食事介助
『横浜介護求人センター』

第28回【従来型特養の特徴 5選】

前回はユニット型特養の特徴をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか?今回は従来型特養の特徴についてまとめました。ユニット型特養と大分異なると思います。ユニット型・従来型特養それぞれ合う・合わないとあると思います。選ぶ際の参考までにご覧ください。

【1. 対応する利用者様の人数が多い】

ユニット型特養は関わる利用者様は最大10名ですが、従来型特養の場合はその倍の20名~30名、ショートステイ利用者様や夜勤を行うようになると最大100名なんてことがあります!100名の利用者様を覚えるってすごく大変じゃないですか?

私が従来型特養で働いていた時は2ユニットに分けていましたが、入居者様30名+ショートステイ10床だったため覚えるのがとても大変でした。入居者様30名は毎日いらっしゃるので優先的に覚え、ショートステイの方は日によって変わるので定期利用で利用頻度の高い方から覚えていきました。

介護未経験の状態で40名を覚えるってとても大変です。まずは名前を覚える所からスタート。特徴のある利用者様はすぐに覚えられるのですが、それ以外の方は中々覚えられず顔と名前が一致しない状態…。食事の席や居室のイラストに名前を書いて必死に顔と名前が一致するように工夫していました。

食事の配膳や配薬の時は間違えてしまっては事故に繋がる為、正確に覚えられるまでの間は先輩方に「〇〇さんの食事運びます。」と声をかけ目視で確認していただくようにしていました。トロミの有無や濃さ・排泄介助で使用するパッドも間違ってはいけない為必死にメモを見返しながら行っていました。

これを経験していたためユニット型特養に異動した時は“10人覚えるだけでいいんだぁ”とちょっと安心した気持ちがありました。必死に3、40名覚えていたやり方は10名の時でも役に立つ上に覚えるスピードが早くなったと実感しています。今でも従来型特養での経験が生かされていると思っています。

【2. 一斉介助】

先ほどもお伝えしたように従来型特養の場合関わる利用者様の人数がとても多いです。この状態でユニット型特養のように1人1人に合わせたケアを行っていると到底仕事にならなくなります。よって一斉介助が一般的になってきます。

同じ時間に起きていただき・食事・排泄・入浴・就寝とほとんど同じ時間で行動していただくことになります。テレビがリビングにしかないため居室で起きて過ごされる方は少なく、また多床室である為就寝時間には部屋単位で電気を消していきます、自由な生活が出来ないという印象があるかもしれません。

一斉介助の場合、職員は複数名で対応しますが時間はとてもかかります。日中の排泄介助であっても2時間程度かかっていた記憶があります。しかもトイレ介助とベッド上でのおむつ交換それぞれ分かれて対応してこの時間です。

おむつ介助の時は2時間ほぼ前かがみの状態で排泄介助をしているため、終わった時の腰への負担は物凄いと感じていました。腰が痛くて数分間は腰が曲がった状態でまっすぐになることが出来ませんでした。無理な体勢を長時間行う事は自分の身体へのダメージがとても大きいと感じました。

腰への負担を考えると一斉介助よりも個別の時間に介助した方が利用者様の排泄リズムに合わせられる事と職員の身体への負担を減らせる事のメリットがあるように感じています。従来型特養での個別ケアは難しいかもしれませんが…。

【3. お風呂介助が大変】

【2.】でもお伝えしたように従来型特養は一斉介助なのでお風呂も一斉入浴です。1日15~20人程度入浴介助をしていた覚えがあります。午前・午後と別れて行いますが本当に時間との勝負!個浴・リフト浴・寝浴と一斉にスタートします。

職員はそれぞれ担当が決められ・個浴の中・リフト浴の中・寝浴の中・着脱担当に分かれ行います。同じ行動を1日中行う事で腰へのダメージが大きかったように感じています。特に着脱の場合何時間も前かがみの状態でケアを行うため腰が痛くて痛くてたまりませんでした。

利用者様のケアに関してもずっと時間との勝負という事もありゆっくり観察している時間は無かったように思います。勿論着脱の時や身体を洗う際にチェックはするようにしていますが、複数名の職員が関わる為情報の伝達ミスが出てくることもありました。

爪切りも中々行う事が出来ず、入浴後に看護師が担当するという形で行っていました。ユニット型特養でも従来型のように一斉に入浴介助を行っているところもありますが、私は1対1でゆっくり入浴介助をすることが出来る方がいいなぁと感じています。

1対1のメリットとしては利用者様の羞恥心を守れる事もあると思っています。一斉入浴の場合羞恥心と言って時間をずらすことはしにくく、嫌な思いをしながら入浴していた方もいらっしゃっただろうと思っています。何人もの職員や他の利用者様に裸を見られながらの入浴って私たちでも抵抗ありますよね…。

細かい事が気になってしまう私にはユニットケアの方が合っているなぁと感じています。羞恥心に配慮し、肌の露出を少なくしながら入浴していただくことが可能ですし、1人の職員が着替えから入浴まで付き添う事で皮膚観察や報告の漏れが少なくなると思っています。※職員全員が出来るわけではありません!!

【4. 夜勤の明け方の一斉排泄】

従来型特養の排泄介助って明け方に1回って事が多くありませんか?尿量が多い方は間に入ることもありますが、基本は朝方に入るのみ。(ショート夜勤の場合)遅番者が就寝時にしっかり当てないと明け方に失禁して全更衣祭りなんて悲惨な事になることもあります。

なので従来型特養ではおむつの当て方が出来ていないと指導が入ります。私はこの時の指導がありがたかったなと今でも思っています。この時にギャザーの使い方や便失禁所の対処の仕方などを学べたことで今のスキルに繋がっていると感じています。

1人で行う時間が無い為聞ける人が常にいるという環境がとてもありがたかったです。時間がかかっていれば「大丈夫?」と来てくれ、こういう時はこうした方がいいよと手ほどきをしてもらえた事は新人にとってとても貴重な時間だったと思います。たまに「遅い。何してんの?」とおこられることもありましたが(笑)

きちんとあてることが出来ていなかった時には「できてなかったよ。ちゃんとして。」と注意するのではなく、「一緒に来てみて。」と利用者様の所へ一緒について行き、おむつのあたっている状態を確認してから「こう当てると漏れないと思うよ。」とあて方の手ほどきをしてもらえていました。

あの頃は呼ばれると“ハァ~”とか“呼ばれた…”とマイナスに感じてしまう気持ちもありましたが、諦めずに指導してくださった先輩方のおかげでおむつのあて方はとてもうまくなったと思いますし、見て学ぶ事で理解しやすかったと感じています。この経験から私も同じやり方で教えるように意識しています。

大切なのは“怒る”事や相手を“否定する”のではなく、“指導する”こと!!感情的にならずにどこの部分をどう意識して直すと良いかを丁寧に伝える事!これの積み重ねが職員同士の信頼にも繋がってくるのではないかと思っています。人によってはうるさいと思われる場合もありますが諦められないのが私の悪い癖(笑)

中途となるといくら転職したからと言って時間をかけて手ほどきしてもらえることはほぼほぼありません。逆に“もう出来ますよね?”スタンスで1人で介助することの方が多いです。年数を重ねていけばいまさら聞けない事が増えていきますし、最初の経験ってとても重要!!

ユニット型特養で勤務し始めてからはお互いに注意し合う環境はほぼほぼありません。「あの人は出来ない。」等の話ばかりでしっかりと“指導”する事が難しいのかなぁと感じています。お互いに「こうするといいよ!」って言い合える関係性を作りながら仕事をして行けたらいいですよね。

【5. スキルが上がる】

これはユニット型特養を経験したからこそ従来型特養の強みだと感じています。ユニット型特養では1人勤務になる時間帯があるからこそ、見えないケアが多く指導しようにも見ていないから注意することが出来ない・注意しにくいという環境が出来てしまっています。

従来型特養の場合は常に最低2人体勢で動くため不安な事や苦手な事を教えてもらいやすく、忘れている業務や行ってはいけない不適切ケアについてはお互いに確認し注意しやすい環境がまだあるように感じます。誰かの目があるからこそ手を抜きにくく不適切ケアに繋がりにくいのかと思っています。

また、私が働いていた従来型特養の職員さんたちが特別だったのかはわかりませんが、お互いに指摘し合える間柄だったなぁと感じています。注意されたからと言ってふてくされる人はほとんどいませんでしたし、お互いに技術向上の為に切磋琢磨していたと思います。

ユニット型特養がそういう人が居ないというわけではありませんが、1人1人のケアに対する気持ちの差が大きく手を抜く人とそれを補う人の差が激しいように感じています。チームプレイというよりは個人でケアをしている感覚が大きいかもしれません。

従来型特養は一緒に組む職員と常時声を掛け合い相談しながら行っているからこそチームワークが生まれやすいのでしょうか?パート職員さんとの声掛けも多かったと思っていますし、相手の事を考えるという事もおおかったかもしれません。ユニット型だと“自分さえ”的な考えの方が多い印象を抱いてしまっています。

話がずれずれになってしまいましたが、私が感じている従来型特養の特徴でした。今従来型特養で勤務と言われると体力的に厳しいですが、一番初めに従来型特養で沢山の事を学ぶ事が出来たことは私にとってかけがえのない貴重な時間だったと思っています。

“従来型特養”“ユニット型特養”それぞれ良いところ・懸念な所とあります。どちらで仕事をするにしろ、自分が何のためにケアを行うのか芯がぶれなければやっていけると思っていますが、周りとの差に嫌気がさしてしまう事もあります。

実際、私も周りのケアの質が悪すぎて改善しようと意見すれば煙たがられ、次第にばかばかしくなり介護自体が嫌になってしまった時期がついこの間までありました。結局長く務める事が出来ませんでしたが、自分に合った施設を探す事も大切です。一緒に頑張っていける仲間を作っていきましょう!!

