放課後デイサービス
『横浜介護求人センター』

第28回【利用者様の凄い力と受けた被害8選】

認知症の利用者様の中には理性が効かず火事場の馬鹿力を繰り出される方がいらっしゃいます。理性が効くならばそこまで被害を被ることはないですが、理性が効かないというのはとても恐ろしいなぁと感じています。お年寄りと言えど成人ですので出す力は計り知れません。今回は私が受けた・目撃した事をまとめました。

【1. 車いすのブレーキを折って投げてきた】

車いすのブレーキって折れるの?って衝撃を受けた出来事でした。自殺願望が強い男性利用者様で比較的若く、体格も良い方でした。とにかく自殺願望が強いというアセスメントを受け取っていましたが、目を離せない程凄く、ベッドのナースコールのコードやカーテンをまとめる紐などすぐに手に取ってしまう方でした。

従来型特養に勤務していた時で多床室対応でしたが、昼夜問わず大きな声を出して叫ぶ上にベッドから降りて廊下を這う毎日。1対1で対応できればまだいいのかもしれませんが、時間に追われながら分刻みのスケジュールをこなしていると対応が難しい状況でした。

なんといっても体格も良く若いこともあり力がとても強く、女性職員では到底太刀打ちできない・男性職員でも1人では対応できない感じでした。ご家族様の要望もありリビングで過ごしていただく際は拘束帯を使用していました。それでも意味がない程だったため、今では考えられないですが柱に縛っている状態でした。

そんなある日「警察を呼べ~。」と大きな声を出しながらブレーキを弄っているなぁと思っていたら何かが目の前を高速で異動していくのが目に入りました。よく確認するとなんとそれはブレーキの棒!!“えっ!どういう事?”と思うと同時に“マズイ”と思い男性利用者様を見ると反対側のブレーキの棒を折ろうとしている仕草が!!

従来型特養ということもありリビングには大勢の利用者様が…。他利用者様へ危害が加わる可能性が高く、とにかく大きな声で事務所職員へ助けを求めました。男性職員が利用者様の手を止め何とか反対側のブレーキを折られることは防ぐことが出来ましたが、正直どう対応していいか分かりませんでした。

施設で対応するレベルの利用者様ではなかったことは言うまでもなく、精神科に入院していただくレベルの利用者様だったと感じています。その後どうなったのか記憶が曖昧ですが、他利用者様への危害が及ぶ可能性が高いとの事で退所になったと思います。衝撃の出来事でした!後にも先にもブレーキを折った方はこの方だけでした。

【2. 送迎中後ろからサンダルで殴られる】

ショートステイ担当をしていた時の事です。行政から緊急ショートの依頼があり送迎に1人でいく事になりました。上司からは行政の人が一緒だから大丈夫だと言われたので鵜呑みにして行ったのですが、この出来事以降緊急ショートの受け入れ時は1人では絶対に送迎に行かないと心に決めました。

独居で一軒家に住まわれていた方。訪問介護等を試したそうですが介護拒否をされるため入浴はもう数年入っておらず、食事もまともに取っていない、家の中はゴミ屋敷状態で保護が必要と判断されたとの事でした。自宅に到着するとすでに行政の方が中に入って話をされていました。

家を出るとなるととても嫌がり家を出るまでに1時間程かかりました。何とかスーパーに買い物に行きましょうという事で納得され施設の車に乗って頂けましたが、この後が恐怖との闘いになるとはこの時点では思ってもいませんでした。

施設の車に乗車してからは行政の方は関わらなくなり、施設までは私1人でお連れすることになります。出始めは良かったのですがスーパーの道から離れたと知った途端から様子が豹変します。「こっちじゃないだろう!だましたな!この野郎!!」と叫び始め、急に頭頂部に痛みが走りました。

何事かと車を急停車するとスリッパを手に取り思い切り私の頭を何度も殴打し始めます。運転中にこのような暴力を受けては危なくて運転できません。ちなみに車いすに座っていてシートベルトも締めている状態での攻撃でした。利用者様情報の入ったファイルも手に取り痛い角でも攻撃してくる始末。

一旦車から外に出て施設へ応援を求めました。職員が出払っていて助けに来られないと言われた時は泣きそうになりました。その場にいつまでも停車して待っている訳にもいかないため、利用者様の手の届く範囲には何も置かないようにし、スリッパもお預かりして再出発することに。

運転中はなるべく前かがみになり後方から手が届かないようにしていました。髪の毛も引っ張られ、途中途中運転を止めながら1時間程度時間をかけて施設までたどり着いたように覚えています。施設に到着すると安堵から涙が流れたのは今でも覚えています。これほど怖かった事はありません。

施設に到着すると他の職員にはニコニコと話されていて豹変ぶりに驚きました。初めは知らない人が多く猫をかぶっている感じでしたが次第に素が出てき始め職員に手を上げ始めケアすることがとても大変でした。衛生上の観点から入浴をして頂く事が最重要課題でしたが中々うまく行きません。

声かける職員を変え・声掛けの文言を変え・時間を変えるなどして諦めず声をかけ続けていきました。それでも1週間ほどは全くお風呂に入ることが出来ず苦戦していました。排泄介助も勿論拒否される為失禁していても着替えすら出来ない状況。多床室では他利用者様に迷惑が掛かってしまうため個室対応していました。

初めて入浴することが出来たときは職員一同感激した事を今でも鮮明に覚えています。こういう変化を感じる事がやりがいに繋がっているのかもしれませんね。1度お風呂に入れるとその後はいろんな面で改善するスピードが速まります。暴力が嘘のように穏やかになられたのがとても印象深かったです。

【3. 顔をグーで殴られる】

これは元格闘家の認知症男性利用者様の話です。認知症があり、感情のコントロールが難しい利用者様でした。物事の良し悪しも忘れてしまい、他利用者様の部屋に入ってしまう事や他利用者様の部屋やユニット内・廊下などで放尿・放便をされてしまう方でした。

元格闘家という事もあり足腰が丈夫であちこち行って粗相をしてしまう毎日。その対応に職員も疲労困憊していました。利用者様からもその利用者様が来ると「こっちに来ないで。入らないで。」と怒ってしまい、居室に鍵をかけて欲しいとの要望が聞かれました。

施設内でも対応について話し合いを重ね、利用者様の要望に合わせ男性利用者様が来るときには部屋に鍵をかけて入れないようにするという方向性で対処することになりました。しかし、他利用者様の介助中などでずっとその男性利用者様の行動を把握することは難しく、気が付いたらもう来ていたなんて事が多々ありました。

鍵閉めが間に合わず利用者様の部屋に入られてしまった時は対応がとても難しく、無理に出て頂こうとすればすぐ手が出てくるので恐る恐る対応していました。居室が気に入ってしまうと中々出てくださらず、自分のユニットの利用者様の対応をしたいのに20分以上もその方に付き添う事がとても負担でした。

男性利用者様が生活しているユニットの職員はユニット内で問題を起こされるよりも他に行ってもらった方がいいからと散歩に出ていっても全く関わろうとせず、処理もすべて他のユニットの職員が対応していました。これは問題になり生活しているユニットの職員に連絡して対処してもらうという事になりました。

それでも電話をすると「今は無理なんだけど。」と言われたり「ユニットから出してくれればいいから。」とそっちで対応してくれという態度…。私が対応するユニットの利用者様とトラブルになることも徐々に増え手が出てしまう為間に職員が入らないとまずい状況が増えつつありました。

ある日他利用者様の介助をしているとユニット利用者様の悲鳴が聞こえすぐに向かうと、元格闘家の男性利用者様が怖い顔つきで女性利用者様の前に仁王立ちになっていました。これはまずいと思いすぐ間に入ろうとした時です。いきなりグーのこぶしが私の顔に飛んできました。

グーで顔を殴られるなんて経験したことが無く、歯が折れたかと思う程の痛み…。女性利用者様を狙ってだったため、間に急に入った私へのダメージは100%ではなかったと思いますが、そうはいえ元格闘家!足腰も丈夫なだけあって威力が半端ではありませんでした。

