第28回【従来型特養の特徴 5選】

第28回【従来型特養の特徴 5選】

前回はユニット型特養の特徴をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか?今回は従来型特養の特徴についてまとめました。ユニット型特養と大分異なると思います。ユニット型・従来型特養それぞれ合う・合わないとあると思います。選ぶ際の参考までにご覧ください。

【1. 対応する利用者様の人数が多い】

ユニット型特養は関わる利用者様は最大10名ですが、従来型特養の場合はその倍の20名~30名、ショートステイ利用者様や夜勤を行うようになると最大100名なんてことがあります!100名の利用者様を覚えるってすごく大変じゃないですか?

私が従来型特養で働いていた時は2ユニットに分けていましたが、入居者様30名+ショートステイ10床だったため覚えるのがとても大変でした。入居者様30名は毎日いらっしゃるので優先的に覚え、ショートステイの方は日によって変わるので定期利用で利用頻度の高い方から覚えていきました。

介護未経験の状態で40名を覚えるってとても大変です。まずは名前を覚える所からスタート。特徴のある利用者様はすぐに覚えられるのですが、それ以外の方は中々覚えられず顔と名前が一致しない状態…。食事の席や居室のイラストに名前を書いて必死に顔と名前が一致するように工夫していました。

食事の配膳や配薬の時は間違えてしまっては事故に繋がる為、正確に覚えられるまでの間は先輩方に「〇〇さんの食事運びます。」と声をかけ目視で確認していただくようにしていました。トロミの有無や濃さ・排泄介助で使用するパッドも間違ってはいけない為必死にメモを見返しながら行っていました。

これを経験していたためユニット型特養に異動した時は“10人覚えるだけでいいんだぁ”とちょっと安心した気持ちがありました。必死に3、40名覚えていたやり方は10名の時でも役に立つ上に覚えるスピードが早くなったと実感しています。今でも従来型特養での経験が生かされていると思っています。

【2. 一斉介助】

先ほどもお伝えしたように従来型特養の場合関わる利用者様の人数がとても多いです。この状態でユニット型特養のように1人1人に合わせたケアを行っていると到底仕事にならなくなります。よって一斉介助が一般的になってきます。

同じ時間に起きていただき・食事・排泄・入浴・就寝とほとんど同じ時間で行動していただくことになります。テレビがリビングにしかないため居室で起きて過ごされる方は少なく、また多床室である為就寝時間には部屋単位で電気を消していきます、自由な生活が出来ないという印象があるかもしれません。

一斉介助の場合、職員は複数名で対応しますが時間はとてもかかります。日中の排泄介助であっても2時間程度かかっていた記憶があります。しかもトイレ介助とベッド上でのおむつ交換それぞれ分かれて対応してこの時間です。

おむつ介助の時は2時間ほぼ前かがみの状態で排泄介助をしているため、終わった時の腰への負担は物凄いと感じていました。腰が痛くて数分間は腰が曲がった状態でまっすぐになることが出来ませんでした。無理な体勢を長時間行う事は自分の身体へのダメージがとても大きいと感じました。

腰への負担を考えると一斉介助よりも個別の時間に介助した方が利用者様の排泄リズムに合わせられる事と職員の身体への負担を減らせる事のメリットがあるように感じています。従来型特養での個別ケアは難しいかもしれませんが…。

【3. お風呂介助が大変】

【2.】でもお伝えしたように従来型特養は一斉介助なのでお風呂も一斉入浴です。1日15~20人程度入浴介助をしていた覚えがあります。午前・午後と別れて行いますが本当に時間との勝負!個浴・リフト浴・寝浴と一斉にスタートします。

職員はそれぞれ担当が決められ・個浴の中・リフト浴の中・寝浴の中・着脱担当に分かれ行います。同じ行動を1日中行う事で腰へのダメージが大きかったように感じています。特に着脱の場合何時間も前かがみの状態でケアを行うため腰が痛くて痛くてたまりませんでした。

利用者様のケアに関してもずっと時間との勝負という事もありゆっくり観察している時間は無かったように思います。勿論着脱の時や身体を洗う際にチェックはするようにしていますが、複数名の職員が関わる為情報の伝達ミスが出てくることもありました。

爪切りも中々行う事が出来ず、入浴後に看護師が担当するという形で行っていました。ユニット型特養でも従来型のように一斉に入浴介助を行っているところもありますが、私は1対1でゆっくり入浴介助をすることが出来る方がいいなぁと感じています。

1対1のメリットとしては利用者様の羞恥心を守れる事もあると思っています。一斉入浴の場合羞恥心と言って時間をずらすことはしにくく、嫌な思いをしながら入浴していた方もいらっしゃっただろうと思っています。何人もの職員や他の利用者様に裸を見られながらの入浴って私たちでも抵抗ありますよね…。

細かい事が気になってしまう私にはユニットケアの方が合っているなぁと感じています。羞恥心に配慮し、肌の露出を少なくしながら入浴していただくことが可能ですし、1人の職員が着替えから入浴まで付き添う事で皮膚観察や報告の漏れが少なくなると思っています。※職員全員が出来るわけではありません!!

