療育支援
『横浜介護求人センター』

第30回【リーダーになって学んだこと・気を付けていること7選】

リーダーの仕事って大変ですよね。何が正解なのか分からないし、上司と部下に挟まれたり何かと文句を言われたり…。年上の方には意を決して注意することもあれば部下や実習生の育成や対応をすることもあって普段の仕事だけでなくあれこれ考えながら仕事をするので本当に大変です。

何かあれば「リーダー」と呼ばれ、冷静かつ的確に判断しなくてはなりません。常に一緒に仕事をしている人の動きを見ながら・何か依頼や注意する時の言葉選び・やらなくてはいけない事を考えながらの仕事…。辛いことも大変な事もありましたがやりがいややって良かった思える事もありました。

リーダーを担う中で初めは不安でしかなかった事も年月とともに徐々に自信を持ち比較的冷静に物事を考えられるようになってきたと思います。その中で“もがいて悩んで学んだこと”をまとめました!これが最後の投稿となります。共感してくださる方や悩んでいる方に届いたら幸いです。

【1. 気分のムラは出さない。常に笑顔を絶やさない】

リーダーの機嫌が悪いと職場の雰囲気も悪くなりますよね。機嫌が悪いと“あぁ今は話さない方がいいよな。”“今日は怒っているからこの件報告したくないよなぁ”“早く帰りたい”と思ってしまいます。喜怒哀楽が激しい方や波が激しい方の場合は“今の様子”を観察しながら仕事を行うようになります。

悪い雰囲気は利用者様にも伝わります。特に認知症の方には大影響を与えてしまい、不穏のオンパレードになることもあります。認知症の方って雰囲気を敏感に感じるなぁと感じています。職員の雰囲気が利用者様に伝わって悪い方向に言ってしまうのは嫌ですよね。

逆に楽しそうに仕事をしていると周りの職員も自然と楽しく仕事をするようになり、利用者様も笑顔になります。楽しく仕事をする事で相談や報告もスムーズになりますし、職場内の意見交換も積極的になります。楽しい雰囲気や悪い雰囲気は伝染していくので、率先して楽しく仕事をするように意識しています。

とはいえ時には愚痴りたくなることや泣きたくなることもあります。そんな時は仕事終わりに心許せる職員に愚痴を聞いてもらったり話を聞いてもらったりしています。その感情まで抑え込んでしまっては精神的に良くないのでなんでも話が出来る仲間を見つける事も大切です!!

【2. 自信の無さは隠す】

リーダーになりたての頃って仕事に対しても不安がある上にリーダーの責務までと思うとプレッシャーで押しつぶされそうになりますよね。私の場合、初めて就職した施設が特殊で2年目からリーダーの職を担いましたが本当に不安しかなく、先輩方の目が気になりすぎてしんどかったです。

何か決定するとなるとすべてにおいて相談が来てどうするか意見を求められます。介護の知識も経験も1年しかない状態での判断って出来ないです。これでいいのかって不安ですし、他の先輩職員に相談しながら行っていました。

その不安な気持ちが行動にも出てしまい周りの目からは“オドオドしている”ように映ってしまっていました。リーダーになりたいと思っていた先輩からは自分を越して先にリーダーを担っている事でも気に入らないのにさらに自信なさげに仕事をされたら尚イライラさせてしまいますよね。

「リーダーなのにそんなことも分からないの?」と言われたことが悔しくて怖くて情けなくて、リーダー1年目はどれだけ泣いたか分かりません。先輩と同じ勤務になることが本当に辛かった…。相談すらできませんでしたし、率先して仕事をするぐらいしかできませんでした。

これと関係あるか分かりませんが、2年目になる直前に車にスプレーで落書きされたこともありますし、自宅で不審な事が沢山起こり警察沙汰になった事もあります。仕事中は皆普段通り接してくるので、誰がこんなことをするのか恐怖でしかありませんでした。もう人間不信ですよね。

さらにリーダー1年目に疥癬の集団感染がありました。従来型特養だったこともあり利用者様も職員もほぼ全員疥癬に感染してしまいました。もう1人のリーダーもリーダー1年目で毎日どうしていくか話し合いを行い、病院受診と居室移動・バルサン・入浴調整など決めていました。

職員の体調不良もカバーしなければならず、“リーダーだから頑張らないと”と2人で残業を負担しあっていました。今思えばもっと他の職員にも頼ればよかったのですが、この時は2人とも自分の事や疥癬の事で必死過ぎて“自分たちが頑張ればいい”と思っていました。

夜勤が回らない時は遅番から深夜2時まで残業してもう1人が深夜2時から早番業務までをこなすなんて事もしていました。若いから出来ていましたが、今はもう出来ないと思います。自分自身に鞭を打って仕事をしていましたが、それが功を奏したのか周りの目も変わってきたように感じました。

自分がそう感じただけかもしれませんが、必死に仕事をしていくうちに徐々に自信が付いてきたのだと思います。自信が出てくると周りの対応も少しずつ変わってきます。分からない事は恥を捨てて聞く・調べる・勉強するようにする事や経験を重ねるごとに“これでいいんだ”という自信に繋がるようになりました。

不安そうなリーダーについて行くのって“大丈夫かなぁ”と部下も不安になりますよね。逆に“付いてこい!”ぐらいどんと構えているリーダーだと安心感がありませんか?このことから自信が無い事は隠すようにした方がいい事や不安をのける程の経験を積むしかないと思いました。

リーダーなりたての頃なんて不安があって当たり前!!初めからなんでもかんでも上手く出来る人なんていません。失敗を重ね、成功体験を積んでいく事で自信が付いてくるもの!周りに頼りながら自分の苦手な事を克服できるようになります。失敗してもめげずに成功への近道ととらえていきましょう!!

【3. 誰と話をする時も敬語を使う】

介護現場ってため口で話している光景をよく見かけますよね。年上でも先輩でも施設長にでもため口なので本当に驚きますよね。友達じゃないし、プライベートの時間でもないので介護業界だから通用するのかなぁと思ってはいますが、はたから見るとおかしいですよね。

私はため口には違和感しか覚えず、相手に敬意を示す意味でも仕事中は同期でも年下でも部下でも実習生でも敬語を使うように意識していました。最初に就職した法人では同期も同じ考えの人が多かったので、職場では敬語・遊ぶ時はため口と使い分けていました。

結構驚かれることもありまたが、敬語を使う事によって“今は仕事中”という感覚がありました。ある程度敬語を使って距離を作ることで近づきすぎないようにも出来ていたかなぁと思っています。ため口だとどうしても友達のような感覚になりますし、いろんなことがフランクになりがちです。

嫌な事があった場合ギスギスしがちですし、逆に注意をしたい時に仲が良すぎて注意しても響かないと悩んでいる人も居ました。ある程度近すぎず且つ離れすぎない程度の距離を保つためにも敬語は使った方がいいかなぁと感じています。距離感って大事!!

【4. どんどんチャレンジする・仕事を任せる】

何か物事を決める時って結構トップダウンになりがちですよね。私も上から指示することがリーダーとしての役目だと思ってしまっていた時がありました。しかし、トップダウンでの仕事は不満を抱かせてやる気をそぐだけだなぁと感じるようになりました。

色んな人の気づきを吸い上げてみる・考えられるリスクを話し合う・実際に行ってもらいリーダーはサポートに回るようにして“成功体験”積むことが大切だと学びました。自分で考えてそれをやってみる事って不安もありますが楽しいですよね。

成功体験を積むことによってどんどん新たな考えが浮かんできますし、失敗を元に次は同じ失敗をしないように対策を練ることが出来ますし、1人1人の経験値が上がっていくと感じていました。私自身もいろんなことを任せていただき、相談したらアドバイスを貰える環境で大分自分の引き出しが多くなったと感じています。

上から「あれやっておいて。」「これはダメ。」「こうして。」「そんなのやらない。」等マイナスな事を言わない・出来ないと決めつけないように意識し、成功できるように背中を押す事や悩んでいる時に声をかけるように意識しています。結構口を出してしまいそうになるので難しいですが…。私自身も経験を積んでいます!

【5. もらった悩みは早期解決する】

介護の仕事って悩みが尽きないですよね。相談を受けたときにすぐに動くか動かないかで信頼度が大きく変わってくると思っています。悩みだけ聞いて行動しない場合、話しても無駄と思われ以降悩み相談はされなくなります。そうなると職員間に溝が出来るだけで改善していく事は難しいかと感じています。

早期解決できることと出来ない事はありますが、早期解決できそうな事はなるべく早めに解決策を考えます。解決に時間がかかりそうな時でもケアマネージャーや相談員・看護師・施設長等他職種にも相談し、進捗状況を伝えるようにしています。

進捗が遅かったとしても何もしないよりは悩みの解決に向けて動いてくれていると思ってもらえるので悩みを抱え込まずに相談してくれるようになってきます。意見をあまり言えない職員や私はパートだからと思っている職員さんには「何か困っている事ありませんか?」と声をかけるようにしています。

あまり相談して来ない人に聞いてみると結構“なるほどな”と思う悩みや考えを教えてくださることがあるので“言ってこないから何も思っていない”と思わずに聞いてみて欲しいと思います。悩みを聞いた上でなるべく早く動線や業務についてであれば100円ショップの物を駆使して解決しています。

頭をフル回転させ、100円ショップ内でも何か役に立つものは無いかという思いで探し回ります。これを繰り返していた為今でも“あれが役立ちそうだなぁ”と考える癖が付きました。結構で100円ショップで解決することが多いので100円ショップには感謝です!!

