第13回 “あきらめ”の思考 Part.3【あきらめてはいけない事】

第13回 “あきらめ”の思考 Part.3【あきらめてはいけない事】

あきらめの思考Part1【燃え尽きない為に完璧を求めない!あきらめる事も時には必要】、Part2【あきらめとやらないは異なる】はいかがでしたでしょうか?同じ“あきらめ”でもかなり内容は異なりますよね。今回は最終のPart3【あきらめてはいけない事】をまとめました。

“あきらめ”って状況によって一旦あきらめた方がいい事・あきらめではなく手を抜いているだけな事・そしてこれだけはあきらめてはいけないなと思う事があるなぁと感じています。少しでもご参考になりましたら幸いです。

【1. ケアの質】

介護施設ってほとんどの施設が介護士不足で人手が足りないですよね…。介助に時間をかけられないと思う事もありますが、ケアの質を落としていいとは私は考えておりません。むしろ人手が足りない中でもケアの質の向上を目指した方が後々大きな差になると感じています。

例えば“歯磨き”。介護士になってからこの職員さんの歯磨きって“丁寧だなぁ~”“うまいなぁ~”と感じたことって正直あまりありません。逆に“本当に磨いたの?”“歯が汚いなぁ”“これじゃぁ肺炎になってしまうよなぁ”と思う事の方が多いです。

出来てない方の言い分として多く耳にするのは“嫌がるから…”“歯が無いから”“手が出るから”等々…。こういう事を言う職員が多いところって結構な確率で歯ブラシはカビが生えている物をいつ交換したのかも分からない期間使っている・歯磨きの使用具も1個しかない事が多い印象を受けています。

また、手袋を使用せず素手で磨いており、歯の表面を軽く左右に動かすだけの事が多いです。いくつかの施設を経験している職員さんの場合はもう“やる気”の問題だぁと思っていますが、今の施設しか知らずそのようにしか教わることが出来なかった職員さんの場合は可哀そうだなぁと思ってしまいます。

後者の方が教えてくださる場合、初めは“そうなんですねぇ~”と思って聞いていますが、なるべく早い段階から「やってみてもいいですか?」と聞いて行わせていただくようにしています。手袋を装着し両手を使って歯磨き。意外と綺麗に出来てしまう事が多いです。

“えっ!?歯磨き嫌がらない”“やらせてくれますね!!”と驚かれることもあります。必ず声をかけながら手が出てくるときはよけながら、時には腕を掴まれながらも実施します。歯磨きがしっかりできていないと軽くブラッシングするだけで出血が酷い!!

歯科診療の先生から軽く磨いて出る血は出してしまった方がいいと教わっているため私は躊躇しませんが、初めて出血を見た職員は“えぇ!!”と驚いていました。歯磨きをおろそかにすると歯槽膿漏や誤嚥性肺炎を誘発するリスクを伝えながら、手袋を着用する重要性についても説明しています。

こうすると教わることが出来なかっただけの職員さんは次から真似して歯磨きをしてくれるようになる傾向にあります。前述の職員さんに関しては伝えてもきっとやりません。変わる傾向にある人はごくわずかだと感じています。

以前の施設に転職した際、口腔ケアに関して看護課長さんより「ここは誤嚥性肺炎が多いので、歯磨きをしっかりしてくれますか?」と言われた事を今でも覚えています。“ん?”と思いましたが、現場に入って納得でした。時間をかけて徐々にケアの質が上がると外部評価も変わってきます。

施設担当の歯科診療の先生からの評価がまず変わりました。「今年に入ってから歯が格段に綺麗になったね。」と言われるようになりました。この話が歯科診療を対応している看護師から介護職にされます。そのうち「ここのユニットは大丈夫だね。」と看護師からの評価も上がります。

この経験って私は“成功体験”だと思っています。自分たちの頑張りが第三者から認められる事は、ケアの質の向上に繋がります!!“出来てない”“ダメ”“汚い”という評価よりも格段にいいですよね!!これが施設全体に広まれば、施設の評判としても高くなると思っています。

