ありますか?是非アドバイスを教えて欲しいです。

寒天は始めのうちは効き目があり便秘解消に良かったのですが、回数を重ねるごとに出なくなってしまいました。また、寒天って結構お腹に溜まるので食事量が減ってしまうという問題や甘くしないと美味しくないため砂糖を結構入れて作ります。そのため糖尿病の方にはあまり出せないという問題が発生しました。

おやつの時間に提供する、甘さ控えめの寒天を作るという事も行いましたが、結局は効果が無くなってしまい自然と終了になりました。継続して効果を出すってとても難しい事なんだなぁと感じました。便秘解消って本当に難しい!

これ以外にはご飯に寒天の粉を混ぜるということも行いましたが、ご飯の味が美味しくないという事ですぐに終了となりました。ご飯に混ぜる事はお勧めしません。食べてみると分かりますがご飯はそのまま食べた方がおいしいですよね。

【3. プルーン】

プルーンって不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が50%ずつバランスよく含まれている食材なんです。また、プルーンに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは善玉菌のエサとなり腸内環境の改善や便秘改善に役立つと言われています。

“不溶性食物繊維”とは水に溶けない食物繊維で便のかさを増し、腸を刺激して排便を促す効果があります。“水溶性食物繊維”とは水に溶ける食物繊維で便を柔らかくして便通を良くする効果があります。それ以外には食後血糖値の急上昇を防ぐ効果や血中コレステロールの増加を抑える効果もあります。

この事を知った上で個人購入が可能な利用者様にプルーンでの排便コントロールを行う事にしました。起床後、朝食前にプルーンを2粒召し上がっていただく事を続けていくと、便秘で下剤を飲んでもなかなかでなかった方がトイレで自然排便出来るまでに改善することができました。

プルーンは甘みがあって「美味しいね。」と召し上がってくださりましたし、袋から出して提供するだけなのでとても対応しやすかったです。無理なく美味しく召し上がっていただける上に職員の手間もかからないので試しやすい食材だと思います。

ちなみにですが、生のプルーンよりも乾燥プルーンの方が水溶性食物繊維も不溶性食物繊維の量も多いので、乾燥プルーンでお試ししていただくと良いかと思います。プルーンは軟便の方や便秘の方双方で試す事が出来る食材でもあるのかなぁと思っています。まだ軟便の方に試した事はないですが、試してみたいですね。

【4. サンファイバー/サンファーバーAI】

サンファーバーとはグァー豆を100%使用しており水溶性食物繊維の中でも腸内細菌に利用されやすい高発酵性に分類されるものです。サンファーバーAIとはサンファーバーのグァー豆とイヌリンからなる水溶性食物繊維です。タイヨーラボから発売されています。

これを使用していた時は朝食後に1日1本を服用していただいていましたが、タイヨーラボの推奨は1日1~3包。1日1包では中々効き目を感じにくかった印象があります。施設の費用から捻出していた事もあり1日1包の提供が対応できる範囲だったのだと思っています。

もし1日2、3包と量を増やして対応したらどういう効果が出たのだろうかと気になるところです。Instagramでこの投稿をした時に効果があったと教えてくださった方が何人かいらっしゃいましたので、2,3包飲めているのであれば効果が期待できるのかもしれません。

サンファイバー類の良いところはほとんど無味無臭なので味噌汁や飲み物、ヨーグルトに溶かしても大丈夫というところです。薬となると断固拒否される利用者様に対しても味噌汁などに混ぜる事が出来て味も変わらないのであれば摂取しやすいですよね。これはありがたかったです。

また使用する機会があれば1日2~3包で試してどう効果があるのか検証をしたいなぁと思っていますが、水溶性食物繊維という事なので便が固い方には効果的ですが、緩い方にはちょっと合わないのかなぁとも感じているところです。

【5. ヨーグルト】

ヨーグルトは便日解消にいい食材という事は結構知られていますよね。便秘の方への食事へのアプローチで一番初めに試す部類に入るのではないでしょうか?これ以外には“納豆”“ヤクルト”もあるあるですよね。ヨーグルトは種類が多すぎて何を試したらいいか悩みます。

腸内細菌や便秘改善等の文言が書いてあるヨーグルトを試しがちですよね。各メーカーいろんなヨーグルトを出しています。その方に合ったヨーグルトにたどり着くまで数週間ずつ変更していくとなると時間がかかりそうな感じがしています。

個人購入になるので金銭的に余裕のある利用者様に試す事しかできませんが、ヨーグルトが嫌いな方はあまりいないので取り入れやすいかもしれません。乳製品アレルギーの方には厳禁ですので、栄養士や看護師とよく相談の上行う必要があります。

【6. ヤクルト】

ヤクルトも取り入れやすい食材ですよね。1本の量が飲み切りやすいというのもありがたいところ。ヤクルトも数種類種類があるので数週間はこのタイプ、次の週はこのタイプと検証期間を設けて検証することが必要になってくると思います。

ヤクルト400Wという商品は乳酸菌シロタ株にガラクトオリゴ糖が加わった飲み物で腸内環境を改善し、お通じ改善する働きがあるそうです。私がヤクルトで検証していた時にはなかったものなので、これも検証してみたいものの1つです。

【7. オリゴ糖】

オリゴ糖には腸内の善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整えながら便秘を促す効果に期待が出来るそうです。オリゴ糖と排便の研究データも出ている程注目されている食材という事が分かりますよね。研究結果としては成人でのデータですが摂取後数日でビフィズス菌の増加がみられたそうです。

摂取期間中は排便の硬さの改善(軟便が解消された)や便臭の改善もあったとのデータ結果が出ているとの事です。しかし、オリゴ糖の摂取を終えるとまた元に戻ってしまう為、継続していく事が大切になってくるという事も分かっているようです。

オリゴ糖に限らずですが“摂りすぎ”には注意が必要で摂りすぎる事で便秘とはまた違った悪影響が出てしまう場合もありますので、少量から試していただけたらと思います。オリゴ糖はヨーグルトにかけたり飲み物で割ったりすると摂取しやすいかと思います。

以上7つが私が以前の施設で試した便秘解消食材です。こうやってみてみても“水溶性食物繊維”や“不溶性食物繊維”、“ビフィズス菌”等調べないと分からない単語が沢山あります。排便の状態によってどの食材が合うのかも検討しなければならないなぁと感じています。

ひとえに“便秘”と言っても1人1人それぞれ排便の問題は異なります。便が固くて出ないのか、緩すぎて困っているのかそこにも着目しながら検証していきたいと思います。私ももっと食事の事や菌のことについて調べたいなぁとまとめながら思いました。一緒に勉強していきましょう!!

