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『横浜介護求人センター』

第33回【介護施設でのおすすめの手作業5選】

「介護施設でのおすすめの手作業5選」

今回は、利用者さんと一緒に行える手作業を5つ紹介したいと思います。ここでは、利用者さんに、お願いすることを、 『お手伝い』や『レクリエーション』と書かずに『手作業』と書いています。『お手伝い』だと介護スタッフの手伝いをする 利用者さん。という関係性になってしまうため、一緒に生活をする上で助け合っていきたいという想いで避けています。 『レクリエーション』のように楽しみながら、取り組んでいただきたいとは思っていますが、利用者さんの役割に していきたいという想いがあり、レクリエーションという表現も避けています。 取り組むには、難易度の高いものもありますが、少しでも参考になれば良いなと思っています。

①おしぼりたたみやタオルたたみ

「何かすることないか?」「手伝えることあったらするから言ってね」とよく声をかけてくださる方がいらっしゃいました。 何かしていただけることで、役割になり、少しでも充実した生活にならないか。取り組みやすいことはないかとスタッフ同士で 話をして、タオルを畳んでいただくのはどうだろうかと言う話になりました。タオルたたみは、指先を動かす運動にもなり、 脳への刺激にもなるのではないか。と言う意見から取り組み始めました。初めはスタッフと一緒にたたんでいたのですが、 そのうち「あんた、他にすることあるやろ?やっとくよ」とお任せするようになり、ご自身の仕事のように「タオルたたもうか?」と 声をかけてくださるようになりました。 「何か手伝うことはない?」と利用者さんがおっしゃってくださる時はありませんか?きっと「忙しそうだし、何か私にできることは ないかな?」「誰かの役に立ちたい」「してもらってばっかりで、何もできなくなってしまった」「暇だし、何か仕事が欲しい」 他にもいろんな想いがあると思いますが、こういった気持ちから声をかけてくださっているのではないかなと思います。 スタッフも何かしてほしいとは思うけど、何をしてもらったら良いんだろうか。お願いしても良いのだろうか。 見守りが必要で、お願いしている時間がない。という思いもあると思います。そんな時、食事の際に使うおしぼりや、 洗濯物のタオルなどを利用者さんにたたんでいただきます。おしぼりや、タオルを畳んだりするのは、怪我をする危険もなく、 取り組みやすいです。こういった手作業から依頼すると、どなたでも取り組んでいきやすいです。たたんでいただく前には、 必ず、手指の消毒を行っていただきます。簡単な作業ですが、利用者さんにとっては指を動かす体操になります。そのため、 着替えのボタンをとめる動作などの細かい動作の維持・向上にもつながると思います。

②縫い物

僕は職場で履いていたズボンのポケットが破れたことがありました。破れてしまったため、ズボンを履き替えると「どうしたの?」 と聞いてくださる利用者さんがいらっしゃいました。ズボンのポケットに指を入れて「破れました」と伝えると、笑って、 「針と糸持っておいで」と仰ってくださいました。お渡しすると、すぐに縫ってくださり、すごく手際も良く綺麗に縫って くださいました。話を聞くと「洋裁だけど、昔してたの。息子もよくズボンを破いて帰ってきたから、できるのよ。懐かしいわ」 と笑っておられました。今でも大切にそのズボンを履かせていただいています。利用者さんの中には裁縫が得意な方は いらっしゃると思います。伸びたズボンのゴムを通していただいたり、破れた部分を縫っていただいたり、ボタン付けお願いしたり、 古くなったタオルを雑巾にしていただいたりしています。 縫い物が得意な方がいらっしゃれば、縫い物をしていただくと手作業になります。指先の細かい作業なので、集中力も必要になります。 身体の色んな機能を刺激するので縫い物が得意な方には行っていただきたいです。針を糸に通す作業は難しい方もいらっしゃるので、 事前に準備しておくか、その都度スタッフが行うと「私にはできない」とおっしゃることもなく、スムーズに行えると思います。