女性利用者様への被害が無かった事は良かったですが、この時なんで間に入った私が殴られなければいけないのかと思いましたし、対応を他のユニット職員に押して付けて放置しているユニット職員への怒りがこみ上げてきました。

この問題からユニット玄関にも鍵をかけ利用者様とのトラブルにならないようにするという決まりとなり、男性利用者様には廊下を自由に歩いて頂くという事になりました。しかし今まで自由に入ることが出来ていた場所に急に入れなくなると認知症の為混乱が生じます。

ユニット玄関を思い切り開けようと“バンバンバン”と叩いたり“ガンガンガン”と無理やり開けようとするためとうとうユニット玄関が壊れてしまいました。最終的には他利用者様への危害が加わる可能性が高いという事でご家族様と面談を重ね薬で落ち着いて頂く事になりました。

薬で状態を落としてしまう事は本来良くないことですが、他利用者様へ危害が及ぶ可能性が高い事・元格闘家で認知症という事で理性が効かず力の加減が出来ず命に関わる危害を加えてしまう可能性が高い事から担当医や看護師も含め話し合って決まりました。

そうなるまでの時間は利用者様もですが私たち職員も恐怖でしかありませんでした。介護士って虐待している報道は沢山されますが、こういう被害を受けている事ってほとんど表に出ないですよね。何のために我慢をしなくてはいけないのか分からなくなり、介護自体辞めたくなった出来事でした。

【4. メガネが吹き飛び壊される】

これはメガネをしている介護士ならばあるあると思っていただけるのではないでしょうか。認知症があり手が出る方はだいたい顔を狙ってくることが多い印象があります。排泄介助や移乗介助で利用者様に近づいたタイミングで襲ってきます。

狙って行う事もあれば無我夢中で手を出してたまたま当たってしまう事もあります。避ければいいだけの事だと思うかもしれませんが、介助中に手を離したことで事故が発生した場合、介護士の責任になってしまうため何をされても手を放すことが出来ません。

ベッド上での排泄介助中であれば離れる事は可能ですが、抱えている最中だった場合絶対に逃げられません。なので手が出ないように介助する方法を模索する必要があります。だいたいは介助方法に問題があって嫌がって手が出る事が多いかなぁと感じています。

声のかけ方・トーン・大きさ・介助の乱暴さ・いきなり介助する等を行わない事が大前提!利用者様の目線に合わせて体勢を変え、目を見て話しかけ、適切な声のボリューム(耳がいい人に大きな声で話しかけない等)で声を意識するだけでも大分反応が変わってくると思っています。

中にはそれを行っても理解できなくなってしまった方もいらっしゃいますが、たいていの方は上記の事を意識すると変わって来るかと思います。軽く膝や肩に触れる・手を握ってみるという事も有効だと思います。触れられると安心するのだと感じています。出来る範囲の事で自分たちも変わらないといけません。

【5. 腕や指、胸を歯で思い切り噛まれる】

これは口腔ケアや排泄介助の時にやられがちです。歯磨きをする時に歯磨きが理解できない利用者様は思いっきり職員の指をかむことがあります。思い切り噛むと人の力でも指が切れてしまう事がある程とても強い力で噛んできます。骨折した職員もいました。

歯磨き介助の際に歯があって噛んでしまう方にはそれを保護するものが売られていますので、必ずそれを装着して介助を行います。それを指にはめていてもかむ力が強くて割れてしまわないかと不安になることが度々あります。怖いですが、かといって歯磨き介助をしないわけにもいきません。危険と隣り合わせです。

腕や胸をかまれるときはだいたい排泄介助で2人対応の場合が多いですね。利用者様の前側に立って体を支えている職員が噛まれる率が高いです。腕はもう歯形が付くほど何度もかまれました。出血した事もあります。噛まれて出血した際は早急に皮膚科受診が必要です。

何故ならば人の口の中にはいろんな菌が沢山あるからです。菌が体内に入ることで感染症を起こす可能性もあるので病院へ行って適切な処置をしてもらう事が大切です。検査をしていないだけでB型肝炎・C型肝炎・梅毒等持っている可能性が無いとはいえないからです。

手袋をしないで歯磨き介助やトイレ介助をしている方を見かける事がありますが、もし手に小さい傷があったとしてそこから感染するリスクがあるので、面倒でも自分を守る為にも手袋はしっかりと着用した方がいいと思っています。つけていない人がいた場合、感染のリスクを伝えると使用する人が多いですね。

また、胸をかまれる理由としては身長差です。小さい利用者様や膝が伸びずに曲がっている状態で立った場合、顔の口あたりが丁度胸の高さになることがあります。その時に抵抗しようとして噛める場所を噛むので本当に痛いです。恥ずかしい話ですが、被害者結構いて私自身あるあるなんだなぁと感じています。

腕や胸を噛まれた時、本当であれば「痛い。」と言ってその場から離れたくなりますが、利用者様を抱えている状態ではそうはいきません。腕を話した途端に利用者様は床に落下し最悪骨折事故に繋がります。利用者様の病院受診が発生するのはもちろんことですが入院する事やご家族様から訴えられる場合も出てきます。

そう考えると痛みよりもいろんなリスクを回避するために痛みに耐えながら頑張って手を離さないようにしますよね!どんだけ忍耐的な仕事なんだろうとこれを書いていてしみじみ感じています。これらを我慢しながらケアをしていますので、とっさに手が出てしまう気持ちも分からなくはありません。決してやってはいけませんが!

【6. 抱えている時にひっかいてくる・皮膚を引っ張りねじる・爪を立てる】

これも結構あるあるですよね。介助しようとして爪で引っかかれ、子供と違ってどうやったら痛みを感じるかを知っている為痛いつねり方をするんですよね…。皮膚の薄い部分を引っ張ったり、皮膚の先端部分の本当に皮だけを爪で引っ張ってきたり本当にイラっとしてしまう事をしてきます。

想像していただいただけでも痛さが分かるのではないでしょうか。そこからさらにつねりを入れられてみてください。悶絶する痛みが走りますし、出血もします。両腕にどれだけ傷が出来たことか…。夏場でもDVを疑われてしまうのではないかと半袖が着られない時期もありました。

長袖を着ていればまだ傷も薄いですが、夏場にまで長袖を着て仕事することは熱中症で倒れてしまうため出来ません。いかに噛まれないか・噛まれても早く離してもらえるかが大事で、逃げようとするとさらに強い力が加わり大けがする可能性があるためじっとしている事が結構有効です。

あきらめが入って来ると「もう噛みたいなら噛んでいいですよ。」「気が済むならどうぞ。」と腕を先に差し出すこともありました。案外そうした方が「やらねぇよ。」とやらない事が多いなぁと感じていました。先に相手のやる気をそぐことも有効ですかね。

【7. テレビや棚・扉を破壊する】

これは暴れてしまう利用者様がやりがちです。興奮状態が収まらないため力が凄く入った状態で動き回ります。手に取れるものはすべて手に取って投げる・むしり取り・壊す。破壊力が半端ではありません。【1.】でご紹介した男性利用者様の車いすのブレーキを折ることもそうですよね。

大抵施設の備品等を破損した場合には内容にもよりますがご家族様へ請求させていただく場合があります。壊されるたびに施設の費用で修繕していては経営が成り立たなくなってしまうため仕方が無い部分があります。こういう利用者様がいる場合には何も置けない・しっかりと固定して取れないようにするしかありません。

いくらケアをしなくてはいけない利用者様としてもケアするにも恐怖しかありません。認知症という理由だけで傷害等で訴えられない暗黙のルールみたいなものがありますし、職員が我慢するという悪い風潮をどうにかしなくてはなり手が育つはずもないと感じてしまっています。

【8. 便をこねた手で触ってくる】

利用者様の便を弄ってしまう方がなんと多い事か…。部屋に入って便臭がすると思い布団をめくるとシーツから柵、さらには自分の顔まで便まみれなんてこともあります。そうなるとシャワーで洗ってしまうのが一番手っ取り早い・綺麗に出来る為お風呂介助を行います。

その時に便をこねた手を伸ばされると「いや~。」っと悲鳴をあげたくなります。私はそうならないように手袋を装着していただき、一番初めに洗面台で手を良く洗う事をしています。手が綺麗だったら触れられたとしても綺麗な状態なので便を付けられることはありません。