(2023年12月11日)


第27回【ユニット型特養の特徴 5選】

同じ“特別養護老人ホーム”でも“従来型”と“ユニット型”とで分かれます。入所するにあたっても勤務するにあたってもどのように異なるのか知る事ってとても大切な事ですよね。今回は“ユニット型特養”の特徴をまとめていきます。

【1.10人1ユニット】

これがユニット型特養の大きな特徴と言ってもいいのではないでしょうか。従来型特養は20~30名が食堂で過ごされている事が多いかと思いますが、ユニット型特養は利用者様10名で1ユニットとなっています。10人と限られているからこそより利用者様の事を深く知る事ができます。

居室担当も施設によるとは思いますがだいたい2~3名程度。従来型特養で勤務していた時はだいたい2~3部屋を受け持つことが多く、4人部屋で考えると12名程担当することがありました。そう考えるとだいたい1/6程度の人数で済むので関わり方も濃くなることが分かるかと思います。

利用者様10名に対し深く関わる職員は夜勤でのみ関わる職員を除けば5名程度なので、利用者様と職員の関係性を築きやすいというメリットもあります。逆に利用者様との関係性が上手く築くことが出来なければトラブルや精神的に参ってしまう等のデメリットにも繋がりやすいのも特徴。

従来型特養の時には関わる利用者様の人数が多い為、個人的に時間を作って対応することがとても難しかった記憶があります。「少しお待ちください。」と声をかけたまま時間に追われ気が付いたら対応できなかったなんて事がしょっちゅうありました。私にはこれが合いませんでした。

お願いされているのに“忙しい”を理由に対応できず後回しにすることが心苦しいなぁと感じる日々。勿論ユニット型特養でもすぐに対応することが難しい事は多々あります。しかし1日の中で関わる時間を作ることは従来型特養に比べたら作りやすいかなぁという印象を持っています。

職員1人にユニット内で見守りをしてもらい、その間に利用者様と事務所に行ったりお願い事を聞きにお部屋に伺ったりすることがしやすいと感じています。利用者様の要望に合わせて比較的対応しやすいのではないでしょうか?少人数だからこそ職員数にゆとりのある時はクッキングやドライブを行いやすいのも特徴かなぁと。

【2.個別ケア】

ユニットケアでは今まで当たり前になっていた決まった時間での一斉介助ではなく、1人1人の生活リズムに合わせてケアをしていく事が推奨されています。確かに私たちも1人1人起きる時間も食事を食べる時間も、トイレに行く時間も寝る時間も異なりますよね。全く同じ人はいないと思います。

ユニットケアの理想は目が覚めてから起きてお腹が空いたら食事を食べて、トイレに行きたいタイミングで対応し、お風呂に入りたい時間に入浴をして寝たい時間に就寝する事です。現実的には全部を叶える事は難しい事が多いですが、可能な限り利用者様の要望に合わせてケアを行っていきます。

ユニットケアでは入浴も“個別”で基本的には利用者様と職員が“1対1”で対応します。従来型特養の場合は一斉入浴となるので集団での入浴ですが、個別で入浴できる事は大きなメリットではないでしょうか?1対1でゆっくり入浴できる環境はいいなぁと感じています。

1対1だからこそ話せる事や利用者様のペースに合わせて入浴を行い、皮膚観察や爪切りなど時間をかけてケア出来るのも私は良いなぁと感じているところです。勿論時間をかければいいというわけではなく、リビングの状況やその日の予定に合わせて対応することは大切です!!そのうえで最大限ケアしていきたいと思っています。

今までは介護士の動きに合わせて利用者様のケアを合わせていましたが、今は介護士が利用者様の動きに合わせてケアを提供していく事が求められています。そのためにあるのが“24時間シート”利用者様1人1人の生活リズムや希望を細かく記録して利用者様の望む暮らしが提供できるようにするためにあります。

24時間シートを作るには利用者様をより詳しく知る事が大切になってきます。ボソッっと話したことが核心だったなんてこともあるので、どれだけ興味を持って利用者様と関わるのがとても大切なのではないかと感じています。利用者様の声を沢山拾って24時間シートに落とし込んでいけるかが鍵です!

24時間シートは濃く書かれている方がいいですが、そこに職員の思いを書き込んでしまわないように注意が必要です!勝手に“この人はこう思っているだろう”と書いてしまうのは職員の勝手な思い込みでしかないからです。書く場合にはしっかりとした“根拠”を元に書き出していきましょう。

例えば嫌いな食材があるように感じているとします。その食材を食べるといつも嫌そうな表情をされるとか、吐き出されるとかという反応があれば記録に残していきます。その回数が多いのであればきっとその食材は嫌いなんだと思います。そうして“なんとなく”ではなく“根拠”を集める作業が大切になってきます。

それを繰り返し行っていく事でその方の24時間シートが濃い内容になって行くと感じています。私もまだまだ観察しきれていないことや他の職員さんからの何気ない言葉や疑問から気づかされることが多々あります。一人でしまい込まず発言して共有認識を持って行く事も大切です。

利用者様をよく観察してその方にあった個別のケアが出来るように一緒に切磋琢磨していきましょう!!

【3.ユニット内での炊飯】

ユニットケアは基本的にユニット内で炊飯やみそ汁つくりを行います。ご飯は常食・軟飯・お粥であればユニット内での炊飯を行います。だいたい常食と軟飯または常食とお粥を炊くことが多いかなぁと感じています。朝・昼・夕で毎回炊飯を行う施設が多いのではないでしょうか。

味噌汁も朝・昼・夕と作ります。これは施設によって大分異なる印象がありますが、お昼だけ作る施設・毎食作る施設・味噌汁以外は厨房で作る施設と本当に様々です。食材も入れるだけの状態で届けてくれる所や豆腐等簡単な食材はユニット内で切って作る所もあります。

理想としては利用者様と一緒に炊飯やみそ汁つくりをとされていますが、中々難しいのが現実。作れる利用者様って結構少ないですよね。食材を切ったり具を入れたりするのは職員が対応し味見を利用者様にお願いする事であればまだ出来るかなぁという感じです。

炊飯以外にはクッキングも行えます。行事としてでもいいですし、時間がある時に「今からホットケーキ作ろう!!」と言って作る施設もありました。その施設ではホットケーキミックス粉がいつでも使えるようになっていた事や厨房から卵や牛乳がもらえる事・調味料も常に沢山あったのでやりやすかったです!!

その施設はおやつもユニット費から捻出していたためこういう行事がやりやすかったという事もあるかと感じています。ユニット費でフライパンや鍋、ホットプレート、サンドメーカー、ワッフルメーカーなどを自由に購入ですることも出来ていたのでいろんなものを作ることが出来ました。ある程度の自由さは大切ですね!

【4.なじみの関係】

【1.】でもお伝えしましたが、10人単位の利用者様とそれに合わせた少人数の職員で1ユニットを作りますので馴染みの関係が作りやすいです。いつも顔を合わせる関係だと回数が増えるごとに安心感が生まれますよね。逆に合わないと結構キツイという事にもなりかねませんが…。

利用者様同士も10人で毎日顔を合わせているといろんな話をする関係になってきます。例えるならば町内会の集まりのような感じでしょうか?「昔〇〇の仕事をしていたんだよ。」「子供が△△の仕事をしているんだ。」「昔は□□のあたりはこんな感じだっだよね。」「戦争の時は…」等いろんな話が飛び交います。

調子の悪い利用者様がいる時には「今日は〇〇さん調子が悪いのかい?」と心配されたり、コロナ前であればお見舞いにと部屋に伺い声をかけに行かれたりする事もありました。見ていても心が温まる光景だなぁと感じていました。こういうやり取りを見るのも結構好きですね!!