(2023年12月19日)


第27回【ユニット型特養の特徴 5選】

同じ“特別養護老人ホーム”でも“従来型”と“ユニット型”とで分かれます。入所するにあたっても勤務するにあたってもどのように異なるのか知る事ってとても大切な事ですよね。今回は“ユニット型特養”の特徴をまとめていきます。

【1.10人1ユニット】

これがユニット型特養の大きな特徴と言ってもいいのではないでしょうか。従来型特養は20~30名が食堂で過ごされている事が多いかと思いますが、ユニット型特養は利用者様10名で1ユニットとなっています。10人と限られているからこそより利用者様の事を深く知る事ができます。

居室担当も施設によるとは思いますがだいたい2~3名程度。従来型特養で勤務していた時はだいたい2~3部屋を受け持つことが多く、4人部屋で考えると12名程担当することがありました。そう考えるとだいたい1/6程度の人数で済むので関わり方も濃くなることが分かるかと思います。

利用者様10名に対し深く関わる職員は夜勤でのみ関わる職員を除けば5名程度なので、利用者様と職員の関係性を築きやすいというメリットもあります。逆に利用者様との関係性が上手く築くことが出来なければトラブルや精神的に参ってしまう等のデメリットにも繋がりやすいのも特徴。

従来型特養の時には関わる利用者様の人数が多い為、個人的に時間を作って対応することがとても難しかった記憶があります。「少しお待ちください。」と声をかけたまま時間に追われ気が付いたら対応できなかったなんて事がしょっちゅうありました。私にはこれが合いませんでした。

お願いされているのに“忙しい”を理由に対応できず後回しにすることが心苦しいなぁと感じる日々。勿論ユニット型特養でもすぐに対応することが難しい事は多々あります。しかし1日の中で関わる時間を作ることは従来型特養に比べたら作りやすいかなぁという印象を持っています。

職員1人にユニット内で見守りをしてもらい、その間に利用者様と事務所に行ったりお願い事を聞きにお部屋に伺ったりすることがしやすいと感じています。利用者様の要望に合わせて比較的対応しやすいのではないでしょうか?少人数だからこそ職員数にゆとりのある時はクッキングやドライブを行いやすいのも特徴かなぁと。

【2.個別ケア】

ユニットケアでは今まで当たり前になっていた決まった時間での一斉介助ではなく、1人1人の生活リズムに合わせてケアをしていく事が推奨されています。確かに私たちも1人1人起きる時間も食事を食べる時間も、トイレに行く時間も寝る時間も異なりますよね。全く同じ人はいないと思います。

ユニットケアの理想は目が覚めてから起きてお腹が空いたら食事を食べて、トイレに行きたいタイミングで対応し、お風呂に入りたい時間に入浴をして寝たい時間に就寝する事です。現実的には全部を叶える事は難しい事が多いですが、可能な限り利用者様の要望に合わせてケアを行っていきます。

ユニットケアでは入浴も“個別”で基本的には利用者様と職員が“1対1”で対応します。従来型特養の場合は一斉入浴となるので集団での入浴ですが、個別で入浴できる事は大きなメリットではないでしょうか?1対1でゆっくり入浴できる環境はいいなぁと感じています。

1対1だからこそ話せる事や利用者様のペースに合わせて入浴を行い、皮膚観察や爪切りなど時間をかけてケア出来るのも私は良いなぁと感じているところです。勿論時間をかければいいというわけではなく、リビングの状況やその日の予定に合わせて対応することは大切です!!そのうえで最大限ケアしていきたいと思っています。

今までは介護士の動きに合わせて利用者様のケアを合わせていましたが、今は介護士が利用者様の動きに合わせてケアを提供していく事が求められています。そのためにあるのが“24時間シート”利用者様1人1人の生活リズムや希望を細かく記録して利用者様の望む暮らしが提供できるようにするためにあります。

24時間シートを作るには利用者様をより詳しく知る事が大切になってきます。ボソッっと話したことが核心だったなんてこともあるので、どれだけ興味を持って利用者様と関わるのがとても大切なのではないかと感じています。利用者様の声を沢山拾って24時間シートに落とし込んでいけるかが鍵です!

24時間シートは濃く書かれている方がいいですが、そこに職員の思いを書き込んでしまわないように注意が必要です!勝手に“この人はこう思っているだろう”と書いてしまうのは職員の勝手な思い込みでしかないからです。書く場合にはしっかりとした“根拠”を元に書き出していきましょう。

例えば嫌いな食材があるように感じているとします。その食材を食べるといつも嫌そうな表情をされるとか、吐き出されるとかという反応があれば記録に残していきます。その回数が多いのであればきっとその食材は嫌いなんだと思います。そうして“なんとなく”ではなく“根拠”を集める作業が大切になってきます。

それを繰り返し行っていく事でその方の24時間シートが濃い内容になって行くと感じています。私もまだまだ観察しきれていないことや他の職員さんからの何気ない言葉や疑問から気づかされることが多々あります。一人でしまい込まず発言して共有認識を持って行く事も大切です。

利用者様をよく観察してその方にあった個別のケアが出来るように一緒に切磋琢磨していきましょう!!

【3.ユニット内での炊飯】

ユニットケアは基本的にユニット内で炊飯やみそ汁つくりを行います。ご飯は常食・軟飯・お粥であればユニット内での炊飯を行います。だいたい常食と軟飯または常食とお粥を炊くことが多いかなぁと感じています。朝・昼・夕で毎回炊飯を行う施設が多いのではないでしょうか。

味噌汁も朝・昼・夕と作ります。これは施設によって大分異なる印象がありますが、お昼だけ作る施設・毎食作る施設・味噌汁以外は厨房で作る施設と本当に様々です。食材も入れるだけの状態で届けてくれる所や豆腐等簡単な食材はユニット内で切って作る所もあります。

理想としては利用者様と一緒に炊飯やみそ汁つくりをとされていますが、中々難しいのが現実。作れる利用者様って結構少ないですよね。食材を切ったり具を入れたりするのは職員が対応し味見を利用者様にお願いする事であればまだ出来るかなぁという感じです。

炊飯以外にはクッキングも行えます。行事としてでもいいですし、時間がある時に「今からホットケーキ作ろう!!」と言って作る施設もありました。その施設ではホットケーキミックス粉がいつでも使えるようになっていた事や厨房から卵や牛乳がもらえる事・調味料も常に沢山あったのでやりやすかったです!!

その施設はおやつもユニット費から捻出していたためこういう行事がやりやすかったという事もあるかと感じています。ユニット費でフライパンや鍋、ホットプレート、サンドメーカー、ワッフルメーカーなどを自由に購入ですることも出来ていたのでいろんなものを作ることが出来ました。ある程度の自由さは大切ですね!

【4.なじみの関係】

【1.】でもお伝えしましたが、10人単位の利用者様とそれに合わせた少人数の職員で1ユニットを作りますので馴染みの関係が作りやすいです。いつも顔を合わせる関係だと回数が増えるごとに安心感が生まれますよね。逆に合わないと結構キツイという事にもなりかねませんが…。

利用者様同士も10人で毎日顔を合わせているといろんな話をする関係になってきます。例えるならば町内会の集まりのような感じでしょうか?「昔〇〇の仕事をしていたんだよ。」「子供が△△の仕事をしているんだ。」「昔は□□のあたりはこんな感じだっだよね。」「戦争の時は…」等いろんな話が飛び交います。

調子の悪い利用者様がいる時には「今日は〇〇さん調子が悪いのかい?」と心配されたり、コロナ前であればお見舞いにと部屋に伺い声をかけに行かれたりする事もありました。見ていても心が温まる光景だなぁと感じていました。こういうやり取りを見るのも結構好きですね!!

また看取りを行っていた施設では職員もそうですが利用者様も涙を流して別れを悲しまれたり、セレモニーの際に仲の良かった利用者様からご家族様に挨拶をして頂いたり、ユニット内だからこそお別れの日の朝に職員と一緒に部屋に挨拶をしに行ったり、お見送りに参加したりという事も出来ていました。

ユニットケアの良いところは少人数で関わることでより濃い個別ケアが出来る事ですが、デメリットとしては人間関係がうまく行かない時の精神的ストレスが大きいという事です。利用者様とのトラブルでは合わない職員が出勤するたびに利用者様が不穏になるなんて事もあります。

「この人が私の物を取ったんだ。」「この人が私にいじわるをするんだ。」という訴えはとても稀ですが「この人にセクハラされたんだ。」等と訴える方もいらっしゃいます。本当か誤解かは双方に話を聞いたり、普段の利用者様や職員の事を近くで見ている職員への聞き取りをしたりする事が重要になります。

時にあらぬ誤解で思い込まれてしまう時もあります。その場合、職員は出勤すること自体が苦痛になってきてしまいます。誤解が解けない場合は職員を異動させるという事もあります。誤解を招かないように行動することが大切ですが、いくら気を付けていても防げない事もあります。

それ以外には職員に“依存”してしまう事もあります。この職員に言えばなんでもやってくれるとなると他の職員には言わない事もその職員に対してはどんどんエスカレートしていきやすくなります。“出来ないことは出来ないと断る”という事も必要です。

断れないと本当は自分で出来る事でも職員が行うようになっていきます。これが続くと利用者様の“やろう”という気力を奪いかねませんし、他の職員に対しても「〇〇さんはやってくれるのに!」という不満を抱かせることにも繋がります。

やる気の低下からADLの低下にも繋がり、介助度が高くなってしまうこともあります。体調が悪い時などは仕方がないとは思いますが、なんでもかんでも職員が手伝ってしまう事はケアではありません。出来る残存機能を活かしながらケアしていく事が大切なのではないでしょうか?

“依存”が強くなってくると職員との関係性が崩れトラブルの原因に繋がりやすくなります。深く関わることも大切ですが、ある程度距離を保つ事も必要です!また、周りの職員に相談してどう対応していけばいいのかを一緒に考えていく事が出来るととてもいいなぁと感じています。一人で抱え込まないようにして欲しいです!

