第33回【施用者さんとの関わりの中での発見や気づき】

第33回【施用者さんとの関わりの中での発見や気づき】

「何か食べたいものはある?」

普段、車椅子に長時間座っていられないので、食事の時間以外はほとんどベッドに横になっておられる利用者さんと お話していると「ご飯食べに連れて行ってあげる。何か食べたいものはある?」と聞いてくださいました。 その利用者さんに何か食べたいものがあるのか聞いたところ「あなたが食べたいものを食べに行こう」と食べたいものを 聞いてくださいました。おすすめを聞くと、ご実家の近くにある定食屋さんのお話をしてくださいました。昔はよく 行っておられたようで、思い出のお店ということでした。残念ながら、今ではそのお店は営業されていませんでしたが、 座る時間を少しずつ増やしていき、近い将来外食ができるように機能訓練を行っています。まずは、テイクアウトで 食べたいものを一緒に食べられるようにしていきたいと思っています。

「就寝前の投げキッス」

普段は「トイレに行きたくない。お風呂に入りたくない」など、恥ずかしいから断っておられるんじゃないかなと 思うような、返答や行動をとられる利用者さんがいらっしゃいます。しかし、お風呂や、トイレの声をかけをする時に、 こそっと、他の利用者さんに聞かれないように、別の場所で声をかけると「行こうか」と笑って答えてくださり、 拒否されることが少なくなります。お風呂に入ると、歌を歌ったり、家族の話や、他の利用者さんの話などを聞かせて くださいます。就寝準備を終えて、ベッドに寝て電気を消す前に「おやすみなさい」と声をかける時に、投げキッスを すると、照れながら返してくださいます。普段、他の人がいる前では絶対にしてくださらないので、自分とその利用者さん だけのコミュニケーションを見つけられると嬉しいです。少し不快な思いをされていたり、ソワソワしていて 落ち着かない時は、返してくださらずに笑っておられます。それでも、笑うことで少し落ち着かれて「おやすみ」と 手を振ってくださいます。2人だけの空間での1対1のコミュニケーションは、その人の気持ちが素直に聞くことが できたり、周りに人が居ないからこそ、話しててくださることがあるので、1対1の空間を大切にしていきたいなと 思うんです。

「お見送り」

いつもニコニコしておられる、利用者さんがいらっしゃいました。スタッフのことを労ってくださり、自分のことは後回しで 「ご苦労さま。たまには座りや」と声をかけてくださいます。杖歩行で、介助は必要ないのですが、すり足で歩いておられるため歩行時は付き添いの対応をしていました。 仕事を終えた職員が帰ろうとするのを見かけると「もう帰るんか?ちょっとそこまで送るわな」と、お話しながら玄関まで送ってくださる。 「どこまで帰るんや?電車か?家は近いんか?今日は雨降ってなかったかいな?気をつけてな。次はいつくるんや?」と心配がとまらないんです。 お見送りが終わると、別のスタッフが付き添ってフロアに戻っていかれます。 そんないつもスタッフのことを気にかけてくださるとっても優しい利用者さんに癒されています。

「エチケット」

普段から、他の利用者さんのことを気遣って、話しかけてくださったり、洗濯物干しをしてくださったり、床に落ちている ゴミを見つけるとサッと拾ってくださったりとお母さんのような存在の利用者さんがおられました。その利用者さんと 別の男性利用者さんのお2人を食後の歯磨きにお誘いしました。男性の利用者さんは杖をついておられて、女性の 利用者さんとスタッフは手を繋いで洗面所に向かっていました。女性の利用者さんの歩くスピードが少し早く、男性の 利用者さんに合わせて、少しゆっくりと歩いてくださっていました。男性の利用者さんの後ろを歩いてくださっていたので、 耳元で「先に洗面台まで向かってくださっても大丈夫ですよ」とお伝えすると、「こっちの方が、歩くのが早いのは わかっているけどね。先に行かせてあげて。エチケット。ふふふ。」と小声で返答されました。「女性は、三歩後ろを歩く ぐらいがいいっていうでしょ」と笑っておられました。他の利用者さんとのコミュニケーションを大切にしておられたり、 男性の利用者さんの行動をみて、相手のペースを合わせられたり、そして、それを笑って話せる、そんな利用者さんをみて、 自分自身も、そんな風にできるようになりたいなと思いました。

「自分でできた」

朝起きたら、身だしなみを整えます。いつもは介助で髭剃りをすることが多い男性の利用者さんがおられました。右手が 痛むため、入所されてすぐは、積極的にご自身のことをする方ではありませんでした。この日はいつもより、よくお話しされて 動かしやすい左手も動かしてくださっていました。そして「おはよう。あんた、きてくれたんやね」と声をかけてくださいました。 起床時の髭剃りの声かけに行った時もしかしたら今日は、ご自身で髭剃りができるんじゃないかなと思って、髭剃りをお渡しして みました。すると、「せや、せや。今日は朝から自分でしようと思ってたのに、居眠りしてしまってたわ。ありがとう」とご自身で 髭を剃られていました。「自分でできたわ。あーよかった」とおっしゃっていました。自分でできることは自分でしたいだろうし、 人にされるより、自分でした方が気持ちがいいこともあるんです。その日から、髭剃りは声をかけて、ご本人にお渡しして、 できるところはしていただくようにしています。断られることもありますが、「キレイになって気持ちがいいわ」と 笑顔でおっしゃってくださる日が増えました。少しずつ、ご自分でできることが増えていくように、日頃からできそうなことや、 利用者さんがやろうと思えることを、見つけていけたらいいなと思います。

「地域の方とのふれあい」

利用者さんとの散歩中に、小学生ぐらいの子どもたちが前から走ってきました。子どもが好きなその利用者さんは 「あーあ。あんなに走って。転んだら危ないなぁ」と気にかけておられました。すると、後ろを走っていた子どもが、曲がり角で 曲がりきれずにこけてしまいました。利用者さんは「大丈夫ー?」と子どもたちに声をかけておられました。人見知りをしていたのか、 知らないい大人に声をかけられたからなのか、びっくりしていた子どもは泣くこともなく、利用者さんに声をかけに、 頷いていました。利用者さんが「泣かないでえらいねぇ。大丈夫?」と少し離れたところから「気をつけてね」と 声をかけて手を振ると、子どもたちは、お辞儀をして手を振りかえし走っていきました。「小さいのにえらいねぇ。子どもは いいわね」と話しておられました。なかなか地域の人たち触れ合う機会はないですが、散歩に出かけることで、子どもたちや 近くに住んでおられる方たちと関わることができる機会を少しでも増やしていきたいです。



プロフィール

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。

介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。

介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。

身長150cm台の小柄な介護士として

Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。

「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

介護士歴12年目、リーダー歴約10年です。


★ご興味ある方は直接LINEにメッセージ下さい!
弊社担当よりご連絡いたします。

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(2024年8月20日)

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