また看取りを行っていた施設では職員もそうですが利用者様も涙を流して別れを悲しまれたり、セレモニーの際に仲の良かった利用者様からご家族様に挨拶をして頂いたり、ユニット内だからこそお別れの日の朝に職員と一緒に部屋に挨拶をしに行ったり、お見送りに参加したりという事も出来ていました。

ユニットケアの良いところは少人数で関わることでより濃い個別ケアが出来る事ですが、デメリットとしては人間関係がうまく行かない時の精神的ストレスが大きいという事です。利用者様とのトラブルでは合わない職員が出勤するたびに利用者様が不穏になるなんて事もあります。

「この人が私の物を取ったんだ。」「この人が私にいじわるをするんだ。」という訴えはとても稀ですが「この人にセクハラされたんだ。」等と訴える方もいらっしゃいます。本当か誤解かは双方に話を聞いたり、普段の利用者様や職員の事を近くで見ている職員への聞き取りをしたりする事が重要になります。

時にあらぬ誤解で思い込まれてしまう時もあります。その場合、職員は出勤すること自体が苦痛になってきてしまいます。誤解が解けない場合は職員を異動させるという事もあります。誤解を招かないように行動することが大切ですが、いくら気を付けていても防げない事もあります。

それ以外には職員に“依存”してしまう事もあります。この職員に言えばなんでもやってくれるとなると他の職員には言わない事もその職員に対してはどんどんエスカレートしていきやすくなります。“出来ないことは出来ないと断る”という事も必要です。

断れないと本当は自分で出来る事でも職員が行うようになっていきます。これが続くと利用者様の“やろう”という気力を奪いかねませんし、他の職員に対しても「〇〇さんはやってくれるのに!」という不満を抱かせることにも繋がります。

やる気の低下からADLの低下にも繋がり、介助度が高くなってしまうこともあります。体調が悪い時などは仕方がないとは思いますが、なんでもかんでも職員が手伝ってしまう事はケアではありません。出来る残存機能を活かしながらケアしていく事が大切なのではないでしょうか?

“依存”が強くなってくると職員との関係性が崩れトラブルの原因に繋がりやすくなります。深く関わることも大切ですが、ある程度距離を保つ事も必要です!また、周りの職員に相談してどう対応していけばいいのかを一緒に考えていく事が出来るととてもいいなぁと感じています。一人で抱え込まないようにして欲しいです!

利用者様同士のトラブルも結構あります。認知症の為大きい声を出されてしまう方やずっと大きな声で歌を歌われる方、自分の思いが先行してしまい他利用者様にぶつかりながら車いすを自走される方、他利用者様の部屋に入ってしまい物を持ち出してしまう方や放尿してしまう方等対応が難しい方もいらっしゃいます。

そこに認知症ではないけれど身体が不自由で家での介護が難しいという理由で入所されてこられる方がいらっしゃる場合、注意したり怒ったりすることがあります。認知症という病名は知っていても実際に自分に危害が加わってくると怒ってしまう気持ちも理解できます。

ユニットケアの難しいところはそういうトラブルをどう防いでいくかという事だと感じています。職員が目を光らせていても常にその利用者様の行動を見ている事や制限することは出来ません。他利用者様のケアで短時間でもその場を離れなくてはいけない事も少なくありません。

双方の利用者様が嫌な思いをしながら生活しなくてもいいように可能な限り対策していきたいと思っています。手を尽くしてもどうにもできない場合もあります。その場合はご本人様の意向を聞き取り、ユニット異動という形で対応させていただく事もあります。

入居してからの関係を作る事・入居してからずっと同じ空間で生活をしていく事は私たち介護士が感じている以上に大変なのかもしれません。入居したくなくても家庭の事情等で無理して入居されてくる方も多いです。少しでも居心地の良い環境を作っていけたらいいなぁと日々思っています。

【5.家の延長】

ユニットケアは在宅の延長線の生活が出来る事を理想とされています。家で使っていた食器やおはし、家具を持ち込んでもらうようにご家族様に声をかけていきます。自分が使っていた物があるだけで安心感やここが自分の部屋(家)になるのだと理解できることにも繋がります。

1人1人持ち込まれるのもが異なる為“自分の部屋”と認識しやすいのかなぁと感じています。こたつを持ち込まれる方、テーブルや人形、仏壇を持ち込まれる方もいらっしゃいます。お仏壇の場合は毎朝ご飯とお茶を交換しますし、お花を飾りたいという要望に合わせて職員が仏花を購入して飾ることもします。

ご家族様の写真や亡き旦那様や奥様の写真を飾っている方もいらっしゃり、部屋ごとに設えが大分異なります。利用者様の思い出の品が沢山あると話のきっかけや利用者様を知る事にも繋がるので出来る事であればどんどん持ち込んでいただきたいなぁと思っています。

従来型特養の多床室ではテレビの持ち込みが制限されてしまいますがユニット型特養の個室ではテレビの持ち込みやラジオの持ち込みも出来ます。比較的持ち込み物の自由度が高いです!利用者様が安心して暮らせる環境を作っていけたらいいですよね

(2023年12月6日)


第26回【覚える為に工夫している事5選】

介護の仕事ってケアの方法から専門用語等覚える事が沢山ありますよね。新卒の時専門用語が沢山行きかっていて何が何のことなのか理解できずに“えっ!?何それ?”ってなった事が幾度となくありました。介護を始めたばかりの頃ってそうなりませんでしたか?

専門用語なのか何なのか分からず、申し送りで話している内容は全部紙にメモして後から調べたり先輩に聞いたりするようにしていました。今では笑い話ですが“ももひき”“傾眠”も申し送りのスピードの中では理解で来ていませんでした。

新卒の頃は専門卒や介護施設でアルバイトをしていた同期に比べるとどうしても覚えが遅い自分が情けなくて、先輩が優しくて余計に不甲斐なさを感じて落ち込む日々を過ごしていました。覚え方を自分なりに習得してからは異動や転職時にも大いに役立っていると感じているので今回は工夫している事をお伝えします。

【1. 居室や席は図を書いて覚える】

部屋や食事の席ってもう決まっている事が多いですよね。ショートステイやデイサービス以外では毎日変わるわけではないため見取り図にして書くようにしています。テレビの位置・カウンターやキッチン・ベランダ等分かる部分を書いてテーブルの形も大まかに書きます。

車いすの人と椅子の人で色を使い分けるととても見やすいです。利用者様に特徴がある場合はその特徴もメモすると顔と名前が一致しやすいです。また、転倒注意などの細かい注意点も食事の席に書き出します。図面と一緒に注意点が書いてあることによって1枚1枚注意点を書いた紙を探さなくて済むので見やすいです。

居室も大まかにユニット内の見取り図を書いてそこに部屋番号と利用者様の名前を書きだします。部屋の中は1部屋1部屋ざっとベランダ・洗面台・トイレなどの設備を書いてからベッドの向き、頭の位置、ポータブルトイレ・車いすの位置などを書き出します。

必要であればセンサーマットの有無や転倒・転落注意があるのか・就寝時の電気はどうするのか・部屋に用意する水分等があるのかどうかも書くようにしています。動きながらペラペラと見返すよりも付箋を付けてこのページを見ればまとめてあるという事が分かるようにすると尚見返しやすいです。

そこに書ききれない部分は次のページなどに書いていき、後で見返して違うノートや紙にまとめるのもいいと思います。“パッと開いてすぐ確認が出来る”“開いたページに多くの情報が載っている”という事が早く覚えるためには有効的だと感じています。

【2. お箸などの自助具の絵を描く】

ユニット型特養の場合、お箸などの自助具は個人購入してあることが多いです。使う用具もそれぞれ異なっており頭だけで覚えるのは時間がかかる作業です。間違って他の方に出してしまうわけにもいかないので大雑把でいいので絵を描くようにしています。

どのように絵を描いていくのかというと、四角い枠1人1人分けて書きその中に自助具やお盆なのかランチョンマットなのか、食事用エプロンが必要かどうか・トロミの有無や濃さを書くようにしています。1人1人分けて書くという事がポイントです。