【4. 夜勤の明け方の一斉排泄】

従来型特養の排泄介助って明け方に1回って事が多くありませんか?尿量が多い方は間に入ることもありますが、基本は朝方に入るのみ。(ショート夜勤の場合)遅番者が就寝時にしっかり当てないと明け方に失禁して全更衣祭りなんて悲惨な事になることもあります。

なので従来型特養ではおむつの当て方が出来ていないと指導が入ります。私はこの時の指導がありがたかったなと今でも思っています。この時にギャザーの使い方や便失禁所の対処の仕方などを学べたことで今のスキルに繋がっていると感じています。

1人で行う時間が無い為聞ける人が常にいるという環境がとてもありがたかったです。時間がかかっていれば「大丈夫?」と来てくれ、こういう時はこうした方がいいよと手ほどきをしてもらえた事は新人にとってとても貴重な時間だったと思います。たまに「遅い。何してんの?」とおこられることもありましたが(笑)

きちんとあてることが出来ていなかった時には「できてなかったよ。ちゃんとして。」と注意するのではなく、「一緒に来てみて。」と利用者様の所へ一緒について行き、おむつのあたっている状態を確認してから「こう当てると漏れないと思うよ。」とあて方の手ほどきをしてもらえていました。

あの頃は呼ばれると“ハァ~”とか“呼ばれた…”とマイナスに感じてしまう気持ちもありましたが、諦めずに指導してくださった先輩方のおかげでおむつのあて方はとてもうまくなったと思いますし、見て学ぶ事で理解しやすかったと感じています。この経験から私も同じやり方で教えるように意識しています。

大切なのは“怒る”事や相手を“否定する”のではなく、“指導する”こと!!感情的にならずにどこの部分をどう意識して直すと良いかを丁寧に伝える事!これの積み重ねが職員同士の信頼にも繋がってくるのではないかと思っています。人によってはうるさいと思われる場合もありますが諦められないのが私の悪い癖(笑)

中途となるといくら転職したからと言って時間をかけて手ほどきしてもらえることはほぼほぼありません。逆に“もう出来ますよね?”スタンスで1人で介助することの方が多いです。年数を重ねていけばいまさら聞けない事が増えていきますし、最初の経験ってとても重要!!

ユニット型特養で勤務し始めてからはお互いに注意し合う環境はほぼほぼありません。「あの人は出来ない。」等の話ばかりでしっかりと“指導”する事が難しいのかなぁと感じています。お互いに「こうするといいよ!」って言い合える関係性を作りながら仕事をして行けたらいいですよね。

【5. スキルが上がる】

これはユニット型特養を経験したからこそ従来型特養の強みだと感じています。ユニット型特養では1人勤務になる時間帯があるからこそ、見えないケアが多く指導しようにも見ていないから注意することが出来ない・注意しにくいという環境が出来てしまっています。

従来型特養の場合は常に最低2人体勢で動くため不安な事や苦手な事を教えてもらいやすく、忘れている業務や行ってはいけない不適切ケアについてはお互いに確認し注意しやすい環境がまだあるように感じます。誰かの目があるからこそ手を抜きにくく不適切ケアに繋がりにくいのかと思っています。

また、私が働いていた従来型特養の職員さんたちが特別だったのかはわかりませんが、お互いに指摘し合える間柄だったなぁと感じています。注意されたからと言ってふてくされる人はほとんどいませんでしたし、お互いに技術向上の為に切磋琢磨していたと思います。

ユニット型特養がそういう人が居ないというわけではありませんが、1人1人のケアに対する気持ちの差が大きく手を抜く人とそれを補う人の差が激しいように感じています。チームプレイというよりは個人でケアをしている感覚が大きいかもしれません。

従来型特養は一緒に組む職員と常時声を掛け合い相談しながら行っているからこそチームワークが生まれやすいのでしょうか?パート職員さんとの声掛けも多かったと思っていますし、相手の事を考えるという事もおおかったかもしれません。ユニット型だと“自分さえ”的な考えの方が多い印象を抱いてしまっています。

話がずれずれになってしまいましたが、私が感じている従来型特養の特徴でした。今従来型特養で勤務と言われると体力的に厳しいですが、一番初めに従来型特養で沢山の事を学ぶ事が出来たことは私にとってかけがえのない貴重な時間だったと思っています。

“従来型特養”“ユニット型特養”それぞれ良いところ・懸念な所とあります。どちらで仕事をするにしろ、自分が何のためにケアを行うのか芯がぶれなければやっていけると思っていますが、周りとの差に嫌気がさしてしまう事もあります。

実際、私も周りのケアの質が悪すぎて改善しようと意見すれば煙たがられ、次第にばかばかしくなり介護自体が嫌になってしまった時期がついこの間までありました。結局長く務める事が出来ませんでしたが、自分に合った施設を探す事も大切です。一緒に頑張っていける仲間を作っていきましょう!!



プロフィール

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。

介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。

介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。

身長150cm台の小柄な介護士として

Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。

「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

介護士歴12年目、リーダー歴約10年です。


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弊社担当よりご連絡いたします。

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(2023年12月19日)

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