利用者様同士のトラブルも結構あります。認知症の為大きい声を出されてしまう方やずっと大きな声で歌を歌われる方、自分の思いが先行してしまい他利用者様にぶつかりながら車いすを自走される方、他利用者様の部屋に入ってしまい物を持ち出してしまう方や放尿してしまう方等対応が難しい方もいらっしゃいます。

そこに認知症ではないけれど身体が不自由で家での介護が難しいという理由で入所されてこられる方がいらっしゃる場合、注意したり怒ったりすることがあります。認知症という病名は知っていても実際に自分に危害が加わってくると怒ってしまう気持ちも理解できます。

ユニットケアの難しいところはそういうトラブルをどう防いでいくかという事だと感じています。職員が目を光らせていても常にその利用者様の行動を見ている事や制限することは出来ません。他利用者様のケアで短時間でもその場を離れなくてはいけない事も少なくありません。

双方の利用者様が嫌な思いをしながら生活しなくてもいいように可能な限り対策していきたいと思っています。手を尽くしてもどうにもできない場合もあります。その場合はご本人様の意向を聞き取り、ユニット異動という形で対応させていただく事もあります。

入居してからの関係を作る事・入居してからずっと同じ空間で生活をしていく事は私たち介護士が感じている以上に大変なのかもしれません。入居したくなくても家庭の事情等で無理して入居されてくる方も多いです。少しでも居心地の良い環境を作っていけたらいいなぁと日々思っています。

【5.家の延長】

ユニットケアは在宅の延長線の生活が出来る事を理想とされています。家で使っていた食器やおはし、家具を持ち込んでもらうようにご家族様に声をかけていきます。自分が使っていた物があるだけで安心感やここが自分の部屋(家)になるのだと理解できることにも繋がります。

1人1人持ち込まれるのもが異なる為“自分の部屋”と認識しやすいのかなぁと感じています。こたつを持ち込まれる方、テーブルや人形、仏壇を持ち込まれる方もいらっしゃいます。お仏壇の場合は毎朝ご飯とお茶を交換しますし、お花を飾りたいという要望に合わせて職員が仏花を購入して飾ることもします。

ご家族様の写真や亡き旦那様や奥様の写真を飾っている方もいらっしゃり、部屋ごとに設えが大分異なります。利用者様の思い出の品が沢山あると話のきっかけや利用者様を知る事にも繋がるので出来る事であればどんどん持ち込んでいただきたいなぁと思っています。

従来型特養の多床室ではテレビの持ち込みが制限されてしまいますがユニット型特養の個室ではテレビの持ち込みやラジオの持ち込みも出来ます。比較的持ち込み物の自由度が高いです!利用者様が安心して暮らせる環境を作っていけたらいいですよね

(2023年12月6日)


第26回【独身介護士あるある 6選】

“独身”ってだけで結構いいように使われるよなぁ~と思う事ありませんか?特にこれからクリスマスや年末年始が来ます!この時期になると独身介護士が出勤する率が高い日がやってきます…。「予定ないから大丈夫です!」と何度伝えたことか…。今回は独身介護士の私が感じているあるあるをまとめました。

【1. 勤務変更を頼まれがち】

子供さんや職員の急な体調不良による欠勤時に出勤のお願いをされやすいなぁと感じています。休みの日に施設からの連絡があり「もしもし。今日なんですが〇〇さんのお子さんが体調を崩してしまってお休みになってしまったんですよ…。急な連絡で申し訳ないのですが、出勤って可能ですか?」って連絡が多い事…。

自分が体調不良になった時や身内に不幸があった時に交換していただくことがあるので“お互い様”という気持ちで出勤しますが、勤務変更の依頼が多いと“またかぁ~”と思ってしまう気持ちも正直あります。もちろん外せない用事がある時もあるので、その時は「難しいです。」と断っています。

リーダーをしていた時は“リーダーだから”仕方が無いと思い率先して勤務変更を受けていましたが、独身=勤務変更しやすいと思われてしまうのは悲しいなぁと思ってしまいます。予定があっても誰も出勤が出来ないなんて時は急遽予定を変更することもあります。

予定があったら何が何でも断るという気持ちがあればいいのでしょうが、性格的に出来ないもの痛いところ…。ちゃんと断れる人が凄いなぁと思ってしまいます。あなたは勤務変更の依頼が来た時断れる方ですか?それとも私のように引き受けてしまう人ですか?断れる勇気を持つ事も必要なんですよね!

【2. 残業をお願いされがち】

シフト作成の時にどうしても人が足りず誰かが残業をしなければならない時があります。その時に誰に残業をしてもらうか考える際“独身者”がお願いされることが多い傾向にあります。子供さんが居ると残業することが難しい事が多いからです。中には残業を引き受けてくださる方もいらっしゃいますが。

“独身”ってだけで“少し残業しても大丈夫でしょ”みたいな感じになるのが“う~ん…”とモヤモヤを感じる事もあります。独身だって仕事後に予定があることもあるんだよなぁ~って思いませんか?私の場合、早番の次の日が遅番や夜勤・休みの時は早番後に映画鑑賞をしたいと思っているので、予定が変わってきます。

また、2ユニットそれぞれのシフトがこなせるようになってくると例えば隣のユニットの職員が欠勤や早退で残業が発生する時、だいたい私に「急でごめんね。今日なんだけど〇時まで残業出来ますか?」と依頼が来ます。隣のユニットにも早番者が居るのですが、「家の…。」と言われてしまうとお願いしにくいですよね。

何故だか分かりませんが、私が早番の時に限って残業しなければならない事が発生し、回数が多くなってくると“はいはい、分かりました。残業すればいいんですよね…”って思ってしまう自分がいます。誰かが残らないといけないので仕方が無いのかもしれませんが、依頼が多いと辛いところがあります。

時々何を勘違いされているのか「残業代が貰えるから残業になってよかったね。」と言ってくる人がいますがそれは大きな勘違い!残業するよりも定時に上がって帰りたい人の方が多いです。自分でそう思って頑張るのはありだと思いますが、勝手にいい事かのように解釈して言ってくるのは無しです。

【3. 年末年始出勤しがち】

年末年始は就職している時は毎年出勤しています。休めたのは退職して次の職場の入職日が年明けてしばらくしてからの時だけでした。それくらい年末年始は“独身”にとって休みにくいのです。Instagramの方でも「分かります~。」というDMをくださった方が何名かいらっしゃいました。

何故年末年始の休みが取れないかというと、新婚さんであれば両家に挨拶に行ったり、子供さんやパートナーがいる場合は家族が集まる為、その準備や親せきにあいさつ回りなどをしたりするからです。田舎独特なのかもしれませんが、毎年年末年始に出勤できる介護士を確保する事が悩みの種です。

私は年末年始に出勤できる職員が少ない事を知っているため希望休は書かないようにしています。また、年末年始4連勤でも大丈夫であることをあえて伝えるようにしています。こうしてしまうから余計に休めないと思われるかもしれませんが、シフトを作る身としてはその一言がとてもありがたい事なのです。

その代わりに三が日を過ぎてから連休をつけてくれたり、年末年始出勤手当が付いたり、年末に仕事に来た職員にデリバリーの食事を頼んでくれたりと施設によってフォロー体制が出来ている事もあります。ある意味年末年始は出勤した方がよかったりもするので年末年始を休みたいかは人によりますね。

私の場合は人混みが得意ではないため初もうでや初売りには行かないですし、特に見たい番組があるわけでの無いのでお正月を利用者様と一緒に楽しく過ごす方が好きです。福笑いを持って行き一緒に笑ったり、駅伝マラソンを一緒に応援したりという時間がとても楽しいです。

私の初もうでは三が日を過ぎて人の出が落ち着いてきたころに行くようにしています。初もうでには行きたいので、人混みの少ない時にゆっくりお参りをして挨拶をするようにしています。人が多いとゆっくりお参りすることも出来ないですからね…。

1月1日はお風呂介助が無い事が多いので、利用者様とゆっくり過ごせる数少ない日でもあります。新年のあいさつをしておせちを食べて笑っていい年明を迎えます。画用紙で作った大きい年賀状を作ってお渡しすると結構喜ばれるので、是非やってみてください!!

【4. 夜勤が多くなりがち】

子供さんがいての夜勤は本当に大変だと思います。独り身であれば夜勤の時間まである程度しっかりと仮眠を確保することが出来ますが、子供さんがいるとそういうわけにはいきません。家事・炊事・育児と休む暇なくこなしたうえで夜勤も働くとなると想像しただけでも結構ハードですよね。

子供さんがいて夜勤をされている方、本当に凄いなぁと感じています。なので夜勤の回数がおのずと少なくなるのは仕方がない事かなぁと思っています。その方の夜勤の回数が少なくなる分、他の職員に回数が回ってきますが、時々夜勤を多くやりたい方がいらっしゃるのでその時はその方にお願いしています。

私は出来る事ならば夜勤の回数は少ない方がいいのですが、こういう事情がある時は月6回までの夜勤であれば引き受けています。直近の施設では休憩・仮眠無しの夜勤を月7,8回行っていたことを考えるともう少しできそうな気もしなくもないですが、明が休みカウントになるので5回が限界ですかね…。

夜勤が多くなった月は夜勤手当で溜めたお金で何か欲しい物を買っていいと自分にご褒美をあげるようにしています。そうしないと夜勤を頑張るモチベーションにならないんです。身を削って夜勤を行っているためたまには自分を甘やかすことも必要だと思っています。

【5. 早く結婚しなさいと利用者様から言われる】

利用者様方が若かったころの結婚年齢は若かったですよね。しかも中々恋愛して結婚という事は少なく、お見合いや親に言われた相手と結婚をしていたと聞くことが多いです。だからこそ私のようにいつまでも結婚しないでいると「もうそんな年齢なんだから早く結婚しなさい。」と言われてしまいがちです。

自分でもわかっているけど、こればかりは焦ってするものでもないしなぁと。また、利用者様の時代は男性を立てる・多少嫌な事があっても我慢するという時代でしたが今はそういう時代ではありません。お互い手に職をつけていると何かと折り合いをつけるのが難しい事も。