書き方の例としてお箸であれば柄や色の特徴を書いたり、右利きなのか左利きなのかでお箸の向きを変えたりして書きます。スプーンやフォークを使用するのであれば大きさや福祉用具の物なのかで書き方を変えています。ただ単にスプーンと書いてあるよりも絵があることによって見やすくなります。

ご飯茶わんや汁椀・食事形態なども人それぞれ細かく異なります。ご飯だけでもペースト粥・お粥・軟飯・常食・パン食と複数の種類があります。ここに味噌汁の具の有り無し・塩分制限による味噌汁の量・ご飯のグラム数も加わると食事量だけでも結構な情報量ですよね。

メモしたところをペラペラとめくって1人1人の情報を得るよりもまとめて書いてあることによって食事も見やすくなります。“まとめる”事を意識して書いていくといいですよ!是非試してみてください。

【3. コップの絵を描く】

これも先ほどまでと同様ユニットケアでは個人で用意する事が多いので特徴を書くようにしています。コップも陶器・プラスティック・マグマグ・吸い飲み・ペットボトルなど使うものは様々です。色が違うだけで同じ物を使う方もいらっしゃるので、間違えないようにしないといけません。

さらに水分制限がある場合には何時に何cc提供するのか、トロミを付ける場合には200ccに対して小さじ・大さじ何杯入れるのか・好みの水分や嫌いな水分を書くようにしています。これ以外にもぬるめにする・熱いままの提供がいい等の好みも重要ですよね。これを覚えるのも本当に苦労しました。

【4. 排泄介助の準備】

これは従来型特養の時にとても苦労しました。新卒で配属されたのが従来型特養でした。ここは遅番で出勤したら就寝時の排泄用具を準備するという決まりがありました。従来型特養では就寝介助も30名行っていたためトイレ介助を行う方用の分を用意することが地味に大変でした。

個人用の籠がありそこに使うテープ型おむつやパッドをいれていたのですが、毎回サイズが書いてある紙を見なくては用意することが出来ず時間がかかっていました。慣れている先輩方はものの数分で準備が終わっていたのにその倍近くかかっていました。こんなことでと思われるかもしれませんが情けなさを感じていました。

準備に時間がかかるため早めに出勤し準備をするようにしていましたがこれはしんどいですよね。ある時同じ施設に配属になっていた介護施設でバイト経験のある同期にどうしたら覚えられるか相談したことがあります。その時に「紙に全部書き出して持って行くといいよ。」と言われハッとしました。

当たり前といえば当たり前なのですが、それまでは排泄チェック表を持って準備をしていました。早番者が書きたいけど書けない、記録を打ちたいけど打てないなんて事をしてしまっていました。排泄チェック表も時間帯でそれぞれ異なるサイズが書いてあったため見間違いで準備間違いをすることも。

同期にアドバイスを貰ってからは準備しなくてはいけないサイズを書き出し、それを持って準備するようにしました。今思えば“当たり前”“なんでそんなことも考えつかないの?”と思ってしまいますが、初めの頃は何をどうしたらいいのか分からないことだらけで付いていく事に必死でそこまで考えが回りませんでした。

ユニット型特養に移ってからは“個別ケア”が謳われており一斉排泄は行わないためパッド類のサイズ+排泄時間も覚える必要がありました。時系列を書き、この時間に〇〇様、テープ型おむつM+700mlパッド等と書くようにしました。排泄チェック表を1枚貰い排泄時間に色を付けたりそこに使用品を書くのもありです。

そうやって書いた紙をポケットに入れて排泄介助をしているため、よく利用者様の部屋に紙やボールペンを置いてきてしまうという事をしていました。無駄な時間をカットする為に作ったはずが、逆にそれを探すために余計な時間をつかうはめになる事なんていまだにやります(笑)

【5. ポジショニングの絵を描く】

ポジショニングってクッションを外す前はどっち向きでどのようにクッションを入れていたのか分かるのに、外して排泄介助をしたとたんどっちを向いていたのか、クッションがどう入っていたのかど忘れする事ありませんか?私はいまだに体位交換の向きがどっちだったか分からなくなる時があります(泣)

クッションの入れ方も利用者様によって大分異なりますよね。使用するクッションの大きさや固さも違います。どこに何を入れるのか絵をかいてしまうのが覚えるには近道です。勿論何故そこにこのクッションを入れる必要があるのかを根拠を元にして理解することも有効だと思います。

体位交換の向きついては次に向く側を排泄介助中ずっと心の中で連呼するようにしています。そうすれば排泄介助が終わった時に次どちらの向きにするのか忘れなくて済みます。または体位交換する際にやりやすい位置に立って排泄介助をすることもおススメです。

体位交換をする時って利用者様の背が見えるように対応しますよね。つまり、排泄介助に入る際は顔が見える側に行って排泄介助を行うとそのまま体位交換することが出来ます。こうすることで間違う事は極端に減ります!!忘れやすい方は是非試してみてください。

以上が覚えるために工夫している事です。リーダーになってからはこの苦労を元に“見える化”していく事にしていました。介助するその場に表やイラストがあることによってメモした場所を探す事や紙を無くした場合でも対応することが出来るようになります。

ちょっとしたことですが、あるかないかだけでもケアの統一性も上がります。見える化するにあたり準備することが一番大変ですが、一度作り上げてしまえばあとは本当に楽です。異動してきた職員や新卒者・中途採用者にとっても働きやすくなると思っています。良かったら参考にしてみてください。

(2023年11月22日)


第26回【独身介護士あるある 6選】

“独身”ってだけで結構いいように使われるよなぁ~と思う事ありませんか?特にこれからクリスマスや年末年始が来ます!この時期になると独身介護士が出勤する率が高い日がやってきます…。「予定ないから大丈夫です!」と何度伝えたことか…。今回は独身介護士の私が感じているあるあるをまとめました。

【1. 勤務変更を頼まれがち】

子供さんや職員の急な体調不良による欠勤時に出勤のお願いをされやすいなぁと感じています。休みの日に施設からの連絡があり「もしもし。今日なんですが〇〇さんのお子さんが体調を崩してしまってお休みになってしまったんですよ…。急な連絡で申し訳ないのですが、出勤って可能ですか?」って連絡が多い事…。

自分が体調不良になった時や身内に不幸があった時に交換していただくことがあるので“お互い様”という気持ちで出勤しますが、勤務変更の依頼が多いと“またかぁ~”と思ってしまう気持ちも正直あります。もちろん外せない用事がある時もあるので、その時は「難しいです。」と断っています。

リーダーをしていた時は“リーダーだから”仕方が無いと思い率先して勤務変更を受けていましたが、独身=勤務変更しやすいと思われてしまうのは悲しいなぁと思ってしまいます。予定があっても誰も出勤が出来ないなんて時は急遽予定を変更することもあります。

予定があったら何が何でも断るという気持ちがあればいいのでしょうが、性格的に出来ないもの痛いところ…。ちゃんと断れる人が凄いなぁと思ってしまいます。あなたは勤務変更の依頼が来た時断れる方ですか?それとも私のように引き受けてしまう人ですか?断れる勇気を持つ事も必要なんですよね!