③食器の拭きあげ

食後の食器を洗った後の食器は、置いていても乾きますが、食後のゆっくりした時間が退屈に感じられたり、落ち着かなくなる方も 少なくありません。しかし、食後はスタッフも、利用者さんお一人おひとりとゆっくりお話することが難しい時間だと思います。 そんな時に食器の拭き上げ作業を利用者さんと一緒に行っていました。数人の利用者さんと一緒に行えて、ゆっくりと お話しもできると思います。人は一緒に何かをすると、仲良くなれるようで、普段あまりお話しない利用者さん同士でも、 一緒に作業をすることで、話すきっかけになったり、共通点ができたりと、良い関係を築くことができると思います。 食器の拭き上げ作業は、簡単でいろんな方にお願いすることができるんじゃないかなと思います。そして、お一人おひとりの 指の力や、細かい作業が得意かどうか、目が見にくくなっていないかも見えてきます。拭き方でなんとなく性格が見えたりもするので 色んな視点で一緒に行うと面白い作業だと思います。

④園芸

ある夏の日、施設の庭に雑草が生えていました。背も高く、量も多かったのですが利用さんが「この草なんとかしたいな」と 仰ってくださり、そこからみんなで草刈りをすることにしました。夏の終わり頃だったのですが、暑い日もあり、1日20分ぐらいで 少しずつ草むしりを行いました。1ヶ月ほどで綺麗になり、みんなで「意外と広かったんやなぁ」と笑っていました。 「さぁ、何を育てようか。せっかく綺麗になったんやから、何か育てたいな」と話しておられました。みんなで、色々考えても なかなか答えが出ず・・・。「じゃあ、何が食べたいですか?」と聞くと「いちご!さつまいも!ぜんざい!」と食べたいものは たくさんあるようで、すぐに意見が集まりました。あずきを育てた方がいらっしゃって、簡単にできるようだったのと、時期的にも ちょうどよかったので、小豆を育てることになりました。利用者さんと水やりをして、収穫をして、殻剥きも行いました。 利用者さんは「早く美味しいぜんざいが食べたいな」と同じ目標に向かって、楽しんで作業に参加してくださっていました。 収穫した小豆は、利用者さんと一緒にぜんざいを作って食べました。草むしりから始まり、小豆を育てて、ぜんざいを作るまで 利用者さんと一緒にできた経験はとても楽しかったし、イキイキした毎日を送ることができたと思います。 庭があって、園芸や畑ができる施設もあれば、ベランダにプランターをおくことのできる施設もあると思います。 プランターだと育てられる植物や野菜の種類は、選ぶ必要がありますが、育てることで楽しみや、やりがいができることが 大切だと思います。園芸を始めると、毎日の水やりが日課になります。そして、天気予報を気にして、室内に入れてあげようか考えたり、 元気がなければ、肥料をまくことも考えます。園芸クラブを作るなどして、季節によって植えたいものを調べたり、探したり、 時にはお店に行って、野菜の苗や植物の種を見に行くことで、育てたい野菜や植物を見つけることができたり、育てるイメージも 湧くので楽しいと思います。そして想像することや、色んなものを見ることで良い刺激になると思います。施設の中で、なかなか 季節を感じることは難しいです。しかし、外に出たり、野菜や、植物を育てることで季節を感じることもできるんじゃないかなと思います。自分達で育てた野菜は格別で、野菜が苦手な利用者さんも「美味しい」と召し上がられます。