そう考えると本当に利用者様方は不満があっても我慢する・好きではなかった相手と結婚しても離婚せずに最後まで添い遂げる等本当に凄いなぁと感じています。お互いに少し距離がある方が干渉しすぎず相手を立てる事ができるのかもしれませんね。仲睦まじいご夫婦が多いので凄いなぁと感じています。

男女ともに“自立”出来る時代になったからこそお互いに尊敬・尊重し合える相手を見つけたいところです。利用者様に報告して一緒に喜べる日が来ることを私自身も楽しみにしたいと思います(笑)

【6. 子供がいると思われる】

【5.】とは真逆になりますが、「結婚してるだろう?」「子供もいるんだろう?」「子供何歳になったの?」「こんな遅くまで仕事をしていて子供が悲しむだろう?」と言われることも結構多いです。「子供いないんですよ~。」と伝えると「なんで?旦那は居るんだろう?」と高確率で聞かれます(笑)

「旦那もいないんです。」と伝えると「えっ!!」「嘘だ~。」と。結婚しているのにしていないと嘘をつくメリットがないと伝えると「若い旦那を見つけに来たんだろう。」とコントのような感じになります(笑)。こうやって笑い話に出来るのでこれはこれで嫌いではない私。

その流れから「〇〇さんが見つけてくれるっていうから待ってるんですけど~。いつになったら紹介してくれるんですか~?」という会話になるのはお決まり文句!「待ってろ見つけてきてやるから。」「年寄りの紹介を待っているんじゃないよ~。」と返答は様々です。

中には「私の息子なんだけど、△歳で結婚もしてないんだ。優しい息子なんだけどどう?」「孫がいるんだけど…。」という話になることも。本気で探そうとされる方もいらっしゃるので、冗談を言える相手はしっかりと見極めないと本当に紹介されてしまう事があるので注意が必要です。

これ以外に印象に残っているのは、私が丸い体形をしているため「今、何か月?」と聞かれた事。「あぁ~。もう20年ぐらい居ますかねぇ~。」と伝えるとぽかんとした表情をされる利用者様。お肉であることを伝えると「あらっ、ごめんなさい。私目が悪くってよくわからなかったの。」と大笑い。

マイナスに感じてしまう方もいらっしゃるとは思いますが、このように楽しいくらいの感じで話が出来たらいいなぁと思っています。孫のように可愛がってくださるのでいい報告が出来るようにしたいなぁと思っています。年を召してもこういう話になると目を輝かせ話に花を咲かせ楽しい表情をされますよね。

以上が“独身”で感じる事です。いかがでしたでしょうか?今の時代あまりこういう話をすると“ハラスメント”ととらえられてしまう事もあるかと思いますが、マイナスに考えてしまうと自分自身も辛くなってしまうので、前向きにいい方向に物事をとらえられるようにしていきたいです。

(2023年11月16日)


第25回【介護の進歩 5選】

介護士になって早13年!!本当にあっという間でした。駆け抜けている感じですかね。介護をしていく中で年々介護に関する新しい技術がどんどん出てくるようになり職員も利用者様の負担もだいぶ軽減されてきているように感じます。今回は介護に関する進歩しているなぁと感じる事をまとめました。

【1. 持ち上げない介助】

介護と言えば力仕事のイメージが強いですよね。抱える・持ち上げる・身体を上に上げる・移乗する等とにかく力仕事が多いです。介護をし始めた頃は腰が痛くて痛くて大変でした。排泄介助を行った後は自分が高齢者になったかのように前かがみになった状態のまま移動していました。

自分にあった体の使い方がまだ分からず無理な体勢のまま介助をしているため腰に負担が来てしまいます。ベッドの高さを変える事が腰痛予防には大切と謳われていますが、従来型特養で勤務していた時は対応する人数も80名を超えていたため時間との勝負!!1人1人ベッドの高さ調整をしている時間はありませんでした。

夜勤の時は朝方に2時間弱かけての排泄介助…。腰に悲鳴が来るわけです。拘縮の強い利用者様や内出血ができやすい方は職員2人対応で車いすに移乗しますがこれもまた腰に結構な負担が来ます。ほんの数秒ですがその数秒の積み重ねが痛みとなって現れます。

私は幸運な事に介助後しばらく筋の痛みがあるだけでヘルニアや腰痛にならないで済んでいますが、ヘルニアや腰痛持ちの方・ぎっくり腰もちの方はしんどいだろうなぁと見ていて思います。コルセットは必需品ですよね!ストレッチも大切ですが現場で行う時間が無い忙しさをどうにか考えていかないとですよね。

ユニットケアに移ってからは排泄介助の少なさに感動を覚えました。さらに“ユニットケア”を取り入れている場合は一斉排泄や一斉起床等を行わないので時間をずらすことによりさらに腰には負担がかからず腰痛知らずですごせています。

ここで注意したいのがユニットケアとは“ユニット型施設”ではなく“ユニットケア”をしている施設という事です。ユニット型施設であっても行っているケアが従来型特養と同じように一斉起床・一斉排泄を行っている施設もあります。“ユニットケア”をしている施設は1人1人のペースに合わせてケアをしています。

ユニット型特養の中でも職員の腰への負担軽減、利用者様への負担を考え“リフト”を積極的に導入しているところもあります。私が以前勤めていた施設では浴槽に天井走行リフトを全ユニットに配置・職員2人介助で離床や内出血ができやすい・体重が重い方には組み立て式のリフト・移動式のリフトを導入していました。

“機械で介助”と聞くと初めは「冷たい気がする。」「いちいち機械を使うのが面倒くさい」「自分たちで今まで通り対応した方が早い。」「覚えるのが大変。」等のマイナスなイメージが多く聞かれていました。私自身も初めは“機械に介助されるなんて利用者様が可哀そう”と思っていた人でした。

そんな中リフトについて施設外の方への発表をして欲しいとの要望がありリフトを積極的に使ってみる事に。なれるまでは「面倒くさいなぁ。」「取りに行く時間、装着するが勿体ない。」と思っていましたが、慣れれば時間も短縮できるようになり何より自分の身体への負担が少ない事にありがたさを感じるようになりました。

それまでは謎の内出血ができやすかった利用者様もリフトを使用することによって内出血が減り、職員介助による内出血だったのではないかという話も出ました。職員が介助すると体に力が入ってしまう利用者様もリフトを使用する事によって体に力が入ることなく楽そうな様子が見られていました。

布でつるされて上に上げられる事を怖がってしまうのではないかという懸念を抱いていましたが、足を骨折された方や認知症の症状が強い方においてもとても安心していそうな様子なうえに歌を歌っている方もいて職員が介助するよりも安心感があるのではないかと感じるようになりました。

職員が介助する時はどうしても手のひらに力が集中してしまいますが、リフトであれば布全体が体を包み込むため安心感が大きいと乗ってみて感じました。試しに職員介助とリフトを使った時の介助双方をビデオに収め比べてみましたが、利用者様の反応は雲泥の差でリフトの方が落ち着かれていました。

今ではリフトを導入している施設は増えていますが、私がいた施設ではまだ導入があまり進んでいない6年前に導入しました。発表後は導入しても職員が使ってくれなくてどうしたらいいかという相談を受けていました。これはリーダーが率先して使っていき便利であることを伝えるしかないと伝えていました。

実際にリーダーが率先して使用しメリットを伝えていく事で徐々に使い始める人が出てきます。リーダーが文句ばかりで「面倒。」と使わなかったり使っていてもマイナスな事しか言わなかったりすれば職員は使いません。いかに“楽しそうに使う”かがポイントかと思っています。

一方で機械に頼らず職員の身体の使い方によって楽々介助出来るという方法もあります。最近は良く動画で流れてきますし、以前の施設では機械に頼らない介助を謳っていたため、機械浴やリフト浴もありませんでした。この施設は“機械 = 悪い介助”と決めつける風潮があり、頑なに寝たきりの方を個浴に入れていました…。

確かに頑張れば個浴で入れる方もいましたが、膝とわきの下を抱えて浴槽に入ったり出たりして頂くのは好きでは無かったので“機械浴ならこんなことしなくてもいいのになぁ~”“こうやって入れられたくないなぁ”と思ってしまっていました。何度か寝浴を打診しましたが「使えませんから。」と一括されました。

どちらのケアがいいということは無く、どちらもいい面と難しい面があるのでどちらかしか取り入れないのではなく利用者様に合わせて対応していけたらいいなぁと凄く感じた出来事でした。リフトも全員に使えるのではなく物によっては対象外になってしまう方もいるので“検討していく事”が大切です!!

【2. 見守りセンサー】

今までは離床センサーやマット式の床に置くタイプのセンサーマット、赤外線センサーが主流でしたが、ここ数年部屋に設置する“見守りセンサー”“見守りスキャン”という種類のセンサーが出てくるようになりました。これは部屋に設置し夜間の睡眠状態や離床状況、体動の有無などを教えてくれるものになります。

リフトを導入していた施設ではこの見守りセンサーもデモンストレーションで使っていました。夜間職員が巡視に行くときにすぐに目を覚まされてしまう方っていらっしゃいますよね!その方や体動が多くベッドから落ちてしまう危険がある方、部屋から出て行ってしまう方のお部屋に設置して試しに使っていました。

体動が2時間無いと見に行くようにというお知らせが来たり、部屋から出ようとしている事を知らせてくれたりします。種類によってはカメラが付いている物もありそのタイプのセンサーの時には部屋の中の様子が分かるようになっていました。

巡視の回数を減らし入眠を阻害しない事・夜間職員1人対応で見守りが難しい・気が付くことが遅くなってしまうという状況でも見守りセンサーが知らせてくれることで早く対応できるようになるメリットがある一方、体動が激しい方等は常に情報が飛んでくるためそれが複数人の場合確認が大変になるデメリットもありました。

見守りセンサーはデモンストレーションで使っていた6年前からどんどん進化が進み入眠記録、心拍数、呼吸数が分かる物も出てきています。またカメラなどがあることによって虐待の防止にも大いに役立つと思っています。メリットの方が大きい為、これからは見守りセンサーは主流になってくると思っています。