【2. 残業をお願いされがち】

シフト作成の時にどうしても人が足りず誰かが残業をしなければならない時があります。その時に誰に残業をしてもらうか考える際“独身者”がお願いされることが多い傾向にあります。子供さんが居ると残業することが難しい事が多いからです。中には残業を引き受けてくださる方もいらっしゃいますが。

“独身”ってだけで“少し残業しても大丈夫でしょ”みたいな感じになるのが“う~ん…”とモヤモヤを感じる事もあります。独身だって仕事後に予定があることもあるんだよなぁ~って思いませんか?私の場合、早番の次の日が遅番や夜勤・休みの時は早番後に映画鑑賞をしたいと思っているので、予定が変わってきます。

また、2ユニットそれぞれのシフトがこなせるようになってくると例えば隣のユニットの職員が欠勤や早退で残業が発生する時、だいたい私に「急でごめんね。今日なんだけど〇時まで残業出来ますか?」と依頼が来ます。隣のユニットにも早番者が居るのですが、「家の…。」と言われてしまうとお願いしにくいですよね。

何故だか分かりませんが、私が早番の時に限って残業しなければならない事が発生し、回数が多くなってくると“はいはい、分かりました。残業すればいいんですよね…”って思ってしまう自分がいます。誰かが残らないといけないので仕方が無いのかもしれませんが、依頼が多いと辛いところがあります。

時々何を勘違いされているのか「残業代が貰えるから残業になってよかったね。」と言ってくる人がいますがそれは大きな勘違い!残業するよりも定時に上がって帰りたい人の方が多いです。自分でそう思って頑張るのはありだと思いますが、勝手にいい事かのように解釈して言ってくるのは無しです。

【3. 年末年始出勤しがち】

年末年始は就職している時は毎年出勤しています。休めたのは退職して次の職場の入職日が年明けてしばらくしてからの時だけでした。それくらい年末年始は“独身”にとって休みにくいのです。Instagramの方でも「分かります~。」というDMをくださった方が何名かいらっしゃいました。

何故年末年始の休みが取れないかというと、新婚さんであれば両家に挨拶に行ったり、子供さんやパートナーがいる場合は家族が集まる為、その準備や親せきにあいさつ回りなどをしたりするからです。田舎独特なのかもしれませんが、毎年年末年始に出勤できる介護士を確保する事が悩みの種です。

私は年末年始に出勤できる職員が少ない事を知っているため希望休は書かないようにしています。また、年末年始4連勤でも大丈夫であることをあえて伝えるようにしています。こうしてしまうから余計に休めないと思われるかもしれませんが、シフトを作る身としてはその一言がとてもありがたい事なのです。

その代わりに三が日を過ぎてから連休をつけてくれたり、年末年始出勤手当が付いたり、年末に仕事に来た職員にデリバリーの食事を頼んでくれたりと施設によってフォロー体制が出来ている事もあります。ある意味年末年始は出勤した方がよかったりもするので年末年始を休みたいかは人によりますね。

私の場合は人混みが得意ではないため初もうでや初売りには行かないですし、特に見たい番組があるわけでの無いのでお正月を利用者様と一緒に楽しく過ごす方が好きです。福笑いを持って行き一緒に笑ったり、駅伝マラソンを一緒に応援したりという時間がとても楽しいです。

私の初もうでは三が日を過ぎて人の出が落ち着いてきたころに行くようにしています。初もうでには行きたいので、人混みの少ない時にゆっくりお参りをして挨拶をするようにしています。人が多いとゆっくりお参りすることも出来ないですからね…。

1月1日はお風呂介助が無い事が多いので、利用者様とゆっくり過ごせる数少ない日でもあります。新年のあいさつをしておせちを食べて笑っていい年明を迎えます。画用紙で作った大きい年賀状を作ってお渡しすると結構喜ばれるので、是非やってみてください!!

【4. 夜勤が多くなりがち】

子供さんがいての夜勤は本当に大変だと思います。独り身であれば夜勤の時間まである程度しっかりと仮眠を確保することが出来ますが、子供さんがいるとそういうわけにはいきません。家事・炊事・育児と休む暇なくこなしたうえで夜勤も働くとなると想像しただけでも結構ハードですよね。

子供さんがいて夜勤をされている方、本当に凄いなぁと感じています。なので夜勤の回数がおのずと少なくなるのは仕方がない事かなぁと思っています。その方の夜勤の回数が少なくなる分、他の職員に回数が回ってきますが、時々夜勤を多くやりたい方がいらっしゃるのでその時はその方にお願いしています。

私は出来る事ならば夜勤の回数は少ない方がいいのですが、こういう事情がある時は月6回までの夜勤であれば引き受けています。直近の施設では休憩・仮眠無しの夜勤を月7,8回行っていたことを考えるともう少しできそうな気もしなくもないですが、明が休みカウントになるので5回が限界ですかね…。

夜勤が多くなった月は夜勤手当で溜めたお金で何か欲しい物を買っていいと自分にご褒美をあげるようにしています。そうしないと夜勤を頑張るモチベーションにならないんです。身を削って夜勤を行っているためたまには自分を甘やかすことも必要だと思っています。

【5. 早く結婚しなさいと利用者様から言われる】

利用者様方が若かったころの結婚年齢は若かったですよね。しかも中々恋愛して結婚という事は少なく、お見合いや親に言われた相手と結婚をしていたと聞くことが多いです。だからこそ私のようにいつまでも結婚しないでいると「もうそんな年齢なんだから早く結婚しなさい。」と言われてしまいがちです。

自分でもわかっているけど、こればかりは焦ってするものでもないしなぁと。また、利用者様の時代は男性を立てる・多少嫌な事があっても我慢するという時代でしたが今はそういう時代ではありません。お互い手に職をつけていると何かと折り合いをつけるのが難しい事も。

そう考えると本当に利用者様方は不満があっても我慢する・好きではなかった相手と結婚しても離婚せずに最後まで添い遂げる等本当に凄いなぁと感じています。お互いに少し距離がある方が干渉しすぎず相手を立てる事ができるのかもしれませんね。仲睦まじいご夫婦が多いので凄いなぁと感じています。

男女ともに“自立”出来る時代になったからこそお互いに尊敬・尊重し合える相手を見つけたいところです。利用者様に報告して一緒に喜べる日が来ることを私自身も楽しみにしたいと思います(笑)

【6. 子供がいると思われる】

【5.】とは真逆になりますが、「結婚してるだろう?」「子供もいるんだろう?」「子供何歳になったの?」「こんな遅くまで仕事をしていて子供が悲しむだろう?」と言われることも結構多いです。「子供いないんですよ~。」と伝えると「なんで?旦那は居るんだろう?」と高確率で聞かれます(笑)

「旦那もいないんです。」と伝えると「えっ!!」「嘘だ~。」と。結婚しているのにしていないと嘘をつくメリットがないと伝えると「若い旦那を見つけに来たんだろう。」とコントのような感じになります(笑)。こうやって笑い話に出来るのでこれはこれで嫌いではない私。

その流れから「〇〇さんが見つけてくれるっていうから待ってるんですけど~。いつになったら紹介してくれるんですか~?」という会話になるのはお決まり文句!「待ってろ見つけてきてやるから。」「年寄りの紹介を待っているんじゃないよ~。」と返答は様々です。

中には「私の息子なんだけど、△歳で結婚もしてないんだ。優しい息子なんだけどどう?」「孫がいるんだけど…。」という話になることも。本気で探そうとされる方もいらっしゃるので、冗談を言える相手はしっかりと見極めないと本当に紹介されてしまう事があるので注意が必要です。

これ以外に印象に残っているのは、私が丸い体形をしているため「今、何か月?」と聞かれた事。「あぁ~。もう20年ぐらい居ますかねぇ~。」と伝えるとぽかんとした表情をされる利用者様。お肉であることを伝えると「あらっ、ごめんなさい。私目が悪くってよくわからなかったの。」と大笑い。