ただ、爪の中まで綺麗に洗わないと危険です。爪で引っかいてくる方もいるので、その場合には爪の中の便が傷口に塗られることになるからです。排便にはたくさんの菌が含まれています。尿の菌よりも危険だと感じています。爪専用の個人用ブラシを用意しておくことをお勧めします。

便の処理って排尿よりも大変で、便が付着したシーツは擦り洗いをして漂白剤につける必要があります。また付着した箇所もアルコールや次亜塩素酸を使用しながら拭いて清潔な状態に戻します。排便のふき取りが長時間できていないと黄色く変色してしまう事もある為なるべく早急に綺麗にすることが求められます。

色だけでなく臭いの原因にもなります。部屋に入るたびに便臭のような香りが感じるのは嫌ですよね。ご家族様が面会で来られた時や部屋を移動した時にあとから入る利用者様だっていやですよね。時間の経過とともに壁も臭いを吸収してしまうため綺麗にとりきれているか確認することも必要です。

以上の事が利用者様から受けた被害についてです。いかがでしたか?介護をしている人であれば何かしら経験があるかと思います。まったくこういう事実を知らない方にとっては衝撃の出来事ですよね。しかしこれが現実です。少しでもこういう現状をして頂けたらいいなぁと感じています。

(2023年12月26日)


第28回【従来型特養の特徴 5選】

前回はユニット型特養の特徴をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか?今回は従来型特養の特徴についてまとめました。ユニット型特養と大分異なると思います。ユニット型・従来型特養それぞれ合う・合わないとあると思います。選ぶ際の参考までにご覧ください。

【1. 対応する利用者様の人数が多い】

ユニット型特養は関わる利用者様は最大10名ですが、従来型特養の場合はその倍の20名~30名、ショートステイ利用者様や夜勤を行うようになると最大100名なんてことがあります!100名の利用者様を覚えるってすごく大変じゃないですか?

私が従来型特養で働いていた時は2ユニットに分けていましたが、入居者様30名+ショートステイ10床だったため覚えるのがとても大変でした。入居者様30名は毎日いらっしゃるので優先的に覚え、ショートステイの方は日によって変わるので定期利用で利用頻度の高い方から覚えていきました。

介護未経験の状態で40名を覚えるってとても大変です。まずは名前を覚える所からスタート。特徴のある利用者様はすぐに覚えられるのですが、それ以外の方は中々覚えられず顔と名前が一致しない状態…。食事の席や居室のイラストに名前を書いて必死に顔と名前が一致するように工夫していました。

食事の配膳や配薬の時は間違えてしまっては事故に繋がる為、正確に覚えられるまでの間は先輩方に「〇〇さんの食事運びます。」と声をかけ目視で確認していただくようにしていました。トロミの有無や濃さ・排泄介助で使用するパッドも間違ってはいけない為必死にメモを見返しながら行っていました。

これを経験していたためユニット型特養に異動した時は“10人覚えるだけでいいんだぁ”とちょっと安心した気持ちがありました。必死に3、40名覚えていたやり方は10名の時でも役に立つ上に覚えるスピードが早くなったと実感しています。今でも従来型特養での経験が生かされていると思っています。

【2. 一斉介助】

先ほどもお伝えしたように従来型特養の場合関わる利用者様の人数がとても多いです。この状態でユニット型特養のように1人1人に合わせたケアを行っていると到底仕事にならなくなります。よって一斉介助が一般的になってきます。

同じ時間に起きていただき・食事・排泄・入浴・就寝とほとんど同じ時間で行動していただくことになります。テレビがリビングにしかないため居室で起きて過ごされる方は少なく、また多床室である為就寝時間には部屋単位で電気を消していきます、自由な生活が出来ないという印象があるかもしれません。

一斉介助の場合、職員は複数名で対応しますが時間はとてもかかります。日中の排泄介助であっても2時間程度かかっていた記憶があります。しかもトイレ介助とベッド上でのおむつ交換それぞれ分かれて対応してこの時間です。

おむつ介助の時は2時間ほぼ前かがみの状態で排泄介助をしているため、終わった時の腰への負担は物凄いと感じていました。腰が痛くて数分間は腰が曲がった状態でまっすぐになることが出来ませんでした。無理な体勢を長時間行う事は自分の身体へのダメージがとても大きいと感じました。

腰への負担を考えると一斉介助よりも個別の時間に介助した方が利用者様の排泄リズムに合わせられる事と職員の身体への負担を減らせる事のメリットがあるように感じています。従来型特養での個別ケアは難しいかもしれませんが…。

【3. お風呂介助が大変】

【2.】でもお伝えしたように従来型特養は一斉介助なのでお風呂も一斉入浴です。1日15~20人程度入浴介助をしていた覚えがあります。午前・午後と別れて行いますが本当に時間との勝負!個浴・リフト浴・寝浴と一斉にスタートします。

職員はそれぞれ担当が決められ・個浴の中・リフト浴の中・寝浴の中・着脱担当に分かれ行います。同じ行動を1日中行う事で腰へのダメージが大きかったように感じています。特に着脱の場合何時間も前かがみの状態でケアを行うため腰が痛くて痛くてたまりませんでした。

利用者様のケアに関してもずっと時間との勝負という事もありゆっくり観察している時間は無かったように思います。勿論着脱の時や身体を洗う際にチェックはするようにしていますが、複数名の職員が関わる為情報の伝達ミスが出てくることもありました。

爪切りも中々行う事が出来ず、入浴後に看護師が担当するという形で行っていました。ユニット型特養でも従来型のように一斉に入浴介助を行っているところもありますが、私は1対1でゆっくり入浴介助をすることが出来る方がいいなぁと感じています。

1対1のメリットとしては利用者様の羞恥心を守れる事もあると思っています。一斉入浴の場合羞恥心と言って時間をずらすことはしにくく、嫌な思いをしながら入浴していた方もいらっしゃっただろうと思っています。何人もの職員や他の利用者様に裸を見られながらの入浴って私たちでも抵抗ありますよね…。

細かい事が気になってしまう私にはユニットケアの方が合っているなぁと感じています。羞恥心に配慮し、肌の露出を少なくしながら入浴していただくことが可能ですし、1人の職員が着替えから入浴まで付き添う事で皮膚観察や報告の漏れが少なくなると思っています。※職員全員が出来るわけではありません!!

【4. 夜勤の明け方の一斉排泄】

従来型特養の排泄介助って明け方に1回って事が多くありませんか?尿量が多い方は間に入ることもありますが、基本は朝方に入るのみ。(ショート夜勤の場合)遅番者が就寝時にしっかり当てないと明け方に失禁して全更衣祭りなんて悲惨な事になることもあります。

なので従来型特養ではおむつの当て方が出来ていないと指導が入ります。私はこの時の指導がありがたかったなと今でも思っています。この時にギャザーの使い方や便失禁所の対処の仕方などを学べたことで今のスキルに繋がっていると感じています。

1人で行う時間が無い為聞ける人が常にいるという環境がとてもありがたかったです。時間がかかっていれば「大丈夫?」と来てくれ、こういう時はこうした方がいいよと手ほどきをしてもらえた事は新人にとってとても貴重な時間だったと思います。たまに「遅い。何してんの?」とおこられることもありましたが(笑)

きちんとあてることが出来ていなかった時には「できてなかったよ。ちゃんとして。」と注意するのではなく、「一緒に来てみて。」と利用者様の所へ一緒について行き、おむつのあたっている状態を確認してから「こう当てると漏れないと思うよ。」とあて方の手ほどきをしてもらえていました。

あの頃は呼ばれると“ハァ~”とか“呼ばれた…”とマイナスに感じてしまう気持ちもありましたが、諦めずに指導してくださった先輩方のおかげでおむつのあて方はとてもうまくなったと思いますし、見て学ぶ事で理解しやすかったと感じています。この経験から私も同じやり方で教えるように意識しています。

大切なのは“怒る”事や相手を“否定する”のではなく、“指導する”こと!!感情的にならずにどこの部分をどう意識して直すと良いかを丁寧に伝える事!これの積み重ねが職員同士の信頼にも繋がってくるのではないかと思っています。人によってはうるさいと思われる場合もありますが諦められないのが私の悪い癖(笑)

中途となるといくら転職したからと言って時間をかけて手ほどきしてもらえることはほぼほぼありません。逆に“もう出来ますよね?”スタンスで1人で介助することの方が多いです。年数を重ねていけばいまさら聞けない事が増えていきますし、最初の経験ってとても重要!!

