ケアマネ
『横浜介護求人センター』

第17回【勘弁してくれ!と思う事7選】

仕事をしていて職員に対して“勘弁してよ~”と思う事ってありませんか?直接言える間柄であればいいですが、言える間柄でない場合や言ったら反感を買ってしまうような相手の場合は言えず、結構ストレスになりますよね…。今回は勘弁して欲しいと思う事をまとめました。

【1. 失禁したままの状態で帰る】

失禁した時ってどうしていますか?着替えしませんか?着替えするのが当たり前だと思っていたのですが、「便失禁していたのでしただけ交換しましたが上は交換できなかったのでバスタオルを敷いておきました。」と言い放って帰っていった職員がいました。

頭に“?”が沢山浮かび“えっ?便付いてるんだよね?”“便付いたまま寝てるの?”“綺麗じゃないよね?”“臭いもするよね”“便って強アルカリ性だから肌に悪いよね”“えっ?”“なんで平気で帰れるの?”と思ってしまいます。こう思いませんか?

シーツが交換できなかった場合はまだ仕方が無いかもしれませんが、汚れた服を交換しないで送ってどうなんでしょう?これが毎回毎回こんな調子で帰られるので本当に勘弁して欲しいと思っています。衣類は着替えて欲しいと伝えているのですが、毎回「一人では無理でした。」で済ませます。

皆一人でも着替えしているのでその旨伝えているのですが、その方は頑なに「一人ではできませんでした。なのでバスタオルを敷いておいたので昼間に着替えてください。」と言い放って帰ります。さらには日中に失禁したにも関わらず放置し、夜勤で入った最初の巡視で全更衣からスタートすることも!!

これは職務怠慢だと思っていますが、みなさんはどう思いますか?これから面会が再開されていくにあたってこの状態では本当にまずいと思っています。ご家族様から苦情が来ることは目に見えています。どうしたら着替えをしてくれるのかが最大の課題で奮闘中です!!

【2. 人の話を聞かない】

転職や異動して来られた際に覚えるまで数回一緒に業務を回ると思いますが、その際に人の話を聞かない人っています。伝えてもメモを取らないし「あぁはいはい。」「そうなのね。」と軽い返答。実際やってもらうと全くできないし話した内容を全く覚えていない。

聞けばいいと思っている傾向があり何度も同じ質問をされます。教えている身としては“何度同じ質問をすれば覚えるの?”“なんでメモしないの?”“覚える気ある?”と思ってしまいます。こういう人ってメモを取るように伝えても、メモを取って満足で見返る事って無い傾向にあります。

何度も同じことを聞くタイプには「何て言いましたっけ?」「あれっ。私どうやってましたっけ?」「そういう風に伝えましたっけ?」「どこでしたっけ?」と答えるのではなく、自分で考えてもらうように逆質問するようにしています。

面白い事にだいたい「何でしたっけ?」「違いましたっけ?」「どこでしたっけ?」「これでいいんでしたっけ?」とさらに質問が返ってきます。これはどちらかが先に折れるかですが、私は覚えて欲しいのである程度の期間を一緒に行っても全く覚えていない人には自分で答えを出してもらうまでこたえないようにしています。

1週間仕事をしていて食事用エプロンや就寝時に着替える人、入浴準備が全く覚えられていない介護経験者には驚きました。大丈夫そうか尋ねたときに「大丈夫っしょ。何かあったら自分が責任取ればいいんですから。」とあっけらかんと答えられた時は“嘘でしょ”っと思いました。

職員がしっかり出来ないことは利用者様へご迷惑をかけてしまう事になります。自分が責任を取ればいいと思っていても、そういう問題では無い場合もあります。命に関わってしまう可能性がある介護という仕事!こういう考えは捨てて欲しいと思います。

【3. 平気で休む】

嫌な事があったり、面倒だなぁ、不安だなぁと思うとすぐに休んでしまう職員がいます。体調が悪いのであれば仕方が無いのですが、毎回同じような出来事の後に休むとそういう人だと思われてしまいます。出勤時は元気だったのに面倒な事があると分かると熱を測り出し「調子が…。」と言い出す人もいます。

自分は嫌な事から逃げれば休めていいのでしょうが、残された職員やその穴埋めをしている職員はたまったものではありません。ある時、1か月の夜勤を全部飛んだ人がいて夜勤明けにまた夜勤で出勤したり休日を返上したり、遅番から夜勤をこなしたり他の職員が心身を削ってフォローしていて大変でした。