マイナスに感じてしまう方もいらっしゃるとは思いますが、このように楽しいくらいの感じで話が出来たらいいなぁと思っています。孫のように可愛がってくださるのでいい報告が出来るようにしたいなぁと思っています。年を召してもこういう話になると目を輝かせ話に花を咲かせ楽しい表情をされますよね。

以上が“独身”で感じる事です。いかがでしたでしょうか?今の時代あまりこういう話をすると“ハラスメント”ととらえられてしまう事もあるかと思いますが、マイナスに考えてしまうと自分自身も辛くなってしまうので、前向きにいい方向に物事をとらえられるようにしていきたいです。

(2023年11月16日)


第25回【なぜあの職員は問題解決能力が高いの?】

職場で問題が起きたときすぐに解決策が出る人っていませんか?しかも内容がしっかりしていて“凄い!”と思うような解決策なので“なんでそんなに解決策が出てくるの?解決内容も凄くてどういう思考回路をたどっているの?”と気になった事がありませんか。

私はそう感じた人が数名いました。その施設では毎年職員に年間目標を作ってもらい、半年単位で振り返りを行う習慣がりました。その際に用いられていたのが“PDCAサイクル”。学生の頃には聞いた事が無く、就職してから初めて行うものでした。

PDCAサイクルを取り入れていくうちに問題解決能力が高い人はPDCAサイクルが習慣化していて“考える力”が身についているのだと感じました。PDCAサイクルを習慣化することによって何事にも考えて検証していく力が身に付くと身をもって感じています。

今回はPDCAサイクルについてどういうものなのかを紹介していきたいと思います。今はこれ以外にも大谷翔平選手が昔から行っていた夢を叶える為の“マンダラチャート”の活用が有効であると耳にする機会が増えました。“自分を見つめなおす”“どうしたいのか考える”力が必要とされる時代なのかもしれないですね。

【1. PDCAサイクルとは】

“PDCAサイクル”という言葉を聞いた事ありますか?PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものになります。流れとしてはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)そしてまたPlan(計画)の順で繰り返し行います。

この流れを常に行っていく事でケアの質がどんどん向上していき、問題が発生した時もこれを元に何が原因でどう対処していけばいいのかを考えられるようになっていきます。指示をされてからでないと行動できないよりもみんなが考え意見を出し合っていった方が個人としても施設としても成長度は大きいと感じています。

ではどうやって“PDCAサイクル”を活用していけばいいのか?ひとつずつ順を追って説明していきます。私は“PDCAサイクル”を導入している施設で仕事をしていた時に考える能力や客観的に物事を見る力が身に付いたと実感しています。離れてからは尚更ありがたい環境だったなと思っています。

【2. Plan(計画)】

計画をたてるにあたり、まずは個人の年間目標やユニット内目標、施設目標を元に自分は何が出来て何が出来なさそうかを紙に書き出していきます。その中で出来そうな事・出来なさそうな事・頑張れば出来そうな事柄を計画にしていきます。資格取得も目標になりますね。

計画を作る際はWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくらで)を組み込んで検討するとより具体的に考えられるかと思います。具体的に物事を考えられた方が計画するにあたり成功時のイメージがしやすいです。

例えば介護福祉士や社会福祉士・ケアマネージャーの資格取得を目標とする事やユニット内で利用者様と1対1での外出を企画するとあった場合、担当利用者様の行きたい場所を聞き取り料金が発生する場合は行きたい場所の利用料金や食事処での予算を盛り込んで計画を立てます。

計画を立てるにあたり、おのずと自分が何をしなくてはいけないのかが見えてくるはずです。計画は時期も書き出していきます。ここまでにこの範囲までの勉強をする・この時期に試験申し込みが開始されるため必要な資料を集めておく・ご家族様との連絡調整・タイムスケジュールを作るなどが計画に入ってきます。

いわゆる年次計画書のようなものでしょうか。大まかな年次計画書を元にそれをもっと細かく深堀していく作業を行っていきます。大切なのは簡単に達成できてしまう目標ではなく、頑張れば達成できる目標を立てる事!簡単な目標では成長は期待できないと思っています。

この流れがどう問題解決に繋がっていくのかというと、例えば転倒事故が起きたとします。その際、一番初めに何故転倒事故が起きていしまったのかという検討をしますよね。その後、事故原因を元に転倒を防ぐための対応策を考えます。この対応策がPlan(計画)にあたると思っています。

【3. Do(実行)】

立てた計画を元に実行していきます。先ほどの転倒事故の場合であれば対応策を遂行することに当たります。計画通りにスムーズにいく事もあれば思うように進まないことも出てきます。どういう流れで進んでいるのかを記録しておくのも大切です。

また、“ここはこうした方がよさそう”という事があればそれも書き出していきます。このやってみてどうだったかという感覚をメモに残せることで次のCheck(評価)をする時にとても役立ちます。いろんなことを感じながらDo(実行)出来るといいですね。

【4. Check(評価)】

Plan(計画)を立ててDo(実行)した事に対しての評価を行います。計画通りに進んでいたのか、思うように進まなかったのかについて深く検証していきます。計画通りに進まなかった時には何故計画通りに進まなかったのか、原因はどこにあるのかを検討します。

ここで役に立ってくるのが先ほどDo(実行)した時の記録です。ここの部分でつまずいてしまった・ここの部分をこうした方がよさそうだと感じたなど、実行してみての感想があれば原因を探る際に大きなヒントとなります。

計画通りに進んだ時もスムーズに遂行出来た要因を評価します。例えばこの時期にご家族様に了承を得る事が出来たため早めに施設や食事処の予約をすることができた。施設利用料や食事処の大まかな予算を早めに算出してご家族様に相談したから了承を得る事が出来たという感じで評価します。

こういう評価をすることによって成功した時の“成功体験”を感じる事が出来るようになります。成功体験が増えれば増えるほど“次はこれをやってみよう”“このやり方は間違っていなかったんだ”というやる気や自信に繋がってきます。

これを事例の事故に当てはめていくと、立てた対応策があっていたのかそれとも修正が必要になってくるのかを検討することに当たります。立てた対応策に問題が無い場合は対応策を引き続き実行し、変更が必要な場合は何をどう変えた方がいいか検討するとこになります。

【5. Action(改善)】

Do(実行)、Check(評価)をしてみてこのままの計画のまま進めてもいいか・一部改善して再度計画を立てるか・計画を中止または延期するかどうかを決めていきます。このまま計画を進めていく場合には予定通り計画を遂行しながらまた評価をしていきます。

計画を変更したり延期したりする場合にはどう変更するのか、中止する理由は何かを検討します。先ほどの転倒事故の場合は対応策をそのまま継続していくのか、立てた計画の変更が必要であればどう変更していくのかを決めていきます。

ここでどうするかを決めたのち、また最初のPlan(計画)に戻りPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)と続いていきます。これを繰り返していく事によって徐々に考える力や想像力が付くようになり、結果問題解決能力が高くなると感じています。

問題解決能力と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要は“自分で考える力”が身に付く事が大切だと思っています。自分で考え発信し対処していく事で自分の経験値が上がっていきます。“間違えてしまったらどうしよう”という不安な気持ちがあるのも分かります。

しかし、失敗から沢山の事を学べます。失敗した事により同じ失敗をしないように回避したり、何が失敗に繋がったのかを考え検討したりしていく事で次に生かすことが出来ます。考える力を身につけて問題解決能力を一緒に高めていきましょう!!

