第23回【守らないとヤバイ!労働に関する事 5選】

第23回【守らないとヤバイ!労働に関する事 5選】

働き方改革が謳われている昨今ですが、介護施設の働き方改革って中々進んでいないように感じています。閉鎖的環境だからなのでしょうか…。周りがどんどん働き方を変えている中、変わっていかない事にもどかしさも感じています。

一昔前までは当たり前だったことも時代や労働基準法の観点からは違法になっている事もあります。これは私たち労働者も知らなくてはいけないことだと感じています。今回は労働基準法の中で介護にも関係してくることをまとめました。ご参考までに。

【1. 休憩は業務から完全に離れる】

皆さんは休憩時間になった時現場から離れて休むことが出来ていますか?人手が足りなくて現場に残り見守りをしながらの休憩や休憩が取れないなんて事ありませんか?私も何度か人手が足りず休憩を取っている暇が無く食事を食べながら見守りを行う事や電話対応、ご家族様対応をしたことがあります。

労働基準法の定める“休憩時間”の定義は“休憩時間は労働者が権利として労働から離れる事がされなければなりません”とされています。つまり、人手が足りずに見守りをしながらの休憩は休憩時間に含まれないという事です。本来ならば休憩時間には当てはまらないので、別にしっかりと休憩時間をもらう必要があります。

ちなみに、見守りや電話対応などをしながら休憩とされてしまっていた時間は休憩時間ではなく“待機時間”や“手間時間”とされます。休憩が取れない時間を残業時間として請求できる施設もありましたが、たいていは請求も残業扱いにもされず、職員の優しさに甘えている施設が多い印象です…。

これは職員が声を大にして休憩が取れるような環境を作っていかなければならないと感じています。私もこのことを知ったのは最近だったため、もっと早く知って職場環境を変えられるように働きかけられたら良かったなと思っています。

施設側も職員が言ってこないからいいだろうではなく、休憩が取れているか現場に赴いて様子を確認し、休憩が取れていないようであればどうすれば休憩が取れるようになるのかを話し合い解決していかなくてはなりません。これは現場だけでなく、看護師も事務職員も同様です。

休憩時間については労働基準法第34条において下記のように定められていますのでご参照までに。
・6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分
・8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を与えなければならないとされています。

8時間勤務で残業になった時普段の休憩時間以外に1時間取らせてくれていた施設は対応がとても神だったなと感じました。本来であれば1時間取っていればそれ以上の休憩を取らなくてもいいって解釈も出来ますよね…。こういうところで職員に対する優しさを感じます!

【2. 休みは午前0時から午後12時までをいう】

直近の職場以外ずっとショート夜勤(8時間)しか行ってきませんでした。ショート夜勤の時ってシフトの組み方が2パターンあると感じています。1つは夜勤を連続して2日続けて“夜・夜・休・休”にするパターンと単発夜勤で次の日から勤務になるパターン。“夜・休・早・遅・遅”等。

単発夜勤の次の日って施設によって考え方が異なり、“夜・明休・早・早・遅・遅”のように4連勤が始まる所と“夜・明休・遅・休”叉は“夜・明休・休・早”にするパターンがありました。前述のシフトは丸1日ゆっくり休める日が来るまで休んだ気がしませんでした。連勤になりがちです。

後述の時は基本2日連続の夜勤ですが、5回になる時はシフトが上手く組めず単発になるのでこういうシフトパターンにするという決まりがありました。働く側からすると2連続夜勤はきついですがその分丸1日休みが増えるので後述の方がとてもありがたかったです。

分かりやすいようにすると、例えば月4回の夜勤があったとして単発夜勤の時は4回が夜勤で4回が明休みとなります。月9日休の場合丸1日休みは5日。2連続夜勤の時は2連続夜勤が2回と明休みが2回となります。丸1日休めるのは7日間となります。

こう比較すると丸1日休みが2日増える事が分かるかと思います。2日増える事ってとても重要だと感じていますが皆さんはいかがでしょうか?明休みと丸1日休みでは結構大きな差がありますよね!身体はちょっとキツイかもしれませんが2連続夜勤が好まれていました。

今までシフトを作成していましたが、基本的には2連続夜勤を主に作っており、2連続夜勤がキツイ人には単発夜勤を入れるようにしていました。また夜勤を多く入れて欲しいという職員には相談しながら3連続夜勤を入れる事もあります。その場合は明休みの後に2連休を入れるなどの配慮をしていました。

シフトを作成する時、夜勤明けの休みは連続して24時間休めていないといけないと教わっていました。なので単発の夜勤明けを作る時は明の退勤時間7時から連続した24時間以降のシフト、つまり翌日の7時以降のシフトになるようにしていました。残業等を考えると遅番が一番安全なシフトという事になります。

こう思って作成していましたが、じつはこの考え間違っていたんです!労働基準法第35条においての休日とは午前0時から午後12時までの連続した24時間を休日と定義しているため、夜勤の終わりが翌日を回った時点で法廷休という事にはならないのです!!