⑤調理

利用者さんに包丁を持っていただくのは、危ないんじゃないかと思うかもしれませんが、長年、台所に立って 調理をしてきた利用者さんの包丁さばきはお見事です。手続き記憶があるため、身体で覚えた記憶はなかなか忘れることが ないからです。一緒に調理をしていても「あんたの包丁の使い方見てたら怖いわ。包丁、貸して」と綺麗に、手早く切って くださいます。僕の方が、包丁の使い方が危ないなと感じます。 調理を利用者さんと一緒に行うのは、難しいと感じるかもしれません。僕が、今まで利用者さんと調理をしてきて一番簡単なものは、 ホットケーキじゃないかなと思います。トッピングのフルーツをスタッフが切れば、材料を混ぜて焼くだけだからです。ダマに ならないように気をつけたり、ホットプレートを使うので火傷に注意しながら焼くことで、調理をしている実感がわきます。 調理の工程を考えたり、火傷に気を付けて、焼き加減を見たりすることで、脳を働かせることができます。そして、腕を動かし、 ひっくり返す時の失敗しないようにする緊張感やうまくできた時の達成感も良い刺激になるんじゃないかと思います。 うまく焼けた時の利用者さんの嬉しそうな表情は忘れられません。ホットケーキを作ることができれば、たこ焼きを作ることもできます。 その時には、食材を切っていただける時間を作れたら良いなと思います。たこ焼き作りは、着る食材も多くなく、工程も簡単なため、 行いやすいです。食事作りは、利用者さんとワイワイ作ることができるので、普段は食事量の少ない利用さんでも楽しみながら 食事ができて、普段よりも、たくさん召し上がられます。食事作りで気を付ける点は、衛生面です。きちんと消毒と、調理用の手袋の 着用が必要です。調理は、お願いするには難しいこともあるかもしれませんが、お皿に取り分けることからお願いしてみると 良いと思います。お願いしていないから、利用者さんの能力に気づけていないだけで、利用者さんはスタッフよりも、人生経験が長く、 好きなことや、得意なことを活かせる場面は多いんだと思います。 ⑥洗濯物 洗濯物を干したり、畳んだりする作業を利用者さんと行います。入浴後や更衣したの衣類の洗濯物を干していただいたり、 干した洗濯物を畳んでいただく作業です。利用者さんは施設に入所される前にはご自身で行われていた方もおられると思いますので、 多くの方に協力していただける手作業だと思います。洗濯物を干す際には、しっかりと生地を引っ張ってシワにならないように 丁寧に一つひとつ行ってくださいます。数人の利用者さんが行ってくださると「何してるの?」と他の利用ささんも一緒に 参加してくださることが多いです。手作業とはいいながらも、家事になるので「今まで散々してきたから嫌やわ」と断る 方もいらっしゃいます。断られると寂しいし、心が折れそうになることもあると思います。そんな時は、快く引き受けて くださる方を見つけて、1人2人と少しずつ手作業をしてくださる方を増やして、輪を広げていくことが大切だと思います。 晴れた日には、外やベランダで洗濯物を干すのも良いと思います。陽の光を浴びることで、体内時計をリセットできたり、 免疫機能を高めたり、ストレスの軽減や精神を安定させる効果などがあります。他にも日光を浴びると色々な良い効果があります。 日光を浴びる時間がとれるようにする取り組みとしても、洗濯物干しを行ってみることをお勧めします。 手作業は、身体を動かすことだけが目的ではありません。利用者さんが、施設に入るまでにやってこられた日常生活を、少しでも 続けていけるように、支えていけたら良いなと思っています。それは、家事でも、趣味でも、仕事だったことでも、その方の 得意や、好きを活かして、その手作業で、利用者さんが「誰かのためになっている。今日も自分は誰かの役に立った」と思えることで、 社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求が満たされるんじゃないかなと思います。 利用者さんにお願いするよりも、スタッフがする方が早くできたり、丁寧にできることもあると思います。(僕よりも丁寧に作業を される利用者さんはたくさんおられますが)それでも、利用者さんに行ってもらう理由は、利用者さんに「ありがとう」と言って もらえる日常よりも「ありがとうございます」と伝えられることの多い日常をつくっていけるように、関わっていきたいからです。 利用者さんが、普通に生活するために介護士は存在するんだと思います。利用者さんの中には認知症の方、身体に麻痺があったり、 動かしにくかったり、車椅子を使用しておられたりもします。今回のおすすめ手作業は、利用者さんの能力を知らないと ヒヤヒヤすると思います。しかし、普通の生活を送っていただくためには、普段から利用者さんの身体能力を見極める目も必要です。 スタッフが利用者さんの行動をどこまで見守れるか、どこで介助するのかの視点も大切だと思います。お一人おひとりの身体能力や、 得意や好きを発見できると、どんなことをお願いしようかワクワクできる毎日を過ごすことができると思います。

(2024年3月27日)


第32回【介護職員が入浴介助で気を付けること6選】

今回は私が気にかけている「入浴介助のポイント」を6つ紹介したいと思います。

1.体調の確認を行う。

入浴前には、本人への体調の確認をし、顔色が悪くないか、普段と表情に変化はないかを確認し、 必ずバイタル測定を行います。体温、血圧、脈拍など、必要であれば血中酸素濃度を測ります。 今まで、大事に至ったことはありませんが、朝から熱がある。少し血圧が高い。などの理由で、入浴を中止したり、 シャワー浴に変更することがありました。体調の変化は、目にみえるものだけではないので、入浴前に バイタル測定を必ず行うことが大切です。 普段の血圧と比べて、高い時や低い時、熱がある時などは、看護師にまずは相談するようにしています。 看護師が常にいない施設もありますので、自分だけで判断せず、判断できないときは、無理せずに入浴を 中止することも考えます。普段からの血圧が平熱が高い方や、低い方もいらっしゃると思います。 その方達は、どのくらいなら入浴してもいいのかを看護師や医師と相談して、決めておくといいかもしれません。