当の本人は「すいませ~ん。夜勤もらいますからね。」等話していても全く変わる気なく、休んだ分出勤するわけでもなく本当に周りの職員が振り回されて大変でした。上司もなぜかきつく注意が出来ず、そうなると良いように休む癖が出来てしまいます。

信頼関係も無くなります。本人がいくら夜勤をやりたいと話しても、バックレられることの方が怖くて夜勤を入れる事が出来ませんし、重要な仕事も任されないようになります。これってお互いにとっていい事ではありません。施設としてもしっかりと対応していかないと頑張っている職員が辞めていきます。

注意されるとふてくされて数日来なくなるなんてことも増え、本当に勘弁して欲しいと思っていました。社会人としてもそうですが、人としてもやってはいけない事ですよね。ずる休みをしていると本当に調子が悪い時でも心配されなくなります。自分の為にも任された仕事はしっかりとこなしましょう!!

【4. 休日出勤・残業・休憩なしが当たり前だと思う】

これは本当にブラック施設だと思っています。いくら人手が無いからと言ってもこれは働く環境としてとても良くないです。体が休まりませんし、心身ともに疲弊していくばかりです。労働環境を整える事って本当に大切だと思っています!

人手が無い施設に限って少人数で回せている事を“当たり前”“出来ている”と思い込んでいる上司が多い印象を受けています。逆に人手が常に潤っている施設は職員の事を考えており無理させない働き方を模索し改善していっていると思っています。

職員が働きやすい環境でなければ利用者様に良いケアなんて出来ないと思っています。疲弊し疲れがたまってくるとどうしても弱い立場の利用者様へストレスのはけ口として向かってしまいます。これでは悪循環ですよね。職場環境を整えていかなければこれからは人が集まらなくなると思っています。

職場改善・働き方改革をどんどん行っていく施設はどんどん人が集まりケアの質も良くなると思っています。選ばれる施設を目指していかないといけないなぁと感じているところですが、変えていくってとても大変!!意識改革を声を大にして介護業界全体で発信していかなくてはいけないのかもしれませんね。

【5. 休日のLINE】

LINEを使っていない人は居ないのではないかと思えるほど皆さん使われていますよね。グループラインであればまだいいのですが、個人的にバンバン送られてくると萎えます…。休みの日は仕事の話をしたくないタイプなので余計にしんどいのかもしれませんが、やめて欲しいなって思います。

今までで経験したのは休みの日にショート利用者様の情報が送られてきたり、居室移動の連絡、入院情報、研修レポートの連絡を送ってきたりしました。基本的に個人情報を個人のLINEで送るのは個人情報漏洩のリスクが高い為行ってはいけない行為です。

介護の仕事をしていて個人のスマホで写真を撮ったり個人情報を流してしまったりする方が多い事に驚いています。一般企業であれば口すっぱく教えられる事だと思いますが、介護現場ではまだまだ教育が行き届いていないなぁと感じています。

緊急性のある時は電話で連絡し、出勤したら分かることは正直連絡しないで欲しいと思っています。休みの日にバンバン送ってくる人って時間等考えなしに送ってくる方が多く、22時を過ぎようが深夜だろうが送ってきます。また、緊急性が無い連絡やいらない情報を送ってくることも…。

グループLINEの方でも時間等考えなしで送る人がいます。その時は個別LINEで時間を考えて今送る必要があるのか・出勤したら分かる情報ではないのか・緊急性のある内容なのか等伝える事があります。相手の事も考えて連絡できるようになって頂けたらありがたいですよね。

事故が起きた場合の連絡も報告を受けてもご家族様に電話する対応は担っていないので連絡が来たところで何もできません。勿論事故が起きた時にどうしたらいいか分からなくて連絡をしてきた場合はちゃんと対応しますが、事故報告書を読めば済む時は「出勤したら読みます。」と伝えています。

上記はまだ仕事の話なのでまだいいのですが、たまにプライベートの連絡をしてくる方がいて、その場合は“どうしたらいいの?”と思ってしまいます。「〇〇に行ってきました。」「桜が綺麗です。」「桜が満開です。」「雪だるまを作ってみました。」等の連絡本当に困ります…。