つまりは公休9日となっている場合夜勤明けが4回あると本来は法定休5日と夜勤明け4日という事になります。これは労働基準法違反では?と思ってしまいますよね!私もこの事実を知った時は労働基準法を無視しているじゃないか!介護はブラック業界なの?と思ってしまいました。

しかし、労働基準法第35条では少なくとも毎週1回の休日を与えなければならないとされており、明休み以外に休みがあれば問題がない事になるのです。または4週に4日の休日を与える事も認められるとなっています。つまり、法廷休5日と夜勤明け4日の場合は条件を満たせば労働基準法に違法ではないという事になります。

この場合は就業規則の書き方を変える必要があると感じています。ロング夜勤(16時間夜勤)の場合は明休み以外に休みがある為公休9日は守られると思いますが、ショート夜勤を取り入れている施設はトラブルの元にもなりかねませんし、就業規則に記載した方がいいのではないでしょうか?

また、夜勤を多く行っている方は注意が必要です。例えば
“早・早・遅・夜・明休・休・早・早・遅・遅・休・早・遅・夜・明休・休・早・早・休・”は問題ないですが“早・早・夜・明休・早・遅・夜・明休・早・早・早・夜・明休・休・早・早・遅・夜・明休”等明休みでない日が少なくなると労働基準法に引っかかる可能性が出てきます。

4週の内に明休みでない日が4日入れられればセーフですが、前半2週間程度明休みしかなく後半に明休みではない休みが4日あったとしてもキツイですよね!!いくら法的にはセーフの範囲になるからといってこれでは職員が倒れてしまいます。

シフトを作成する際はこのことに十分考慮して作成しなければなりません。時々明休みが続き12連勤等という事を目にしたり聞いたりすることがありますが、この作り方はとても危険です…。バランスよく作ることが難しい時もありますが、職員の身体の事を考えて作成していきたいなと思いました。

【3. 出勤時間よりも早く出勤を促すことは業務命令になる】

皆さんの施設では何分前に出勤することが必要と言われていますか?私が介護を始めた頃は30分前には出勤して事前準備や業務日誌や報告書を読むことが暗黙の了解とされていました。また、先輩よりも早く出勤することも暗黙でしたね…。こういう施設今でもまだ多いのではないでしょうか?

一方で業務開始ギリギリに出勤してくる職員も多くなってきたなぁと感じるこの頃。特に若い世代の人たちは早くても5分前、時には遅刻か?と思う程業務開始数秒前に出勤してくる人がいます。こんな時「もう少し早く来た方がいいですよ。」と言ってしまいがちですが、それを言ってしまうと業務命令になってしまうんです!

私もここ数年の間でこの事を知ったのですが、時代の流れとともに働き方も徐々に変わりつつあります。賃金の発生しない時間から業務を行う事は違法行為という考え方が定着してきているため何とも難しい問題も発生しています。

ベテラン介護士さんたちの時代は始業時間には業務を開始できる状態にしておくことが一般的でしたが、若い世代の介護士さんは始業時間から申し送りや報告書を見てから動き出す事が一般的になっています。こうなると「あの人は来るのが遅い。リーダー注意してよ。」という話が必ずと言っていい程上がってきます。

数年目からリーダー会議等で「早く出勤するようには業務命令になるから言わないように。」と言われ始めており、その旨を説明しても中々納得されない方がいらっしゃるのが実情です。自分たちが当たり前だと思っていた事と異なる考えを持った人に対してはこういう反応をされる事結構ありますよね。

注意したいけど出来ない場面も。入職時一定期間誰かについて業務や利用者様の事を教えてもらうと思いますが、その際に教える側が早く出勤しているのに教わる側が時間ギリギリに来る場合です。この場合本来ならば「教える側を待たせるのは…。」と言いたくなるのですが、どういえばいいのか凄く困っています。

独り立ちしてから出勤する時間を遅くする分には問題ないのですが、教えている間は通常業務よりも時間がかかります。その分早く来て教えてあげようとしている職員の気持ちやこの時間から始めないと終わらないというその職員のルーティンがあるかと思います。

直接何時に来るようにとは言えませんが、あまりにもギリギリの場合には教える側の心構えを伝え、教わっている側であることを伝えそれとなくもう少し早めに来られないか伝えていますが、伝わるかどうかは難しいところです。ギリギリ出勤が続く場合は教わる気が無いと先に業務を始めてしまっている職員もいます。