2.衣類を準備する。

私は、できるだけご自身で着たい服を着て欲しいと思っています。ある日、お風呂に行く時に、利用者さんと 一緒に服を選んで、どの組み合わせにするかなど話していました。すると、普段あまり着ておられない 服を選んでおられました。入浴後に、職員さんから「あら、珍しい服。前はよく着てましたね。素敵ですね」 と声をかけられて恥ずかしそうに、嬉しそうにされていました。その後、その服はお気に入りのローテーションの 仲間入りをしていました。利用者さんと一緒に着たい服を選ぶことができて、よかったなと思う経験がありました。 お風呂の準備をする時など、利用者さんと一緒に衣類を選ぶようにしています。理由の1つは『今からお風呂に行く』 と認識していただくためです。心の準備ができていないのに、急にお風呂に連れて行かれると、 誰でも、拒否したくなると思います。そして、お風呂に入るのはいいけれど、着替えの準備があるかも分からないと、 お風呂から出た後はどうするのかと不安になり、服を脱ぐことはできないと思います。「お風呂に入らない。入りたくない」 と言う気持ちになってしまう原因の一つなんじゃないかなと思います。一緒に着替えを準備することで、心の準備もできて、 着たい服も用意することで、安心して浴室に向かうことができると思います。もう1つの理由はご自身の好きな衣類、 今の気分にあった衣類、できれば気分が上がる衣類をご自身で選んでいただけるからです。衣類には、その方の趣味や 嗜好や性格が出るのでどんな服を着ておられるかで、なんとなくその方の人柄が見える気がするからです。ご自身で 選ぶのが難しい方でも、服の組み合わせや、どんな服をよく着ておられたかなど、ご家族に聞いたり、できるだけ 同じ服ばかりの着回しにならないように気をつけることが大切だと思います。

3.プライバシーへの配慮

入浴を断られることが多い利用者さんがいらっしゃいました。浴室までは入ってくださるのですが、 衣類を脱ぐことに抵抗があったようで、何度も断っておられました。そんな時にいつもより、多めのタオルを 持っていき、手すりにかけて「タオルで見えないようにするので」と伝え、目を合わさないようにしてました。 すると、少しづつ脱いでくださいました。浴室に入るまでには肩からタオルをかけて、腰にバスタオルを巻いて おられましたが、髪の毛も身体も洗っておられました。その日は湯船に浸かられることはありませんでしたが、 徐々に拒否はなくなり、最終的には湯船に浸かってくださるようになりました。 入浴介助では、利用者さんは、職員に裸を見られてしまいます。きっと、見られたくない・恥ずかしい。 いろんな思いがあると思います。同性介助ができればいいとは思いますが、難しい施設は多いと思います。 できるだけ、恥ずかしいと思わせないように、ご自身で着脱ができる方の時は、衣類を脱がれる前に 手すりにタオルをかけて、脱いだ後にタオルで身体を隠すことができるように準備しています。そして転倒されないか、 急に立ち上がられないかを見守りしながら衣類を畳んだりして、着脱している様子を凝視しないように配慮するように 気をつけています。

4.転倒に注意する

普段は見守りにて歩行されている方がいらっしゃいました。入浴の時は、脱衣場から浴室に入る時に「怖いわ。 転けへんかな」とスタッフの手を握り、ゆっくりと入る方がいらっしゃいました。怖いと慎重になり、 手にも力が入ってしまうんだなと思いました。声かけをして、手すりを持っていただきながら、 反対の手を支えると、ご自身のペースで浴室に移動しておられました。 浴室は濡れるので浴室内を移動する時には、普段以上に注意が必要です。利用者さんも滑らないか不安で、 緊張しておられるため、普段より身体がかたいこともあります。歩行に手引き介助が必要な方は皮膚に 直接触れてするため、持つ位置や、指で腕などを握ってしまわないように、手のひらで触れるように 意識することを心がけています。 更衣の時にも、立ったまま着脱しようとする方もいらっしゃいますが、椅子を用意して、手すりに掴まれる 安全な場所で着脱介助を行うように心がけています。