【6. 注意はほどほど、難しいなら見える化】

注意って相手のプライドを傷つけないように且つしっかりと意図が伝わらないといけないので伝え方がとても難しいですよね。特に自分よりも経験がある方を注意しなければならない場合にはとても気を使います。気難しい方・年下から言われることが嫌いな方等いらっしゃるのでその時は本当に悩みます。

相手のプライドを守るという意味で、注意する時は他の職員がいない時や誰もいない利用者様の居室内など他の人に気が付かれないように意識しています。また、注意と聞くときつそうなイメージがあるかもしれませんが、なるべく相手の意見をまず聞くようにしています。

相手がどうしてそう対応したのかを理解した上で何がまずかったのかを説明するようにしています。この説明も誤解を生む可能性がある為言葉選びがとても難しいのですが、なるべく穏やかな雰囲気で且つ責めている訳でないというスタンスで伝えるように意識しています。

2回伝えてもダメなようであれば“見える化”するようにしています。何度も注意するのは嫌ですし、言われる方も「またか。」と気持ちが萎えてしまいますよね。この状態になると溝ができはじめる事がある為そうならないためにもどうしたらいいのかを説明した図や説明書きを作るようにしています。

図や写真を入れ、そこに説明書きを加える事で誰が見ても同じケアが出来るようにします。実施するその場に掲載することが大切で、例えば職員の申し送りノートに載せておくとします。その場では理解できるかもしれませんが、いざ利用者様の居室でケアをする際には思い出せず“まっいっか”と今までのケアを継続する可能性があります。

これではせっかく見える化するために労力を使ったのにそれが無駄になってしまいますよね。それでは勿体ないので作業するその“場所”に貼り出す事が大切になってきます。これだけで結構改善されることがありました。私の説明が下手で理解できなかったとしても図や写真があることによってイメージしやすくなります。

このことを経験してからは説明した後に“見える化”するようにしています。“職員それぞれが違うケアをする=職員それぞれの解釈が異なる”ということなので共通認識を持つためにも有効だと思っています。作るまでがとても大変なのですが、これを行う事で職員間のケアの質が上がると感じています。

特に洗濯に関しては作った方がいいと思っています。乾燥機にかけてはいけない衣類・洗濯ネットに入れて洗濯して欲しい衣類・ソフト洗いにした方が衣類等結構難しいですよね。私も細かいところまでは把握していませんが、乾燥機にかけてしまって縮んでしまってからでは遅いです!

写真を乗せてこれは乾燥OK!叉はNG!と表記し、ポケットの中を確認して欲しいというイラストも載せます。これによってティッシュを入れたままの洗濯や間違った洗濯や乾燥から衣類をダメにしてしまうという事が大分減りました。ご家族様への謝罪も絡んできますので、減ることは大切な事です!!

【7. 常に勉強し情報収集する・過剰なプライドは捨てる】

介護未経験から2年目でリーダーとなった私は、専門学校を出ている同期や後輩よりも知識も技術も劣っていました。ましてや先輩の足元には到底及ばず、知らない事も多い中判断や指示をしなくてはならないので毎日が必死でした。

知ったふりは自信を無くす上に信頼もなくすだけなので恥を捨てて沢山聞いて教えて頂きました。また個人でも介護に関する勉強をするようにして分からない事を減らすようにしていきました。余計なプライドがあると“知らない=恥”と思い聞けなくなることが多いかと思います。

しかし、実際のところは“知らない=恥”と思っているのは間違いでその思い込みは“知ったふり”を意識的・無意識に行っていくようになります。知ったふりって自分では気が付いていないかもしれませんが、周りは“あの人分かってないよね”とすぐに気が付きます!!

知ったふりしていると思われるよりも分からないことは“経験不足”なだけである事もありますので「すいません。〇〇が分からなくて教えて頂けますか?」と聞いてしまった方がいいと思っています。これを聞くと“あの人こんなことも知らないんだよ”と言われる可能性もありますが経験して来なかったので仕方が無いですよね。

これを言われたくないという“プライド”があると“聞けない・知ったふりをする”しかなくなると思っています。私も初めはそう言われるのが嫌だなぁと思っていた事がありましたが、知らない事を知ったふりすること程気が滅入る事は無いと感じているので恥を捨てて聞くようにしています。

知ることで勉強にもなりますし、聞くことによってそのうち“見下す”態度から“分からないことがあったら教えてあげるよ”という態度に変わっていくのを身をもって感じています。まさしく“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”という言葉通りです!

知ったふりを長年しているともう無意識のうちから知ったふりをするようになってしまいます。長年これを続けているとそのうち何も聞けなくなってしまいます。それこそ「長年やってきて知ったふりをしているけど、あんなことも知らないの?」と言われるようになってしまいます。

陰でそう言われていると思うと本当に“一生の恥”ですよね。私はこの恥をかくよりも分からないことは分からないと正直に伝えて“一時の恥”をかくようにしています。一時は恥をかきますが、教えてもらえることで知識として自分の糧になります。

このことから“余計なプライド”は持たない方がいいなと思いました。リーダーという役職が付くと“謝罪する”事が増えてきます。指導する時・注意する時・ご家族様へ・上司へ等いろんな場面で自分が悪くなくても頭を下げる事が出てきます。これもプライドがあると出来ないんですよね。

頭を下げる事で丸く収まる事は多々あります。変にプライドを持って間違っていないと強気でいたり、謝罪しないで逆上したりすると関係性は崩れます。うまく行く事もいかなくなっていきます。なのでケアに対するプライドは持っていいと思いますが、余計なプライドは捨てた方がうまく行くと思っています!!

これらがリーダーになって学んだこととそれを元に気を付けている事です。リーダーという役職になったからこそ気が付けた事なので、大変な役職ですが経験してよかったなぁと思っています。リーダーを行っていない今はリーダーさんを見てこういう言い方いいなぁ・こういう言い方は傷つくなぁなど学んでいます(笑)

リーダーの仕事って本当に大変です。怒りたくなることも泣きたくなることも嫌になって投げ出したくなることもあります!悩みながら泣きながら・迷いながらあっという間にリーダー歴10年になっていました。少しでも悩んでいる・困っているリーダーさんのお役に立てましたら幸いです。

(2024年1月30日)


第29回【他の人と差をつけるクッション言葉5選】

“クッション言葉”ってご存じですか?クッション言葉とはそのまま伝えてしまうときつい印象を与えてしまう可能性や忙しい相手にお願いごとをする時・伝えにくい事を伝える時に使う言葉の事を言います。相手を気遣う気持ちや敬うニュアンスを表しクッションのような役割を担ってくれます。

介護現場って良くも悪くもフランクな所が多いですよね。上司に対してもため口で話している人もいますし、一般企業であれば口に出す事も禁止にされるような言葉が右往左往飛び交っています。他の業界なら絶対にコンプライアンスに引っかかるよなぁと思う事がとても多いです。

私が一番初めに就職した施設では就職して初めの1週間程度、社会人としてのマナーの勉強から始まります。その中でクッション言葉や電話応対の仕方、上座下座などのビジネスマナーや働く上での心持やチームワークについての研修を行っていました。

転職をするようになってから、新卒者の研修は就職1日目にオリエンテーションで2日目からは現場勤務が多いなぁと感じています。マナーや電話対応などは現場で職員から学ぶのが主流ですよね!一番初めに就職した施設のような研修があることはとても珍しい事なのだと思いました。

しかし、この取り組みって今思えばとても大切な研修だったと感じていますし、転職先で「なんでそんなに丁寧なの?」とか「そういう話し方教わってきたの?」と驚かれる事が多いです。習慣となって身に付いたものって無意識に出てくるで、あの時にしっかりと社会人としてのマナーを学べた事は良かったなと思っています。

今回は学んできたクッション言葉の中でも介護施設で比較的使いやすい言葉をお伝えします。初めはちょっと恥ずかしいかもしれませんが、これが使えるだけで印象は大分異なってきます。他の職員と差をつけるべく、一緒に学んでいきましょう!!ご家族様へも使えますので意識して使ってみましょう!!