【3. トロミ付きサーバー】

最近自動販売機でとろみが付けられるようになったものがあるとテレビ報道で聞いて衝撃を受けました!トロミって200mlに小さじ〇杯と決めていても職員によって水分の入れる量が異なる・擦切りでつけてくれる人と山盛りでつける人とがいる等で統一していても濃さが異なることが良くあります。

トロミが薄いと咽やすくなり誤嚥性肺炎のリスクが高まります。一方とろみが強いとゼリーのような固さになってしまい飲み込みにくく、1口が大きいと窒息してしまうリスクがあります。また、とろみをしっかり均等につけるには“混ぜる”という作業がありますがとろみを使用する方が多いと結構な時間がかかるんですよね…。

混ぜている途中で呼ばれてしまうと途中で手を放して対応しに行かなくてはいけませんが、戻ってくるとだまになっていたなんてこともしょっちゅう…。だまになると中々水分に溶けてくれないので作り直しをするなんてこともあります。時間が勿体ないと感じてしまう時も…。

それらの事にとても悩んできた介護士にとってこの自動販売機の存在はとても嬉しいものではないでしょうか。今はまだ出せる飲み物の種類は限られていますが、この自動販売機を導入した施設があると聞いて“そういう使い方もあるか!”“施設にとろみ付き自動販売機って考えなかった”驚きました。

1個1個ボタンを押さなければいけないかもしれませんが、ボタンを押した後は他の業務が出来るのでありがたいのではないかと思っていますが、あなたはどう思いますか?誰が作ってもとろみの濃さが一緒で水分量も一緒だと水分量を少なくして普通にカウントするという事も出来なくなるかと思っています。

トロミで介助の方だと水分量を減らされてしまう傾向があるように感じています。夏場はそのせいで脱水になってしまう方もいます。記録ではしっかり水分量が取れている事になっていても実際はその半分しか出してないなんて事や全く出してないのに記録では飲んだことにしている人も実のところ存在します。

この自動販売機がもっと普及していけば飲み物の種類やトロミの濃さも細かく設定できるようになるのではないかと思っています。そうするともう時間をかけて水分を作る必要や作り置きをしておく必要も無くなります。飲みたい時に提供できるようになるのはとても嬉しいですよね。

ご家族様が面会に来られた時も職員に遠慮せずにその方の濃さのボタンを押して出してあげられるという事も出来そうだなぁ~と感じています。ご家族様と一緒に飲み物を飲みながら談笑できる時間を提供できるようになったらとても嬉しくないですか?

【4. においセンサー】

今排泄介助において革新的な研究と商品開発をしてくださっている方がいらっしゃいます。海外ではテープ型おむつや肌に機械を取り付けて排尿を知らせるシステムがありますが、日本人は肌に機械を付ける事をしたくないという気持ちが強いからと防水シーツのような形のものを作ってくださっています。

私が所属している“地域おむつアドバイザー”の中でも取り上げられ実際に話を伺いましたが、本当に並々ならない気持ちと行動力に“凄い”という言葉しか出てきませんでした。その努力の結晶で出来た商品名は“HELPPAD”最近ではいろんな賞を受賞されています。

開発の為に自分たちが実際にその上に横になり排泄をしてみてセンサーがしっかりと反応するかどうか試しているそうです。データを取る為に人前で試しています。本当に簡単に出来る事ではありません!!企業さんの努力のたまものですし、その努力のおかげで介護士も利用者様も負担が減るのです。感謝しかありません。

排泄介助をする時なんとなくの時間や一斉排泄で他の業務に支障が出ない時間などで決めていませんでしたか?地域おむつアドバイザーの勉強を始めてからここに記録を取って排泄タイミングを確認し対応していく事が大切だという事を知りました。“根拠”が大事なんです!

“HELPPAD”を使用することによって排泄パターンが可視化できるようになります。その根拠を元に排泄時間や使用具の選定を行えるようになります。そうすることによって排泄介助に入ったけど排尿が出ていなかった・排泄時間に入ったけど排尿量が多すぎて失禁していたという事が減ると思っています。

排泄介助って私たち介助者は見慣れてしまっていてあまりなんとも感じないかもしれませんが、やられる側だとどうでしょうか?何度も何度も下部を露出するのって結構嫌ですよね。1人1人に合わせた適正時間・回数を行う事で利用者様の“羞恥心”や“尊厳”も守られるのではないでしょうか?

水様便も早い段階で交換できるようになれば背中漏れや皮膚トラブルが軽減されるのではないかと思っています。下剤の服用なども記録できるため下剤を内服してからどのくらいで反応があるのかも可視化できるようになれば「この時間に入った方がいいね」と決めることもできてきます。

これからもっといろんな機能が付いてくるのではないかと思っていますが、こういう開発者様たちの努力のおかげでこれからの介護はもう少し楽になってくるのではないかと考えています。そうなればもう少し余裕をもって利用者様と関わっていけるし、理想のような穏やかな日々を提供できるのではないかと期待しています。

【5. ロボット】

AI機能がどんどん進化してきている今、介護士がやらなくても大丈夫な仕事はどんどんロボットが行っていくようになると思います。例えばルンバのような自動掃除機。今や自動で掃除したい範囲の見取り、インプットしてそれに合わせて掃除できるようになっています。

以前の物であれば掃除が出来ていない箇所があった事もありますが、AI機能が付いた事により掃除が抜ける箇所が少なくなります。また雑巾をかけてくれるロボットもある為職員が毎日掃除していた時間を利用者様のケアや余暇活動などへ有効に使う事が出来ます。

掃除ロボットが使える時間は利用者様がフロアや部屋等掃除する場所に居ないという事が条件になってきますが、掃除の時間って結構馬鹿にならないので有効に使っていけたらいいなぁと思っています。大掃除やワックス清掃なども出来るようになったらいつでもできるようになるので積極的に使いたいですね。

掃除以外にも最近では会話が出来るロボットも出てきています。今までにも声を出せる人形はありましたが、動作によって決められた言葉を発する事しかできず、利用者様が質問しても受け答えは出来ませんでした。可愛いと人気でしたが今はそれよりもはるかに性能がいい!!

値段は張りますが受け答えがしっかりと出来るので会話を楽しみたい方にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。そのうち職員よりもロボットの方がいいって言われてしまう可能性もあるなぁと危機感を感じていますが、自分も負けずに対応の仕方を向上するきっかけにしたいです。

食事の配膳についても飲食店で使われているロボットが将来介護施設にも導入され、食事の配膳ミスや食事提供時間(準備から配膳)のロスを助けてくれる存在になるのではないかと思っています。トレーに乗せればキッチンまで下膳もしてくれるので食器をもって何往復もせずに済むのは良いですよね。

私が感じている介護の進歩はいかがでしたか?見返してみると本当にありがたい物が増えてきたなぁと思いませんか?しかし今はまだこの流れが始まったばかり。これから先どんどんAI技術の発展や介護ロボットの登場でもっともっと介護士も利用者様も楽なケアが出来るようになると思っています。

そのうちロボットが出来ない事を人間が補助するような形になりそうだなぁと感じなくもないですが、まだまだ先の話だとしてもそうなった時に切り捨てられないように意識してアイディアを出したり熱い思いをもって介助をしたりしていきたいと思います。一緒に頑張っていきましょう!!

(2023年11月1日)


第24回【介護の仕事で失敗した事 5選】

介護に限らず、仕事や遊びでも失敗してしまう事ってきっと誰しも1回は経験した事があるのではないでしょうか…。どんなに偉い人でも仕事が出来る人でもミスをしたことが無いという人はいないと思っています。ミスをしても次同じミスをしないようにすればいいと感じています。今回は私の失敗談をまとめました。

【1. データを消してしまった】

介護施設って何かとExcelで表を作る事多くないですか?シフトや排泄チェック表・食事チェック表・掃除チェック表、入退所荷物チェック表等々いろんな事で使っています。個人情報が無い物は自宅で作成してくることもあります。ある時、職員からデータを1つのExcel表にまとめられないかとの相談を受けました。

Excelをまとめる事は出来る為「できますよ。」と言いデータを預かりました。元あるデータに新しいデータが入ったシートををコピーして挿入。出来たと思いそのまま保存して終わりにしましたが、どういう手順間違いをしたのか元のExcelにも作ってきたExcelにもデータが無くなってしまいした!!

“エッ!?”と思い何度かそれぞれのExcelデータを確認しましたが何度確認しても見当たりません。データがきちんと移行出来ていない状態のまま上書き保存をしてしまったため元のデータすら消えてしまったのです。ゴミ箱を探しても見つけることが出来ず本当に焦りました。

消されてしまった職員の方は言うまでもなく愕然としている状況…。データの復旧や思いつく事を行ってみますがデータが無く元に戻すことが出来ない事態…。私は半分パニック状態でデータを探すもとうとう見つけられませんでした。

何とか復旧する手立てはないかと、パソコンに強い事務所職員に連絡し来てもらいました。何かのソフトを使用して無事に復旧することが出来ましたが、この時は本当に申し訳ない気持ちとデータがどうにか復活しないかという焦りで冷や汗が湧き出ていました。

この経験からデータをまとめる時やいじる時は万が一に備えデータをコピーしておいてから操作するようにしました。確認してきちんとデータの移行が出来ている事が確認できてからコピーしたものを消すようにしています。面倒な手間かもしれませんが、データが消えてしまって再度作り直しするよりはいいかなと思っています。

【2. 施設の備品を壊してしまった】

ショートステイの方の服を洗濯する際、毎日違う方が来られる事や似たような服を持って来られる方が多くないですか?タグに名前が付いていても毎回タグを確認する作業も大変…。そこで洗濯を干すハンガーに誰の服か分かるように名前をラミネートしてひっかけるようにしました。

また、季節の行事がある時にはそのテーマのイラストや写真をラミネートしてランチョンマットを作ることもありました。例えば母の日であればカーネーションの写真に“お母さんいつもありがとう”と文字を入れて印刷しています。ラミネートがあれば簡単なガーランドも作ることが出来るのでとても重宝しています。