仲が良い職員やどこかに出かける話をしている間柄、行事で外出する為の下見等であればまだ分かるのですが、全く何の脈絡もなく送ってこられるとどう返信したらいいのか困ります。冷たいと思われるかもしれませんが、休みの日はそっとしておいて欲しいんです…。

【6. SNSを探す】

Twitter、Instagram、Facebook、TikTok等SNSをしている方多いですよね。きっとバレたくないと実名では行わずニックネームを使用している人が多いのではないでしょうか?私は職場の人にはバレたくないし、繋がりたくないと思っています。

なのでSNSの話題はあまり言わないようにしているのですが、時々「SNSやってる?」と聞いてこられる方がいます。その時は「やっていますが見ている専門で発信はしていないです。」と答えるようにしているのですが「教えて~。」と言われると困ります。

「う~ん。」と渋ったり、「あまり使ってないので~。」と濁すのですがそれでも「教えて!」「何て名前でやってるの?」等ぐいぐい来る人っているんですよね。プライベートを知られたくはないので濁すのですがこういう風に聞いてこられる方って嫌がっている事に気が付きません。

「プライベートを知られたくないので、職場の方とは繋がらないようにしているんです。」とはっきりと伝えるようにしています。角が立ってしまうかもしれませんが、繋がった時点できっと今までの投稿全部消すと思います。

本当に教えてもいいと思える関係性になっていたら教えています。プライベートについてあれこれ言われることが好きではないですし、プライベートに鑑賞されたくないと思っているので無理に探らないで頂きたいなぁと思っています。話せる間柄なら話しているんです!!

【7. 恋愛事情を根掘り葉掘り聞く】

言える事と言いたくない事ってありますよね。「結婚しているの?」「子供さんはいるの?」「どういう人がタイプ?」「婚活してないの?」「合コン行ったら?」「良い人いないの?」等の質問本当に嫌です。こういう質問するなら利用者様と関わって欲しいと思ってしまいます。

利用者様に聞かれて答えるのと訳が違うと思っているのですが、それは私だけでしょうか…?仕事中なので仕事に集中して欲しいですし、これもSNS同様言えるの間柄であれば言っているんです。言われないという事は言いたくないという事だと理解していただけると嬉しいなぁと思っています。

中には誰にでも聞く職員さんもいます。その時は冗談交じりで返答できるのでいいのですが、しつこくグイグイ聞かれると本当にやめて欲しいと思ってしまいます。聞かれるならば冗談交じりで軽くあいさつ程度にしてくれた方がいいかもしれません。人によると思いますが…。

勘弁して欲しいと思った出来事はいかがでしたか?共感できる内容ありましたか?私自身も勘弁して欲しいと思われないように気をつけながら質の良いケアが出来るようにしていけたらなぁと思います。

 

(2023年6月16日)


第16回【新卒者には言わないで欲しい言葉5選】

新卒のみなさん、職場には慣れましたでしょうか?まだ1か月程なので必死に覚えようと頑張っているところでしょうか?就職して数日で居なくなってしまう方がいるこの介護業界…。慣れるまで本当に大変だと思いますが、一緒に頑張っていけたらなぁと思います。

そんな今回は私が新卒の時に言われて堪えた言葉をまとめした。必死に頑張っている時にこれ言われると本当に心が折れます…。何度心がぽっきり折れそうになった事か…。先輩や上司等教える立場のみなさんはこの言葉を使わないようにして頂けたらなぁと思っています。

【1. で?だから?何?】

この3拍子は本当に心臓に悪い!!新卒の頃血圧が高い利用者様が居て「血圧が176の…です。」と伝えたと事「で?だから?どうして欲しいの?」と言われた事があります。分からないから聞いているのにそんな風に返されたらもぅ何も聞けませんよね…。怖い人確定ですし何も聞けない人認定になります。

聞きたいことがあっても聞いたらまたあんな風に返されてしまうと思うと怖くて何も聞けません…。その人が出勤している時は他の職員さんに聞いたり、聞ける人がいない場合は最悪黙ってしまったりするなんてことも起こりかねませんよね。

先輩職員は当たり前の常識かもしれませんが、新卒の頃って何をどうしたらいいのかなんて分からない事だらけです。是非血圧が高い時は頭を高くした方がいい事・血圧が低い時は足を高くした方がいい事などを丁寧に教えてあげられたら良いいなぁと思っています。