本来は教わる側もそろってから教え始めて欲しいのですが、こればかりは本当に注意の仕方が難しい!!教える側には「早く来るように!」とは言ってはいけない事は伝えています。業務中に「1人だと慣れるまで時間がかかって押せ押せで焦って仕事をしていた。」等上手く伝えてくれる人もいます。

早く来なくても業務がこなせる環境を整える事が一番大事な事はわかっているのですが、現場だけの問題ではない事もあります。厨房が委託だった場合その会社内でのルールや施設との決まり事もあります。時間に押される事もありますが、お互いそれぞれのルールを守らなくてはいけないので難しいところ…。

また、勤務時間によっては夜勤者の退勤時間と早番者の出勤時間が同じ時間になっている事もあります。その場合、遅く出勤してくる人は良いかもしれませんが、仕事上がりの人は退勤時間になってから申し送りが始まることも少なくありません。

その場合は夜勤者が残業という形になってしまいます。勤務時間を30分程度ずらせるのであれば問題ないと思いますが、勤務時間を変えるのって簡単ではありません。自分の権利だけでなく、相手の事も考えられないと困ってしまいます。この場合はそのことを伝えるようにしています。

昔は“社会人として”“社会人のマナー”と言えていたことも言えなくなってきていますよね。働きやすい環境になってきていると思う一方で注意するにも出来ない、どう伝えたらいいのか分からない等の問題も出てきています。コミュニケーションを取ることが大事なのだとは思いますが、人間関係の構築方法も変わってきています。

時代の変化に合わせて私たちもどういうアプローチをしていけばいいのか等勉強してかなくてはいけないのかもしれません。職員間の関係性って利用者様のケアの質にも繋がってきます。臨機応変に業務形態を変えていく軽いフットワークが求められていくのかもしれません。

【4. 勝手なシフト変更は違法になる】

今までいくつかの施設で働いてきましたが、直近の施設はシフトが出た後に本人の了承なくシフトを変えてしまうところでした。ある日出勤したらなんか赤字で書いてあるなぁと思い良く見たら勤務変更になっていました。申し送りノートには勤務変更になっているから各自確認するようにと…。

“えっ?聞いてないんだけど!なんで勝手に変更するの?”というのが正直な気持ち。今まで私もシフトを作成してきましたが、シフト変更する時は必ず当人に勤務変更の理由と変更になるシフトを伝え、了承を得てから変更していただけに、衝撃でした。知らされることもなく勝手に変更なんて…。

変更になっている事を聞いていない事・一度出たシフトを元に予定を立てているため交換が必要になった時は相談して欲しい事を伝えました。「そうだよね。ごめんね。」と言われましたが、まさかの翌月、その次の月も何の断りもなくシフトが変更になっていました。

この時は勤務後に予定を入れていたため「絶対に無理です。」と断り、何故一言相談をしてくれないのかと尋ねました。「今まで勤務変更はこうやって来たら。」と言われましたが、納得がいくわけがありません。調べたところシフトが出てからの勝手なシフト変更は違法になるとの事でその旨を伝えました。

また、以前あったのが「今日は人が多いから2時間早く退勤していいよ。でも明日は人が居ないからその分明日2時間長めに勤務してね。」という会話。2日合わせて16時間なので問題が無いかと思いがちですが、2日目に関しては残業割増が貰えないという事が発生しています。

また、早めに退勤する2時間を時間有休に出来る場合は良いのですがそうではない場合は最悪早退ということにされ賃金カットにもなってしまう事もあるかもしれません。これでは働く側にとって不利でしかありませんよね。施設側が得するだけです。

私もここまでは考えていなかったのですが、言われてみればそうだよなぁと気づかされました。ただし次の場合は当人の了承を得ている事が大前提ですが問題が無いとの事です。それは1日8時間勤務で出勤時間と退勤時間を1時間遅らせる等の場合。これはたまにすることがありました。

また例外的に大幅な勤務変更が認められるケースもあります。それは自然災害や倒産等の時です。この時はケースバイケースですが、本人の了承は“必ず”必要です。どんな時でも理由と変更の可否を聞くようにすることが大切です。施設側の勝手な変更だけはしないようにしましょう!!