5.洗髪と洗身をする

入浴の時に、寒がりな利用者さんがおられました。かけ湯のシャワーも常温くらいの温度でないと「あつい!」と おっしゃる方でした。洗髪の時などにシャワーをとめると「寒い!」とおっしゃっていました。シャワーの温度も ぬるいからだと思います。その後も湯船の温度が40℃程度あったので湯船に浸かるのも熱かったんだと思います。 僕は、できるだけその方が「寒い。熱い」と不快に感じず入浴できるように、常温のシャワーから、徐々に 温度を上げていき、かけ湯2時間をかけました。その後もタオルを背中にかけて、シャワーを肩からかけながら、 頭と身体を洗いました。うまくいかなかったこともありますが、お風呂から出るまで「熱い、寒い」と おっしゃらなかったこともありました。不快な思いをせずに入浴していただけるように配慮するのは 難しいですが、何が嫌なのかがはっきりしていれば対応できると思います。 利用者さんの身体を洗う前に、かけ湯をする時は、心臓から遠い足先や、手でシャワーの温度を確認していただきます。 体が冷えていると、職員はぬるく感じていても、利用者さんは熱く感じることがあるからです。確認していただいた後も、 急な温度変化によって、心臓に負担をかけないために徐々に身体の外側の心臓に遠いところから、お湯をかけていきます。 介護を始めた時は、耳にシャワーが入らないようにするのに苦労しました。手で押さえても入っているような気がして、 手の位置もなかなか定まりませんでした。髪の毛を切りに行った時に、意外と手を添えてるだけだな。流してシャワーが 当たらないようになってから、手を離しているんだなと直接聞くことができずに、考えながら髪の毛を洗って もらっていたのを覚えています。 他人の髪の毛を洗うのは難しく、初めは苦戦しました。力加減が難しく「もうちょっと力入れて」と言われたことも ありました。腹の指を浸かって洗っていましたが、力を入れて利用者さんに触れることなんてなかったので、 怪我させてしまわないか、初めは不安でした。しかし、自分で髪の毛を洗う時に、どのくらいの強さで洗っているのか、 散髪に行ったときに、どのくらいの強さが気持ちいいのかを考えていました。そして、自分で髪の毛を洗う時と同じくらいの 強さで洗わないと、気持ち悪いことに気づきました。そこからは、少し力を入れても怖くないようになり、利用者さんからも 「もうちょっと力入れて」と言われなくなりました。 人の髪の毛を洗う難しさはありますが、自分が洗われたら気持ちいいのか、どうされたら不快に思うのかを考えて 洗髪しています。爪は短く切って、爪を立てずに指の腹で洗うと利用者さんを傷つけることはないと思います。

6.皮膚状態の確認

利用者さんの身体を見るタイミングは、なかなかありません。入浴の時には、全身を確認するようにしています。 お風呂が嫌いで、家でもあまり入っていなかったという方が、入所されました。入所後は、お風呂に入って くださったのですが、身体を見せていただくと、かき傷や発疹があり、すぐに看護師さんに薬を塗るなどの 処置をしてもらったことがありました。その後は、入浴回数も増えて、体も綺麗になったのですが、 更衣する時や、トイレの時などでもなかなか見せていただけないところがあると思います。 お風呂の時は、自然と裸になるので、その時に身体の変化や、傷やアザなどがないか、確認できる タイミングだと思います。 最後に、室温は季節や利用者さんの体感温度によって少し変えますが、入浴や更衣の時などの時は、 だいたい24℃前後が適温だと言われています。服を脱ぐため、利用者さんが、寒いと感じない温度に 設定することを心がけています。 脱衣室だけでなく、浴室の室温調整も必要です。お風呂に暖房設備がない場合は、入浴前に熱いシャワーを 出し、浴室だけでなく、床や椅子を温めると快適に入浴することができると思います。 入浴前に寒いと感じず、入浴後は、気温差でヒートショックを起こさないように気を付けることが大切だと 思います。

(2024年3月12日)