ラミネートって入れる向きがあるのご存じですか?ラミネートのくっついている側を先に機械に通し、ペラペラになっている方が後に入るようにして入れます。間違えて入れてしまうと歪んでしまったり、機械が故障してしまう事があるんですよね。

いつものように向きを確認しながらラミネート作業を行っていましたが、そのうちの1枚を逆に入れてしまいました。気が付かないままラミネートを行っていると出てくるはずのものが出てこない!!“おやっ”と思っていると残りの部分はどんどん中に入って行ってしまう状況…。

確認すると中でくるまってしまっていました。“ヤバイ”と思ってすぐにスイッチを切りますがその後どうしたものかと悩むばかり。リバース機能が付いていないラミネートだったため戻すことができなく、機械に入っていない部分を引っ張っても全くびくともしませんでした。

後ろから引っ張ってダメならば前側からどうにか引っ張り出せないかと考え、先の細い物で引っ張ってみようという事になりました。ピンセットのようなものが欲しかったのですが見つからず、代わりを探して見つかったのはハサミ!今思い返せばハサミを選択したことが最大のミスだったと後悔しています。

ハサミを入れ軽く挟むようにして引っ張り出そうとしましたが、挟めるわけもなく切ってしまいます。何か所か試しても細かく切れてしまうばかり…。出てくるどころか機械の中で細かくなってしまう上に、一部が機械の中に落ちてしまう始末…。これ以上頑張っても悪くなるばかりだという事で手を止めました。

最終的に事務所職員の所に行き事情を説明しました。余計な事をしてしまった事も合わせて謝罪しました。事務員さんからは「困ったねぇ~。」の一言。最終的に機械のねじを外して紙を取り出してもらう事が出来ましたがラミネートはそのまま壊れてしまいました…。

その後新しいラミネートを施設が購入しリバース付のものにグレードアップしていましたが、また壊してしまうのではないかという不安の方が大きく、自分で個人的に購入しそれを使うようにしていました。自分のものであれば壊れても罪悪感は無いですが、また施設のを壊してしまうと気持ちが滅入るのでそうしました。

ラミネートは施設でしか使う用途がないと思っていましたが、なんだかんが家でも使う事が増えてきて個人で購入しておいて良かったなと思っています。写真や汚したくない書類・飾りたいものなどをラミネートして保存できるのであって良かったです。

【3. 勤務変更になっている事を忘れていた・大寝坊】

シフトが出てすぐの時、月の最後の方のシフト変更を依頼されていました。了承し勤務変更していましたが、シフト表に変更になった事を書き忘れていたまま時が流れ、勤務変更した事すらすっかり忘れてしまっていました。勤務時間までまだ時間があると思っていたら施設から電話が…

「あれ?今日〇〇さん遅(11時~)番だよね?」との質問に「・・・?・・・!!!」となりました!電話を受けた時13時からの遅番だと思い込んでいたため理解が追い付きませんでしたが、「勤務変更したんじゃなかった?」と言われてから勤務変更した事を思い出しパニックに!!

「わぁ~!!すいません!!勤務変更した事すっかり忘れていました。」と急いで用意して施設に向かいました…。勤務変更を承諾した上で遅刻してしまうのは本当に嫌ですね。勤務変更を受けたときはすぐにシフトに赤字で書くようにするようにしました。また、前日にも確認し勤務が間違えていないか確認しています。

シフト変更ミス以外に社会人最大の大寝坊をしたことがあります…。今までも何度か早番の時に30分程度の寝坊をしてしまったことはありましたが、それは社会人1年目の終わりから2年目の初めの方だけで、それ以降は寝坊することなく出勤することが出来ていました。

ある早番の日。日が昇り気持ちよく目が覚めスマホを見ると施設から異常なほどの電話の着信履歴がありました。覚えている限り10回以上は来ていたんじゃないかと思います。早番の起きる時間に目が覚めたと思っていましたが、時計を確認し一瞬“あれっ?今日私は休みだっけ…?”となりました。

いつもは5:30に目覚ましをかけて起きているはずが、時計を確認すると9:00になっていました。まさかの2時間半の大寝坊!!!そりゃぁ施設側も鬼電するよなぁと思います。やってしまったと即施設に電話。「〇〇です、すいません。」と電話すると「電話出たぁ良かったぁ。」と心配してくださっている様子。

「今まで無断で遅刻なんてないから体調が悪くなったか事故にでもあったのかと思った。」と。ここの施設では無遅刻で数年が経過していたため何かあったのではないかと心配してくださっていました。そんな中「寝坊です。」と伝えるのが本当に心苦しかったです…。

「急いで向かいます。」と伝え出勤しましたが、それはもう気まずいのなんの…。いろんな職員さんから「大丈夫?」「心配したよ。」と言われるたびに、小さい声で「すいません。大寝坊しました。」と伝えていました。これ以外に大寝坊した事はありません!

寝坊の原因はスマホがマナーモードになっていた事。仕事中はマナーモードに設定し、仕事後に解除していましたが前夜は解除し忘れたまま目覚ましをセットして寝てしまっていました。しばらくの間は早番前の夜に何度もマナーモードが解除されているか確認していました。

寝てからもマナーモードが解除されていないのではないかという不安で目が覚めてしまう事もありました。ある意味早番恐怖症のような感じになっていました。仕事もしばらくの間はいつもに比べ「行きますよ~。」「やりますよ~。」と動き回っていました。寝坊は怖いですよね!!

【4. 送迎準備ミス】

ショートステイの送迎をしていた時の話です。送迎を行うようになって数か月が経過したころ、いつも施設の車いすを準備してお迎えに伺っているお宅に何も持たずに行ってしまったことがあります。玄関に着き“ピンポ~ン”とチャイムを鳴らして利用者様の顔を見た瞬間に車いすを持ってくるのを忘れていた事に気が付きました。

冷や汗タラタラになりました。ご家族様のご予定もあったと思います。幸いにも施設から5分もしないご自宅だったためすぐに取りに戻る事が出来ましたが、自分でもなんで忘れたんだ!!と苛立ちました。丁度ショートステイ業務に慣れ始めた頃だったかと思います。

慣れてきた頃って一番ミスが生じやすいとは言いますが、まさにその通りでした…。その日以降しばらくの間は何度も忘れ物が無いか確認するようになりましたが、不安要素が大きく運転中にもちゃんと持ってきているか不安になることが何度かありました。

デイサービスもそうだと思いますが、送迎って分刻みになっている事が多いので、出勤と同時にバタバタしています。前日のうちにある程度用意はしておきますが送迎ルートの再確認、当日ご利用の利用者様と送迎時間の確認等結構忙しいです。

送迎に到着してからも、私が勤めていた施設では薬の確認を行う事が決まっていたため泊まる日数分の薬がしっかりと用意されているか、頓服や吸入・点眼等の忘れは無いかの確認を行っていました。薬の用意し忘れがちょいちょいあるので、探して用意する時間も考慮して送迎の時間を設定していました。

また、お通じの状態や食事の状態・最近の様子などもご家族様に伺っていました。初めの頃はご家族様との会話に緊張していましたが、回数と共に徐々に慣れていき信頼関係を築くことが出来ました。退所の際には時間に余裕がある時もあり、その時は介護の相談に乗ることもありました。

ショートステイ担当をしていた時はほぼ1人勤務状態でした。2人勤務の日は余裕持って仕事をすることが出来ていましたが、1人だとあれもこれも全部1人で調整しなくてはなりませんでした。介護職員になって2年目にはとても責任重大でハードな環境だったと思っています。

今思えばその大変さを2年目で経験させてもらう事って滅多に出来ない経験だよなぁと思います。若手の時に責任のあるポジションに配属していただけたことはありがたかったのかなと思うようになりました。この時のおかげでご家族様との関係性の作り方や電話対応・外部ケアマネとの報連相の仕方と学ぶ事が出来ました。

【5. 判断ミス】

介護の仕事をしているとセンサーが複数名同時になる事ってありますよね。これは従来型特養でもユニット型特養でも経験しています。センサーマットを使用しているという事は転倒や転落のリスクが高いからですよね。センサーが反応したらすぐに部屋に向かい対応することが基本ですが、同時だと優先順位をつける必要があります。

同じセンサー対応でも、Aさんは行動に移す事が早く鳴ってからすぐ反応しないと転倒・転落に繋がるけれど、Bさんはセンサーが反応してもすぐに動かれるわけではなく、センサーマットに足を下して靴を履いている事があるから同時に反応した場合はAさんを先に対応してからBさんのように瞬時に判断します。

例えばAさんがトイレの要望であればトイレに座って頂きその間にBさんをトイレにお連れする。Aさん、Bさんのトイレにかかる時間を把握しておかなくてはなりませんが、トイレが長い方に座っていていただき早く終わる方をベッドにお連れし、もう1人の方の対応をする。

センサーマットを使用している方は結構待っている事が難しい方が多く、「待ってるよ。」と言ってくださってもほんの数分でそのことを忘れて動き出される方が多い印象です。本来は1人対応してからもう一人の対応をすることが好ましいですが行えない現状があります。

時にはAさんに車いすに乗って頂いて一緒にBさんのもとへ向かいBさんの対応をしてからAさんの対応をすることもあります。これを瞬時に判断して対応しなければなりません。介護って体力勝負のイメージが強いですが、時間配分や利用者様の状態を見ながら判断するので結構頭も使うなぁと感じています。

この判断を間違えてしまうとBさんが靴を履いているのを待っている間にAさんは転倒や転落してしまいます。このように2人同時であればまだ何とか対応できるのですが、これが3人・4人となると申し訳ないという気持ちは大きいですが、もう誰かしらは転倒・転落することは確定です。防ぎようがありません。

職員の身体は1つしかありませんので、どれだけ急いだとしても最後の方に向かうまでに何かしらの事故が発生するリスクは高いです。事故にならずに済んだとすれば本当に運が良かったとしか思えないと感じています。この判断って介護経験が長くても難しいです。

介護経験が浅い時であれば尚の事判断することは難しいですよね。日中であれば他にも職員が居るので手分けして対応することが出来ますが、1人の時間帯では助けてくれる職員はいません。判断の仕方は先輩から聞くか経験を積んで理解できるようになるかだと思っています。

また、施設側がリスクを把握し考えてくれるところであればユニットごとのリスクを確認したうえでユニット移動をしてくれるところもありますが、今まで経験してきた施設ではほとんどの場合「運が悪かったね。」「見守り不足だね。」で終わってしまいます。これでは何の解決もできません!!