ユニット型特養で勤務し始めてからはお互いに注意し合う環境はほぼほぼありません。「あの人は出来ない。」等の話ばかりでしっかりと“指導”する事が難しいのかなぁと感じています。お互いに「こうするといいよ!」って言い合える関係性を作りながら仕事をして行けたらいいですよね。

【5. スキルが上がる】

これはユニット型特養を経験したからこそ従来型特養の強みだと感じています。ユニット型特養では1人勤務になる時間帯があるからこそ、見えないケアが多く指導しようにも見ていないから注意することが出来ない・注意しにくいという環境が出来てしまっています。

従来型特養の場合は常に最低2人体勢で動くため不安な事や苦手な事を教えてもらいやすく、忘れている業務や行ってはいけない不適切ケアについてはお互いに確認し注意しやすい環境がまだあるように感じます。誰かの目があるからこそ手を抜きにくく不適切ケアに繋がりにくいのかと思っています。

また、私が働いていた従来型特養の職員さんたちが特別だったのかはわかりませんが、お互いに指摘し合える間柄だったなぁと感じています。注意されたからと言ってふてくされる人はほとんどいませんでしたし、お互いに技術向上の為に切磋琢磨していたと思います。

ユニット型特養がそういう人が居ないというわけではありませんが、1人1人のケアに対する気持ちの差が大きく手を抜く人とそれを補う人の差が激しいように感じています。チームプレイというよりは個人でケアをしている感覚が大きいかもしれません。

従来型特養は一緒に組む職員と常時声を掛け合い相談しながら行っているからこそチームワークが生まれやすいのでしょうか?パート職員さんとの声掛けも多かったと思っていますし、相手の事を考えるという事もおおかったかもしれません。ユニット型だと“自分さえ”的な考えの方が多い印象を抱いてしまっています。

話がずれずれになってしまいましたが、私が感じている従来型特養の特徴でした。今従来型特養で勤務と言われると体力的に厳しいですが、一番初めに従来型特養で沢山の事を学ぶ事が出来たことは私にとってかけがえのない貴重な時間だったと思っています。

“従来型特養”“ユニット型特養”それぞれ良いところ・懸念な所とあります。どちらで仕事をするにしろ、自分が何のためにケアを行うのか芯がぶれなければやっていけると思っていますが、周りとの差に嫌気がさしてしまう事もあります。

実際、私も周りのケアの質が悪すぎて改善しようと意見すれば煙たがられ、次第にばかばかしくなり介護自体が嫌になってしまった時期がついこの間までありました。結局長く務める事が出来ませんでしたが、自分に合った施設を探す事も大切です。一緒に頑張っていける仲間を作っていきましょう!!

(2023年12月19日)


第27回【高齢者のお通じ対策7選】

高齢者と便秘・便失禁・下剤って切っても切り離せない問題ですよね!数日間排便が見られないと“下剤・下剤・下剤”とすぐに下剤を使いがち。便失禁していても排便が緩くても出ないよりは出た方がいいと内服を継続している事多くありませんか?

出来る事であれば便失禁や緩い排便ではなくトイレで自然にバナナ型の排便が出てくれるといいですよね。緩い排便って強いアルカリ性なので肌にもよくないですし、漏らす感覚はやはり慣れないうえに気分が悪いですよね。以前の施設で下剤に頼らず他の物で便秘を解消しようと取り組んだことがあります。

便秘解消には水分量や運動量も関わってきます。以前の施設では水分量や運動量もしっかりと分析した上で利用者様1人1人に合った便秘解消食材は何かを試しながら調整していきました。全員同じ物がいいという事はありません。下剤で悩まれている方や便秘解消で悩んでいる方の参考になりましたら幸いです。

【1. モリモリスリム】

楽天やAmazonなどでよく見かけますよね。ティーカップに1包の濃さで飲む事が推奨されていますが、これ結構高齢者には効き目が強い印象があります。分量を守って提供した時には排便が緩い事ももちろんですが、排便が1日に数回続いてしまう事も多く見られました。

高齢者に提供する場合には2Lに1包の濃さかから調整する事をお勧めします。また、毎日飲むと慣れてしまい出にくくなってしまう事がある為、排便が〇日出ない時に飲むようにする・起床後食事前に飲んで頂く等その方が飲んで出る時間の間隔を調べながら飲む時間を調整することが大切です。

2Lに1包で効き目がない時は1.5Lに1包、1Lに1包等濃さを調整します。これも皆同じ濃さが合うわけではありませんので、複数の濃さを用意しておくといいですね。しかし、冷蔵庫の容量などの問題でそれが出来ない可能性もあります。

その場合は飲む濃さの中で一番濃い物を作っておいて、薄めがいい方にはお湯で薄めて提供するやり方がおススメです。この方が捨てる事も減るのでモリモリスリムが無駄になってしまう事もないかもしれません。

【2. 寒天】

牛乳寒天や粉ジュース・紅茶を使用して作っていました。料理が得意ではない事もあり、私が作ると固まらなくて失敗することが何度かありました(泣)同じ分量で同じ作り方をしているのに何故私だけ上手に作れないのかと凹んでいました…。

家でも作って練習していたのはここだけの秘密!!失敗した原因は今でもよくわかっていないですが、回数を重ねるごとに上手く作れるようになりました。熱する時間が足りなかったのかなぁと自分では思っていますが、あなたは寒天作った事ありますか?是非アドバイスを教えて欲しいです。

寒天は始めのうちは効き目があり便秘解消に良かったのですが、回数を重ねるごとに出なくなってしまいました。また、寒天って結構お腹に溜まるので食事量が減ってしまうという問題や甘くしないと美味しくないため砂糖を結構入れて作ります。そのため糖尿病の方にはあまり出せないという問題が発生しました。

おやつの時間に提供する、甘さ控えめの寒天を作るという事も行いましたが、結局は効果が無くなってしまい自然と終了になりました。継続して効果を出すってとても難しい事なんだなぁと感じました。便秘解消って本当に難しい!

これ以外にはご飯に寒天の粉を混ぜるということも行いましたが、ご飯の味が美味しくないという事ですぐに終了となりました。ご飯に混ぜる事はお勧めしません。食べてみると分かりますがご飯はそのまま食べた方がおいしいですよね。

【3. プルーン】

プルーンって不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が50%ずつバランスよく含まれている食材なんです。また、プルーンに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは善玉菌のエサとなり腸内環境の改善や便秘改善に役立つと言われています。

“不溶性食物繊維”とは水に溶けない食物繊維で便のかさを増し、腸を刺激して排便を促す効果があります。“水溶性食物繊維”とは水に溶ける食物繊維で便を柔らかくして便通を良くする効果があります。それ以外には食後血糖値の急上昇を防ぐ効果や血中コレステロールの増加を抑える効果もあります。

この事を知った上で個人購入が可能な利用者様にプルーンでの排便コントロールを行う事にしました。起床後、朝食前にプルーンを2粒召し上がっていただく事を続けていくと、便秘で下剤を飲んでもなかなかでなかった方がトイレで自然排便出来るまでに改善することができました。

プルーンは甘みがあって「美味しいね。」と召し上がってくださりましたし、袋から出して提供するだけなのでとても対応しやすかったです。無理なく美味しく召し上がっていただける上に職員の手間もかからないので試しやすい食材だと思います。

ちなみにですが、生のプルーンよりも乾燥プルーンの方が水溶性食物繊維も不溶性食物繊維の量も多いので、乾燥プルーンでお試ししていただくと良いかと思います。プルーンは軟便の方や便秘の方双方で試す事が出来る食材でもあるのかなぁと思っています。まだ軟便の方に試した事はないですが、試してみたいですね。