(2023年11月8日)


第25回【介護の進歩 5選】

介護士になって早13年!!本当にあっという間でした。駆け抜けている感じですかね。介護をしていく中で年々介護に関する新しい技術がどんどん出てくるようになり職員も利用者様の負担もだいぶ軽減されてきているように感じます。今回は介護に関する進歩しているなぁと感じる事をまとめました。

【1. 持ち上げない介助】

介護と言えば力仕事のイメージが強いですよね。抱える・持ち上げる・身体を上に上げる・移乗する等とにかく力仕事が多いです。介護をし始めた頃は腰が痛くて痛くて大変でした。排泄介助を行った後は自分が高齢者になったかのように前かがみになった状態のまま移動していました。

自分にあった体の使い方がまだ分からず無理な体勢のまま介助をしているため腰に負担が来てしまいます。ベッドの高さを変える事が腰痛予防には大切と謳われていますが、従来型特養で勤務していた時は対応する人数も80名を超えていたため時間との勝負!!1人1人ベッドの高さ調整をしている時間はありませんでした。

夜勤の時は朝方に2時間弱かけての排泄介助…。腰に悲鳴が来るわけです。拘縮の強い利用者様や内出血ができやすい方は職員2人対応で車いすに移乗しますがこれもまた腰に結構な負担が来ます。ほんの数秒ですがその数秒の積み重ねが痛みとなって現れます。

私は幸運な事に介助後しばらく筋の痛みがあるだけでヘルニアや腰痛にならないで済んでいますが、ヘルニアや腰痛持ちの方・ぎっくり腰もちの方はしんどいだろうなぁと見ていて思います。コルセットは必需品ですよね!ストレッチも大切ですが現場で行う時間が無い忙しさをどうにか考えていかないとですよね。

ユニットケアに移ってからは排泄介助の少なさに感動を覚えました。さらに“ユニットケア”を取り入れている場合は一斉排泄や一斉起床等を行わないので時間をずらすことによりさらに腰には負担がかからず腰痛知らずですごせています。

ここで注意したいのがユニットケアとは“ユニット型施設”ではなく“ユニットケア”をしている施設という事です。ユニット型施設であっても行っているケアが従来型特養と同じように一斉起床・一斉排泄を行っている施設もあります。“ユニットケア”をしている施設は1人1人のペースに合わせてケアをしています。

ユニット型特養の中でも職員の腰への負担軽減、利用者様への負担を考え“リフト”を積極的に導入しているところもあります。私が以前勤めていた施設では浴槽に天井走行リフトを全ユニットに配置・職員2人介助で離床や内出血ができやすい・体重が重い方には組み立て式のリフト・移動式のリフトを導入していました。

“機械で介助”と聞くと初めは「冷たい気がする。」「いちいち機械を使うのが面倒くさい」「自分たちで今まで通り対応した方が早い。」「覚えるのが大変。」等のマイナスなイメージが多く聞かれていました。私自身も初めは“機械に介助されるなんて利用者様が可哀そう”と思っていた人でした。

そんな中リフトについて施設外の方への発表をして欲しいとの要望がありリフトを積極的に使ってみる事に。なれるまでは「面倒くさいなぁ。」「取りに行く時間、装着するが勿体ない。」と思っていましたが、慣れれば時間も短縮できるようになり何より自分の身体への負担が少ない事にありがたさを感じるようになりました。

それまでは謎の内出血ができやすかった利用者様もリフトを使用することによって内出血が減り、職員介助による内出血だったのではないかという話も出ました。職員が介助すると体に力が入ってしまう利用者様もリフトを使用する事によって体に力が入ることなく楽そうな様子が見られていました。

布でつるされて上に上げられる事を怖がってしまうのではないかという懸念を抱いていましたが、足を骨折された方や認知症の症状が強い方においてもとても安心していそうな様子なうえに歌を歌っている方もいて職員が介助するよりも安心感があるのではないかと感じるようになりました。

職員が介助する時はどうしても手のひらに力が集中してしまいますが、リフトであれば布全体が体を包み込むため安心感が大きいと乗ってみて感じました。試しに職員介助とリフトを使った時の介助双方をビデオに収め比べてみましたが、利用者様の反応は雲泥の差でリフトの方が落ち着かれていました。

今ではリフトを導入している施設は増えていますが、私がいた施設ではまだ導入があまり進んでいない6年前に導入しました。発表後は導入しても職員が使ってくれなくてどうしたらいいかという相談を受けていました。これはリーダーが率先して使っていき便利であることを伝えるしかないと伝えていました。

実際にリーダーが率先して使用しメリットを伝えていく事で徐々に使い始める人が出てきます。リーダーが文句ばかりで「面倒。」と使わなかったり使っていてもマイナスな事しか言わなかったりすれば職員は使いません。いかに“楽しそうに使う”かがポイントかと思っています。

一方で機械に頼らず職員の身体の使い方によって楽々介助出来るという方法もあります。最近は良く動画で流れてきますし、以前の施設では機械に頼らない介助を謳っていたため、機械浴やリフト浴もありませんでした。この施設は“機械 = 悪い介助”と決めつける風潮があり、頑なに寝たきりの方を個浴に入れていました…。

確かに頑張れば個浴で入れる方もいましたが、膝とわきの下を抱えて浴槽に入ったり出たりして頂くのは好きでは無かったので“機械浴ならこんなことしなくてもいいのになぁ~”“こうやって入れられたくないなぁ”と思ってしまっていました。何度か寝浴を打診しましたが「使えませんから。」と一括されました。

どちらのケアがいいということは無く、どちらもいい面と難しい面があるのでどちらかしか取り入れないのではなく利用者様に合わせて対応していけたらいいなぁと凄く感じた出来事でした。リフトも全員に使えるのではなく物によっては対象外になってしまう方もいるので“検討していく事”が大切です!!

【2. 見守りセンサー】

今までは離床センサーやマット式の床に置くタイプのセンサーマット、赤外線センサーが主流でしたが、ここ数年部屋に設置する“見守りセンサー”“見守りスキャン”という種類のセンサーが出てくるようになりました。これは部屋に設置し夜間の睡眠状態や離床状況、体動の有無などを教えてくれるものになります。

リフトを導入していた施設ではこの見守りセンサーもデモンストレーションで使っていました。夜間職員が巡視に行くときにすぐに目を覚まされてしまう方っていらっしゃいますよね!その方や体動が多くベッドから落ちてしまう危険がある方、部屋から出て行ってしまう方のお部屋に設置して試しに使っていました。

体動が2時間無いと見に行くようにというお知らせが来たり、部屋から出ようとしている事を知らせてくれたりします。種類によってはカメラが付いている物もありそのタイプのセンサーの時には部屋の中の様子が分かるようになっていました。

巡視の回数を減らし入眠を阻害しない事・夜間職員1人対応で見守りが難しい・気が付くことが遅くなってしまうという状況でも見守りセンサーが知らせてくれることで早く対応できるようになるメリットがある一方、体動が激しい方等は常に情報が飛んでくるためそれが複数人の場合確認が大変になるデメリットもありました。

見守りセンサーはデモンストレーションで使っていた6年前からどんどん進化が進み入眠記録、心拍数、呼吸数が分かる物も出てきています。またカメラなどがあることによって虐待の防止にも大いに役立つと思っています。メリットの方が大きい為、これからは見守りセンサーは主流になってくると思っています。