私も介護士にならなければ分からなかった事が沢山あります!また、説明する際は事実だけ伝えるよりも出来たら根拠も一緒に説明出来たら理解度が格段に上がると感じています。覚える時って“これはこうだからこうなの”と教わるよりも“これはこういう理由でこうだからこうした方がいいよ”と教わる方が理解しやすいですよね。

教える側も忙しい事は重々承知していますが、出来たら時間をかけて教えて頂けたら嬉しいです。長く介護業界にいて思う事は“初めが一番肝心”だという事。初めの時点でしっかり教わることが出来た職員と教えてもらえなかった職員ではその時点から雲泥の差が付いてしまいます。

転職を数回していますが、「教えてもらえなかった。」「先輩もそうやっていた。」と聞くことが多いです。やる気がある職員の場合、凄くもったいないなぁと感じています。一度身についてしまった知識や対応って意識していない限り簡単には変えることが出来ません。

変わりたい・ケアの仕方を覚えたい・学びたいと思って聞いてくる職員さんには自分が学んできた知識を伝える事をしていますが、それでいいと思っている職員さんには伝えても軋轢を生むだけなのでよほど酷いケアでない限りは少しずつ提案するようにしています。

この経験から一番初めの指導がとても重要であると思っています。介護業界って人手不足でしっかりとした教育システムが出来ていない施設が多い印象を受けていますが、しっかりとした人材を育てる事がのちに施設を支える力となるので教育には是非力を入れて欲しいなぁと思っています。

一方経験年数が長い方が「で?だから?何?」と言われている事もちらほら見受けます。この場合は自分で少し考えて欲しい・もうこの程度は理解しておいてほしいという意味合いが含まれている事が多い印象です。なんでも聞けばいいと思っていると言われてしまうかもしれません。

新卒の頃は比較的優しく教えてもらえますが、経験年数が長くなるほど基礎的な知識は知らないと冷たく返されることが多いです。これは介護業界に限った事ではないと思いますが…。自分でも学んで吸収していく事が大切になります。恥を捨ててどんどん聞いて覚えて頂けたらと思います。

介護ってどんどん新たな取り組みをしていっており、ICT化も進んできています。昔は良かったケアも今では推奨されいなかったり、逆にパッド系であれば昔よりも性能が上がっているので排泄があったらすぐに交換という流れが変わってきたりしています。

私自身、いろんなセミナーに参加したり参考書を読んだりして日々新しい情報を入れるようにしています。新しい情報を得る事でケアの質も上がっていきます。“生涯学びである”とよく耳にしますが本当にその通りだと感じています。

また今は外国の方が介護施設に入職されることが当たり前になってきており言語の壁をすごく感じています。正しく伝えていくためには英語のスキルをつけなくてはいけないと実感しており、介護以外にもそういう知識をつけていく必要もあると思っています。一緒に切磋琢磨していけたらいいですね。

【2. 覚えてないの?】

覚えられるまでの間、情報を収集しようと必死にメモをしていますが一気に利用者様数十名の事を覚えるのは至難の業です。ユニット型特養で10名を覚えるのであっても食事形態・トロミの強さ・使用具(お箸やスプーン・食器)などを覚えるのに必死でした。

従来型特養の場合、食事は厨房から1名ずつお盆に乗ってくるとしても数十名の名前や特徴を覚えるのは本当に大変でした。メモをしていても慣れるまでは疲れてしまい家で見返る気力すらなかったです。一人暮らしをしていたので自分の事でいっぱいいっぱいでした…。

覚える事はその他にもトイレ介助の仕方やおむつ交換・陰部洗浄の仕方・おむつやリハパンのサイズやパッドの種類・着替えのやり方・お風呂介助での機械浴・寝浴の使い方等々沢山あります。私が就職したころはまだ拘束具も使っていたころだったためその使い方まで覚えなくてはいけませんでした。

これだけの量を覚えるには時間がかかります。初めの頃は何が重要な情報なのかを区別することも難しく、“下肢更衣しています”という申し送りでさえメモしていました。今思えば着替えた内容はメモしなくても良かったのですが、言葉が聞きなれておらず着替えと認識するまでに少し時間がかかりました。

覚える事が得意な方ではなかった私は結構苦労しましたが、その中で一番覚えやすいなぁと思ったことはイラストで書くことです。座席やトロミの量、使用具、エプロン等イラストにして書いた方が覚えやすかったです。これは転職や異動した時も未だに行っています。

