第30回【リーダーになって学んだこと・気を付けていること7選】
リーダーの仕事って大変ですよね。何が正解なのか分からないし、上司と部下に挟まれたり何かと文句を言われたり…。年上の方には意を決して注意することもあれば部下や実習生の育成や対応をすることもあって普段の仕事だけでなくあれこれ考えながら仕事をするので本当に大変です。
何かあれば「リーダー」と呼ばれ、冷静かつ的確に判断しなくてはなりません。常に一緒に仕事をしている人の動きを見ながら・何か依頼や注意する時の言葉選び・やらなくてはいけない事を考えながらの仕事…。辛いことも大変な事もありましたがやりがいややって良かった思える事もありました。
リーダーを担う中で初めは不安でしかなかった事も年月とともに徐々に自信を持ち比較的冷静に物事を考えられるようになってきたと思います。その中で“もがいて悩んで学んだこと”をまとめました!これが最後の投稿となります。共感してくださる方や悩んでいる方に届いたら幸いです。
Contents
【1. 気分のムラは出さない。常に笑顔を絶やさない】
リーダーの機嫌が悪いと職場の雰囲気も悪くなりますよね。機嫌が悪いと“あぁ今は話さない方がいいよな。”“今日は怒っているからこの件報告したくないよなぁ”“早く帰りたい”と思ってしまいます。喜怒哀楽が激しい方や波が激しい方の場合は“今の様子”を観察しながら仕事を行うようになります。
悪い雰囲気は利用者様にも伝わります。特に認知症の方には大影響を与えてしまい、不穏のオンパレードになることもあります。認知症の方って雰囲気を敏感に感じるなぁと感じています。職員の雰囲気が利用者様に伝わって悪い方向に言ってしまうのは嫌ですよね。
逆に楽しそうに仕事をしていると周りの職員も自然と楽しく仕事をするようになり、利用者様も笑顔になります。楽しく仕事をする事で相談や報告もスムーズになりますし、職場内の意見交換も積極的になります。楽しい雰囲気や悪い雰囲気は伝染していくので、率先して楽しく仕事をするように意識しています。
とはいえ時には愚痴りたくなることや泣きたくなることもあります。そんな時は仕事終わりに心許せる職員に愚痴を聞いてもらったり話を聞いてもらったりしています。その感情まで抑え込んでしまっては精神的に良くないのでなんでも話が出来る仲間を見つける事も大切です!!
【2. 自信の無さは隠す】
リーダーになりたての頃って仕事に対しても不安がある上にリーダーの責務までと思うとプレッシャーで押しつぶされそうになりますよね。私の場合、初めて就職した施設が特殊で2年目からリーダーの職を担いましたが本当に不安しかなく、先輩方の目が気になりすぎてしんどかったです。
何か決定するとなるとすべてにおいて相談が来てどうするか意見を求められます。介護の知識も経験も1年しかない状態での判断って出来ないです。これでいいのかって不安ですし、他の先輩職員に相談しながら行っていました。
その不安な気持ちが行動にも出てしまい周りの目からは“オドオドしている”ように映ってしまっていました。リーダーになりたいと思っていた先輩からは自分を越して先にリーダーを担っている事でも気に入らないのにさらに自信なさげに仕事をされたら尚イライラさせてしまいますよね。
「リーダーなのにそんなことも分からないの?」と言われたことが悔しくて怖くて情けなくて、リーダー1年目はどれだけ泣いたか分かりません。先輩と同じ勤務になることが本当に辛かった…。相談すらできませんでしたし、率先して仕事をするぐらいしかできませんでした。
これと関係あるか分かりませんが、2年目になる直前に車にスプレーで落書きされたこともありますし、自宅で不審な事が沢山起こり警察沙汰になった事もあります。仕事中は皆普段通り接してくるので、誰がこんなことをするのか恐怖でしかありませんでした。もう人間不信ですよね。
さらにリーダー1年目に疥癬の集団感染がありました。従来型特養だったこともあり利用者様も職員もほぼ全員疥癬に感染してしまいました。もう1人のリーダーもリーダー1年目で毎日どうしていくか話し合いを行い、病院受診と居室移動・バルサン・入浴調整など決めていました。