リスクを完全に防ぐことは出来ませんが、利用者様の身体機能や認知機能の状態に合わせてリスクを最小限に抑える事は出来るかもしれません。ユニット会議や普段の職員とのコミュニケーションで試せることはどんどん行っていきたいなと思っています。

これらが私が失敗したなぁと感じている事5事例になります。どんな人でも失敗を経験しながら成長してくものと思っています。失敗はしてもいいと思っていますが、大切な事は“同じ失敗を繰り返さない事!”同じ失敗を繰り返すことは成長には繋がりませんし反省していないと感じてしまいます。

失敗から何が原因で失敗してしまったのか、次また同じ失敗をしないようにするためには何をする必要があるのかを考える事が大切です。私も未だに失敗する事は度々あります。挑戦しての失敗は許容範囲だと思っています。いいケアを提供できるよう、一緒に頑張っていきましょう!!

(2023年10月10日)


第23回【介護の現場で葛藤した事5選】

仕事をする上で葛藤することってありますよね。郷に入っては郷に従えとはよく言いますが、だからといってやってはいけないことをしているのを見て黙っている事ってとても苦しいです。転職したばかりの時は波風を立てたくはないので黙って従っていますが、一人になったらやらないようにしています。

そんなこと関係ないとズバズバと物を言える人もいますが、その勇気が羨ましくもたくましくも思える時もあります。そうなりたいとは思いつつも長く務めるとなると人間関係を築いていく事も大切。言い方ひとつで関係性が壊れる事もあります。凄く葛藤していたことをまとめました。

【1. ご飯の上に薬をかける】

初めて介護の仕事をした際とても驚いた光景でした。薬って苦いですよね。それを美味しいご飯の上にかけてしまうのはどうなの?って衝撃を受けました。味覚がしっかりされている方はご飯の上にかけると食べなくなってしまうから後から口に入れると教わりましたが、皆そうなんじゃないの?って思っていました。

いくら認知症で味覚が分からず介助をすれば気にせず食べるからと言って薬をふりかけのように扱うのはどうなのだろうかと思っていました。かといっておかしいと思って一人ひとり食後に介助をしていると「何やってるの?」「遅い!」と言われてしまうため出来ず…。

ユニットケアであれば出来る事も従来型特養の場合、20~30名の利用者様の対応をしているため、一人ひとり後から薬介助を行うと大幅な時間のロスに繋がる為個人的な感情だけで違う事を行う事は出来ませんでした。初めは“おかしい”と思っていたことも習慣って怖いもので1年も経つ頃には“当たり前”になっていました。

新しく入ってきた職員や実習生から「ご飯の上に薬をかけるんですね。」という言葉を聞いた時、いつの間にかおかしいと思う気持ちが無くなっていたことに気が付き“その感覚忘れていた。忘れてはいけないことだよなぁ”と気づかされる事がありました。

次に転職した施設はユニットケア施設でした。ユニットケアは1年ほど経験していましたが、利用者様主体のケアをしている施設は初めてでした。やること全て今までとは全く異なり利用者様の希望に沿ったケアを行っていました。薬についてはもちろんご飯にかけることは無く、砕いて内服することもほとんどありません。

砕く時は看護師に報告・相談したうえで内服直前に砕く事と決められていました。薬を吐き出してしまう方には水分ゼリーを使用し決してご飯にはかけない。上手く内服できない時は小さいカップケーキのようなお菓子に錠剤を入れ込んだものを提供する等食事には絶対にかけない方針で行っていました。

これに慣れてから他の施設に転職した際ご飯の上に当たり前のように薬をかけている光景を見て、まだまだご飯の上にかけるのが当たり前になっているんだなと思いました。この施設ではおかずも全部混ぜて提供していた為、少しずつですが変えていきました。

ごちゃまぜになった食事を食べたいと思うか・ご飯の上に薬をかけられて美味しいと思うか等問いかけ行くと徐々にやっている事が“おかしい事だった”という事に気が付き、1人また1人ずつご飯の上に薬をかける事をやめていきました。最終的には誰もご飯の上にかける事はなくなりました。

就職したときからご飯の上に薬をかける・おかずを混ぜると教わっていたためこれが当たり前だと思っていたと話される職員が多く、初めの段階からしっかりとしたケアを伝えていく事の大切さを学びました。出来る事であればご飯の上にかけずに済む方は食後に内服するようにしていただけたらいいですよね。

【2. 職員の仲が悪い】

同じユニットの職員同士・他職種間の仲が悪いと決まるものも決まらず、時間ばかりかかってしまい無駄な工程が増えてしまいます。本当に時間が勿体ないと思う事が多いです。専門職の人にアドバイスを貰い行っていても「私がいいって言ったらいい、ダメっていたらダメなのよ。」と怒るケアマネージャー。

看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門性を学んで来られてきた職員の指示に従う事が普通だと思っていたのですが、ことあるごとに「なんで私に聞かないの?専門職に聞く前に私でしょ。」と怒るケアマネージャーに出会ったことがあり、衝撃的な感情を抱きました。

自分の考えが否定されるとヒステリーになり怒り散らし、一度いなくなったかと思うと少し時間を置いて再度やって来ては「これはこうでしょう。おかしいよね。」等自分の正当性を主張しにくる感じでした。意見があるのであればユニット職員ではなく専門職と話し合って欲しいところですがそれは行わない。

私たちは利用者様の為に動いているはずなのに自分のプライドの方が大切で自分の立場を誇示したいという気持ちが強い人が上に立っていると大変です。嫌いな専門職の人が居た場合、その人の指示には絶対に従いません。ユニット職員も専門職の人が言っている事に従いたいと意思を示すものなら大騒ぎ。

「決定権は私にあって、専門職にはない」との一点張り。嫌いなリーダーが居るものであれば、何かあった際「リーダーに相談しますね。」と伝えるものなら「リーダーの意見なんていらないんだよ。なんでユニットの職員で決められないのよ?おかしいだろ。」と職員を捕まえて怒り始める始末。

物事を決める流れとしてユニット内の最終決定はリーダーにあり、リーダーと相談しながら決めていかなければいけないのではないかと伝えてもこういうタイプには通用しません。「あのリーダーの意見なんていらない。」の一点張り。これではリーダーの立場がありませんよね。

ケアの方向性がユニット内で決まった際も「誰が決めたの?」「みんなで話し合って決めたの?」と聞きまわり、少しでもリーダーの名前が出るようであれば「馬鹿じゃないの。あいつの意見なんていらないんだよ。なんで他の人で決められないの?」と怒り出し手に負えなくなります。

こういう人って本人を目の前にすると何も言わないパターンが多く、他の職員にうっぷんを晴らすのでたちが悪いです。直接本人と話し合って決めてもらえないと一般の介護職は誰の指示に従っていいのか分からず困る旨伝えてみても「私の意見を聞けばいいんだよ。」と言われてしまうと手の打ちようがありません。

一体“誰の為に話し合っているの?”と思う程でした。自分のプライドの為、嫌いな職員を蹴落としたいがために意見を聞かない・否定するようなことをしていては良いケアなんてできませんよね。間に入る職員も疲弊していきますし話し合わなくてはという気持ちすらなくなっていきます。

逆もしかりでこのリーダーも表面上はとてもいい感じに接していますが、基本的に自分以外の職員は好きではなく事あるごとに文句を言う人でした。面と向かっては「お蔭さまです。」「ありがとうございます。」「助かります。」「さすがです。」とほめていましたが、その人が居なくなるとけなし始めます。

私が仲良くし始めているのを見ると「〇〇さんには気をつけろ。手の平を返してくるからなぁ。」「△△さんには気を付けろ。すぐに施設長に何でも間でも言われるからな。」と嫌な情報ばかり伝えられました。また、助かっていると言っているそばから「〇〇さんはここが出来ていない。これをしない。」とあら捜し。

そばで見ていて怖いと思う程でした。次第に褒められても“本当はそう思っていないんだろうな”と思い始めてしまい信用できなくなりました。これは私以外でも感じている職員が多く、リーダーは人を信用できない人なんだろうなと感じていました。ちょっとかわいそうだなぁとも思っていました。

さらには人との関係性の作り方が分からないのか、物をあげれば関係性が良くなると思っている節があり、何もない時から「これ食べてみろ~。」「これ持っていけ~。」等事あるごとに物を配っていました。LINEギフトもしょっちゅう送られてくるので途中からやめて欲しいと思うようになりました。

断ると「私からのはもらえなのか。」「いいから黙ってもらっておけ。」と話にならず、お返しをしなくてはいけなくなるためお互いの為にやめましょうと伝えてみましたが「お返しはいならないから。」の一点張り。私自身が受け取るだけにはしておきたくない性格だったので本当に苦痛でした。

信頼関係ってこんなことをしなくても腹を割って話し合う事で築いていく事が出来ると思っています。こういう職員が多かった施設では本当にいびつな関係性が多く見られていました。私は耐えられなくて半年程度で逃げるように去りましたが、ここまで酷いところは初めてでした。ホントいろんな施設があります…。

【3. 先が見えない】

16時間夜勤を月に7回~9回行う施設がありました。16時間夜勤って仮眠時間が2時間程度あるものだと思っていたのですが、その施設では仮眠おろか休憩時間さえもありませんでした。私は初めての16時間夜勤だったため仮眠や休憩が取れない事に物凄い衝撃を受けました。

8時間夜勤ですら辛いと思っていた旨を面接段階で伝えており、施設長からは休憩も仮眠もある事や月4回程度と聞いて入職したのに嘘をつかれたと愕然としました。職員の数が足りず夜勤専門の派遣さんも使っていたため減らしてもらおうにもどうにもこうにも出来ません。

せめて仮眠時間が欲しいと伝えるも「今までもこうやってきたから。」「そのうち慣れるよ。」「休憩が取れない分夜勤手当に上乗せしているから。」と言われてしまいました。「夜勤手当他の施設よりも高いでしょ?」とも聞かれましたが、8時間夜勤とさほど大差がなく本当にしんどかったです。

しかも夜勤前に会議があると1時間前に出勤が義務づけられていたり、翌日日勤者が居ない場合はそのままお昼近くまで残業したりすることがざらにありました。こんな過酷な施設で働いたことが無かった私には“異常”とかし思えませんでしたが、ここで働いている人にとっては“当たり前”でした。

酷い時は24時間施設に居るなんてことも!!一般的には16時間夜勤の後は明、休みとなるはずが、明の日の夕方から出勤する事や、夜勤、明、出勤、出勤等が続き7日連続で出勤なんてこともありました。これは本当に労働環境が良くありません!