この経験から教える時はイラストにした紙を渡して見てもらうようにしています。省ける時間は省いて利用者差様との関わりの時間を多く出来たらいいなぁと思いこのような形で指導するようにしています。目で見てすぐ理解できるようにすることがポイントだと思っています。

また、指導する機会を得て感じる事は一緒に目標を立てて“この時期までにここまで覚えられるようになろう”と取り組んでいく事が大切だという事です。“一緒に”という事が一番大切で1人にしない事を意識しています。どこまでなら覚えられているか、心配な事は無いか確認しながら行うようにしています。

「覚えてないの?」と声をかけるよりも「どこまで覚えられた?」と言葉を変えるだけでも印象が変わりますよね。覚えられている個所を把握し、そこから次はどうするか・どこを目指していくかを“一緒に”考えていけると良いですね。そうすることで信頼関係やチームワークにも繋がってくると思っています。

【3. できるよね?】

何度か見学してから実際に行ってみますが、当たり前かのように言われるのはプレッシャーでしかないですよね。実際見ているのと行ってみるのでは大分異なることが多いです。見ている時は「出来そう。」と思っていてもやってみると体重のかかり方やふらつき具合等が異なることが多いです。

また、教えてくれる職員との身長や体格差がある時は尚の事見ているのとやってみるのでは大きな差が生まれます。「できるよね?」よりも「やってみる?」と声をかけてもらえた方が安心してケアすることが出来ます。見守る姿勢が大切だなぁと感じています。

これはパッド交換や入浴介助の時も同様です。怪我をさせてしまったらどうしよう、失敗したらどうしようという気持ちが大きく不安が付きまとうので、優しく見守り時には手助けするスタンスが初めの事は必要なぁと思っています。

私は一番初めの施設でとても印象に残っている先輩がいます。その方は“やらせてみる”事を大切にされていて「やってみようか。」と声をかけてくださっていました。対応が難しい方の時でも「声をかけてみて。」と。拒否や怒られてしまいその旨伝えに行きますが「もっと声をかけてみて。」と。

その時は“えぇ~助けてよ~”と思っていましたが、言葉や表情を変えてみたりして何とか対応することが出来た時に「出来たじゃん。よかったね。」と言ってもえました。決して放置されていたわけではなく、他の事をしながらも何度か後ろに来て見守ってくださっていました。

指導する時ってだいたいの方は出来ないとすぐに変わって先輩が対応したり、難しい方の対応は自分でやってしまった方が早いからと中々対応をさせてもらえなかったりすることがあります。しかし、それでは独り立ちしたときに対応が出来なくて困ってしまいます。

それを見越して一人になった時に自分で解決できるよう時間をかけてくださっていたのだと感じました。“自分で考える”という機会を沢山もらえたことはとても貴重な体験だったと思っています。この経験が私の中ではとても重要だったと感じているため、私もなるべく自分で考えてもらう時間を作るようにしています。

そのため、異動や転職したときは見ているよりもやって体で覚える方が感覚を掴むのが早いので数回見たら「やってみてもいいですか?」と声をかけてやらせてもらうようにしています。教えてもらう期間は決まっています。その間で独り立ちしたときに困らないようにしていきたいなぁ思っています。

【4. 専門用語】

介護士歴が長くなれば長くなるほど専門用語が当たり前になってきます。例えば“側臥位”や“体位交換”“BP・KT”“下肢挙上”等々…。文字で見れば何となくは理解できるかもしれませんが、口頭でズラズラと言われてしまうと何のこと?と頭に“?”が沢山浮かびます…。

必死にメモしていましたが、そのまま業務に入ることが多く入る前に先輩職員に確認してから入るようにしていました。今では私が先輩方のような立場になり、専門用語が出てしまう事が多くなってきました。初心を忘れず専門用語だけでなくしっかりと噛み砕いて説明できるようにと意識しています。

勿論、介護職員同士や他職種間との間では専門用語を多用しても構わないと思いますが、新卒者やご家族様に説明する場合、記録に残す際は専門用語を使用せずに誰が読んでも分かる言葉を使うようにしています。理解できるまでの間は専門用語を使ったとしても意味まで説明してあげられるといいですね。