職員の体調不良もカバーしなければならず、“リーダーだから頑張らないと”と2人で残業を負担しあっていました。今思えばもっと他の職員にも頼ればよかったのですが、この時は2人とも自分の事や疥癬の事で必死過ぎて“自分たちが頑張ればいい”と思っていました。
夜勤が回らない時は遅番から深夜2時まで残業してもう1人が深夜2時から早番業務までをこなすなんて事もしていました。若いから出来ていましたが、今はもう出来ないと思います。自分自身に鞭を打って仕事をしていましたが、それが功を奏したのか周りの目も変わってきたように感じました。
自分がそう感じただけかもしれませんが、必死に仕事をしていくうちに徐々に自信が付いてきたのだと思います。自信が出てくると周りの対応も少しずつ変わってきます。分からない事は恥を捨てて聞く・調べる・勉強するようにする事や経験を重ねるごとに“これでいいんだ”という自信に繋がるようになりました。
不安そうなリーダーについて行くのって“大丈夫かなぁ”と部下も不安になりますよね。逆に“付いてこい!”ぐらいどんと構えているリーダーだと安心感がありませんか?このことから自信が無い事は隠すようにした方がいい事や不安をのける程の経験を積むしかないと思いました。
リーダーなりたての頃なんて不安があって当たり前!!初めからなんでもかんでも上手く出来る人なんていません。失敗を重ね、成功体験を積んでいく事で自信が付いてくるもの!周りに頼りながら自分の苦手な事を克服できるようになります。失敗してもめげずに成功への近道ととらえていきましょう!!
【3. 誰と話をする時も敬語を使う】
介護現場ってため口で話している光景をよく見かけますよね。年上でも先輩でも施設長にでもため口なので本当に驚きますよね。友達じゃないし、プライベートの時間でもないので介護業界だから通用するのかなぁと思ってはいますが、はたから見るとおかしいですよね。
私はため口には違和感しか覚えず、相手に敬意を示す意味でも仕事中は同期でも年下でも部下でも実習生でも敬語を使うように意識していました。最初に就職した法人では同期も同じ考えの人が多かったので、職場では敬語・遊ぶ時はため口と使い分けていました。
結構驚かれることもありまたが、敬語を使う事によって“今は仕事中”という感覚がありました。ある程度敬語を使って距離を作ることで近づきすぎないようにも出来ていたかなぁと思っています。ため口だとどうしても友達のような感覚になりますし、いろんなことがフランクになりがちです。
嫌な事があった場合ギスギスしがちですし、逆に注意をしたい時に仲が良すぎて注意しても響かないと悩んでいる人も居ました。ある程度近すぎず且つ離れすぎない程度の距離を保つためにも敬語は使った方がいいかなぁと感じています。距離感って大事!!
【4. どんどんチャレンジする・仕事を任せる】
何か物事を決める時って結構トップダウンになりがちですよね。私も上から指示することがリーダーとしての役目だと思ってしまっていた時がありました。しかし、トップダウンでの仕事は不満を抱かせてやる気をそぐだけだなぁと感じるようになりました。
色んな人の気づきを吸い上げてみる・考えられるリスクを話し合う・実際に行ってもらいリーダーはサポートに回るようにして“成功体験”積むことが大切だと学びました。自分で考えてそれをやってみる事って不安もありますが楽しいですよね。
成功体験を積むことによってどんどん新たな考えが浮かんできますし、失敗を元に次は同じ失敗をしないように対策を練ることが出来ますし、1人1人の経験値が上がっていくと感じていました。私自身もいろんなことを任せていただき、相談したらアドバイスを貰える環境で大分自分の引き出しが多くなったと感じています。
上から「あれやっておいて。」「これはダメ。」「こうして。」「そんなのやらない。」等マイナスな事を言わない・出来ないと決めつけないように意識し、成功できるように背中を押す事や悩んでいる時に声をかけるように意識しています。結構口を出してしまいそうになるので難しいですが…。私自身も経験を積んでいます!