【1. 依頼する時に使う言葉】

介護の仕事ってチームワークが重要ですよね!同じケアスタッフ同士でもそうですが、他職種との連携も重要!そこで何かを依頼する時に使いたいクッション言葉が「お忙しい中恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」の2種類の言葉です。

どんな時に使えばいいのか例を挙げてみます。まずは「お忙しい中恐れ入りますが」の例です。“お忙しい中恐れ入りますが、〇〇日までによろしくお願いいたします”や“お忙しい中恐れ入りますが、△△様が□□の状態なので様子を見に来ていただけませんでしょうか”等で使います。

自分も忙しいかもしれませんが、相手も忙しいかもしれませんよね。目に見えないと無意識に“今なら大丈夫だろう”と思いがちですが、その無意識ってとても危険だと感じています。自分と同じように“忙しいかもしれない”と思って声をかけるとおのずとクッション言葉が出てくるようになります。

とても忙しい時に「ちょっといいですか?」「〇〇なので来てくれますか?」と依頼されるのと「お忙しい中恐れ入りますが」とクッション言葉を入れてもらうのでは受け取る印象が大分異なりますよね。後述の方が言われた方も少し冷静になりますのでお互い言い方が柔らかくなるなぁと感じています。

また、いつなら行けるのかや行くまでの間どうして欲しいかまで伝えてくれるなぁとも感じています。ですが、相手によっては「何!?早く要件を言ってよ。」と言われる事も実のところあります。残念ながらこの言葉は伝える相手とどれくらい忙しいかによって使っても大丈夫かどうか判断する必要があるかもしれません。

私は習慣になっているので、連絡する際は「お忙しい所申し訳ありません。〇〇ユニットの△△です。今お時間大丈夫ですか?」と聞いています。急用の場合は待てませんが時間がある時であれば「今忙しくて。」と返答があれば「また時間をおいて電話します。」と伝えて電話を切っています。

次に「お手数をおかけいたしますが」の例です。物事を依頼した時の最後に使います。“お手数をおかけいたしますがよろしくお願いいたします”と伝えます。文章でも使用することが可能で、事故やヒヤリハットの報告書の確認やその他の書類に目を通していただきたい時に使っています。

“事故委員会の議事録を作成いたしました。お手数をおかけいたしますがご確認の程よろしくお願いいたします”や“再提出の書類を修正致しました。お手数をおかけいたしますがご確認の程よろしくお願いいたします”等のように使用します。これで怒られたことは無いので是非使ってみてください!!

【2. 尋ねる・質問する時に使う言葉】

この時に使いたいクッション言葉が「お伺いしたい事があるのですが」または「差し支えなければ」です。相手に判断をゆだねるニュアンスがある為一方的に教えを聞くというスタンスではなくなります。質問に対して答えたくない・答えられない事だってあるかもしれませんからね。

どんな時に使うのか例を出してみます。まずは「お伺いしたい事があるのですが」の例です。“お伺いしたい事があるのですが、お時間よろしいでしょうか?”“お伺いしたい事があるのですが、〇〇についてご存じでしょうか?”等のように使います。

分からない事を聞く時ってなんて聞いていいか悩む事ありませんか?現場では「〇〇ってどうやるの?」や「ちょっと△△について教えて欲しいんだけどいい?」とういう言葉が良く飛び交っています。同じチームとしてあまり硬すぎるのも良くないかもしれませんが、相手の立場を理解することが大切です。

とても忙しい時に質問ばかりされたら辛いですよね…。手が離せない時にお構いなしに遠くから大きな声で依頼されると“行かなくちゃ”“これもやりたかったけど後回しにしなくちゃ”と焦る気持ちにもなります。言い方を固くする必要はないかもしれませんが相手を気にする言葉を入れるってとても大切です。

特に上司や他職種の方、ご家族様に対してはしっかりとした言葉遣いをしなければなりません。いくら仲が良いからと言っても“親しき中にも礼儀あり”です!私情を挟まず切り替えしていかなくてはなりません。クッション言葉を使う事によってちょうどいい距離感を保てるなぁとも感じています。

次に「差し支えなければ」という言葉の例です。“差し支えなければ〇〇についてお伺いしてもよろしいでしょうか?”“差し支えなければご自宅を拝見することは出来ますでしょうか?”“差し支えなければご家族様の関係性をお伺いしてもよろしいでしょうか?”等のように使用します。

こちらの言葉はご家族様に対して使う事が多いかもしれません。利用者様の生活歴や家庭環境について聞かなくてはならない時に使っていますが、ご家族様の関係性などについて触れられたくない方も中にはいらっしゃります。この言葉を使用することで「ちょっと言いたくありません。」と断る事がしやすくなります。

無理やり情報を聞き出すことは出来ませんので、断っても大丈夫というニュアンスを質問時に含める事で相手を追い込まずに済みます。ちょっとしたことですが、気遣いの言葉が入るだけで受け取る側のこちらに対する印象が大きく異なってきます。

断られた時の返しについては「そうですよね。言いづらい内容ですしたよね。言いづらい事を聞いてしまって申し訳ありませんでした。ありがとうございます。」と伝えるようにしています。これが正しいのかはわかりませんが、答えにくい質問をしてしまったことに対して謝罪するようにしています。

【3. 断る時に使う言葉】

断りたい時に使いたい言葉が「申し訳ございませんが」または「生憎ですが」「残念ですが」です。こちら側も心苦しい気持ちであることを表現するニュアンスが含まれる言葉です。無下に断ったり嫌で断ったりするわけではなくて、どうしても断らなくてはいけない事情があるという気持ちを伝えます。

ではどんな時に使うのか例を挙げてみます。まずは「申し訳ございませんが」の例です。“申し訳ございませんが、施設の決まりでしてお受けすることが致しかねます。”“申し訳ございませんがその情報をお伝えすることは出来かねます”等のように使います。

ご家族様や利用者様から稀ですが金品や個人的に物をあげたいと言われた事があります。ユニットの職員や施設への差し入れであれば受け取れますが、金銭だとユニットへのであったとしても勝手には受け取ることが出来ません。施設側と話をして頂き“寄付”という形で施設側が受け取るようにしなければなりません。

施設側の規則であることを伝えても「黙っていれば大丈夫よ。」と渡そうとして来られる方がいらっしゃるのですが、見つかった時に大事になりますし、何より黙って受け取ることが出来るたちではないためめげずに断っています。それでもという場合には施設側に相談していただきたいと伝えています。

気持ちとしてはとてもありがたいのですが、こういう事ってトラブルの原因にもなりかねませんのでしっかり上司に報告することが大切です。また、無下に「もらえません。」「いりません。」と断ってしまってはせっかくの気持ちを傷つけてしまう事にもなるので、断り方にも気を付けましょう!!

また、ご家族様から他利用者様の情報を聞かれた時や、家族関係が複雑でこの人には情報を漏らさないで欲しい等の要望がある時があります。その場合には“申し訳ございませんが、個人情報になるのでお伝えすることは出来かねます”と伝えたり“申し訳ございませんが、分かりかねます”と伝えたりするようにしています。

次に「生憎ですが」「残念ですが」を使う例です。“生憎ですがその日は先約が入っておりまして欠席させていただきます。”“残念ですが、この件は私には荷が重すぎて出来かねます。”等のように使います。そしてだいたいの場合は断っても数回同じ声をかけられます。その時は「生憎ですが…」「残念ですが…」と濁しています。

「嫌です!」「無理です!」と断るよりも「生憎ですが…」「残念ですが…」と申し訳なさそうに断ると相手も無理には誘いにくくなります。“申し訳なさそうな表情”をする事を意識してみてください。本当は行きたいけどどうしてもいけないという感じで伝えるといいですよ!

【4. 異議・異論を唱える時の言葉】

異議・異論を唱えたい時って結構勇気がいりますよね。言葉選びを間違えると相手側を怒らせてしまう可能性もあるのでドキドキしてしまいます。こんな時に使いたいクッション言葉が「申し上げにくいのですが」「差し出がましいようですが」です。

相手の意見に理解している事や、自分の立場をわきまえているというニュアンスが含まれています。決して相手の意見を否定したくて言っているわけではないという気持ちが大切です。相手の意見に対して反発が怖くておかしいと思ってもあえて何も言わない人も居ますが、自分の意見をしっかりと表示する事って結構重要です。

また「申し上げにくいのですが」という言葉には言いにくい事を今から言いますというニュアンスも含まれていると思っています。上司が聞きたくないと思われる情報を報告しなくてはならない時にも使います。報告する方も嫌な気持ちで伝えなくてはならないので、お互いにとって言いにくい話である旨が伝わると思います。

ではどうやってこのクッション言葉を使うのか例を挙げてみます。まずは「申し上げにくいのですが」です。“申し上げにくいのですが、このおむつの当て方では鼠径部から漏れてしまうと思います”“申し上げにくいのですが、〇〇職員の利用者様に対する言動には目をつむりたくなります”等です。

後述の方って本当に言い出しにくい問題です。見て見ぬふり出来るのであればそうしてしまう方が楽でいいのかもしれませんが、隠してはいけない問題ですし繊細な問題でもあります。この段階で上司に伝えていかなければもっとエスカレートして虐待に繋がるきっかけを見逃す事にもなります。

上司もこのような話は聞きたくないでしょうが、自分の施設に限ってそんなことはありえないと思い込むこと程危険な事はありません。伝えた時の上司の反応によっては“あぁ、伝えるんじゃなかった”“伝えない方が良かったのかもしれない”と思う事も残念ながら実際の所あります…。

介護従事者には通報の義務があるので黙って隠してしまってはいけないのですが、施設として隠そうとする流れを目にすると“こんな施設で私は働いているのか”とがっかりしてしまいます。テレビで学校のいじめについての報道を目にすることがありますが「事実はありません。」「知りませんでした。」と聞くとガッカリしますよね。

これと同じ事が介護現場でも起きていると感じています。中々表ざたにならないですが、事が大きくなってから焦って弁明するよりも早い段階から耳が痛い情報に向き合って調査することが大切になってくると思っています。報告しやすい環境を整えていけたらいいですね!

