第25回【なぜあの職員は問題解決能力が高いの?】
職場で問題が起きたときすぐに解決策が出る人っていませんか?しかも内容がしっかりしていて“凄い!”と思うような解決策なので“なんでそんなに解決策が出てくるの?解決内容も凄くてどういう思考回路をたどっているの?”と気になった事がありませんか。
私はそう感じた人が数名いました。その施設では毎年職員に年間目標を作ってもらい、半年単位で振り返りを行う習慣がりました。その際に用いられていたのが“PDCAサイクル”。学生の頃には聞いた事が無く、就職してから初めて行うものでした。
PDCAサイクルを取り入れていくうちに問題解決能力が高い人はPDCAサイクルが習慣化していて“考える力”が身についているのだと感じました。PDCAサイクルを習慣化することによって何事にも考えて検証していく力が身に付くと身をもって感じています。
今回はPDCAサイクルについてどういうものなのかを紹介していきたいと思います。今はこれ以外にも大谷翔平選手が昔から行っていた夢を叶える為の“マンダラチャート”の活用が有効であると耳にする機会が増えました。“自分を見つめなおす”“どうしたいのか考える”力が必要とされる時代なのかもしれないですね。
【1. PDCAサイクルとは】
“PDCAサイクル”という言葉を聞いた事ありますか?PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものになります。流れとしてはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)そしてまたPlan(計画)の順で繰り返し行います。
この流れを常に行っていく事でケアの質がどんどん向上していき、問題が発生した時もこれを元に何が原因でどう対処していけばいいのかを考えられるようになっていきます。指示をされてからでないと行動できないよりもみんなが考え意見を出し合っていった方が個人としても施設としても成長度は大きいと感じています。
ではどうやって“PDCAサイクル”を活用していけばいいのか?ひとつずつ順を追って説明していきます。私は“PDCAサイクル”を導入している施設で仕事をしていた時に考える能力や客観的に物事を見る力が身に付いたと実感しています。離れてからは尚更ありがたい環境だったなと思っています。
【2. Plan(計画)】
計画をたてるにあたり、まずは個人の年間目標やユニット内目標、施設目標を元に自分は何が出来て何が出来なさそうかを紙に書き出していきます。その中で出来そうな事・出来なさそうな事・頑張れば出来そうな事柄を計画にしていきます。資格取得も目標になりますね。
計画を作る際はWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくらで)を組み込んで検討するとより具体的に考えられるかと思います。具体的に物事を考えられた方が計画するにあたり成功時のイメージがしやすいです。
例えば介護福祉士や社会福祉士・ケアマネージャーの資格取得を目標とする事やユニット内で利用者様と1対1での外出を企画するとあった場合、担当利用者様の行きたい場所を聞き取り料金が発生する場合は行きたい場所の利用料金や食事処での予算を盛り込んで計画を立てます。
計画を立てるにあたり、おのずと自分が何をしなくてはいけないのかが見えてくるはずです。計画は時期も書き出していきます。ここまでにこの範囲までの勉強をする・この時期に試験申し込みが開始されるため必要な資料を集めておく・ご家族様との連絡調整・タイムスケジュールを作るなどが計画に入ってきます。
いわゆる年次計画書のようなものでしょうか。大まかな年次計画書を元にそれをもっと細かく深堀していく作業を行っていきます。大切なのは簡単に達成できてしまう目標ではなく、頑張れば達成できる目標を立てる事!簡単な目標では成長は期待できないと思っています。
この流れがどう問題解決に繋がっていくのかというと、例えば転倒事故が起きたとします。その際、一番初めに何故転倒事故が起きていしまったのかという検討をしますよね。その後、事故原因を元に転倒を防ぐための対応策を考えます。この対応策がPlan(計画)にあたると思っています。
【3. Do(実行)】
立てた計画を元に実行していきます。先ほどの転倒事故の場合であれば対応策を遂行することに当たります。計画通りにスムーズにいく事もあれば思うように進まないことも出てきます。どういう流れで進んでいるのかを記録しておくのも大切です。
また、“ここはこうした方がよさそう”という事があればそれも書き出していきます。このやってみてどうだったかという感覚をメモに残せることで次のCheck(評価)をする時にとても役立ちます。いろんなことを感じながらDo(実行)出来るといいですね。
【4. Check(評価)】
Plan(計画)を立ててDo(実行)した事に対しての評価を行います。計画通りに進んでいたのか、思うように進まなかったのかについて深く検証していきます。計画通りに進まなかった時には何故計画通りに進まなかったのか、原因はどこにあるのかを検討します。
ここで役に立ってくるのが先ほどDo(実行)した時の記録です。ここの部分でつまずいてしまった・ここの部分をこうした方がよさそうだと感じたなど、実行してみての感想があれば原因を探る際に大きなヒントとなります。
計画通りに進んだ時もスムーズに遂行出来た要因を評価します。例えばこの時期にご家族様に了承を得る事が出来たため早めに施設や食事処の予約をすることができた。施設利用料や食事処の大まかな予算を早めに算出してご家族様に相談したから了承を得る事が出来たという感じで評価します。
こういう評価をすることによって成功した時の“成功体験”を感じる事が出来るようになります。成功体験が増えれば増えるほど“次はこれをやってみよう”“このやり方は間違っていなかったんだ”というやる気や自信に繋がってきます。
これを事例の事故に当てはめていくと、立てた対応策があっていたのかそれとも修正が必要になってくるのかを検討することに当たります。立てた対応策に問題が無い場合は対応策を引き続き実行し、変更が必要な場合は何をどう変えた方がいいか検討するとこになります。
【5. Action(改善)】
Do(実行)、Check(評価)をしてみてこのままの計画のまま進めてもいいか・一部改善して再度計画を立てるか・計画を中止または延期するかどうかを決めていきます。このまま計画を進めていく場合には予定通り計画を遂行しながらまた評価をしていきます。
計画を変更したり延期したりする場合にはどう変更するのか、中止する理由は何かを検討します。先ほどの転倒事故の場合は対応策をそのまま継続していくのか、立てた計画の変更が必要であればどう変更していくのかを決めていきます。
ここでどうするかを決めたのち、また最初のPlan(計画)に戻りPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)と続いていきます。これを繰り返していく事によって徐々に考える力や想像力が付くようになり、結果問題解決能力が高くなると感じています。
問題解決能力と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要は“自分で考える力”が身に付く事が大切だと思っています。自分で考え発信し対処していく事で自分の経験値が上がっていきます。“間違えてしまったらどうしよう”という不安な気持ちがあるのも分かります。
しかし、失敗から沢山の事を学べます。失敗した事により同じ失敗をしないように回避したり、何が失敗に繋がったのかを考え検討したりしていく事で次に生かすことが出来ます。考える力を身につけて問題解決能力を一緒に高めていきましょう!!
プロフィール
(2023年11月8日)