【5. できてない】

初めのうちは出来ないことが多いのは仕方が無い事だと思っています。利用者様のケアの事に気が行ってしまい、掃除や物品補充などまで気が回らない事が多いと思います。実際私もよく抜けてしまい「あっ!やってしまった。」と焦る事があります。

その際「この間〇〇やってなかったでしょ。やっておいたから。」や「△△してないよ。」と言われると凹みます。また、パッドの当て方が出来ていない、声のかけ方が出来ていない等出来ない事を見つけては注意してくる人っていますよね。

出来ていないことばかり見つけて注意されるとやる気が無くなってしまいますし、やること自体怖くなってしまいます。初めのうちから完璧に出来る人なんてそうそういません!失敗をしながら成長していくものだと思っています。失敗を責めるのではなく教えてあげるスタンスでいて欲しいなぁと思います。

また、見える化できるように工夫し抜けが無くなるようにこの時間帯の仕事はこれと目で見て分かるようにしました。出来たらチェックを入れるようにする、チェック忘れが無いような位置にチェック項目を貼っておく等注意ではなく他のアプローチが出来たらなぁと考えています。

どんな仕事でも初めは皆素人で苦労しながら成長していくものです。経験が長くても抜ける事もあります。ミスしない人はいないので“お互い様”という気持ちでお互い助け合っていけたらいいですよね。注意は双方嫌な気持ちになりますので、何度もミスしがちな事は見える化をお勧めします!!

(2023年6月5日)


第16回【衝撃を受けた利用者様5選】

衝撃を受けた利用者様についてのエピソードを教えて欲しいとの連絡を頂いたことがあり、今回は私が介護士歴13年の中で強烈に印象に残っている凄い利用者様のエピソードをまとめました。結構強烈な印象の利用者様っていますよね…。あなたは出会った事ありますか?嘘のような本当の話です。

エピソード内容は個人情報の保護の観点から多少事実ではない事を交えながらまとめさせていただいております。話を大きくして書いている事はありませんので、ご了承いただけましたら幸いです。

【1. 自殺願望が強い】

始めて介護に携わった従来型特養での話です。体格が良く結構若めの男性利用者様がいました。事前情報の時点で自殺願望があることは知っていましたが、実際に関わってみると想像以上に大変でした。介護ってこんな方も見るのかぁ~と驚愕したのを今でも覚えています。後にも先にもこの方以上の方に出会ったことはありません。

自殺願望の強い男性利用者様(以後A様)は力も強く私が就職した事はまだ禁止になっていなかったY字拘束帯を使用していました。それでも車いすごと自分で移動し自傷行為をされてしまうため柱にも縛っている状況でした。今では考えられない状況ですが、昔はこういうケアが多かったです。

頑丈な柱に縛っていたため身動きが自由に取れず、「殺してくれ~。」「警察を呼んでくれ~。」と大きな声を出しており、従来型特養だったこともあり他利用者様から苦情の嵐でした。本来ならお部屋で過ごしていただきたいのですが、お部屋で1人にする事も難しく常に職員の目が必要な方でした。

ベッド上で休んでいただいていた時、排泄介助で部屋に向かうとナースコールを首に巻いていたりベッドから床に降りて消火器や消化ホースを持ち出して自傷行為をしようとされたりしていました。4点柵になっていましたが難なく降りてしまい全く意味がありませんでした。

そのため職員の目があるリビングで過ごしていただくしかなかったのですが、ある日いつものように怒鳴っているなぁと思っていると目の前を何かが高速で飛んでいきました。確認するとなんと!ブレーキの棒の部分が床に落ちているではありませんか!!

急いでA様の方を見ると反対側のブレーキを折っている所でした!“ブレーキって折れるの?”と驚いたと同時に他の利用者様へ危害が加わらないかという恐怖と職員が間に入ったとして怪我をしない保証はなく“どうしよう”という状態でした。

すぐに大きな声を出して他職員へ周知し職員数名がかりで対応しました。事なきは得ましたが、どうしたらいいのか本当に分からず困っていました。この後私の異動があったためA様の対応についてどうなったのかまでは残念ながら覚えていないのですが、後にも先にも一番の恐怖体験でした。

自殺願望を持たれている方が利用されることは多くはありませんがA様以外にも数名対応したことがあります。自傷行為をされるためハサミや爪切り等自傷行為しそうなものの持ち込みは禁止したり、ズボンやトレーナーなどについている紐を全て外したりあらゆる可能性を考えて対処しています。

