第25回【介護の進歩 5選】

第25回【介護の進歩 5選】

介護士になって早13年!!本当にあっという間でした。駆け抜けている感じですかね。介護をしていく中で年々介護に関する新しい技術がどんどん出てくるようになり職員も利用者様の負担もだいぶ軽減されてきているように感じます。今回は介護に関する進歩しているなぁと感じる事をまとめました。

【1. 持ち上げない介助】

介護と言えば力仕事のイメージが強いですよね。抱える・持ち上げる・身体を上に上げる・移乗する等とにかく力仕事が多いです。介護をし始めた頃は腰が痛くて痛くて大変でした。排泄介助を行った後は自分が高齢者になったかのように前かがみになった状態のまま移動していました。

自分にあった体の使い方がまだ分からず無理な体勢のまま介助をしているため腰に負担が来てしまいます。ベッドの高さを変える事が腰痛予防には大切と謳われていますが、従来型特養で勤務していた時は対応する人数も80名を超えていたため時間との勝負!!1人1人ベッドの高さ調整をしている時間はありませんでした。

夜勤の時は朝方に2時間弱かけての排泄介助…。腰に悲鳴が来るわけです。拘縮の強い利用者様や内出血ができやすい方は職員2人対応で車いすに移乗しますがこれもまた腰に結構な負担が来ます。ほんの数秒ですがその数秒の積み重ねが痛みとなって現れます。

私は幸運な事に介助後しばらく筋の痛みがあるだけでヘルニアや腰痛にならないで済んでいますが、ヘルニアや腰痛持ちの方・ぎっくり腰もちの方はしんどいだろうなぁと見ていて思います。コルセットは必需品ですよね!ストレッチも大切ですが現場で行う時間が無い忙しさをどうにか考えていかないとですよね。

ユニットケアに移ってからは排泄介助の少なさに感動を覚えました。さらに“ユニットケア”を取り入れている場合は一斉排泄や一斉起床等を行わないので時間をずらすことによりさらに腰には負担がかからず腰痛知らずですごせています。

ここで注意したいのがユニットケアとは“ユニット型施設”ではなく“ユニットケア”をしている施設という事です。ユニット型施設であっても行っているケアが従来型特養と同じように一斉起床・一斉排泄を行っている施設もあります。“ユニットケア”をしている施設は1人1人のペースに合わせてケアをしています。

ユニット型特養の中でも職員の腰への負担軽減、利用者様への負担を考え“リフト”を積極的に導入しているところもあります。私が以前勤めていた施設では浴槽に天井走行リフトを全ユニットに配置・職員2人介助で離床や内出血ができやすい・体重が重い方には組み立て式のリフト・移動式のリフトを導入していました。

“機械で介助”と聞くと初めは「冷たい気がする。」「いちいち機械を使うのが面倒くさい」「自分たちで今まで通り対応した方が早い。」「覚えるのが大変。」等のマイナスなイメージが多く聞かれていました。私自身も初めは“機械に介助されるなんて利用者様が可哀そう”と思っていた人でした。

そんな中リフトについて施設外の方への発表をして欲しいとの要望がありリフトを積極的に使ってみる事に。なれるまでは「面倒くさいなぁ。」「取りに行く時間、装着するが勿体ない。」と思っていましたが、慣れれば時間も短縮できるようになり何より自分の身体への負担が少ない事にありがたさを感じるようになりました。

それまでは謎の内出血ができやすかった利用者様もリフトを使用することによって内出血が減り、職員介助による内出血だったのではないかという話も出ました。職員が介助すると体に力が入ってしまう利用者様もリフトを使用する事によって体に力が入ることなく楽そうな様子が見られていました。

布でつるされて上に上げられる事を怖がってしまうのではないかという懸念を抱いていましたが、足を骨折された方や認知症の症状が強い方においてもとても安心していそうな様子なうえに歌を歌っている方もいて職員が介助するよりも安心感があるのではないかと感じるようになりました。

職員が介助する時はどうしても手のひらに力が集中してしまいますが、リフトであれば布全体が体を包み込むため安心感が大きいと乗ってみて感じました。試しに職員介助とリフトを使った時の介助双方をビデオに収め比べてみましたが、利用者様の反応は雲泥の差でリフトの方が落ち着かれていました。

今ではリフトを導入している施設は増えていますが、私がいた施設ではまだ導入があまり進んでいない6年前に導入しました。発表後は導入しても職員が使ってくれなくてどうしたらいいかという相談を受けていました。これはリーダーが率先して使っていき便利であることを伝えるしかないと伝えていました。

実際にリーダーが率先して使用しメリットを伝えていく事で徐々に使い始める人が出てきます。リーダーが文句ばかりで「面倒。」と使わなかったり使っていてもマイナスな事しか言わなかったりすれば職員は使いません。いかに“楽しそうに使う”かがポイントかと思っています。