初めて報告する時ってとてもドキドキすると思います。私はそんな時「もしかしたら勘違いの可能性もあるのですが、ここ最近〇〇さんの介助の後にいつもできない箇所に内出血が出来ているんです。ただ、見たわけでもないですし、そう感じてしまっているだけなのでなんとも言えませんが念のため報告いたします。」と伝えています。

次に「差し出がましいようですが」を使う例です。“差し出がましい事を申すようですが、この対策には少し疑問を感じています”“差し出がましいお願いで恐縮ですが、この資料を一式頂いてもよろしいでしょうか”等で使用します。“差し出がましい”の後にいろんな言葉が付くので適宜使い分けられると良いですね。

ただ、“差し出がましい”に関してはあまり介護現場では使わないかもしれません。異論を唱えたい場合には“申し上げにくいのですが”の方が使いやすいかもしれませんね。意見を言いたいけれど直接伝えると角が立ちそうだなぁと思う時はクッション言葉に頼ってみるのもいいと思います。

【5. 改善・修正して欲しい時の言葉】

改善や修正して欲しい時に使えるようになるといいクッション言葉は「言葉足らずで失礼いたしました」「説明不足で失礼いたしました」です。間違えの原因を相手に押し付けるのではなく、自分の方にも非があった可能性を伝えるニュアンスがあります。

言葉のやり取りって自分の今までの経験を元に伝えたり解釈したりしますよね。同じ説明を受けてもAさんとBさんで違う解釈をしていたなんて事経験した事ありませんか?学校の国語や英語の授業だと想像しやすいかもしれません。「この文章の意味は?」と聞かれて挙手で意見を聞く際意見が分かれるなんて事ありませんでしたか?

実際に私も作業を依頼した時に自分が思っていたものと違う物が提出された時に「あぁ、こう捉える事も出来る言い方だったな。」と思う事が何度もありました。自分の頭の中ではこういう感じと思っていて伝えたつもりでも、受け取る側の中では違う答えが頭の中でイメージされることがあります。

第三者が聞くとどちらも正解ですが、上司からの意図を理解すると説明不足・言葉足らずだったという事に気づかされます。しかし、改善や修正の依頼をする時ってだいたい依頼した相手に非を押し付けがちですよね。「こういう感じじゃないんだよなぁ。」「こうじゃなくてこうお願いしたんだけど…。」なんて言われませんか?

私も依頼されて対応した時に「あっ。こうお願いしたんじゃないんだよね。」や「えぇ~。これじゃないんだよね。」と言われると“えっ!?分かるようにちゃんと説明してよ!”って思ってしまいます。なので改善・修正してもらいたい時は必ずこのクッション言葉を使うようにしています。

“説明が下手で申し訳ありません。こういう意味があってこう出来ると良いなぁと思っていまして…”“言葉足らずで申し訳ありませんでした。これでは勘違いしてしまいますよね。”と初めに謝罪を入れています。そのあとで時間を割いて対応してくださったことへの感謝と・再度「すいませんがよろしくお願いいたします。」と依頼しています。

介護の仕事って人間関係で良くも悪くもなります!お互い気持ちよく仕事が出来るようにちょっとしたことですがクッション言葉を挟むだけで嫌な思いを回避・軽減できるようになると思っています。またクッション言葉を使うだけでも自分の感情をある程度抑える事も出来ると感じています。

介護技術だけでなくそういう部分でも磨いていき、良好な人間関係を築いていきながらいいケアが出来るようになると良いなぁと思っています。上記のクッション言葉を使用しながら一緒に頑張っていきましょう!!

(2024年1月16日)


第28回【利用者様の凄い力と受けた被害8選】

認知症の利用者様の中には理性が効かず火事場の馬鹿力を繰り出される方がいらっしゃいます。理性が効くならばそこまで被害を被ることはないですが、理性が効かないというのはとても恐ろしいなぁと感じています。お年寄りと言えど成人ですので出す力は計り知れません。今回は私が受けた・目撃した事をまとめました。

【1. 車いすのブレーキを折って投げてきた】

車いすのブレーキって折れるの?って衝撃を受けた出来事でした。自殺願望が強い男性利用者様で比較的若く、体格も良い方でした。とにかく自殺願望が強いというアセスメントを受け取っていましたが、目を離せない程凄く、ベッドのナースコールのコードやカーテンをまとめる紐などすぐに手に取ってしまう方でした。

従来型特養に勤務していた時で多床室対応でしたが、昼夜問わず大きな声を出して叫ぶ上にベッドから降りて廊下を這う毎日。1対1で対応できればまだいいのかもしれませんが、時間に追われながら分刻みのスケジュールをこなしていると対応が難しい状況でした。

なんといっても体格も良く若いこともあり力がとても強く、女性職員では到底太刀打ちできない・男性職員でも1人では対応できない感じでした。ご家族様の要望もありリビングで過ごしていただく際は拘束帯を使用していました。それでも意味がない程だったため、今では考えられないですが柱に縛っている状態でした。

そんなある日「警察を呼べ~。」と大きな声を出しながらブレーキを弄っているなぁと思っていたら何かが目の前を高速で異動していくのが目に入りました。よく確認するとなんとそれはブレーキの棒!!“えっ!どういう事?”と思うと同時に“マズイ”と思い男性利用者様を見ると反対側のブレーキの棒を折ろうとしている仕草が!!

従来型特養ということもありリビングには大勢の利用者様が…。他利用者様へ危害が加わる可能性が高く、とにかく大きな声で事務所職員へ助けを求めました。男性職員が利用者様の手を止め何とか反対側のブレーキを折られることは防ぐことが出来ましたが、正直どう対応していいか分かりませんでした。

施設で対応するレベルの利用者様ではなかったことは言うまでもなく、精神科に入院していただくレベルの利用者様だったと感じています。その後どうなったのか記憶が曖昧ですが、他利用者様への危害が及ぶ可能性が高いとの事で退所になったと思います。衝撃の出来事でした!後にも先にもブレーキを折った方はこの方だけでした。

【2. 送迎中後ろからサンダルで殴られる】

ショートステイ担当をしていた時の事です。行政から緊急ショートの依頼があり送迎に1人でいく事になりました。上司からは行政の人が一緒だから大丈夫だと言われたので鵜呑みにして行ったのですが、この出来事以降緊急ショートの受け入れ時は1人では絶対に送迎に行かないと心に決めました。

独居で一軒家に住まわれていた方。訪問介護等を試したそうですが介護拒否をされるため入浴はもう数年入っておらず、食事もまともに取っていない、家の中はゴミ屋敷状態で保護が必要と判断されたとの事でした。自宅に到着するとすでに行政の方が中に入って話をされていました。

家を出るとなるととても嫌がり家を出るまでに1時間程かかりました。何とかスーパーに買い物に行きましょうという事で納得され施設の車に乗って頂けましたが、この後が恐怖との闘いになるとはこの時点では思ってもいませんでした。

施設の車に乗車してからは行政の方は関わらなくなり、施設までは私1人でお連れすることになります。出始めは良かったのですがスーパーの道から離れたと知った途端から様子が豹変します。「こっちじゃないだろう!だましたな!この野郎!!」と叫び始め、急に頭頂部に痛みが走りました。

何事かと車を急停車するとスリッパを手に取り思い切り私の頭を何度も殴打し始めます。運転中にこのような暴力を受けては危なくて運転できません。ちなみに車いすに座っていてシートベルトも締めている状態での攻撃でした。利用者様情報の入ったファイルも手に取り痛い角でも攻撃してくる始末。

一旦車から外に出て施設へ応援を求めました。職員が出払っていて助けに来られないと言われた時は泣きそうになりました。その場にいつまでも停車して待っている訳にもいかないため、利用者様の手の届く範囲には何も置かないようにし、スリッパもお預かりして再出発することに。

運転中はなるべく前かがみになり後方から手が届かないようにしていました。髪の毛も引っ張られ、途中途中運転を止めながら1時間程度時間をかけて施設までたどり着いたように覚えています。施設に到着すると安堵から涙が流れたのは今でも覚えています。これほど怖かった事はありません。

施設に到着すると他の職員にはニコニコと話されていて豹変ぶりに驚きました。初めは知らない人が多く猫をかぶっている感じでしたが次第に素が出てき始め職員に手を上げ始めケアすることがとても大変でした。衛生上の観点から入浴をして頂く事が最重要課題でしたが中々うまく行きません。

声かける職員を変え・声掛けの文言を変え・時間を変えるなどして諦めず声をかけ続けていきました。それでも1週間ほどは全くお風呂に入ることが出来ず苦戦していました。排泄介助も勿論拒否される為失禁していても着替えすら出来ない状況。多床室では他利用者様に迷惑が掛かってしまうため個室対応していました。

初めて入浴することが出来たときは職員一同感激した事を今でも鮮明に覚えています。こういう変化を感じる事がやりがいに繋がっているのかもしれませんね。1度お風呂に入れるとその後はいろんな面で改善するスピードが速まります。暴力が嘘のように穏やかになられたのがとても印象深かったです。