日中もほぼ1人で勤務する事が多く、食事介助5人の全介助8名程度。2人介助が隣のユニットと合わせて5人となると時間の使い方がとても難しく、時間に追われながらのケアになります。お風呂もままならずもどかしい気持ちになる毎日でした。

そのうち人が入って来るのだろうと思っていても入って来るタイミングで数名やめる事の繰り返し。人が居ない時はやめられないため、入って来るタイミングを見計らっている職員がなんと多い事か。ここまで毎月数名の退職者が出る施設は初めてでした。

人が居ないとなるとその分利用者様のケアに当てる時間が削られます。爪は伸び放題、ひげもモジャモジャ、水虫は酷く居室内の清掃には手も届きません。申し訳ない気持ちでいっぱいでたまにある職員2人出勤日にまとめて出来る範囲行うようにしていました。

足の水虫に関しては自分がお風呂担当になった時にしっかりと洗い、垢を落として乾燥、水虫薬塗布まで行うようにしていきました。すぐに良くなることはありませんでしたが、少しずつ綺麗になって行っている事が分かったので良かったです。行いたいケアが出来ない葛藤を抱きながらの毎日はしんどかったです。

こんな環境が数年前から続いているとの事で、労働基準を満たしているのか疑問を持ち聞いてみましたが「労基に相談しながら行っているから問題ない。」と言われました。今まで13年介護の仕事をしていましたがここまで劣悪な環境は初めてでした。体力も精神力もどんどん奪われていきました。

働き方を見直さなくてはいけないのではないかと伝えても「変えるつもりが無い。」と言われてしまうとこのままこの施設にとどまって仕事をしていていいのだろうかと思うようになります。確かに他の職員はこの仕事の流れが当たり前と思い働いていましたが、私には合いませんでした。

悶々としながらも他の職員も頑張っているのだからと気張っていましたが、ある日突然メンタルが崩れる時がきました。職員を増やす感じもなく、業務改善をするわけでもなく、業務改善を行っていてもすぐに「元のやり方に戻せ。」と言われていたので、この施設に未来はないなと感じるようになりました。

その結果私は去る決意を固め逃げましたが、この転職をしてからは介護から離れようかと真剣に悩むほど次の施設を探す事が嫌になってしまいました。先が見えないとやる気はどんどんと無くなっていき、変えようと努力しても理由も聞かず元に戻されると頑張る気力も無くなっていきます…。

【4. 職員都合のケア】

人手が足りず、時間にも追われていた施設での事。薬をご飯にかける事や日中から大きなパッドを使用したり重ね付け、早い時間の着替え、職員都合の食事の早出しに疑問しかありませんでした。“ユニットケアとは?”“個別ケアとは?”“尊厳とは?”と思ってしまう程でした。

そういうケアをする理由を尋ねた際「こうした方が楽なんです!」との返答が返ってきたときは唖然としました。何か理由があって行っているならまだ納得が出来たかもしれませんが、職員が楽をするための不適切ケアは到底納得できませんでした。

教わっている間は「そうなんですねぇ~。」と言いながらそのように対応していましたが、独り立ちした時から出来る範囲の中でその方に合わせたケアを行うようにしました。重ね付けをやめたり、着替えも就寝時や起きたときに着替えたり…。早く始める人に比べ時間はかかりますが間に合わないという事はありませんでした。

また、重ね付けをやめたことによりテープ型おむつやパンツ型おむつのサイズが下がったり、使用するパッドの量が減ったり、サイズが小さくなったり、皮膚トラブルが減ったりとメリットばかり。初めは自分だけで行っていましたが、徐々に真似し始める職員が増え重ね付けはある程度やめる事が出来ました。

着替えについても深夜2時に着替える必要があるのかと会議で話し合いました。今までは日中の入浴後や夕方にパジャマに着替えたり、深夜に日常着へ着替えをしたりしていましたが、起床時と就寝時に着替えるようになりました。夜間ぐっすり寝ている時に着替えなんて嫌ですよね!

食事に関しては朝食を一番遅く食べる方が昼食早出しになっていて、2時間程度しか間隔が空いていないことに疑問を抱いていました。それにより昼食が食べられない事が多かったのですが疑問に持つ職員が誰もいませんでした。寝たきりの人が2時間間隔で食事を食べるかと考えたら食べられないですよね。

何故この方が早出しになっているのか尋ねると「食事介助の人数が多いから。」との事。利用者様の状態に合わせて決めたことではありませんでした。確かに食事介助の人数が多く、時間をずらさないと対応できない事実もあります。ならば早出しではなく遅出しにするように出来ないかいと相談しました。

話し合い始めると「確かに2時間空きではお腹が空かないよね。」との話になり見直されるようになりました。このように誰の為のケアをしているのかと考えていくようになるとケアの仕方が大幅に変わってきますよね。職員が楽をする為ではなく利用者様主体のケアが出来たらいいなぁと思っています。

ケアの方針を見直すだけで今までは“昼食は残すことが多い人”から“食事の間隔があいていなくて食べる事が出来なかった”に変わります。時間を見直すことで食事量も増え栄養バランス的にも良くなりました。食べない原因をしっかりと見る・検証する事は大切だと感じた出来事でした。

【5. 口が悪すぎる】

ケアをしていてカッとなってしまう事や気持ちの余裕の無さから口調がきつくなってしまう事は正直な所私もたまにあります。後から後悔・反省することが多いです。心の余裕って穏やかでいる為にはとても大切だなぁと感じていますが、やることが多く時間に追われるとなかなか難しいですよね。

時には聞いていて耳を塞ぎたくなるような声掛けをしたり、怒鳴付けたりする職員を見る事があります。いくら余裕が無いとはいえ、そこまでいってしまっては完全にアウトと思うような事を平気で行っている人を見ると呆れてしまいます。

対応が難しい利用者様も中にはいますが、普通に対応していたら怒ることが無い利用者様が大きな声で怒っていたところを見たときは“一体どういうケアをしているんだ?”と思う程でした。聞いてみると喧嘩口調で話しかけたり命令口調で指示をしたり「良いからやれって言ってんだよ。」と言っていた人も…。

職員、人それぞれ心のキャパシティーが違う事はわかっています。私も怒りやすい方だなぁと感じており、感情のコントロールを上手くしていかないといけないなと感じていますが、口が悪い人って直そうともしていないですよね。こんな事他の人に聞かれたらアウトだと思っています。

勿論上司には報告しましたが、仲がいい事もあり注意されず。自分から言うにもリーダー相手に注意は出来ない為怒り始めたときは介助を変わったり、トラブルが起きる前にその利用者様を私が勤務しているユニットに連れてきたりする等していました。関わらないことが一番だと思って対応していました。

普通に声をかけていれば怒る事なんてない利用者様。よっぽど酷い声を掛けられていたんだろうなぁと申し訳なくなってしまいます。他にも認知症で大きな声を出してしまう寝たきりの利用者様に対して「ばばぁ、うるせぇんだよ。」と声をかけたり、嫌いな利用者様からのコールがあると喧嘩腰に話をかけたりしていて呆れました。

リーダーとあろう人が率先してそういうケアをしていては示しがつきません。こういう人って誰かが居る時は穏やかそうに声をかけていて、人が居なくなったと思うと一気に本性剥きだしで汚い言葉を使い始めます。盗聴器とか監視カメラなんてあったら一発アウトだよなぁ、付けようかなぁと思っていました。

これが長く続けば続くほど、利用者様はその職員を見るだけで不穏になり始めます。「私の時は何だか落ち着かないんだよ~。」と話していましたが、今までの経験上自分の時だけ不穏になるという事は自分のケアに問題があると思った方がいいと感じています。

注意されてもすぐには治りませんし、本人がしっかりと自分で考えて直そうとしない限り治りません。介護ってストレスがかかる仕事ではありますが、自分の感情のコントロールする技術って最低限必要な事だと思いました。自分自身も感情的になってしまう時があるので人ごととは思わず対策していかないとですが…。

以上の事が介護の仕事をしていて葛藤した事です。あなたが仕事をする上で葛藤している事・葛藤した事ってありますか?介護の仕事ってチームワークが大切ですが、なぁなぁになってしまうと不適切ケアが発生し始めるので本当に難しい距離感だよなぁと感じています。

仕事に対する考え方も教わってきたバックグラウンドも異なる為温度差が出やすい職業だと思いますが、自分自身のケアの仕方を見つめなおしつつ、利用者様やご家族様にとっていいケアが出来るようにしていけるように成長していけたらと思っています。

偉そうなことを並べていますが、人のしぐさを見て自分が行ってきたケアや対応を反省することが多いです。今はこうやって話をすることが出来ていますが、私も以前は不適切ケアを行ってしまっていましたし、注意されながら今に至ります。初心忘るるべからずの気持ちをもって成長していきたいと思います!!

(2023年9月26日)


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