もしもこれらのことを施設側が知っていた上でそれを教えずに行っていた場合、結構悪質だなぁと思います。その一方で私たち働く側もしっかりと労働基準法を知らないと知らぬ間にいいように使われてしまう事になるなと感じました。労働基準法について調べるうちに“知る事ってとても大事”な事だと感じました。

【5. 退職届は拒否できない】

直近の施設での出来事。転職して試用期間が終了する頃に“ここの施設では長い期間働くことは難しい”と思い退職届を提出しました。勿論理由を聞きたいと施設長室で話し合いを行いました。自分が目指すケアとかけ離れている事や見ていて耐えられないケアをしている旨伝えました。

「そういう意見を言ってくれる人が欲しかった。変えていって欲しい。」と言われ「これ(退職届)は受け取れない。」と返されました。変えていくと言っても今のケアが当たり前になっている状況でケアの方法を変えていく事って骨が折れる程難しい事。

職員の性格を理解したうえで「ここでは難しい。」と判断しましたが上の方々はケアの方法を変えていく起爆剤になって欲しい事。とてもありがたい言葉でもう少し頑張ってみようと奮闘しますがどんどん悪い面が表に現れてくる状況。細かいことまでは言えませんが頭が痛くなるほどでした。

上司に状況を伝えても「本人に注意しろよ。」「悪いところは悪いって言えない関係性じゃだめだろう。」「あいつ(リーダー)はやばいなぁ。」というばかり。結局人に丸投げで自分は何もしないスタンスが見え始めここで頑張ることに何の意味があるのかと不信感を抱くようになりました。

悪いところは「ここが出来ていない」「あれが出来ていない」「怠慢だ。」と文句ばかり。ではどうしていけばいいのか尋ねると「それは現場で考えろ」と…。悪いところがあるのであればどう改善していけばいいのか施設全体で考えなくてはいけないのでは?と苛立つばかり…。

2回目の退職届を出しに行きましたが「それを提出するのは俺(施設長)じゃない。〇〇から出されたなら受け取るが。」と言われた時はこの施設長は職員をどう見ているのかと憤りを感じるとともに、付いていけないと思いました。その後も話をしようとすると逃げられ退職届が提出出来ない状態に…。

人生初めて労働基準監督署に行って相談しました。基本的には退職したい日の2週間前に退職届を出せば問題が無い事や退職届を受理しないことは無効だと言われました。就業規則に退職届の提出についての期間が定まれている場合、2週間前ルールの適応は難しいかもしれないとも言われました。

また、労基で相談した相手により退職届を出してからその後も定期的に退職した旨を伝えていかないと残留するという暗黙の了承になってしまうという方、受理されなくても一番初めに出した退職届が有効だという方がいますので、相談する相手にもよるかもしれません。

私の場合3回程労働基準監督署に相談に行きました。そこで最終的には1回目に返された退職届が受理しなかったとしても有効であるという結論に至りました。労働基準監督署に相談しに行ったことを伝えた上で再度退職届を提出しました。

退職日は1番初めに退職届を出した日から3か月が経過していたため当月中に辞める日に書き直して出しました。その時「施設のルールとして退職届は3か月前だから退職日を今から3か月後に書き直して持ってきて。」と…。ずるいなぁと思いました。これ以外にも納得のいかない条件ばかり…。

再度労働基準監督署に相談に行くと「強気に出ないと良いように使われる。きっとこのままではまた退職届を受理しない・退職日を3か月後にしろって言われてずるずるいってしまう。」と言われました。その通りだと思いましたが、中々強気に行くことが出来ず自分の性格が嫌になりました。

私の性格をみかねてか退職届を簡易書留で送るようにという事・有休消化等の希望も退職届と一緒に封筒に入れて送るようにとアドバイスを貰いました。その際は労働基準監督署に行って相談しこういう内容でいいと言われた旨も一筆添えました。

“労働基準監督署”という言葉ってとても強いですよね。この文を入れただけでそれ以上は何も言われませんでした。最後の方は診断書を書いてもらい休みながらのやりとりになりましたが、勤務しながらこのやり取りをしていたら気持ちが滅入ってしまったと思います。

退職したいと思っている職員を無理やり引き留めておいてもやる気はどんどん無くなるばかりなので、施設側にとっても働く側にとってもいい事はないと思っています。無理やり引き留めるのではなく、魅力ある施設運営をしていく姿勢が大切なのではないかと思います。

これらが私たち働く側も知っておいた方がいいと思った労働基準法や民法です。こういう事って会社側に丸投げしてしまいがちですが、自分たちを守る為にも自分たちが率先して学ばなければいけない事でもあるかもしれません。一緒に勉強していきましょう!!



プロフィール

介護の学校を卒業し、介護福祉士として働き始めました。

介護福祉士歴14年で、26歳の時に、半年間ベトナムでの施設ボランティアを経験しました。

介護施設は現在で5社目で、今はリーダーとして働かせていただいています。

身長150cm台の小柄な介護士として

Instagramでは介護をする方へ少しでも役に立てるような発信をする活動をしています。

「今日が1番若い日」を心がけて、お年寄りに接しています。

介護士歴12年目、リーダー歴約10年です。


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