【3. 顔をグーで殴られる】

これは元格闘家の認知症男性利用者様の話です。認知症があり、感情のコントロールが難しい利用者様でした。物事の良し悪しも忘れてしまい、他利用者様の部屋に入ってしまう事や他利用者様の部屋やユニット内・廊下などで放尿・放便をされてしまう方でした。

元格闘家という事もあり足腰が丈夫であちこち行って粗相をしてしまう毎日。その対応に職員も疲労困憊していました。利用者様からもその利用者様が来ると「こっちに来ないで。入らないで。」と怒ってしまい、居室に鍵をかけて欲しいとの要望が聞かれました。

施設内でも対応について話し合いを重ね、利用者様の要望に合わせ男性利用者様が来るときには部屋に鍵をかけて入れないようにするという方向性で対処することになりました。しかし、他利用者様の介助中などでずっとその男性利用者様の行動を把握することは難しく、気が付いたらもう来ていたなんて事が多々ありました。

鍵閉めが間に合わず利用者様の部屋に入られてしまった時は対応がとても難しく、無理に出て頂こうとすればすぐ手が出てくるので恐る恐る対応していました。居室が気に入ってしまうと中々出てくださらず、自分のユニットの利用者様の対応をしたいのに20分以上もその方に付き添う事がとても負担でした。

男性利用者様が生活しているユニットの職員はユニット内で問題を起こされるよりも他に行ってもらった方がいいからと散歩に出ていっても全く関わろうとせず、処理もすべて他のユニットの職員が対応していました。これは問題になり生活しているユニットの職員に連絡して対処してもらうという事になりました。

それでも電話をすると「今は無理なんだけど。」と言われたり「ユニットから出してくれればいいから。」とそっちで対応してくれという態度…。私が対応するユニットの利用者様とトラブルになることも徐々に増え手が出てしまう為間に職員が入らないとまずい状況が増えつつありました。

ある日他利用者様の介助をしているとユニット利用者様の悲鳴が聞こえすぐに向かうと、元格闘家の男性利用者様が怖い顔つきで女性利用者様の前に仁王立ちになっていました。これはまずいと思いすぐ間に入ろうとした時です。いきなりグーのこぶしが私の顔に飛んできました。

グーで顔を殴られるなんて経験したことが無く、歯が折れたかと思う程の痛み…。女性利用者様を狙ってだったため、間に急に入った私へのダメージは100%ではなかったと思いますが、そうはいえ元格闘家!足腰も丈夫なだけあって威力が半端ではありませんでした。

女性利用者様への被害が無かった事は良かったですが、この時なんで間に入った私が殴られなければいけないのかと思いましたし、対応を他のユニット職員に押して付けて放置しているユニット職員への怒りがこみ上げてきました。

この問題からユニット玄関にも鍵をかけ利用者様とのトラブルにならないようにするという決まりとなり、男性利用者様には廊下を自由に歩いて頂くという事になりました。しかし今まで自由に入ることが出来ていた場所に急に入れなくなると認知症の為混乱が生じます。

ユニット玄関を思い切り開けようと“バンバンバン”と叩いたり“ガンガンガン”と無理やり開けようとするためとうとうユニット玄関が壊れてしまいました。最終的には他利用者様への危害が加わる可能性が高いという事でご家族様と面談を重ね薬で落ち着いて頂く事になりました。

薬で状態を落としてしまう事は本来良くないことですが、他利用者様へ危害が及ぶ可能性が高い事・元格闘家で認知症という事で理性が効かず力の加減が出来ず命に関わる危害を加えてしまう可能性が高い事から担当医や看護師も含め話し合って決まりました。

そうなるまでの時間は利用者様もですが私たち職員も恐怖でしかありませんでした。介護士って虐待している報道は沢山されますが、こういう被害を受けている事ってほとんど表に出ないですよね。何のために我慢をしなくてはいけないのか分からなくなり、介護自体辞めたくなった出来事でした。

【4. メガネが吹き飛び壊される】

これはメガネをしている介護士ならばあるあると思っていただけるのではないでしょうか。認知症があり手が出る方はだいたい顔を狙ってくることが多い印象があります。排泄介助や移乗介助で利用者様に近づいたタイミングで襲ってきます。

狙って行う事もあれば無我夢中で手を出してたまたま当たってしまう事もあります。避ければいいだけの事だと思うかもしれませんが、介助中に手を離したことで事故が発生した場合、介護士の責任になってしまうため何をされても手を放すことが出来ません。

ベッド上での排泄介助中であれば離れる事は可能ですが、抱えている最中だった場合絶対に逃げられません。なので手が出ないように介助する方法を模索する必要があります。だいたいは介助方法に問題があって嫌がって手が出る事が多いかなぁと感じています。

声のかけ方・トーン・大きさ・介助の乱暴さ・いきなり介助する等を行わない事が大前提!利用者様の目線に合わせて体勢を変え、目を見て話しかけ、適切な声のボリューム(耳がいい人に大きな声で話しかけない等)で声を意識するだけでも大分反応が変わってくると思っています。

中にはそれを行っても理解できなくなってしまった方もいらっしゃいますが、たいていの方は上記の事を意識すると変わって来るかと思います。軽く膝や肩に触れる・手を握ってみるという事も有効だと思います。触れられると安心するのだと感じています。出来る範囲の事で自分たちも変わらないといけません。

【5. 腕や指、胸を歯で思い切り噛まれる】

これは口腔ケアや排泄介助の時にやられがちです。歯磨きをする時に歯磨きが理解できない利用者様は思いっきり職員の指をかむことがあります。思い切り噛むと人の力でも指が切れてしまう事がある程とても強い力で噛んできます。骨折した職員もいました。

歯磨き介助の際に歯があって噛んでしまう方にはそれを保護するものが売られていますので、必ずそれを装着して介助を行います。それを指にはめていてもかむ力が強くて割れてしまわないかと不安になることが度々あります。怖いですが、かといって歯磨き介助をしないわけにもいきません。危険と隣り合わせです。

腕や胸をかまれるときはだいたい排泄介助で2人対応の場合が多いですね。利用者様の前側に立って体を支えている職員が噛まれる率が高いです。腕はもう歯形が付くほど何度もかまれました。出血した事もあります。噛まれて出血した際は早急に皮膚科受診が必要です。

何故ならば人の口の中にはいろんな菌が沢山あるからです。菌が体内に入ることで感染症を起こす可能性もあるので病院へ行って適切な処置をしてもらう事が大切です。検査をしていないだけでB型肝炎・C型肝炎・梅毒等持っている可能性が無いとはいえないからです。

手袋をしないで歯磨き介助やトイレ介助をしている方を見かける事がありますが、もし手に小さい傷があったとしてそこから感染するリスクがあるので、面倒でも自分を守る為にも手袋はしっかりと着用した方がいいと思っています。つけていない人がいた場合、感染のリスクを伝えると使用する人が多いですね。

また、胸をかまれる理由としては身長差です。小さい利用者様や膝が伸びずに曲がっている状態で立った場合、顔の口あたりが丁度胸の高さになることがあります。その時に抵抗しようとして噛める場所を噛むので本当に痛いです。恥ずかしい話ですが、被害者結構いて私自身あるあるなんだなぁと感じています。

腕や胸を噛まれた時、本当であれば「痛い。」と言ってその場から離れたくなりますが、利用者様を抱えている状態ではそうはいきません。腕を話した途端に利用者様は床に落下し最悪骨折事故に繋がります。利用者様の病院受診が発生するのはもちろんことですが入院する事やご家族様から訴えられる場合も出てきます。

そう考えると痛みよりもいろんなリスクを回避するために痛みに耐えながら頑張って手を離さないようにしますよね!どんだけ忍耐的な仕事なんだろうとこれを書いていてしみじみ感じています。これらを我慢しながらケアをしていますので、とっさに手が出てしまう気持ちも分からなくはありません。決してやってはいけませんが!