第31回【介護職員が排泄介助で気を付けること6選】

1.自尊心を傷つけない。

トイレの声かけを断り続ける利用者さんがおられました。時間を置いて、何度かに1回の声かけで
トイレに入ってくださるのですが、声かけをしても「今は行きたくない。さっき行ったとこ。
トイレぐらい自分で行ける」とおっしゃられていました。行くタイミングは人それぞれなので、
無理強いすることはなかったのですが、間に合わず、衣類が汚れてしまう事も少なくありませんでした。
そのため、尿路感染等の清潔保持の観点でどういうタイミングで声をかけたらトイレに応じていただけるだろうと、
職員で話し合いをした結果、『立ち上がられた際に声をかける。トイレの前を通られた際に声をかける。
体操の前後で声をかける』というのを今まで以上に気をつけようということになりました。
すると、お断りされる事もありましたが、トイレに入ってくださる回数は増え、ほとんど断られることが
なくなりました。その中でも、フロアから離れたトイレの前を通られた際に、小さな声でジェスチャーを交えて
お声かけすると、トイレに入ってくださることが多かったのです。やはり、周りがいるところで声をかけられるのは
恥ずかしいものです。今までは、お断りされることが多かった利用者さんでしたが、今は声変えすると「行っとこか」と
おっしゃられ、汚染があった際には「汚れてたんやな。ありがとう」とおっしゃってくださるようになりました。
トイレにお誘いする際に大きな声で「トイレに行きましょうか」など他の方に聞こえるような大きな声で、
声かけしてしまうことはありませんか?「そういえば行きたいな。行っておこうかな」と思っていても、
周りの目があると恥ずかしい気持ちになり「今は行きたくない」となることがあると思います。
声をかける時は、小さな声でご本人にコソっと伝えたり、周りに他の利用者さんや職員がいないところで
声をかけるだけで、笑顔でトイレに向かってくださる方は、多いと思います。トイレ介助中も同じように、
トイレの中で大きな声で話すのは控えることが大切です。他にも、立ち上がられたタイミングで声をかけたり、
体操や、レクリエーションの前後に声をかけて、ついでに行っておこうかと思っていただけるように、
配慮する事で相手の気持ちを傷付けずに、声をかけることができると思います。パッド内汚染、衣類汚染された時には、
失敗してしまった、恥ずかしい、申し訳ない、情けないという気持ちになります。そのため、利用者さんの
気持ちに寄り添い、「大丈夫ですよ。すぐ終わりますからね。」などの声かけを行い、いつもより話すスピードを
ゆっくりすることで、安心できる声かけになります。あとは、できるだけ早く丁寧に介助する事で、
恥ずかしい時間が少なくなります。

2.プライバシーに配慮する。

トイレの際、見守りをしていないと立ち上がられて、ご自身でトイレから出てこられる利用者さんがいらっしゃいました。
動きも機敏で、転倒される可能性もあったので、トイレ内での見守りを行っていました。
しかし、トイレに座られる時間が短く、排尿はされても排便がなかなか出ませんでした。出ない日は下剤を
服用されていました。トイレに座れていないんじゃないかと思い「お腹に力を入れてゆっくり座ってくださいね」と
声かけをして、トイレから出て見守っていると、排便がありました。その後も毎日ではないですが、排便が出る回数は
増え、下剤の量も減りました。やはり、トイレに座る時間は1人でないと、落ち着いて排泄できないんだなと思いました。
その経験から、トイレの際に、介助が必要な方であっても、トイレに座っていただいた後は、その場を離れて、
お1人でしていただくことが大切だと思います。トイレの外から見守りをして、終わったら声をかけていただいたり、
コールを押していただくなどの対応をします。何かあれば、すぐに反応して、対応できる準備をしていればいいと思います。
その際も扉を閉めましょう。やはり、排泄中というのは人に見られたくない空間です。リラックスして、排泄できるように
するためにもその場を離れることが大切です。多床室でのおむつ交換の時もしっかりとカーテンを閉めて、声をかけるときには
静かに声をかけるといいと思います。ベッド上での交換時は、衣類を捲し上げすぎないように気をつけたり、
お腹の上にバスタオルをかけるなどすると、少しは恥ずかしい気持ちが和らぐのではないかと思います。