【4. サンファイバー/サンファーバーAI】

サンファーバーとはグァー豆を100%使用しており水溶性食物繊維の中でも腸内細菌に利用されやすい高発酵性に分類されるものです。サンファーバーAIとはサンファーバーのグァー豆とイヌリンからなる水溶性食物繊維です。タイヨーラボから発売されています。

これを使用していた時は朝食後に1日1本を服用していただいていましたが、タイヨーラボの推奨は1日1~3包。1日1包では中々効き目を感じにくかった印象があります。施設の費用から捻出していた事もあり1日1包の提供が対応できる範囲だったのだと思っています。

もし1日2、3包と量を増やして対応したらどういう効果が出たのだろうかと気になるところです。Instagramでこの投稿をした時に効果があったと教えてくださった方が何人かいらっしゃいましたので、2,3包飲めているのであれば効果が期待できるのかもしれません。

サンファイバー類の良いところはほとんど無味無臭なので味噌汁や飲み物、ヨーグルトに溶かしても大丈夫というところです。薬となると断固拒否される利用者様に対しても味噌汁などに混ぜる事が出来て味も変わらないのであれば摂取しやすいですよね。これはありがたかったです。

また使用する機会があれば1日2~3包で試してどう効果があるのか検証をしたいなぁと思っていますが、水溶性食物繊維という事なので便が固い方には効果的ですが、緩い方にはちょっと合わないのかなぁとも感じているところです。

【5. ヨーグルト】

ヨーグルトは便日解消にいい食材という事は結構知られていますよね。便秘の方への食事へのアプローチで一番初めに試す部類に入るのではないでしょうか?これ以外には“納豆”“ヤクルト”もあるあるですよね。ヨーグルトは種類が多すぎて何を試したらいいか悩みます。

腸内細菌や便秘改善等の文言が書いてあるヨーグルトを試しがちですよね。各メーカーいろんなヨーグルトを出しています。その方に合ったヨーグルトにたどり着くまで数週間ずつ変更していくとなると時間がかかりそうな感じがしています。

個人購入になるので金銭的に余裕のある利用者様に試す事しかできませんが、ヨーグルトが嫌いな方はあまりいないので取り入れやすいかもしれません。乳製品アレルギーの方には厳禁ですので、栄養士や看護師とよく相談の上行う必要があります。

【6. ヤクルト】

ヤクルトも取り入れやすい食材ですよね。1本の量が飲み切りやすいというのもありがたいところ。ヤクルトも数種類種類があるので数週間はこのタイプ、次の週はこのタイプと検証期間を設けて検証することが必要になってくると思います。

ヤクルト400Wという商品は乳酸菌シロタ株にガラクトオリゴ糖が加わった飲み物で腸内環境を改善し、お通じ改善する働きがあるそうです。私がヤクルトで検証していた時にはなかったものなので、これも検証してみたいものの1つです。

【7. オリゴ糖】

オリゴ糖には腸内の善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整えながら便秘を促す効果に期待が出来るそうです。オリゴ糖と排便の研究データも出ている程注目されている食材という事が分かりますよね。研究結果としては成人でのデータですが摂取後数日でビフィズス菌の増加がみられたそうです。

摂取期間中は排便の硬さの改善(軟便が解消された)や便臭の改善もあったとのデータ結果が出ているとの事です。しかし、オリゴ糖の摂取を終えるとまた元に戻ってしまう為、継続していく事が大切になってくるという事も分かっているようです。

オリゴ糖に限らずですが“摂りすぎ”には注意が必要で摂りすぎる事で便秘とはまた違った悪影響が出てしまう場合もありますので、少量から試していただけたらと思います。オリゴ糖はヨーグルトにかけたり飲み物で割ったりすると摂取しやすいかと思います。

以上7つが私が以前の施設で試した便秘解消食材です。こうやってみてみても“水溶性食物繊維”や“不溶性食物繊維”、“ビフィズス菌”等調べないと分からない単語が沢山あります。排便の状態によってどの食材が合うのかも検討しなければならないなぁと感じています。

ひとえに“便秘”と言っても1人1人それぞれ排便の問題は異なります。便が固くて出ないのか、緩すぎて困っているのかそこにも着目しながら検証していきたいと思います。私ももっと食事の事や菌のことについて調べたいなぁとまとめながら思いました。一緒に勉強していきましょう!!

(2023年12月11日)


第27回【ユニット型特養の特徴 5選】

同じ“特別養護老人ホーム”でも“従来型”と“ユニット型”とで分かれます。入所するにあたっても勤務するにあたってもどのように異なるのか知る事ってとても大切な事ですよね。今回は“ユニット型特養”の特徴をまとめていきます。

【1.10人1ユニット】

これがユニット型特養の大きな特徴と言ってもいいのではないでしょうか。従来型特養は20~30名が食堂で過ごされている事が多いかと思いますが、ユニット型特養は利用者様10名で1ユニットとなっています。10人と限られているからこそより利用者様の事を深く知る事ができます。

居室担当も施設によるとは思いますがだいたい2~3名程度。従来型特養で勤務していた時はだいたい2~3部屋を受け持つことが多く、4人部屋で考えると12名程担当することがありました。そう考えるとだいたい1/6程度の人数で済むので関わり方も濃くなることが分かるかと思います。

利用者様10名に対し深く関わる職員は夜勤でのみ関わる職員を除けば5名程度なので、利用者様と職員の関係性を築きやすいというメリットもあります。逆に利用者様との関係性が上手く築くことが出来なければトラブルや精神的に参ってしまう等のデメリットにも繋がりやすいのも特徴。

従来型特養の時には関わる利用者様の人数が多い為、個人的に時間を作って対応することがとても難しかった記憶があります。「少しお待ちください。」と声をかけたまま時間に追われ気が付いたら対応できなかったなんて事がしょっちゅうありました。私にはこれが合いませんでした。

お願いされているのに“忙しい”を理由に対応できず後回しにすることが心苦しいなぁと感じる日々。勿論ユニット型特養でもすぐに対応することが難しい事は多々あります。しかし1日の中で関わる時間を作ることは従来型特養に比べたら作りやすいかなぁという印象を持っています。

職員1人にユニット内で見守りをしてもらい、その間に利用者様と事務所に行ったりお願い事を聞きにお部屋に伺ったりすることがしやすいと感じています。利用者様の要望に合わせて比較的対応しやすいのではないでしょうか?少人数だからこそ職員数にゆとりのある時はクッキングやドライブを行いやすいのも特徴かなぁと。

【2.個別ケア】

ユニットケアでは今まで当たり前になっていた決まった時間での一斉介助ではなく、1人1人の生活リズムに合わせてケアをしていく事が推奨されています。確かに私たちも1人1人起きる時間も食事を食べる時間も、トイレに行く時間も寝る時間も異なりますよね。全く同じ人はいないと思います。

ユニットケアの理想は目が覚めてから起きてお腹が空いたら食事を食べて、トイレに行きたいタイミングで対応し、お風呂に入りたい時間に入浴をして寝たい時間に就寝する事です。現実的には全部を叶える事は難しい事が多いですが、可能な限り利用者様の要望に合わせてケアを行っていきます。

ユニットケアでは入浴も“個別”で基本的には利用者様と職員が“1対1”で対応します。従来型特養の場合は一斉入浴となるので集団での入浴ですが、個別で入浴できる事は大きなメリットではないでしょうか?1対1でゆっくり入浴できる環境はいいなぁと感じています。

1対1だからこそ話せる事や利用者様のペースに合わせて入浴を行い、皮膚観察や爪切りなど時間をかけてケア出来るのも私は良いなぁと感じているところです。勿論時間をかければいいというわけではなく、リビングの状況やその日の予定に合わせて対応することは大切です!!そのうえで最大限ケアしていきたいと思っています。

今までは介護士の動きに合わせて利用者様のケアを合わせていましたが、今は介護士が利用者様の動きに合わせてケアを提供していく事が求められています。そのためにあるのが“24時間シート”利用者様1人1人の生活リズムや希望を細かく記録して利用者様の望む暮らしが提供できるようにするためにあります。

24時間シートを作るには利用者様をより詳しく知る事が大切になってきます。ボソッっと話したことが核心だったなんてこともあるので、どれだけ興味を持って利用者様と関わるのがとても大切なのではないかと感じています。利用者様の声を沢山拾って24時間シートに落とし込んでいけるかが鍵です!