【6. 抱えている時にひっかいてくる・皮膚を引っ張りねじる・爪を立てる】

これも結構あるあるですよね。介助しようとして爪で引っかかれ、子供と違ってどうやったら痛みを感じるかを知っている為痛いつねり方をするんですよね…。皮膚の薄い部分を引っ張ったり、皮膚の先端部分の本当に皮だけを爪で引っ張ってきたり本当にイラっとしてしまう事をしてきます。

想像していただいただけでも痛さが分かるのではないでしょうか。そこからさらにつねりを入れられてみてください。悶絶する痛みが走りますし、出血もします。両腕にどれだけ傷が出来たことか…。夏場でもDVを疑われてしまうのではないかと半袖が着られない時期もありました。

長袖を着ていればまだ傷も薄いですが、夏場にまで長袖を着て仕事することは熱中症で倒れてしまうため出来ません。いかに噛まれないか・噛まれても早く離してもらえるかが大事で、逃げようとするとさらに強い力が加わり大けがする可能性があるためじっとしている事が結構有効です。

あきらめが入って来ると「もう噛みたいなら噛んでいいですよ。」「気が済むならどうぞ。」と腕を先に差し出すこともありました。案外そうした方が「やらねぇよ。」とやらない事が多いなぁと感じていました。先に相手のやる気をそぐことも有効ですかね。

【7. テレビや棚・扉を破壊する】

これは暴れてしまう利用者様がやりがちです。興奮状態が収まらないため力が凄く入った状態で動き回ります。手に取れるものはすべて手に取って投げる・むしり取り・壊す。破壊力が半端ではありません。【1.】でご紹介した男性利用者様の車いすのブレーキを折ることもそうですよね。

大抵施設の備品等を破損した場合には内容にもよりますがご家族様へ請求させていただく場合があります。壊されるたびに施設の費用で修繕していては経営が成り立たなくなってしまうため仕方が無い部分があります。こういう利用者様がいる場合には何も置けない・しっかりと固定して取れないようにするしかありません。

いくらケアをしなくてはいけない利用者様としてもケアするにも恐怖しかありません。認知症という理由だけで傷害等で訴えられない暗黙のルールみたいなものがありますし、職員が我慢するという悪い風潮をどうにかしなくてはなり手が育つはずもないと感じてしまっています。

【8. 便をこねた手で触ってくる】

利用者様の便を弄ってしまう方がなんと多い事か…。部屋に入って便臭がすると思い布団をめくるとシーツから柵、さらには自分の顔まで便まみれなんてこともあります。そうなるとシャワーで洗ってしまうのが一番手っ取り早い・綺麗に出来る為お風呂介助を行います。

その時に便をこねた手を伸ばされると「いや~。」っと悲鳴をあげたくなります。私はそうならないように手袋を装着していただき、一番初めに洗面台で手を良く洗う事をしています。手が綺麗だったら触れられたとしても綺麗な状態なので便を付けられることはありません。

ただ、爪の中まで綺麗に洗わないと危険です。爪で引っかいてくる方もいるので、その場合には爪の中の便が傷口に塗られることになるからです。排便にはたくさんの菌が含まれています。尿の菌よりも危険だと感じています。爪専用の個人用ブラシを用意しておくことをお勧めします。

便の処理って排尿よりも大変で、便が付着したシーツは擦り洗いをして漂白剤につける必要があります。また付着した箇所もアルコールや次亜塩素酸を使用しながら拭いて清潔な状態に戻します。排便のふき取りが長時間できていないと黄色く変色してしまう事もある為なるべく早急に綺麗にすることが求められます。

色だけでなく臭いの原因にもなります。部屋に入るたびに便臭のような香りが感じるのは嫌ですよね。ご家族様が面会で来られた時や部屋を移動した時にあとから入る利用者様だっていやですよね。時間の経過とともに壁も臭いを吸収してしまうため綺麗にとりきれているか確認することも必要です。

以上の事が利用者様から受けた被害についてです。いかがでしたか?介護をしている人であれば何かしら経験があるかと思います。まったくこういう事実を知らない方にとっては衝撃の出来事ですよね。しかしこれが現実です。少しでもこういう現状をして頂けたらいいなぁと感じています。

(2023年12月26日)


第27回【高齢者のお通じ対策7選】

高齢者と便秘・便失禁・下剤って切っても切り離せない問題ですよね!数日間排便が見られないと“下剤・下剤・下剤”とすぐに下剤を使いがち。便失禁していても排便が緩くても出ないよりは出た方がいいと内服を継続している事多くありませんか?

出来る事であれば便失禁や緩い排便ではなくトイレで自然にバナナ型の排便が出てくれるといいですよね。緩い排便って強いアルカリ性なので肌にもよくないですし、漏らす感覚はやはり慣れないうえに気分が悪いですよね。以前の施設で下剤に頼らず他の物で便秘を解消しようと取り組んだことがあります。

便秘解消には水分量や運動量も関わってきます。以前の施設では水分量や運動量もしっかりと分析した上で利用者様1人1人に合った便秘解消食材は何かを試しながら調整していきました。全員同じ物がいいという事はありません。下剤で悩まれている方や便秘解消で悩んでいる方の参考になりましたら幸いです。

【1. モリモリスリム】

楽天やAmazonなどでよく見かけますよね。ティーカップに1包の濃さで飲む事が推奨されていますが、これ結構高齢者には効き目が強い印象があります。分量を守って提供した時には排便が緩い事ももちろんですが、排便が1日に数回続いてしまう事も多く見られました。

高齢者に提供する場合には2Lに1包の濃さかから調整する事をお勧めします。また、毎日飲むと慣れてしまい出にくくなってしまう事がある為、排便が〇日出ない時に飲むようにする・起床後食事前に飲んで頂く等その方が飲んで出る時間の間隔を調べながら飲む時間を調整することが大切です。

2Lに1包で効き目がない時は1.5Lに1包、1Lに1包等濃さを調整します。これも皆同じ濃さが合うわけではありませんので、複数の濃さを用意しておくといいですね。しかし、冷蔵庫の容量などの問題でそれが出来ない可能性もあります。

その場合は飲む濃さの中で一番濃い物を作っておいて、薄めがいい方にはお湯で薄めて提供するやり方がおススメです。この方が捨てる事も減るのでモリモリスリムが無駄になってしまう事もないかもしれません。

【2. 寒天】

牛乳寒天や粉ジュース・紅茶を使用して作っていました。料理が得意ではない事もあり、私が作ると固まらなくて失敗することが何度かありました(泣)同じ分量で同じ作り方をしているのに何故私だけ上手に作れないのかと凹んでいました…。

家でも作って練習していたのはここだけの秘密!!失敗した原因は今でもよくわかっていないですが、回数を重ねるごとに上手く作れるようになりました。熱する時間が足りなかったのかなぁと自分では思っていますが、あなたは寒天作った事ありますか?是非アドバイスを教えて欲しいです。

寒天は始めのうちは効き目があり便秘解消に良かったのですが、回数を重ねるごとに出なくなってしまいました。また、寒天って結構お腹に溜まるので食事量が減ってしまうという問題や甘くしないと美味しくないため砂糖を結構入れて作ります。そのため糖尿病の方にはあまり出せないという問題が発生しました。

おやつの時間に提供する、甘さ控えめの寒天を作るという事も行いましたが、結局は効果が無くなってしまい自然と終了になりました。継続して効果を出すってとても難しい事なんだなぁと感じました。便秘解消って本当に難しい!

これ以外にはご飯に寒天の粉を混ぜるということも行いましたが、ご飯の味が美味しくないという事ですぐに終了となりました。ご飯に混ぜる事はお勧めしません。食べてみると分かりますがご飯はそのまま食べた方がおいしいですよね。

【3. プルーン】

プルーンって不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が50%ずつバランスよく含まれている食材なんです。また、プルーンに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは善玉菌のエサとなり腸内環境の改善や便秘改善に役立つと言われています。

“不溶性食物繊維”とは水に溶けない食物繊維で便のかさを増し、腸を刺激して排便を促す効果があります。“水溶性食物繊維”とは水に溶ける食物繊維で便を柔らかくして便通を良くする効果があります。それ以外には食後血糖値の急上昇を防ぐ効果や血中コレステロールの増加を抑える効果もあります。

この事を知った上で個人購入が可能な利用者様にプルーンでの排便コントロールを行う事にしました。起床後、朝食前にプルーンを2粒召し上がっていただく事を続けていくと、便秘で下剤を飲んでもなかなかでなかった方がトイレで自然排便出来るまでに改善することができました。

プルーンは甘みがあって「美味しいね。」と召し上がってくださりましたし、袋から出して提供するだけなのでとても対応しやすかったです。無理なく美味しく召し上がっていただける上に職員の手間もかからないので試しやすい食材だと思います。

ちなみにですが、生のプルーンよりも乾燥プルーンの方が水溶性食物繊維も不溶性食物繊維の量も多いので、乾燥プルーンでお試ししていただくと良いかと思います。プルーンは軟便の方や便秘の方双方で試す事が出来る食材でもあるのかなぁと思っています。まだ軟便の方に試した事はないですが、試してみたいですね。

【4. サンファイバー/サンファーバーAI】

サンファーバーとはグァー豆を100%使用しており水溶性食物繊維の中でも腸内細菌に利用されやすい高発酵性に分類されるものです。サンファーバーAIとはサンファーバーのグァー豆とイヌリンからなる水溶性食物繊維です。タイヨーラボから発売されています。

これを使用していた時は朝食後に1日1本を服用していただいていましたが、タイヨーラボの推奨は1日1~3包。1日1包では中々効き目を感じにくかった印象があります。施設の費用から捻出していた事もあり1日1包の提供が対応できる範囲だったのだと思っています。

もし1日2、3包と量を増やして対応したらどういう効果が出たのだろうかと気になるところです。Instagramでこの投稿をした時に効果があったと教えてくださった方が何人かいらっしゃいましたので、2,3包飲めているのであれば効果が期待できるのかもしれません。

サンファイバー類の良いところはほとんど無味無臭なので味噌汁や飲み物、ヨーグルトに溶かしても大丈夫というところです。薬となると断固拒否される利用者様に対しても味噌汁などに混ぜる事が出来て味も変わらないのであれば摂取しやすいですよね。これはありがたかったです。

