第4回【歯磨き介助時に気にしている事】
お年寄りの歯あるあるいかがでしたか?今回はあるある編に関連して歯磨き介助についてまとめました。歯磨きって一人ひとり違うケアですが、歯の中の清潔を保てると誤嚥性配線を防ぐことにもつながる為手を抜けないケアだと思っています。
歯の中が綺麗だと利用者様も職員も気持ちがいいですよね。口の中の臭いもしなくなってくると頑張った甲斐があったなぁと嬉しく思います。ちなみにですが、面倒だからと手を抜いたケアをしているのって結構ばれていますよ!!一緒に歯磨きのケアの質を上げていけたらと思います。
【1. 歯と歯茎の間を良く磨く】
皆さん、歯磨き介助をする際、歯と歯茎の間まで磨けていますか?歯の表面に気が向きがちですが、結構歯と歯茎の間って歯垢が溜まりやすいです。年と共に歯茎が下がる分歯垢が溜まって白くなっている事が多い印象です。
力を入れてごしごし磨くと歯にも歯茎にも負担がかかりすぎてしまうため、歯と歯茎の間を狭い範囲ずつ優しく小刻みに左右に動かすと取れやすいです。その際歯ブラシの角度にも気にしていて45度斜めにするようにするとまっすぐよりも取れやすい感覚があります。
歯槽膿漏になっていたり歯磨きがしっかりできていなかったりする場合、軽く磨くだけでも歯茎からの出血が見られることがあります。往診の歯医者さんに聞いたところ、出る血は出してしまった方がいいと教えてもらいました。※軽く磨いて出る場合に限ります!!
歯の裏側や凸凹している歯、欠けている歯、根っこが残っている場、特に奥歯の磨き残しが多い為意識して磨くようにしています。
【2. ぐらついている歯がないか確認する】
いつの間にかあった歯が無くなっていたという事ありませんか?毎日歯を確認して磨いていても、時折あれっ?ここの歯あったような気もするし、前からなかったような気もする…。取れてる?取れていない?なんて迷う事もあります。
歯磨きの時にぐらついている歯に気付いて情報共有しているとあるかないか確認できるので大事です。以前無くなっているような気がすると思っていた時、歯科診療まで確認できないかと思っていたのですが、たまたま歯の写真が残っており確認できたことがあります。
定期的に歯の写真を撮っておくと取れたときに写真と見比べてどこの歯が取れたのか知ることが出来るのでいいなと思いました!!
【3. 口の中にできものが無いか確認する】
口の中が荒れやすい方っていらっしゃいませんか?口内炎やポチッとニキビのようなものが出来ていたり歯茎が腫れていたり…。ほっぺが腫れているなぁ~なんて思ったら口の中が酷い事になっていたこともありました。
麻痺側だったためか利用者様に痛みが無く、気が付かなければそのまま見過ごしていた可能性もあったと思うとゾッとしました。原因は磨き残しで口の中で繁殖した菌が小さい傷口に入り化膿してしまったとの事でした。麻痺側は口が開きにくい事もありよく見ないといけないなと感じました。
手袋を着用し、頬を広げながらよく確認するようにしたり、マウスウォッシュも併用したりしてそれ以降炎症を起こす事はなく済んでいます。痛みが無いから大丈夫は慢心だなぁと思い知らされた出来事でした。
これはごく稀ですが、麻痺側の奥歯の方から呑み込めていなかった錠剤が見つかる事もあります!!
【4. 上顎の粘つきを落とす】
胃婁の方やトロミ付きの飲み物を飲まれる方、食事がペースト食の方に多いように感じています。トロトロしているため口腔内に残りやすく歯と歯茎だけでなく、頬の内側や上顎、舌の下などに食事や水分が残っている事が多いです。
それに気が付かず歯と歯茎だけ掃除して横になってしまうと、誤嚥性肺炎になってしまうリスクが高くなります。口腔スポンジや口腔ガーゼなどを使用し上顎、頬の内側、舌の下等を使用し優しく取り除くようにしています。
口呼吸される方の場合、粘つきが固まってしまっていることがあります。無理やり力で取ろうとすると傷をつけてしまうことになりかねませんので、水で湿らせて柔らかくなったところを優しくふき取ってあげてください。
また、胃婁の方やトロミを使用している方の場合うがいが出来ない為、歯磨き粉を使用せず水だけで磨くことがあるかと思います。可能であればマウスウォッシュを使用し口腔内の菌対策が出来たらいいですよね。ご家族様の事情もあると思いますので相談が必要です。
【5. 舌苔の汚れを落とす】
舌苔が多いと口臭の原因にもなりますよね。舌ブラシが購入できるのであれば購入していただき舌磨きも行えるといいですね。時々歯ブラシで舌を磨いている場面を目撃しますが、舌を傷つけてしまったり、菌を舌にのせてしまったりする可能性がある為専用の物を使用しましょう。
反射嘔吐されやすい方の場合、食事後に行ってしまうと嘔吐の原因になり窒息や誤嚥性肺炎のリスクを高めてしまうため、1時間以上時間を空けて等工夫することも大切です。
歯磨きってこれで正しいのかな?この方の歯磨きってどうやったらいいのかな?何を使ったら綺麗に磨けるのかな?等悩ましい事多いですよね?私もいまだに悩む事あります。
そんな時は往診の先生に相談するようにしています。往診の歯科診療にかかっている方の場合は職員が一緒について教えてもらえることが多いです。以前勤めていた施設では定期的に職員向けの歯磨き講座を往診の先生にして頂き、そこで質問等していました。 こういう環境を作ることも大切だと感じています。先生と一緒に利用者様の歯のケアの質の向上を目指し、健康面でサポートしてけるなんて素敵ですよね。良い他職種連携だと思っています。
利用者様の歯の為に勉強・連携していますが、実は自分の歯の為にも学ぶ事って大事だと思っていて、自分の歯の為にもなっています。学ぶって大切ですね!!
プロフィール
(2022年10月27日)