【5. もらった悩みは早期解決する】
介護の仕事って悩みが尽きないですよね。相談を受けたときにすぐに動くか動かないかで信頼度が大きく変わってくると思っています。悩みだけ聞いて行動しない場合、話しても無駄と思われ以降悩み相談はされなくなります。そうなると職員間に溝が出来るだけで改善していく事は難しいかと感じています。
早期解決できることと出来ない事はありますが、早期解決できそうな事はなるべく早めに解決策を考えます。解決に時間がかかりそうな時でもケアマネージャーや相談員・看護師・施設長等他職種にも相談し、進捗状況を伝えるようにしています。
進捗が遅かったとしても何もしないよりは悩みの解決に向けて動いてくれていると思ってもらえるので悩みを抱え込まずに相談してくれるようになってきます。意見をあまり言えない職員や私はパートだからと思っている職員さんには「何か困っている事ありませんか?」と声をかけるようにしています。
あまり相談して来ない人に聞いてみると結構“なるほどな”と思う悩みや考えを教えてくださることがあるので“言ってこないから何も思っていない”と思わずに聞いてみて欲しいと思います。悩みを聞いた上でなるべく早く動線や業務についてであれば100円ショップの物を駆使して解決しています。
頭をフル回転させ、100円ショップ内でも何か役に立つものは無いかという思いで探し回ります。これを繰り返していた為今でも“あれが役立ちそうだなぁ”と考える癖が付きました。結構で100円ショップで解決することが多いので100円ショップには感謝です!!
【6. 注意はほどほど、難しいなら見える化】
注意って相手のプライドを傷つけないように且つしっかりと意図が伝わらないといけないので伝え方がとても難しいですよね。特に自分よりも経験がある方を注意しなければならない場合にはとても気を使います。気難しい方・年下から言われることが嫌いな方等いらっしゃるのでその時は本当に悩みます。
相手のプライドを守るという意味で、注意する時は他の職員がいない時や誰もいない利用者様の居室内など他の人に気が付かれないように意識しています。また、注意と聞くときつそうなイメージがあるかもしれませんが、なるべく相手の意見をまず聞くようにしています。
相手がどうしてそう対応したのかを理解した上で何がまずかったのかを説明するようにしています。この説明も誤解を生む可能性がある為言葉選びがとても難しいのですが、なるべく穏やかな雰囲気で且つ責めている訳でないというスタンスで伝えるように意識しています。
2回伝えてもダメなようであれば“見える化”するようにしています。何度も注意するのは嫌ですし、言われる方も「またか。」と気持ちが萎えてしまいますよね。この状態になると溝ができはじめる事がある為そうならないためにもどうしたらいいのかを説明した図や説明書きを作るようにしています。
図や写真を入れ、そこに説明書きを加える事で誰が見ても同じケアが出来るようにします。実施するその場に掲載することが大切で、例えば職員の申し送りノートに載せておくとします。その場では理解できるかもしれませんが、いざ利用者様の居室でケアをする際には思い出せず“まっいっか”と今までのケアを継続する可能性があります。
これではせっかく見える化するために労力を使ったのにそれが無駄になってしまいますよね。それでは勿体ないので作業するその“場所”に貼り出す事が大切になってきます。これだけで結構改善されることがありました。私の説明が下手で理解できなかったとしても図や写真があることによってイメージしやすくなります。
このことを経験してからは説明した後に“見える化”するようにしています。“職員それぞれが違うケアをする=職員それぞれの解釈が異なる”ということなので共通認識を持つためにも有効だと思っています。作るまでがとても大変なのですが、これを行う事で職員間のケアの質が上がると感じています。
特に洗濯に関しては作った方がいいと思っています。乾燥機にかけてはいけない衣類・洗濯ネットに入れて洗濯して欲しい衣類・ソフト洗いにした方が衣類等結構難しいですよね。私も細かいところまでは把握していませんが、乾燥機にかけてしまって縮んでしまってからでは遅いです!