また使用する機会があれば1日2~3包で試してどう効果があるのか検証をしたいなぁと思っていますが、水溶性食物繊維という事なので便が固い方には効果的ですが、緩い方にはちょっと合わないのかなぁとも感じているところです。

【5. ヨーグルト】

ヨーグルトは便日解消にいい食材という事は結構知られていますよね。便秘の方への食事へのアプローチで一番初めに試す部類に入るのではないでしょうか?これ以外には“納豆”“ヤクルト”もあるあるですよね。ヨーグルトは種類が多すぎて何を試したらいいか悩みます。

腸内細菌や便秘改善等の文言が書いてあるヨーグルトを試しがちですよね。各メーカーいろんなヨーグルトを出しています。その方に合ったヨーグルトにたどり着くまで数週間ずつ変更していくとなると時間がかかりそうな感じがしています。

個人購入になるので金銭的に余裕のある利用者様に試す事しかできませんが、ヨーグルトが嫌いな方はあまりいないので取り入れやすいかもしれません。乳製品アレルギーの方には厳禁ですので、栄養士や看護師とよく相談の上行う必要があります。

【6. ヤクルト】

ヤクルトも取り入れやすい食材ですよね。1本の量が飲み切りやすいというのもありがたいところ。ヤクルトも数種類種類があるので数週間はこのタイプ、次の週はこのタイプと検証期間を設けて検証することが必要になってくると思います。

ヤクルト400Wという商品は乳酸菌シロタ株にガラクトオリゴ糖が加わった飲み物で腸内環境を改善し、お通じ改善する働きがあるそうです。私がヤクルトで検証していた時にはなかったものなので、これも検証してみたいものの1つです。

【7. オリゴ糖】

オリゴ糖には腸内の善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整えながら便秘を促す効果に期待が出来るそうです。オリゴ糖と排便の研究データも出ている程注目されている食材という事が分かりますよね。研究結果としては成人でのデータですが摂取後数日でビフィズス菌の増加がみられたそうです。

摂取期間中は排便の硬さの改善(軟便が解消された)や便臭の改善もあったとのデータ結果が出ているとの事です。しかし、オリゴ糖の摂取を終えるとまた元に戻ってしまう為、継続していく事が大切になってくるという事も分かっているようです。

オリゴ糖に限らずですが“摂りすぎ”には注意が必要で摂りすぎる事で便秘とはまた違った悪影響が出てしまう場合もありますので、少量から試していただけたらと思います。オリゴ糖はヨーグルトにかけたり飲み物で割ったりすると摂取しやすいかと思います。

以上7つが私が以前の施設で試した便秘解消食材です。こうやってみてみても“水溶性食物繊維”や“不溶性食物繊維”、“ビフィズス菌”等調べないと分からない単語が沢山あります。排便の状態によってどの食材が合うのかも検討しなければならないなぁと感じています。

ひとえに“便秘”と言っても1人1人それぞれ排便の問題は異なります。便が固くて出ないのか、緩すぎて困っているのかそこにも着目しながら検証していきたいと思います。私ももっと食事の事や菌のことについて調べたいなぁとまとめながら思いました。一緒に勉強していきましょう!!

(2023年12月11日)


第26回【覚える為に工夫している事5選】

介護の仕事ってケアの方法から専門用語等覚える事が沢山ありますよね。新卒の時専門用語が沢山行きかっていて何が何のことなのか理解できずに“えっ!?何それ?”ってなった事が幾度となくありました。介護を始めたばかりの頃ってそうなりませんでしたか?

専門用語なのか何なのか分からず、申し送りで話している内容は全部紙にメモして後から調べたり先輩に聞いたりするようにしていました。今では笑い話ですが“ももひき”“傾眠”も申し送りのスピードの中では理解で来ていませんでした。

新卒の頃は専門卒や介護施設でアルバイトをしていた同期に比べるとどうしても覚えが遅い自分が情けなくて、先輩が優しくて余計に不甲斐なさを感じて落ち込む日々を過ごしていました。覚え方を自分なりに習得してからは異動や転職時にも大いに役立っていると感じているので今回は工夫している事をお伝えします。

【1. 居室や席は図を書いて覚える】

部屋や食事の席ってもう決まっている事が多いですよね。ショートステイやデイサービス以外では毎日変わるわけではないため見取り図にして書くようにしています。テレビの位置・カウンターやキッチン・ベランダ等分かる部分を書いてテーブルの形も大まかに書きます。

車いすの人と椅子の人で色を使い分けるととても見やすいです。利用者様に特徴がある場合はその特徴もメモすると顔と名前が一致しやすいです。また、転倒注意などの細かい注意点も食事の席に書き出します。図面と一緒に注意点が書いてあることによって1枚1枚注意点を書いた紙を探さなくて済むので見やすいです。

居室も大まかにユニット内の見取り図を書いてそこに部屋番号と利用者様の名前を書きだします。部屋の中は1部屋1部屋ざっとベランダ・洗面台・トイレなどの設備を書いてからベッドの向き、頭の位置、ポータブルトイレ・車いすの位置などを書き出します。

必要であればセンサーマットの有無や転倒・転落注意があるのか・就寝時の電気はどうするのか・部屋に用意する水分等があるのかどうかも書くようにしています。動きながらペラペラと見返すよりも付箋を付けてこのページを見ればまとめてあるという事が分かるようにすると尚見返しやすいです。

そこに書ききれない部分は次のページなどに書いていき、後で見返して違うノートや紙にまとめるのもいいと思います。“パッと開いてすぐ確認が出来る”“開いたページに多くの情報が載っている”という事が早く覚えるためには有効的だと感じています。

【2. お箸などの自助具の絵を描く】

ユニット型特養の場合、お箸などの自助具は個人購入してあることが多いです。使う用具もそれぞれ異なっており頭だけで覚えるのは時間がかかる作業です。間違って他の方に出してしまうわけにもいかないので大雑把でいいので絵を描くようにしています。

どのように絵を描いていくのかというと、四角い枠1人1人分けて書きその中に自助具やお盆なのかランチョンマットなのか、食事用エプロンが必要かどうか・トロミの有無や濃さを書くようにしています。1人1人分けて書くという事がポイントです。

書き方の例としてお箸であれば柄や色の特徴を書いたり、右利きなのか左利きなのかでお箸の向きを変えたりして書きます。スプーンやフォークを使用するのであれば大きさや福祉用具の物なのかで書き方を変えています。ただ単にスプーンと書いてあるよりも絵があることによって見やすくなります。

ご飯茶わんや汁椀・食事形態なども人それぞれ細かく異なります。ご飯だけでもペースト粥・お粥・軟飯・常食・パン食と複数の種類があります。ここに味噌汁の具の有り無し・塩分制限による味噌汁の量・ご飯のグラム数も加わると食事量だけでも結構な情報量ですよね。

メモしたところをペラペラとめくって1人1人の情報を得るよりもまとめて書いてあることによって食事も見やすくなります。“まとめる”事を意識して書いていくといいですよ!是非試してみてください。

【3. コップの絵を描く】

これも先ほどまでと同様ユニットケアでは個人で用意する事が多いので特徴を書くようにしています。コップも陶器・プラスティック・マグマグ・吸い飲み・ペットボトルなど使うものは様々です。色が違うだけで同じ物を使う方もいらっしゃるので、間違えないようにしないといけません。

さらに水分制限がある場合には何時に何cc提供するのか、トロミを付ける場合には200ccに対して小さじ・大さじ何杯入れるのか・好みの水分や嫌いな水分を書くようにしています。これ以外にもぬるめにする・熱いままの提供がいい等の好みも重要ですよね。これを覚えるのも本当に苦労しました。

【4. 排泄介助の準備】

これは従来型特養の時にとても苦労しました。新卒で配属されたのが従来型特養でした。ここは遅番で出勤したら就寝時の排泄用具を準備するという決まりがありました。従来型特養では就寝介助も30名行っていたためトイレ介助を行う方用の分を用意することが地味に大変でした。

個人用の籠がありそこに使うテープ型おむつやパッドをいれていたのですが、毎回サイズが書いてある紙を見なくては用意することが出来ず時間がかかっていました。慣れている先輩方はものの数分で準備が終わっていたのにその倍近くかかっていました。こんなことでと思われるかもしれませんが情けなさを感じていました。

準備に時間がかかるため早めに出勤し準備をするようにしていましたがこれはしんどいですよね。ある時同じ施設に配属になっていた介護施設でバイト経験のある同期にどうしたら覚えられるか相談したことがあります。その時に「紙に全部書き出して持って行くといいよ。」と言われハッとしました。

当たり前といえば当たり前なのですが、それまでは排泄チェック表を持って準備をしていました。早番者が書きたいけど書けない、記録を打ちたいけど打てないなんて事をしてしまっていました。排泄チェック表も時間帯でそれぞれ異なるサイズが書いてあったため見間違いで準備間違いをすることも。

同期にアドバイスを貰ってからは準備しなくてはいけないサイズを書き出し、それを持って準備するようにしました。今思えば“当たり前”“なんでそんなことも考えつかないの?”と思ってしまいますが、初めの頃は何をどうしたらいいのか分からないことだらけで付いていく事に必死でそこまで考えが回りませんでした。