実際に歯科診療の先生が訪問された家で施設選びの相談をされた際、〇〇の施設は丁寧だからいいよと紹介してくださった事もありました。頑張りって必ず誰かが見ていてくれて評価されます。地道で長い道のりですが、ケアの質はあきらめてはいけないと感じています。

これは他のケアに関しても同じです。お風呂の時に足の指の間やかかと、手の拘縮部分の垢をこすって落とす。ひげを剃る・顔を拭いて目ヤニを綺麗に取る・乾燥していたら保湿剤を塗る・爪が伸びていたら切る等々細かい事ですが、私は無意識にそこの部分を観察してしまっています。

気が付いてさっと出来てしまう職員さんが居ると“おっ!!”っと嬉しくなり、密かに“ファン”になってしまいます。その職員さんの行動を観察しいいところをどんどん真似しようとお手本にさせていただいています。こういう職員さんがいると楽しくなります。

【2. 出来る事があるはず】

介護の仕事をしていると困ることって多々ありますよね。利用者様の対応が主ですが、“無理です”と諦めてはもったいないなぁと感じています。介護をし始めた頃は代替え案など浮かばす“できません”“無理です”と思いがちでした。

しかし、年々“こうしてみたらどうだろう?”“これがだめだったかぁ。じゃぁ次こうしてはどうだろう?”“テレビやYouTubeでこの情報を得たから試してみよう!”と試していくうちにやっていればいつかヒットする事が出てくるという事が分かりました。

すぐに結果として見える事もあれば、長い時をかけないと見えない事もあります。同じ症状でも1人1人違う個性がある為仕方がないと思っていますが、ヒットしたときの快感は格別です(笑)“無理”“出来ない”で諦めるのはもったいないなぁと思ってしまいます。

以前対応した利用者様にとても対応に困った方がいらっしゃいました。高次脳機能障害・認知症・水分制限・カリウム制限等々の制約があった方で、自分の思うようにいかないとすぐに大声を出して怒鳴る・他利用者様の水分を取って飲んでしまう・ベッドからの転落・車いすからの転倒等々問題山積みでした。

酷い時は洗面台に栓をして顔を入れて水をがぶがぶ飲んでしまう程。飲みすぎては何度も嘔吐して救急搬送…。カリウム数値がおかしくなっており入院、退院してはまた同じこのことの繰り返し…。医者からは水分管理をしっかりするように言われますが、そうすると怒鳴り出す…。

怒鳴り出すと手が付けられず他利用者様から「怖い」「うるさい」とのクレームが。利用者様同士で喧嘩しています事も何度もありました。病気のせいだと分かっていても職員もストレスが溜まってきます。ご家族様からうかがう以前の性格は穏やかな人だったと聞いていたためセーブできない本人も辛かったと思います。

本来なら専門病院を受診してあった薬を処方していただきたかったのですが、施設側が断固薬反対で叶わず。相談員さんが変わってからはこの状況で放置するのはおかしいとやっと病院受診につなぐことが出来ました。ここで注意したいのが強すぎる薬はNGという事!!必要以上の薬はドラックロックになってしまいます。

医者と相談しながら弱い薬から開始してもらい、ユニット内でも出来ることは無いかといろいろと試しました。まずは何かに集中できる時間を作る為生活歴からヒントが無いか試したり、塗り絵・パズル・写経・以前興味のあった本・散歩・体操・日光浴・ヒーリング・アロマ等々試しました。

1回断られたからと言ってこれはダメだと決めつけず、今日はこれが良かったというものを探し記録しました。この中からたった1つだけ集中して出来るものがあった時は本当にみんなで喜びました。また、怒鳴り始めてからは効果が無い事も分かったので、ソワソワし始めたタイミングで提供するようにしました。

以前とは全く異なるほど怒鳴る回数も減り、利用者様も職員も心のストレスが大幅に減りました。何がヒットするかなんてやってみないと分かりませんし、私たちが“えっ?これ?ないでしょ!”と思ってもそれが意外と良かったりもします。先入観を持たずに少しでも可能性があるのであればやってみることが大切です!!