【3. トロミ付きサーバー】

最近自動販売機でとろみが付けられるようになったものがあるとテレビ報道で聞いて衝撃を受けました!トロミって200mlに小さじ〇杯と決めていても職員によって水分の入れる量が異なる・擦切りでつけてくれる人と山盛りでつける人とがいる等で統一していても濃さが異なることが良くあります。

トロミが薄いと咽やすくなり誤嚥性肺炎のリスクが高まります。一方とろみが強いとゼリーのような固さになってしまい飲み込みにくく、1口が大きいと窒息してしまうリスクがあります。また、とろみをしっかり均等につけるには“混ぜる”という作業がありますがとろみを使用する方が多いと結構な時間がかかるんですよね…。

混ぜている途中で呼ばれてしまうと途中で手を放して対応しに行かなくてはいけませんが、戻ってくるとだまになっていたなんてこともしょっちゅう…。だまになると中々水分に溶けてくれないので作り直しをするなんてこともあります。時間が勿体ないと感じてしまう時も…。

それらの事にとても悩んできた介護士にとってこの自動販売機の存在はとても嬉しいものではないでしょうか。今はまだ出せる飲み物の種類は限られていますが、この自動販売機を導入した施設があると聞いて“そういう使い方もあるか!”“施設にとろみ付き自動販売機って考えなかった”驚きました。

1個1個ボタンを押さなければいけないかもしれませんが、ボタンを押した後は他の業務が出来るのでありがたいのではないかと思っていますが、あなたはどう思いますか?誰が作ってもとろみの濃さが一緒で水分量も一緒だと水分量を少なくして普通にカウントするという事も出来なくなるかと思っています。

トロミで介助の方だと水分量を減らされてしまう傾向があるように感じています。夏場はそのせいで脱水になってしまう方もいます。記録ではしっかり水分量が取れている事になっていても実際はその半分しか出してないなんて事や全く出してないのに記録では飲んだことにしている人も実のところ存在します。

この自動販売機がもっと普及していけば飲み物の種類やトロミの濃さも細かく設定できるようになるのではないかと思っています。そうするともう時間をかけて水分を作る必要や作り置きをしておく必要も無くなります。飲みたい時に提供できるようになるのはとても嬉しいですよね。

ご家族様が面会に来られた時も職員に遠慮せずにその方の濃さのボタンを押して出してあげられるという事も出来そうだなぁ~と感じています。ご家族様と一緒に飲み物を飲みながら談笑できる時間を提供できるようになったらとても嬉しくないですか?

【4. においセンサー】

今排泄介助において革新的な研究と商品開発をしてくださっている方がいらっしゃいます。海外ではテープ型おむつや肌に機械を取り付けて排尿を知らせるシステムがありますが、日本人は肌に機械を付ける事をしたくないという気持ちが強いからと防水シーツのような形のものを作ってくださっています。

私が所属している“地域おむつアドバイザー”の中でも取り上げられ実際に話を伺いましたが、本当に並々ならない気持ちと行動力に“凄い”という言葉しか出てきませんでした。その努力の結晶で出来た商品名は“HELPPAD”最近ではいろんな賞を受賞されています。

開発の為に自分たちが実際にその上に横になり排泄をしてみてセンサーがしっかりと反応するかどうか試しているそうです。データを取る為に人前で試しています。本当に簡単に出来る事ではありません!!企業さんの努力のたまものですし、その努力のおかげで介護士も利用者様も負担が減るのです。感謝しかありません。

排泄介助をする時なんとなくの時間や一斉排泄で他の業務に支障が出ない時間などで決めていませんでしたか?地域おむつアドバイザーの勉強を始めてからここに記録を取って排泄タイミングを確認し対応していく事が大切だという事を知りました。“根拠”が大事なんです!

“HELPPAD”を使用することによって排泄パターンが可視化できるようになります。その根拠を元に排泄時間や使用具の選定を行えるようになります。そうすることによって排泄介助に入ったけど排尿が出ていなかった・排泄時間に入ったけど排尿量が多すぎて失禁していたという事が減ると思っています。

排泄介助って私たち介助者は見慣れてしまっていてあまりなんとも感じないかもしれませんが、やられる側だとどうでしょうか?何度も何度も下部を露出するのって結構嫌ですよね。1人1人に合わせた適正時間・回数を行う事で利用者様の“羞恥心”や“尊厳”も守られるのではないでしょうか?

水様便も早い段階で交換できるようになれば背中漏れや皮膚トラブルが軽減されるのではないかと思っています。下剤の服用なども記録できるため下剤を内服してからどのくらいで反応があるのかも可視化できるようになれば「この時間に入った方がいいね」と決めることもできてきます。

これからもっといろんな機能が付いてくるのではないかと思っていますが、こういう開発者様たちの努力のおかげでこれからの介護はもう少し楽になってくるのではないかと考えています。そうなればもう少し余裕をもって利用者様と関わっていけるし、理想のような穏やかな日々を提供できるのではないかと期待しています。

【5. ロボット】

AI機能がどんどん進化してきている今、介護士がやらなくても大丈夫な仕事はどんどんロボットが行っていくようになると思います。例えばルンバのような自動掃除機。今や自動で掃除したい範囲の見取り、インプットしてそれに合わせて掃除できるようになっています。

以前の物であれば掃除が出来ていない箇所があった事もありますが、AI機能が付いた事により掃除が抜ける箇所が少なくなります。また雑巾をかけてくれるロボットもある為職員が毎日掃除していた時間を利用者様のケアや余暇活動などへ有効に使う事が出来ます。

掃除ロボットが使える時間は利用者様がフロアや部屋等掃除する場所に居ないという事が条件になってきますが、掃除の時間って結構馬鹿にならないので有効に使っていけたらいいなぁと思っています。大掃除やワックス清掃なども出来るようになったらいつでもできるようになるので積極的に使いたいですね。

掃除以外にも最近では会話が出来るロボットも出てきています。今までにも声を出せる人形はありましたが、動作によって決められた言葉を発する事しかできず、利用者様が質問しても受け答えは出来ませんでした。可愛いと人気でしたが今はそれよりもはるかに性能がいい!!

値段は張りますが受け答えがしっかりと出来るので会話を楽しみたい方にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。そのうち職員よりもロボットの方がいいって言われてしまう可能性もあるなぁと危機感を感じていますが、自分も負けずに対応の仕方を向上するきっかけにしたいです。

食事の配膳についても飲食店で使われているロボットが将来介護施設にも導入され、食事の配膳ミスや食事提供時間(準備から配膳)のロスを助けてくれる存在になるのではないかと思っています。トレーに乗せればキッチンまで下膳もしてくれるので食器をもって何往復もせずに済むのは良いですよね。

私が感じている介護の進歩はいかがでしたか?見返してみると本当にありがたい物が増えてきたなぁと思いませんか?しかし今はまだこの流れが始まったばかり。これから先どんどんAI技術の発展や介護ロボットの登場でもっともっと介護士も利用者様も楽なケアが出来るようになると思っています。

そのうちロボットが出来ない事を人間が補助するような形になりそうだなぁと感じなくもないですが、まだまだ先の話だとしてもそうなった時に切り捨てられないように意識してアイディアを出したり熱い思いをもって介助をしたりしていきたいと思います。一緒に頑張っていきましょう!!

(2023年11月1日)


横浜介護求人センター
からのお知らせ



 まとめて読む


BLOG
介護業界



 あるある編

 実務編