一方で機械に頼らず職員の身体の使い方によって楽々介助出来るという方法もあります。最近は良く動画で流れてきますし、以前の施設では機械に頼らない介助を謳っていたため、機械浴やリフト浴もありませんでした。この施設は“機械 = 悪い介助”と決めつける風潮があり、頑なに寝たきりの方を個浴に入れていました…。

確かに頑張れば個浴で入れる方もいましたが、膝とわきの下を抱えて浴槽に入ったり出たりして頂くのは好きでは無かったので“機械浴ならこんなことしなくてもいいのになぁ~”“こうやって入れられたくないなぁ”と思ってしまっていました。何度か寝浴を打診しましたが「使えませんから。」と一括されました。

どちらのケアがいいということは無く、どちらもいい面と難しい面があるのでどちらかしか取り入れないのではなく利用者様に合わせて対応していけたらいいなぁと凄く感じた出来事でした。リフトも全員に使えるのではなく物によっては対象外になってしまう方もいるので“検討していく事”が大切です!!

【2. 見守りセンサー】

今までは離床センサーやマット式の床に置くタイプのセンサーマット、赤外線センサーが主流でしたが、ここ数年部屋に設置する“見守りセンサー”“見守りスキャン”という種類のセンサーが出てくるようになりました。これは部屋に設置し夜間の睡眠状態や離床状況、体動の有無などを教えてくれるものになります。

リフトを導入していた施設ではこの見守りセンサーもデモンストレーションで使っていました。夜間職員が巡視に行くときにすぐに目を覚まされてしまう方っていらっしゃいますよね!その方や体動が多くベッドから落ちてしまう危険がある方、部屋から出て行ってしまう方のお部屋に設置して試しに使っていました。

体動が2時間無いと見に行くようにというお知らせが来たり、部屋から出ようとしている事を知らせてくれたりします。種類によってはカメラが付いている物もありそのタイプのセンサーの時には部屋の中の様子が分かるようになっていました。

巡視の回数を減らし入眠を阻害しない事・夜間職員1人対応で見守りが難しい・気が付くことが遅くなってしまうという状況でも見守りセンサーが知らせてくれることで早く対応できるようになるメリットがある一方、体動が激しい方等は常に情報が飛んでくるためそれが複数人の場合確認が大変になるデメリットもありました。

見守りセンサーはデモンストレーションで使っていた6年前からどんどん進化が進み入眠記録、心拍数、呼吸数が分かる物も出てきています。またカメラなどがあることによって虐待の防止にも大いに役立つと思っています。メリットの方が大きい為、これからは見守りセンサーは主流になってくると思っています。

【3. トロミ付きサーバー】

最近自動販売機でとろみが付けられるようになったものがあるとテレビ報道で聞いて衝撃を受けました!トロミって200mlに小さじ〇杯と決めていても職員によって水分の入れる量が異なる・擦切りでつけてくれる人と山盛りでつける人とがいる等で統一していても濃さが異なることが良くあります。

トロミが薄いと咽やすくなり誤嚥性肺炎のリスクが高まります。一方とろみが強いとゼリーのような固さになってしまい飲み込みにくく、1口が大きいと窒息してしまうリスクがあります。また、とろみをしっかり均等につけるには“混ぜる”という作業がありますがとろみを使用する方が多いと結構な時間がかかるんですよね…。

混ぜている途中で呼ばれてしまうと途中で手を放して対応しに行かなくてはいけませんが、戻ってくるとだまになっていたなんてこともしょっちゅう…。だまになると中々水分に溶けてくれないので作り直しをするなんてこともあります。時間が勿体ないと感じてしまう時も…。

それらの事にとても悩んできた介護士にとってこの自動販売機の存在はとても嬉しいものではないでしょうか。今はまだ出せる飲み物の種類は限られていますが、この自動販売機を導入した施設があると聞いて“そういう使い方もあるか!”“施設にとろみ付き自動販売機って考えなかった”驚きました。

1個1個ボタンを押さなければいけないかもしれませんが、ボタンを押した後は他の業務が出来るのでありがたいのではないかと思っていますが、あなたはどう思いますか?誰が作ってもとろみの濃さが一緒で水分量も一緒だと水分量を少なくして普通にカウントするという事も出来なくなるかと思っています。

トロミで介助の方だと水分量を減らされてしまう傾向があるように感じています。夏場はそのせいで脱水になってしまう方もいます。記録ではしっかり水分量が取れている事になっていても実際はその半分しか出してないなんて事や全く出してないのに記録では飲んだことにしている人も実のところ存在します。

この自動販売機がもっと普及していけば飲み物の種類やトロミの濃さも細かく設定できるようになるのではないかと思っています。そうするともう時間をかけて水分を作る必要や作り置きをしておく必要も無くなります。飲みたい時に提供できるようになるのはとても嬉しいですよね。

ご家族様が面会に来られた時も職員に遠慮せずにその方の濃さのボタンを押して出してあげられるという事も出来そうだなぁ~と感じています。ご家族様と一緒に飲み物を飲みながら談笑できる時間を提供できるようになったらとても嬉しくないですか?