24時間シートは濃く書かれている方がいいですが、そこに職員の思いを書き込んでしまわないように注意が必要です!勝手に“この人はこう思っているだろう”と書いてしまうのは職員の勝手な思い込みでしかないからです。書く場合にはしっかりとした“根拠”を元に書き出していきましょう。

例えば嫌いな食材があるように感じているとします。その食材を食べるといつも嫌そうな表情をされるとか、吐き出されるとかという反応があれば記録に残していきます。その回数が多いのであればきっとその食材は嫌いなんだと思います。そうして“なんとなく”ではなく“根拠”を集める作業が大切になってきます。

それを繰り返し行っていく事でその方の24時間シートが濃い内容になって行くと感じています。私もまだまだ観察しきれていないことや他の職員さんからの何気ない言葉や疑問から気づかされることが多々あります。一人でしまい込まず発言して共有認識を持って行く事も大切です。

利用者様をよく観察してその方にあった個別のケアが出来るように一緒に切磋琢磨していきましょう!!

【3.ユニット内での炊飯】

ユニットケアは基本的にユニット内で炊飯やみそ汁つくりを行います。ご飯は常食・軟飯・お粥であればユニット内での炊飯を行います。だいたい常食と軟飯または常食とお粥を炊くことが多いかなぁと感じています。朝・昼・夕で毎回炊飯を行う施設が多いのではないでしょうか。

味噌汁も朝・昼・夕と作ります。これは施設によって大分異なる印象がありますが、お昼だけ作る施設・毎食作る施設・味噌汁以外は厨房で作る施設と本当に様々です。食材も入れるだけの状態で届けてくれる所や豆腐等簡単な食材はユニット内で切って作る所もあります。

理想としては利用者様と一緒に炊飯やみそ汁つくりをとされていますが、中々難しいのが現実。作れる利用者様って結構少ないですよね。食材を切ったり具を入れたりするのは職員が対応し味見を利用者様にお願いする事であればまだ出来るかなぁという感じです。

炊飯以外にはクッキングも行えます。行事としてでもいいですし、時間がある時に「今からホットケーキ作ろう!!」と言って作る施設もありました。その施設ではホットケーキミックス粉がいつでも使えるようになっていた事や厨房から卵や牛乳がもらえる事・調味料も常に沢山あったのでやりやすかったです!!

その施設はおやつもユニット費から捻出していたためこういう行事がやりやすかったという事もあるかと感じています。ユニット費でフライパンや鍋、ホットプレート、サンドメーカー、ワッフルメーカーなどを自由に購入ですることも出来ていたのでいろんなものを作ることが出来ました。ある程度の自由さは大切ですね!

【4.なじみの関係】

【1.】でもお伝えしましたが、10人単位の利用者様とそれに合わせた少人数の職員で1ユニットを作りますので馴染みの関係が作りやすいです。いつも顔を合わせる関係だと回数が増えるごとに安心感が生まれますよね。逆に合わないと結構キツイという事にもなりかねませんが…。

利用者様同士も10人で毎日顔を合わせているといろんな話をする関係になってきます。例えるならば町内会の集まりのような感じでしょうか?「昔〇〇の仕事をしていたんだよ。」「子供が△△の仕事をしているんだ。」「昔は□□のあたりはこんな感じだっだよね。」「戦争の時は…」等いろんな話が飛び交います。

調子の悪い利用者様がいる時には「今日は〇〇さん調子が悪いのかい?」と心配されたり、コロナ前であればお見舞いにと部屋に伺い声をかけに行かれたりする事もありました。見ていても心が温まる光景だなぁと感じていました。こういうやり取りを見るのも結構好きですね!!

また看取りを行っていた施設では職員もそうですが利用者様も涙を流して別れを悲しまれたり、セレモニーの際に仲の良かった利用者様からご家族様に挨拶をして頂いたり、ユニット内だからこそお別れの日の朝に職員と一緒に部屋に挨拶をしに行ったり、お見送りに参加したりという事も出来ていました。

ユニットケアの良いところは少人数で関わることでより濃い個別ケアが出来る事ですが、デメリットとしては人間関係がうまく行かない時の精神的ストレスが大きいという事です。利用者様とのトラブルでは合わない職員が出勤するたびに利用者様が不穏になるなんて事もあります。

「この人が私の物を取ったんだ。」「この人が私にいじわるをするんだ。」という訴えはとても稀ですが「この人にセクハラされたんだ。」等と訴える方もいらっしゃいます。本当か誤解かは双方に話を聞いたり、普段の利用者様や職員の事を近くで見ている職員への聞き取りをしたりする事が重要になります。

時にあらぬ誤解で思い込まれてしまう時もあります。その場合、職員は出勤すること自体が苦痛になってきてしまいます。誤解が解けない場合は職員を異動させるという事もあります。誤解を招かないように行動することが大切ですが、いくら気を付けていても防げない事もあります。

それ以外には職員に“依存”してしまう事もあります。この職員に言えばなんでもやってくれるとなると他の職員には言わない事もその職員に対してはどんどんエスカレートしていきやすくなります。“出来ないことは出来ないと断る”という事も必要です。

断れないと本当は自分で出来る事でも職員が行うようになっていきます。これが続くと利用者様の“やろう”という気力を奪いかねませんし、他の職員に対しても「〇〇さんはやってくれるのに!」という不満を抱かせることにも繋がります。

やる気の低下からADLの低下にも繋がり、介助度が高くなってしまうこともあります。体調が悪い時などは仕方がないとは思いますが、なんでもかんでも職員が手伝ってしまう事はケアではありません。出来る残存機能を活かしながらケアしていく事が大切なのではないでしょうか?

“依存”が強くなってくると職員との関係性が崩れトラブルの原因に繋がりやすくなります。深く関わることも大切ですが、ある程度距離を保つ事も必要です!また、周りの職員に相談してどう対応していけばいいのかを一緒に考えていく事が出来るととてもいいなぁと感じています。一人で抱え込まないようにして欲しいです!

利用者様同士のトラブルも結構あります。認知症の為大きい声を出されてしまう方やずっと大きな声で歌を歌われる方、自分の思いが先行してしまい他利用者様にぶつかりながら車いすを自走される方、他利用者様の部屋に入ってしまい物を持ち出してしまう方や放尿してしまう方等対応が難しい方もいらっしゃいます。

そこに認知症ではないけれど身体が不自由で家での介護が難しいという理由で入所されてこられる方がいらっしゃる場合、注意したり怒ったりすることがあります。認知症という病名は知っていても実際に自分に危害が加わってくると怒ってしまう気持ちも理解できます。

ユニットケアの難しいところはそういうトラブルをどう防いでいくかという事だと感じています。職員が目を光らせていても常にその利用者様の行動を見ている事や制限することは出来ません。他利用者様のケアで短時間でもその場を離れなくてはいけない事も少なくありません。

双方の利用者様が嫌な思いをしながら生活しなくてもいいように可能な限り対策していきたいと思っています。手を尽くしてもどうにもできない場合もあります。その場合はご本人様の意向を聞き取り、ユニット異動という形で対応させていただく事もあります。

入居してからの関係を作る事・入居してからずっと同じ空間で生活をしていく事は私たち介護士が感じている以上に大変なのかもしれません。入居したくなくても家庭の事情等で無理して入居されてくる方も多いです。少しでも居心地の良い環境を作っていけたらいいなぁと日々思っています。

【5.家の延長】

ユニットケアは在宅の延長線の生活が出来る事を理想とされています。家で使っていた食器やおはし、家具を持ち込んでもらうようにご家族様に声をかけていきます。自分が使っていた物があるだけで安心感やここが自分の部屋(家)になるのだと理解できることにも繋がります。

1人1人持ち込まれるのもが異なる為“自分の部屋”と認識しやすいのかなぁと感じています。こたつを持ち込まれる方、テーブルや人形、仏壇を持ち込まれる方もいらっしゃいます。お仏壇の場合は毎朝ご飯とお茶を交換しますし、お花を飾りたいという要望に合わせて職員が仏花を購入して飾ることもします。

ご家族様の写真や亡き旦那様や奥様の写真を飾っている方もいらっしゃり、部屋ごとに設えが大分異なります。利用者様の思い出の品が沢山あると話のきっかけや利用者様を知る事にも繋がるので出来る事であればどんどん持ち込んでいただきたいなぁと思っています。

従来型特養の多床室ではテレビの持ち込みが制限されてしまいますがユニット型特養の個室ではテレビの持ち込みやラジオの持ち込みも出来ます。比較的持ち込み物の自由度が高いです!利用者様が安心して暮らせる環境を作っていけたらいいですよね

(2023年12月6日)


第26回【覚える為に工夫している事5選】

介護の仕事ってケアの方法から専門用語等覚える事が沢山ありますよね。新卒の時専門用語が沢山行きかっていて何が何のことなのか理解できずに“えっ!?何それ?”ってなった事が幾度となくありました。介護を始めたばかりの頃ってそうなりませんでしたか?