ユニット型特養に移ってからは“個別ケア”が謳われており一斉排泄は行わないためパッド類のサイズ+排泄時間も覚える必要がありました。時系列を書き、この時間に〇〇様、テープ型おむつM+700mlパッド等と書くようにしました。排泄チェック表を1枚貰い排泄時間に色を付けたりそこに使用品を書くのもありです。

そうやって書いた紙をポケットに入れて排泄介助をしているため、よく利用者様の部屋に紙やボールペンを置いてきてしまうという事をしていました。無駄な時間をカットする為に作ったはずが、逆にそれを探すために余計な時間をつかうはめになる事なんていまだにやります(笑)

【5. ポジショニングの絵を描く】

ポジショニングってクッションを外す前はどっち向きでどのようにクッションを入れていたのか分かるのに、外して排泄介助をしたとたんどっちを向いていたのか、クッションがどう入っていたのかど忘れする事ありませんか?私はいまだに体位交換の向きがどっちだったか分からなくなる時があります(泣)

クッションの入れ方も利用者様によって大分異なりますよね。使用するクッションの大きさや固さも違います。どこに何を入れるのか絵をかいてしまうのが覚えるには近道です。勿論何故そこにこのクッションを入れる必要があるのかを根拠を元にして理解することも有効だと思います。

体位交換の向きついては次に向く側を排泄介助中ずっと心の中で連呼するようにしています。そうすれば排泄介助が終わった時に次どちらの向きにするのか忘れなくて済みます。または体位交換する際にやりやすい位置に立って排泄介助をすることもおススメです。

体位交換をする時って利用者様の背が見えるように対応しますよね。つまり、排泄介助に入る際は顔が見える側に行って排泄介助を行うとそのまま体位交換することが出来ます。こうすることで間違う事は極端に減ります!!忘れやすい方は是非試してみてください。

以上が覚えるために工夫している事です。リーダーになってからはこの苦労を元に“見える化”していく事にしていました。介助するその場に表やイラストがあることによってメモした場所を探す事や紙を無くした場合でも対応することが出来るようになります。

ちょっとしたことですが、あるかないかだけでもケアの統一性も上がります。見える化するにあたり準備することが一番大変ですが、一度作り上げてしまえばあとは本当に楽です。異動してきた職員や新卒者・中途採用者にとっても働きやすくなると思っています。良かったら参考にしてみてください。

(2023年11月22日)


第25回【なぜあの職員は問題解決能力が高いの?】

職場で問題が起きたときすぐに解決策が出る人っていませんか?しかも内容がしっかりしていて“凄い!”と思うような解決策なので“なんでそんなに解決策が出てくるの?解決内容も凄くてどういう思考回路をたどっているの?”と気になった事がありませんか。

私はそう感じた人が数名いました。その施設では毎年職員に年間目標を作ってもらい、半年単位で振り返りを行う習慣がりました。その際に用いられていたのが“PDCAサイクル”。学生の頃には聞いた事が無く、就職してから初めて行うものでした。

PDCAサイクルを取り入れていくうちに問題解決能力が高い人はPDCAサイクルが習慣化していて“考える力”が身についているのだと感じました。PDCAサイクルを習慣化することによって何事にも考えて検証していく力が身に付くと身をもって感じています。

今回はPDCAサイクルについてどういうものなのかを紹介していきたいと思います。今はこれ以外にも大谷翔平選手が昔から行っていた夢を叶える為の“マンダラチャート”の活用が有効であると耳にする機会が増えました。“自分を見つめなおす”“どうしたいのか考える”力が必要とされる時代なのかもしれないですね。

【1. PDCAサイクルとは】

“PDCAサイクル”という言葉を聞いた事ありますか?PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものになります。流れとしてはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)そしてまたPlan(計画)の順で繰り返し行います。

この流れを常に行っていく事でケアの質がどんどん向上していき、問題が発生した時もこれを元に何が原因でどう対処していけばいいのかを考えられるようになっていきます。指示をされてからでないと行動できないよりもみんなが考え意見を出し合っていった方が個人としても施設としても成長度は大きいと感じています。

ではどうやって“PDCAサイクル”を活用していけばいいのか?ひとつずつ順を追って説明していきます。私は“PDCAサイクル”を導入している施設で仕事をしていた時に考える能力や客観的に物事を見る力が身に付いたと実感しています。離れてからは尚更ありがたい環境だったなと思っています。

【2. Plan(計画)】

計画をたてるにあたり、まずは個人の年間目標やユニット内目標、施設目標を元に自分は何が出来て何が出来なさそうかを紙に書き出していきます。その中で出来そうな事・出来なさそうな事・頑張れば出来そうな事柄を計画にしていきます。資格取得も目標になりますね。

計画を作る際はWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくらで)を組み込んで検討するとより具体的に考えられるかと思います。具体的に物事を考えられた方が計画するにあたり成功時のイメージがしやすいです。

例えば介護福祉士や社会福祉士・ケアマネージャーの資格取得を目標とする事やユニット内で利用者様と1対1での外出を企画するとあった場合、担当利用者様の行きたい場所を聞き取り料金が発生する場合は行きたい場所の利用料金や食事処での予算を盛り込んで計画を立てます。

計画を立てるにあたり、おのずと自分が何をしなくてはいけないのかが見えてくるはずです。計画は時期も書き出していきます。ここまでにこの範囲までの勉強をする・この時期に試験申し込みが開始されるため必要な資料を集めておく・ご家族様との連絡調整・タイムスケジュールを作るなどが計画に入ってきます。

いわゆる年次計画書のようなものでしょうか。大まかな年次計画書を元にそれをもっと細かく深堀していく作業を行っていきます。大切なのは簡単に達成できてしまう目標ではなく、頑張れば達成できる目標を立てる事!簡単な目標では成長は期待できないと思っています。

この流れがどう問題解決に繋がっていくのかというと、例えば転倒事故が起きたとします。その際、一番初めに何故転倒事故が起きていしまったのかという検討をしますよね。その後、事故原因を元に転倒を防ぐための対応策を考えます。この対応策がPlan(計画)にあたると思っています。

【3. Do(実行)】

立てた計画を元に実行していきます。先ほどの転倒事故の場合であれば対応策を遂行することに当たります。計画通りにスムーズにいく事もあれば思うように進まないことも出てきます。どういう流れで進んでいるのかを記録しておくのも大切です。

また、“ここはこうした方がよさそう”という事があればそれも書き出していきます。このやってみてどうだったかという感覚をメモに残せることで次のCheck(評価)をする時にとても役立ちます。いろんなことを感じながらDo(実行)出来るといいですね。

【4. Check(評価)】

Plan(計画)を立ててDo(実行)した事に対しての評価を行います。計画通りに進んでいたのか、思うように進まなかったのかについて深く検証していきます。計画通りに進まなかった時には何故計画通りに進まなかったのか、原因はどこにあるのかを検討します。

ここで役に立ってくるのが先ほどDo(実行)した時の記録です。ここの部分でつまずいてしまった・ここの部分をこうした方がよさそうだと感じたなど、実行してみての感想があれば原因を探る際に大きなヒントとなります。

計画通りに進んだ時もスムーズに遂行出来た要因を評価します。例えばこの時期にご家族様に了承を得る事が出来たため早めに施設や食事処の予約をすることができた。施設利用料や食事処の大まかな予算を早めに算出してご家族様に相談したから了承を得る事が出来たという感じで評価します。

こういう評価をすることによって成功した時の“成功体験”を感じる事が出来るようになります。成功体験が増えれば増えるほど“次はこれをやってみよう”“このやり方は間違っていなかったんだ”というやる気や自信に繋がってきます。

これを事例の事故に当てはめていくと、立てた対応策があっていたのかそれとも修正が必要になってくるのかを検討することに当たります。立てた対応策に問題が無い場合は対応策を引き続き実行し、変更が必要な場合は何をどう変えた方がいいか検討するとこになります。

【5. Action(改善)】

Do(実行)、Check(評価)をしてみてこのままの計画のまま進めてもいいか・一部改善して再度計画を立てるか・計画を中止または延期するかどうかを決めていきます。このまま計画を進めていく場合には予定通り計画を遂行しながらまた評価をしていきます。

計画を変更したり延期したりする場合にはどう変更するのか、中止する理由は何かを検討します。先ほどの転倒事故の場合は対応策をそのまま継続していくのか、立てた計画の変更が必要であればどう変更していくのかを決めていきます。

ここでどうするかを決めたのち、また最初のPlan(計画)に戻りPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)と続いていきます。これを繰り返していく事によって徐々に考える力や想像力が付くようになり、結果問題解決能力が高くなると感じています。

問題解決能力と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要は“自分で考える力”が身に付く事が大切だと思っています。自分で考え発信し対処していく事で自分の経験値が上がっていきます。“間違えてしまったらどうしよう”という不安な気持ちがあるのも分かります。

しかし、失敗から沢山の事を学べます。失敗した事により同じ失敗をしないように回避したり、何が失敗に繋がったのかを考え検討したりしていく事で次に生かすことが出来ます。考える力を身につけて問題解決能力を一緒に高めていきましょう!!

(2023年11月8日)


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