【4. においセンサー】

今排泄介助において革新的な研究と商品開発をしてくださっている方がいらっしゃいます。海外ではテープ型おむつや肌に機械を取り付けて排尿を知らせるシステムがありますが、日本人は肌に機械を付ける事をしたくないという気持ちが強いからと防水シーツのような形のものを作ってくださっています。

私が所属している“地域おむつアドバイザー”の中でも取り上げられ実際に話を伺いましたが、本当に並々ならない気持ちと行動力に“凄い”という言葉しか出てきませんでした。その努力の結晶で出来た商品名は“HELPPAD”最近ではいろんな賞を受賞されています。

開発の為に自分たちが実際にその上に横になり排泄をしてみてセンサーがしっかりと反応するかどうか試しているそうです。データを取る為に人前で試しています。本当に簡単に出来る事ではありません!!企業さんの努力のたまものですし、その努力のおかげで介護士も利用者様も負担が減るのです。感謝しかありません。

排泄介助をする時なんとなくの時間や一斉排泄で他の業務に支障が出ない時間などで決めていませんでしたか?地域おむつアドバイザーの勉強を始めてからここに記録を取って排泄タイミングを確認し対応していく事が大切だという事を知りました。“根拠”が大事なんです!

“HELPPAD”を使用することによって排泄パターンが可視化できるようになります。その根拠を元に排泄時間や使用具の選定を行えるようになります。そうすることによって排泄介助に入ったけど排尿が出ていなかった・排泄時間に入ったけど排尿量が多すぎて失禁していたという事が減ると思っています。

排泄介助って私たち介助者は見慣れてしまっていてあまりなんとも感じないかもしれませんが、やられる側だとどうでしょうか?何度も何度も下部を露出するのって結構嫌ですよね。1人1人に合わせた適正時間・回数を行う事で利用者様の“羞恥心”や“尊厳”も守られるのではないでしょうか?

水様便も早い段階で交換できるようになれば背中漏れや皮膚トラブルが軽減されるのではないかと思っています。下剤の服用なども記録できるため下剤を内服してからどのくらいで反応があるのかも可視化できるようになれば「この時間に入った方がいいね」と決めることもできてきます。

これからもっといろんな機能が付いてくるのではないかと思っていますが、こういう開発者様たちの努力のおかげでこれからの介護はもう少し楽になってくるのではないかと考えています。そうなればもう少し余裕をもって利用者様と関わっていけるし、理想のような穏やかな日々を提供できるのではないかと期待しています。

【5. ロボット】

AI機能がどんどん進化してきている今、介護士がやらなくても大丈夫な仕事はどんどんロボットが行っていくようになると思います。例えばルンバのような自動掃除機。今や自動で掃除したい範囲の見取り、インプットしてそれに合わせて掃除できるようになっています。

以前の物であれば掃除が出来ていない箇所があった事もありますが、AI機能が付いた事により掃除が抜ける箇所が少なくなります。また雑巾をかけてくれるロボットもある為職員が毎日掃除していた時間を利用者様のケアや余暇活動などへ有効に使う事が出来ます。

掃除ロボットが使える時間は利用者様がフロアや部屋等掃除する場所に居ないという事が条件になってきますが、掃除の時間って結構馬鹿にならないので有効に使っていけたらいいなぁと思っています。大掃除やワックス清掃なども出来るようになったらいつでもできるようになるので積極的に使いたいですね。

掃除以外にも最近では会話が出来るロボットも出てきています。今までにも声を出せる人形はありましたが、動作によって決められた言葉を発する事しかできず、利用者様が質問しても受け答えは出来ませんでした。可愛いと人気でしたが今はそれよりもはるかに性能がいい!!

値段は張りますが受け答えがしっかりと出来るので会話を楽しみたい方にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。そのうち職員よりもロボットの方がいいって言われてしまう可能性もあるなぁと危機感を感じていますが、自分も負けずに対応の仕方を向上するきっかけにしたいです。

食事の配膳についても飲食店で使われているロボットが将来介護施設にも導入され、食事の配膳ミスや食事提供時間(準備から配膳)のロスを助けてくれる存在になるのではないかと思っています。トレーに乗せればキッチンまで下膳もしてくれるので食器をもって何往復もせずに済むのは良いですよね。

私が感じている介護の進歩はいかがでしたか?見返してみると本当にありがたい物が増えてきたなぁと思いませんか?しかし今はまだこの流れが始まったばかり。これから先どんどんAI技術の発展や介護ロボットの登場でもっともっと介護士も利用者様も楽なケアが出来るようになると思っています。

そのうちロボットが出来ない事を人間が補助するような形になりそうだなぁと感じなくもないですが、まだまだ先の話だとしてもそうなった時に切り捨てられないように意識してアイディアを出したり熱い思いをもって介助をしたりしていきたいと思います。一緒に頑張っていきましょう!!



プロフィール

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。

介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。

介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。

身長150cm台の小柄な介護士として

Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。

「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

介護士歴12年目、リーダー歴約10年です。


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(2023年11月1日)

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