専門用語なのか何なのか分からず、申し送りで話している内容は全部紙にメモして後から調べたり先輩に聞いたりするようにしていました。今では笑い話ですが“ももひき”“傾眠”も申し送りのスピードの中では理解で来ていませんでした。

新卒の頃は専門卒や介護施設でアルバイトをしていた同期に比べるとどうしても覚えが遅い自分が情けなくて、先輩が優しくて余計に不甲斐なさを感じて落ち込む日々を過ごしていました。覚え方を自分なりに習得してからは異動や転職時にも大いに役立っていると感じているので今回は工夫している事をお伝えします。

【1. 居室や席は図を書いて覚える】

部屋や食事の席ってもう決まっている事が多いですよね。ショートステイやデイサービス以外では毎日変わるわけではないため見取り図にして書くようにしています。テレビの位置・カウンターやキッチン・ベランダ等分かる部分を書いてテーブルの形も大まかに書きます。

車いすの人と椅子の人で色を使い分けるととても見やすいです。利用者様に特徴がある場合はその特徴もメモすると顔と名前が一致しやすいです。また、転倒注意などの細かい注意点も食事の席に書き出します。図面と一緒に注意点が書いてあることによって1枚1枚注意点を書いた紙を探さなくて済むので見やすいです。

居室も大まかにユニット内の見取り図を書いてそこに部屋番号と利用者様の名前を書きだします。部屋の中は1部屋1部屋ざっとベランダ・洗面台・トイレなどの設備を書いてからベッドの向き、頭の位置、ポータブルトイレ・車いすの位置などを書き出します。

必要であればセンサーマットの有無や転倒・転落注意があるのか・就寝時の電気はどうするのか・部屋に用意する水分等があるのかどうかも書くようにしています。動きながらペラペラと見返すよりも付箋を付けてこのページを見ればまとめてあるという事が分かるようにすると尚見返しやすいです。

そこに書ききれない部分は次のページなどに書いていき、後で見返して違うノートや紙にまとめるのもいいと思います。“パッと開いてすぐ確認が出来る”“開いたページに多くの情報が載っている”という事が早く覚えるためには有効的だと感じています。

【2. お箸などの自助具の絵を描く】

ユニット型特養の場合、お箸などの自助具は個人購入してあることが多いです。使う用具もそれぞれ異なっており頭だけで覚えるのは時間がかかる作業です。間違って他の方に出してしまうわけにもいかないので大雑把でいいので絵を描くようにしています。

どのように絵を描いていくのかというと、四角い枠1人1人分けて書きその中に自助具やお盆なのかランチョンマットなのか、食事用エプロンが必要かどうか・トロミの有無や濃さを書くようにしています。1人1人分けて書くという事がポイントです。

書き方の例としてお箸であれば柄や色の特徴を書いたり、右利きなのか左利きなのかでお箸の向きを変えたりして書きます。スプーンやフォークを使用するのであれば大きさや福祉用具の物なのかで書き方を変えています。ただ単にスプーンと書いてあるよりも絵があることによって見やすくなります。

ご飯茶わんや汁椀・食事形態なども人それぞれ細かく異なります。ご飯だけでもペースト粥・お粥・軟飯・常食・パン食と複数の種類があります。ここに味噌汁の具の有り無し・塩分制限による味噌汁の量・ご飯のグラム数も加わると食事量だけでも結構な情報量ですよね。

メモしたところをペラペラとめくって1人1人の情報を得るよりもまとめて書いてあることによって食事も見やすくなります。“まとめる”事を意識して書いていくといいですよ!是非試してみてください。

【3. コップの絵を描く】

これも先ほどまでと同様ユニットケアでは個人で用意する事が多いので特徴を書くようにしています。コップも陶器・プラスティック・マグマグ・吸い飲み・ペットボトルなど使うものは様々です。色が違うだけで同じ物を使う方もいらっしゃるので、間違えないようにしないといけません。

さらに水分制限がある場合には何時に何cc提供するのか、トロミを付ける場合には200ccに対して小さじ・大さじ何杯入れるのか・好みの水分や嫌いな水分を書くようにしています。これ以外にもぬるめにする・熱いままの提供がいい等の好みも重要ですよね。これを覚えるのも本当に苦労しました。

【4. 排泄介助の準備】

これは従来型特養の時にとても苦労しました。新卒で配属されたのが従来型特養でした。ここは遅番で出勤したら就寝時の排泄用具を準備するという決まりがありました。従来型特養では就寝介助も30名行っていたためトイレ介助を行う方用の分を用意することが地味に大変でした。

個人用の籠がありそこに使うテープ型おむつやパッドをいれていたのですが、毎回サイズが書いてある紙を見なくては用意することが出来ず時間がかかっていました。慣れている先輩方はものの数分で準備が終わっていたのにその倍近くかかっていました。こんなことでと思われるかもしれませんが情けなさを感じていました。

準備に時間がかかるため早めに出勤し準備をするようにしていましたがこれはしんどいですよね。ある時同じ施設に配属になっていた介護施設でバイト経験のある同期にどうしたら覚えられるか相談したことがあります。その時に「紙に全部書き出して持って行くといいよ。」と言われハッとしました。

当たり前といえば当たり前なのですが、それまでは排泄チェック表を持って準備をしていました。早番者が書きたいけど書けない、記録を打ちたいけど打てないなんて事をしてしまっていました。排泄チェック表も時間帯でそれぞれ異なるサイズが書いてあったため見間違いで準備間違いをすることも。

同期にアドバイスを貰ってからは準備しなくてはいけないサイズを書き出し、それを持って準備するようにしました。今思えば“当たり前”“なんでそんなことも考えつかないの?”と思ってしまいますが、初めの頃は何をどうしたらいいのか分からないことだらけで付いていく事に必死でそこまで考えが回りませんでした。

ユニット型特養に移ってからは“個別ケア”が謳われており一斉排泄は行わないためパッド類のサイズ+排泄時間も覚える必要がありました。時系列を書き、この時間に〇〇様、テープ型おむつM+700mlパッド等と書くようにしました。排泄チェック表を1枚貰い排泄時間に色を付けたりそこに使用品を書くのもありです。

そうやって書いた紙をポケットに入れて排泄介助をしているため、よく利用者様の部屋に紙やボールペンを置いてきてしまうという事をしていました。無駄な時間をカットする為に作ったはずが、逆にそれを探すために余計な時間をつかうはめになる事なんていまだにやります(笑)

【5. ポジショニングの絵を描く】

ポジショニングってクッションを外す前はどっち向きでどのようにクッションを入れていたのか分かるのに、外して排泄介助をしたとたんどっちを向いていたのか、クッションがどう入っていたのかど忘れする事ありませんか?私はいまだに体位交換の向きがどっちだったか分からなくなる時があります(泣)

クッションの入れ方も利用者様によって大分異なりますよね。使用するクッションの大きさや固さも違います。どこに何を入れるのか絵をかいてしまうのが覚えるには近道です。勿論何故そこにこのクッションを入れる必要があるのかを根拠を元にして理解することも有効だと思います。