3.介助をしすぎない。

排泄時の着脱は、できるだけ利用者さんに行ってもらうようにしています。入居当初は、立っていられる時間も
短くて、着脱にも時間がかかっており、介助する事が必要な方がいらっしゃいました。できるだけ、介助を
しないように関わっていると、徐々にご自身で行われるようになり、ついには介助が必要なくなるまでになりました。
それでも、見守りが必要なため、心配する職員もいましたが、嬉しい悩みになりました。
衣類の着脱や立ち上がりの介助などご自身で、できるところは、ご自身に行っていただくことで、
申し訳ない気持ちにさせてしまうこともないですし、身体機能の維持や向上にもつながります。
介助しすぎてしまうと、できることが、どんどんできなくなってしまいます。
介護者が行えば早い事かもしれませんが、利用者さんの能力を奪う存在になってはいけません。
利用者さんにしていただけること、難しいことを見極めて、できることはお任せすることが大切だと思います。
そして、利用者さんの中には「申し訳ない。できることは自分でしたい。子供じゃないんだから触らないで」と
色々な思いの方がいらっしゃるので、相手の気持ちに寄り添うことも忘れてはいけません。

4.排泄間隔を把握する。

新しく入居された方は、排尿間隔がわからないので、記録をつけます。その方は、衣類が汚染されることの多い方でした。
だからと言って、トイレにお連れする時間が早いとトイレにも排泄がありませんでした。、記録をつけていると、
必ず食後には排泄があることがわかり、そこからは、毎食後、それ以外は2時間空くまでに必ずトイレにお連れするように
決めました。すると、衣類汚染は減り、パッド内汚染のないこともありました、パッド汚染のない時は、とても嬉しく
感じました。食後にトイレにお連れしようと思ったのは、副交感神経が働き、リラックスしている状態で、排尿が出やすく
なっているということと、食べ物を消化しようと胃や大腸が動くため排便が出やすいからというこがあったからです。
高齢になると1日のトイレの回数はだいたい8〜10回で、2時間に1回程度と言われています。
それまでに、トイレに誘導することができれば、自尊心が傷つくこともないですし、汚染して気持ち悪い思いを
されずに済みます。人によって排尿間隔は違いますが、記録をつけて、把握することで、トイレで気持ちよく
排泄ができるようになります。
排尿間隔を把握することで、介助者の介助量の軽減にもつながります。介助量が減ると、利用者さんとの関わる時間も
増えると思います。

5.できるだけおむつを使用しない

僕は学生時代、おむつ体験をする授業で、おむつをつけて授業を受けたことがありました。
他の事に集中できず、つけたあと廊下に出ると、他の学生とすれ違うのも恥ずかしかったのを
覚えています。その後、教室で映画を見たはずですが、集中できず内容は全く覚えていません。
どんなに集中しても、簡単に出せるものではなく、排便はおむつをつけている状態ではトイレに
座っていたとしてもできなかったと思います。結果、排尿はなんとか出しました。しかし、周りに人が
いる状態、トイレではない環境ではあの時だけだったからできたんじゃないかと思います。
出した後も、服が漏れている感覚もあり、その場から離れたいと思ったことは未だに忘れることはできません。
みなさんは、おむつの中で排泄したことのある人ならわかると思いますが、おむつの中での排泄は
とても難しいです。ベッドに寝ていたり、椅子に座っていたり、他人が生活している空間で、排泄することを想像して
いただけたらわかると思います。排泄するには、誰にも見られないという安心感がある空間でなければ、リラックスして
排泄することは難しいです。身体の仕組み上も排泄するには前傾姿勢になり、お腹に力を入れやすい姿勢があり、
腸と肛門の位置も関係しているからです。排泄のしやすさだけでなく、おむつをつけることへの抵抗感、屈辱感があると
思います。おむつをつけたくてつけている人はいないと思います。職員の都合で安易におむつを使用してはいけません。
おむつを使用せずに、2人介助でトイレ誘導を行ったり、ポータブルトイレを使用することも検討できます。
日中と夜間帯でも対応は変わってくると思いますが、利用者さんの生活リズムに合わせて、できるだけトイレでの
気持ちい排泄ができるように考えていくことが大切です。