これは他の事にも役立ち、たとえば環境が整えば自力摂取できる方がこぼしてします。麻痺の問題で上手く口に運べない方に関してすぐに食事介助に移行するのではなく、自助具を変えてみる・すくいやすいように水分をゼリーに変えてみる等々試せることって結構あります。

ちなみに100円ショップの子供向けの商品って結構高齢者にも使える事あります!!“それ子供用でしょう。ありえないんだけど…”と言われた事もありますが、子供向けのイラストのままだったら分かりますが、子供用品と分からない、本人が気に入っていれば全然ありだと思っています。そこは工夫次第ですよね。

考える力が身に着くと自然と“どうにか出来ないかなぁ”と自然と考える頭になり、普段の生活の中から“おっ!これ使えそう”“こういうのが欲しいと思っていた”等欲しかった情報をGET出来る事が増えます。情報収集し、ユニット内で相談して試してみるのが楽しくなっています。

【3. 労働環境】

介護施設って結構ブラックな施設多くないですか…。休憩が取れない・無料残業が多い・異常な連勤シフト・好き嫌いで分かれるシフト・無視・いじめ等々…。見ていてあきれる事もありますが、何か所か施設を転々としましたが、どの施設でも見られる光景です。

ある程度あきらめが付いてしまっている部分もありますが、少子高齢化の今の時代で人手不足が深刻な今現在、この労働環境をしっかりと整備出来る施設が職員から選ばれる施設になると感じています。最近YouTubeのおススメで労働基準法について上がってくることがあり見ていましたが学ぶ事ばかりです。

今は労働者が権利を訴えやすくなった分、労基に訴えて監査が入り指導を受けたという話を耳にする機会が増えました。介護施設って年数が長い施設程昔の考えのまま運営されていることが多い印象を受けていますが、時代と共に考え方や職場環境を変えていかなければいけないなと感じています。

変化を嫌う傾向にある施設では提案・意見しても断られることも多く、煙たがられることがほとんどでした(笑)しかし、転職後に私が訴えていた内容の事で労基に入られ指導を受けたと耳にすることもあり、あの時しっかりと考えて変えていたら良かったと言われた事もあります。

変えるって常務理事会等での決定が必要だったり、今いる職員さんたちの意識も変えていかないといけなかったりするため結構労力を使いますが、労働環境が変わった施設の退職者はとっても少ないです。やめたことを後悔してしまう程です(笑)

職員間の問題については上司が入って解決していくしかありません。放置はNGです!!また、話を聞いているだけもNG!しっかりと話を聞き、周りの職員への聞き取り調査を行い必要であれば指導もしていかなくてはなりません。退職理由の1番は人間関係です。

雰囲気を壊してしまう職員が1人いるだけで環境は悪化します…。仕事が出来たとしても雰囲気を壊して今うのはチームワークが大切な介護施設ではNGだと思っています。1人の為に他の職員を手放すのは勿体ないです。

また、シフト作成について時々好き嫌いでシフトを作る方がいます。誰が見てもこのシフトは酷いと思うシフトが上司のお咎めなく認められている状況を見るとモヤっとします。好きな職員は楽なシフトで、嫌いな職員は連勤に会議は休日出勤。これはやってはいけないことです!!

シフト作成は公平に作らなければ不満に繋がります。この状況を放っておけば退職にも繋がりますし、精神的にも大きなダメージを与えます。我慢しがちな職員だった場合職場に出勤することも出来なくなってしまう事もあります。上司の管理責任になりますね。見逃さないで欲しいです!!

あきめはいけない事は大きくこの3つに分類できるのではないかと感じていますが、皆さんいかがでしたでしょうか?これが叶えばいい施設になるんだろうなぁと思っていますが、現実はそうそう上手くいかないものですよね。

その中でも少しでもいいから変わっていけたらいいなぁと思っています。まずは自分が率先して変えていく意識をもって、かつ押し付けないようにしていきたいと思っています。素敵な施設になったら働くのも楽しくなりますよね。嬉しい報告が出来るように頑張っていきたいと思います!!



プロフィール

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。

介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。

介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。

身長150cm台の小柄な介護士として

Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。

「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

介護士歴12年目、リーダー歴約10年です。


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弊社担当よりご連絡いたします。

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