【2. セクハラが凄い】

高次脳機能障害による衝動が抑えられない男性利用者様(以後B様)、知能犯的なセクハラをする男性利用者様(以後C様、D様)と2タイプのセクハラを経験しました。介護とセクハラって結構避けられない非常に嫌な問題だと感じています。

“認知症だから”で片づけられてしまう事が多いですが、介護施設以外で行えばそれはれっきとした犯罪で逮捕されるような事も我慢しなくてはならない環境を本当に変えていかないといけないと感じています。セクハラが原因で病んで介護の仕事から離れていく職員も少なくありません。

始めて酷いセクハラを目の当たりにしたのは従来型特養時代。ショートステイ利用者のB様でした。高次脳機能障害があり、自分の思い通りにならないと感情が抑えられず怒鳴る等の事前情報はありましたが、セクハラについては一切記載がありませんでした。

当時私はショートステイ担当で入退所を主に担当しており、日中のケアは特養職員さんが行っていました。セクハラの被害を知ったのはある女性職員からの相談でした。ナースコールがあり部屋に伺うと、ナースコールを口に入れなめまわしそれを手に取れと強要されるとの事。

断ると怒り出し部屋を出ると再度コールを鳴らし同じ要望をしてくるとの事でした。男性職員が対応するときはそのような事が無いとの事だったため、B様が利用される日の対応は男性職員と決めました。男性職員には「女性職員を呼べ。」と要望していましたが断ってもらいなるべく女性職員が関わらないようにしていました。

全介助の方だったためセクハラ行為が酷い時は部屋への訪室を控えていたのですが、こういう時はなぜか動けることが多く、ベッドから転落することが次第に増えていくようになりました。こうなると訪室しないわけにはいかなくなります。訪室するたびにセクハラを受けるか、行かなくて転落するか…。

非常に困りました。当時勤めていた施設での男性職員の割合はとても少なくほぼ女性職員だったため勤務を調整しても女性職員しかいない事が多かったので、どう対処するか何度も会議やカンファレンスを開いていました。事務所職員も加わりなるべく男性職員が対応することで方向が決まりました。

しかし、夜勤ばかりはどうにも調整が難しく職員2人とも女性職員になってしまう事もありました。その場合は開始早々からコールの嵐。ナースコールをなめるだけでなく、陰部に入れてそれを触らせるなどエスカレートしていきました。女性職員がどんどん憂鬱そうになっているのを見ているのが辛い程でした。

自分が夜勤の時であれば対応するのですが、送迎等もあるため中々夜勤に当たらず…。そんな時はB様が寝付くまでB様の対応をしてから帰るようにしていました。誰も助けてくれないと思いながら仕事をするよりも誰かがかばってくれていると思えるだけで精神的負担は軽くなるのではないかと考えていました。

男性相談員にも協力してもらい、あまりにも要望が酷い時や女性職員同士の夜勤になってしまう時の宿直を変わってもらう等あの手この手を使って対応していました。あまりにも酷かったので数か月の利用後からは利用を断っていた記憶があります。

次のC様、D様についてはユニット型特養の時の出来事です。こちらもショートステイご利用の方々で、歩行や着替え等自立をされている方々でした。初めの頃はセクハラしそうな感じは全くなかったのですが、利用期間が長くなるにつれ徐々にセクハラ行為が目立ってくるようになりました。

C様D様共に認知症の症状はあるものの在宅で過ごせる程度。受け答えもしっかりしている方々でした。ショートステイユニットには女性職員が多かったこともあってか次第にエスカレートし始め、部屋に衣類を返却に行った職員の腕を掴んでベッドに押したおしたり、キスをしようとしたりし始めました。

職員が大きな声を出して助けを求めたため気が付きましたが、もし1人の時間帯だったらと思うと恐怖しかありません。男性利用者様で足腰がしっかりしているため力はとても強く、振り払えなかったと話していました。仮に振り払ったとしても怪我をさせてしまうリスクもあり手加減をしなくてはなりません。

こんな怖い介護って無いですよね…。またお風呂介助の際は自分で身体を洗えるにも関わらず陰部を洗うようにと強要したり、浴槽の中で意識が飛んだぶりをして「大丈夫ですか?」と声をかけに近寄った時に腕を引っ張り浴槽内に引き込もうとしたりする程知能犯でした。