体位交換の向きついては次に向く側を排泄介助中ずっと心の中で連呼するようにしています。そうすれば排泄介助が終わった時に次どちらの向きにするのか忘れなくて済みます。または体位交換する際にやりやすい位置に立って排泄介助をすることもおススメです。

体位交換をする時って利用者様の背が見えるように対応しますよね。つまり、排泄介助に入る際は顔が見える側に行って排泄介助を行うとそのまま体位交換することが出来ます。こうすることで間違う事は極端に減ります!!忘れやすい方は是非試してみてください。

以上が覚えるために工夫している事です。リーダーになってからはこの苦労を元に“見える化”していく事にしていました。介助するその場に表やイラストがあることによってメモした場所を探す事や紙を無くした場合でも対応することが出来るようになります。

ちょっとしたことですが、あるかないかだけでもケアの統一性も上がります。見える化するにあたり準備することが一番大変ですが、一度作り上げてしまえばあとは本当に楽です。異動してきた職員や新卒者・中途採用者にとっても働きやすくなると思っています。良かったら参考にしてみてください。

(2023年11月22日)


第25回【なぜあの職員は問題解決能力が高いの?】

職場で問題が起きたときすぐに解決策が出る人っていませんか?しかも内容がしっかりしていて“凄い!”と思うような解決策なので“なんでそんなに解決策が出てくるの?解決内容も凄くてどういう思考回路をたどっているの?”と気になった事がありませんか。

私はそう感じた人が数名いました。その施設では毎年職員に年間目標を作ってもらい、半年単位で振り返りを行う習慣がりました。その際に用いられていたのが“PDCAサイクル”。学生の頃には聞いた事が無く、就職してから初めて行うものでした。

PDCAサイクルを取り入れていくうちに問題解決能力が高い人はPDCAサイクルが習慣化していて“考える力”が身についているのだと感じました。PDCAサイクルを習慣化することによって何事にも考えて検証していく力が身に付くと身をもって感じています。

今回はPDCAサイクルについてどういうものなのかを紹介していきたいと思います。今はこれ以外にも大谷翔平選手が昔から行っていた夢を叶える為の“マンダラチャート”の活用が有効であると耳にする機会が増えました。“自分を見つめなおす”“どうしたいのか考える”力が必要とされる時代なのかもしれないですね。

【1. PDCAサイクルとは】

“PDCAサイクル”という言葉を聞いた事ありますか?PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものになります。流れとしてはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)そしてまたPlan(計画)の順で繰り返し行います。

この流れを常に行っていく事でケアの質がどんどん向上していき、問題が発生した時もこれを元に何が原因でどう対処していけばいいのかを考えられるようになっていきます。指示をされてからでないと行動できないよりもみんなが考え意見を出し合っていった方が個人としても施設としても成長度は大きいと感じています。

ではどうやって“PDCAサイクル”を活用していけばいいのか?ひとつずつ順を追って説明していきます。私は“PDCAサイクル”を導入している施設で仕事をしていた時に考える能力や客観的に物事を見る力が身に付いたと実感しています。離れてからは尚更ありがたい環境だったなと思っています。

【2. Plan(計画)】

計画をたてるにあたり、まずは個人の年間目標やユニット内目標、施設目標を元に自分は何が出来て何が出来なさそうかを紙に書き出していきます。その中で出来そうな事・出来なさそうな事・頑張れば出来そうな事柄を計画にしていきます。資格取得も目標になりますね。

計画を作る際はWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくらで)を組み込んで検討するとより具体的に考えられるかと思います。具体的に物事を考えられた方が計画するにあたり成功時のイメージがしやすいです。

例えば介護福祉士や社会福祉士・ケアマネージャーの資格取得を目標とする事やユニット内で利用者様と1対1での外出を企画するとあった場合、担当利用者様の行きたい場所を聞き取り料金が発生する場合は行きたい場所の利用料金や食事処での予算を盛り込んで計画を立てます。

計画を立てるにあたり、おのずと自分が何をしなくてはいけないのかが見えてくるはずです。計画は時期も書き出していきます。ここまでにこの範囲までの勉強をする・この時期に試験申し込みが開始されるため必要な資料を集めておく・ご家族様との連絡調整・タイムスケジュールを作るなどが計画に入ってきます。

いわゆる年次計画書のようなものでしょうか。大まかな年次計画書を元にそれをもっと細かく深堀していく作業を行っていきます。大切なのは簡単に達成できてしまう目標ではなく、頑張れば達成できる目標を立てる事!簡単な目標では成長は期待できないと思っています。

この流れがどう問題解決に繋がっていくのかというと、例えば転倒事故が起きたとします。その際、一番初めに何故転倒事故が起きていしまったのかという検討をしますよね。その後、事故原因を元に転倒を防ぐための対応策を考えます。この対応策がPlan(計画)にあたると思っています。

【3. Do(実行)】

立てた計画を元に実行していきます。先ほどの転倒事故の場合であれば対応策を遂行することに当たります。計画通りにスムーズにいく事もあれば思うように進まないことも出てきます。どういう流れで進んでいるのかを記録しておくのも大切です。

また、“ここはこうした方がよさそう”という事があればそれも書き出していきます。このやってみてどうだったかという感覚をメモに残せることで次のCheck(評価)をする時にとても役立ちます。いろんなことを感じながらDo(実行)出来るといいですね。

【4. Check(評価)】

Plan(計画)を立ててDo(実行)した事に対しての評価を行います。計画通りに進んでいたのか、思うように進まなかったのかについて深く検証していきます。計画通りに進まなかった時には何故計画通りに進まなかったのか、原因はどこにあるのかを検討します。

ここで役に立ってくるのが先ほどDo(実行)した時の記録です。ここの部分でつまずいてしまった・ここの部分をこうした方がよさそうだと感じたなど、実行してみての感想があれば原因を探る際に大きなヒントとなります。

計画通りに進んだ時もスムーズに遂行出来た要因を評価します。例えばこの時期にご家族様に了承を得る事が出来たため早めに施設や食事処の予約をすることができた。施設利用料や食事処の大まかな予算を早めに算出してご家族様に相談したから了承を得る事が出来たという感じで評価します。

こういう評価をすることによって成功した時の“成功体験”を感じる事が出来るようになります。成功体験が増えれば増えるほど“次はこれをやってみよう”“このやり方は間違っていなかったんだ”というやる気や自信に繋がってきます。

これを事例の事故に当てはめていくと、立てた対応策があっていたのかそれとも修正が必要になってくるのかを検討することに当たります。立てた対応策に問題が無い場合は対応策を引き続き実行し、変更が必要な場合は何をどう変えた方がいいか検討するとこになります。

【5. Action(改善)】

Do(実行)、Check(評価)をしてみてこのままの計画のまま進めてもいいか・一部改善して再度計画を立てるか・計画を中止または延期するかどうかを決めていきます。このまま計画を進めていく場合には予定通り計画を遂行しながらまた評価をしていきます。

計画を変更したり延期したりする場合にはどう変更するのか、中止する理由は何かを検討します。先ほどの転倒事故の場合は対応策をそのまま継続していくのか、立てた計画の変更が必要であればどう変更していくのかを決めていきます。

ここでどうするかを決めたのち、また最初のPlan(計画)に戻りPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)と続いていきます。これを繰り返していく事によって徐々に考える力や想像力が付くようになり、結果問題解決能力が高くなると感じています。

問題解決能力と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要は“自分で考える力”が身に付く事が大切だと思っています。自分で考え発信し対処していく事で自分の経験値が上がっていきます。“間違えてしまったらどうしよう”という不安な気持ちがあるのも分かります。

しかし、失敗から沢山の事を学べます。失敗した事により同じ失敗をしないように回避したり、何が失敗に繋がったのかを考え検討したりしていく事で次に生かすことが出来ます。考える力を身につけて問題解決能力を一緒に高めていきましょう!!

(2023年11月8日)


横浜介護求人センター
からのお知らせ



 まとめて読む


BLOG
介護業界



 あるある編

 実務編