写真を乗せてこれは乾燥OK!叉はNG!と表記し、ポケットの中を確認して欲しいというイラストも載せます。これによってティッシュを入れたままの洗濯や間違った洗濯や乾燥から衣類をダメにしてしまうという事が大分減りました。ご家族様への謝罪も絡んできますので、減ることは大切な事です!!
【7. 常に勉強し情報収集する・過剰なプライドは捨てる】
介護未経験から2年目でリーダーとなった私は、専門学校を出ている同期や後輩よりも知識も技術も劣っていました。ましてや先輩の足元には到底及ばず、知らない事も多い中判断や指示をしなくてはならないので毎日が必死でした。
知ったふりは自信を無くす上に信頼もなくすだけなので恥を捨てて沢山聞いて教えて頂きました。また個人でも介護に関する勉強をするようにして分からない事を減らすようにしていきました。余計なプライドがあると“知らない=恥”と思い聞けなくなることが多いかと思います。
しかし、実際のところは“知らない=恥”と思っているのは間違いでその思い込みは“知ったふり”を意識的・無意識に行っていくようになります。知ったふりって自分では気が付いていないかもしれませんが、周りは“あの人分かってないよね”とすぐに気が付きます!!
知ったふりしていると思われるよりも分からないことは“経験不足”なだけである事もありますので「すいません。〇〇が分からなくて教えて頂けますか?」と聞いてしまった方がいいと思っています。これを聞くと“あの人こんなことも知らないんだよ”と言われる可能性もありますが経験して来なかったので仕方が無いですよね。
これを言われたくないという“プライド”があると“聞けない・知ったふりをする”しかなくなると思っています。私も初めはそう言われるのが嫌だなぁと思っていた事がありましたが、知らない事を知ったふりすること程気が滅入る事は無いと感じているので恥を捨てて聞くようにしています。
知ることで勉強にもなりますし、聞くことによってそのうち“見下す”態度から“分からないことがあったら教えてあげるよ”という態度に変わっていくのを身をもって感じています。まさしく“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”という言葉通りです!
知ったふりを長年しているともう無意識のうちから知ったふりをするようになってしまいます。長年これを続けているとそのうち何も聞けなくなってしまいます。それこそ「長年やってきて知ったふりをしているけど、あんなことも知らないの?」と言われるようになってしまいます。
陰でそう言われていると思うと本当に“一生の恥”ですよね。私はこの恥をかくよりも分からないことは分からないと正直に伝えて“一時の恥”をかくようにしています。一時は恥をかきますが、教えてもらえることで知識として自分の糧になります。
このことから“余計なプライド”は持たない方がいいなと思いました。リーダーという役職が付くと“謝罪する”事が増えてきます。指導する時・注意する時・ご家族様へ・上司へ等いろんな場面で自分が悪くなくても頭を下げる事が出てきます。これもプライドがあると出来ないんですよね。
頭を下げる事で丸く収まる事は多々あります。変にプライドを持って間違っていないと強気でいたり、謝罪しないで逆上したりすると関係性は崩れます。うまく行く事もいかなくなっていきます。なのでケアに対するプライドは持っていいと思いますが、余計なプライドは捨てた方がうまく行くと思っています!!
これらがリーダーになって学んだこととそれを元に気を付けている事です。リーダーという役職になったからこそ気が付けた事なので、大変な役職ですが経験してよかったなぁと思っています。リーダーを行っていない今はリーダーさんを見てこういう言い方いいなぁ・こういう言い方は傷つくなぁなど学んでいます(笑)
リーダーの仕事って本当に大変です。怒りたくなることも泣きたくなることも嫌になって投げ出したくなることもあります!悩みながら泣きながら・迷いながらあっという間にリーダー歴10年になっていました。少しでも悩んでいる・困っているリーダーさんのお役に立てましたら幸いです。
プロフィール
(2024年1月30日)