6.排泄物の確認をする。

利用者さんの体調の把握は難しいですが、排泄物の確認を行うことでわかることはたくさんあります。以前、排便に
血液が付着している利用者さんがいました。すぐに主治医に相談し、受診することができました。特に問題はないとの
ことで帰ってこられました。この時は、大きな病気ではなかったのですが、気づいていないと受診する事も
できていなかったですし、利用者さんの異変に気づく事もできていなかったかもしれません。普段から排泄物の
観察を行っていてよかったなと思いました。
排泄物の色、匂い、形状、量は、利用者さんの体調を把握する上で大切なことです。
排尿の場合、水分摂取量が少ないと濃い色の排尿が出たり、糖尿病の方は少し甘い匂いの排尿が出ます。
血尿がでているときは、病院受診を早めにするなど、見ていないと気づけないことがあります。
排便でも下痢していないか、硬い便が出ていないか、消化されていない便は出ていないか、便に血液は混じっていないか
しっかりと量は出ているのか、など体調を把握するためにも観察することが必要です。
高齢になると、痛みに鈍感になり、利用者さんが伝えることが難しく気づくことが遅くなってしまうため、
排泄物からの情報は大切です。

(2024年2月13日)


新しいライター 【介護士 まぁ】による 連載がスタートします!

 

新しいライター
【介護士 まぁ】による
連載がスタートします!

 

***介護士 まぁ の自己紹介***

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。
介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。
介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。
身長150cm台の小柄な介護士として
Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。
「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

 

「介護福祉士資格取得に向けて相談したい!」
「海外で介護士として活躍することはできる?」
など、何かぜひ取り上げてほしい題材がありましたら、
お気軽にLINEよりコメント送ってくださいね!

(2024年1月31日)


大手法人が運営する老健で機能訓練指導員のお仕事

施設名:非公開

住 所:横浜市神奈川区菅田町

最寄駅:ブルーライン 「片倉町」 よりバスで15分

    無料駐車場があるため車でらくらく通勤できます

■業務内容
大手社会福祉法人が経営する老人保健施設での機能訓練指導員のお仕事です

(募集背景)
さらに充実したリハビリ環境をご利用者さまに提供するための増員です

(仕事内容)

身体が不自由なご入居者様に対して、機能訓練や生活リハビリ等を行い、

ご利用者様の今後の生活が充実するよう、出来ることを引き出していく仕事です。

ご利用者さまの「できるようになった」「ありがとう」を直接感じることができる

お仕事を私たちと一緒にやりませんか?

■出勤日数

①8:30~17:30
②9:00~18:00
③8:00~17:00
休憩60分
週休2日(日曜、その他1日)
シフト制勤務

■給与

正社員 月収 227,600円~265,200円

(別途支給)
交通費支給

昇給あり(年1回)
賞与あり(年2回)
※2年目以降支給対象

☆その他横浜市内、川崎市内でも求人案件多数ございます☆

(2023年12月22日)


デイサービスで働いてみませんか?

施設名:デイサービスゆうゆ

住 所:神奈川県横浜市鶴見区市場下町5-20

最寄駅:京急本線 「鶴見市場」 下車徒歩5分

    JR京浜東北線 「鶴見」 下車徒歩15分

■業務内容
株式会社ホーラが運営する、鶴見区にあるデイサービス「ゆうゆ」で介護職員を募集しております。

(募集背景)
今回の募集により余裕を作り、よりよい環境にするための募集です

(仕事内容)

・デイサービスご利用者さまの送迎
 乗降時の移乗なども含む
・リハビリの補助
・入浴介助など身体的なサポート

ご利用者様とのコミュニケーションを大切に考えております。
OJTを通じて対応の仕方は丁寧にお伝えします
「今日は楽しかったよ」や「ありがとう」と言ってもらえる
スタッフになりませんか?

■求める人物像
ハイエースなどロングバンを運転できる方
介護経験はなくても、体力に自信がある方
資格が無くても大丈夫
経験が無くても大丈夫
これから一緒に習得していきましょう!

■出勤日数

4週8休(シフト制)

年末年始(12/30,31、1/1、2、3)

勤務時間:8:30~17:30(休憩60分)
残業は月10~20時間程度

■給与

正社員 月給 240,000円~(残業30時間分を含む)

(内訳)基本給 180,000円 処遇改善 15,000円 時間外手当 45,000円

アルバイト・パート 時給 1,200円~ ※資格により加算あり

(別途支給)
交通費支給

昇給あり(年1回)
賞与あり(年2回)
※2年目以降支給対象

ご応募はこちら↓↓↓
https://lin.ee/BWjqqAo

(2023年10月13日)


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