さらには職員が1人になる時間帯を知っていてあえて1人になった時間になってから部屋に戻り着替えをして欲しいと要望したり(自分で出来る)、「揉ませてくれよ。」と迫ったりしていました。1人になる時間帯が恐怖でしかありませんでした。

お風呂は男性職員が対応する、着替えは職員が2人いる時間帯に2人で部屋に入り対応する等決めました。ここの施設での問題は上司で、セクハラの件を訴えても「減るもんじゃないから揉ませてあげたら。」との1言。女性職員たちの顔が凍り付いたのは今でも鮮明に覚えています。勿論私もその1人でした。

1人になってしまう夜勤帯はどうにもできないため、排泄介助時にセクハラ行為が見られる時は協力ユニットの職員に応援要請していいという取り決めをして対応しました。リビングに起きてこられることもあり、夜勤に行く事が億劫で仕方がありませんでした。

利用者様から介護士へのセクハラ問題ってあまり表ざたにならないですが深刻な問題だと感じています。女性利用者様から男性職員へのセクハラもあるので、利用者様の権利だけでなく職員の権利も守ってもらえるような仕組みになってくれると安心して働くことが出来るのになぁ~と思っています。

【3. 家族が亡くなっている事に気が付かない】

デイサービスを利用されていた利用者様(E様)は奥様と2人暮らしでした。ある日のデイサービス利用時、送迎に向かった職員が異臭に気が付き家に上がると奥様が亡くなっていました。デイサービスは週2程度だったためいつ亡くなったのか分からない状況でした。

E様は認知症の症状が強く、何を聞かれてもニコニコと笑って「そうだねぇ~。」としか話をされませんでした。状況を伺うにも全く話を聞くことが出来ません。今のご時世2世帯で生活する事はとても少なくなってきています。

高齢者夫婦だけで生活をされている場合このような状況が大いにあるのではないかと思っています。地域との関わりやご家族様との関わり次第で発見がとても遅くなることもあり得ます。コミュニティの形成をどうしていくかが課題になってくると思っています。

【4. ヤバイ異食】

認知症の症状が強く自分の世界を過ごされている事が多いF様。いつもニコニコと施設内を自由に歩かれていました。どこに行くのか尋ねると「山登りに行くのよ。」や「あの公園にねっ、遊びに行くの。」といつもお出かけに行く話をされていました。

お出かけする為に荷物を探して歩かれている事もありました。ある日の事、口をもぐもぐしながら歩かれていたF様。いつものように「どちらに行かれるのですか?」と尋ねると「あのね…。」と話し始めたとたん、口から強烈な異臭が…。

もぐもぐと口を動かされており、「何を食べているんですか?」と尋ねると「えっ?お饅頭があったからね、おいしそうだと思って食べてみたの。」とにこっとされていました。同時に私と隣にいた職員は“ヤバイ”と焦りすぐに手袋をはめて口を開けさせてもらいました。

F様はお饅頭が取られると思い嫌がっていましたが明らかな異臭!!お饅頭なんておやつの時間でも出る事が無く、差し入れもない。恐る恐る口を開けると茶色い物体が!!!そう、ウンチを食べていました!!思わず私ももう1人の職員も「うわぁ~!!!」と大きな声を出してしまいました。

一体どこで食べてきのか?従来型特養だったため部屋で使用しているポータブルトイレも含め広範囲を探す事に。するとある部屋のポータブルトイレの中に排便の形跡があるのに物体が無い場所が…。他人のポータブルトイレを開けてお饅頭を見つけたと思い食べていました。

どうやって食べたのか尋ねると「スプーンがあったからね、すくって食べたのよ。」と…。どこにスプーンを隠し持っていたのかと驚きました。排泄物や消臭液、ティッシュを食べてしまっている可能性があり、すぐに看護師に報告しました。経過観察となりましたがしばらくは話をするたびに排泄臭が口からしていました…。

その件を受け、ポータブルトイレの管理方法について検討されることとなりました。日中も使用される方だったためこまめな訪室と処理をする・F様の所在確認をする程度しかできませんでしたが、それ以降は同じ異食はありませんでした。

異食って結構介護施設では多いですよね。強烈だったのはF様の異食でしたが、これ以外に多いのがポリデントの異食です。また、ティッシュやボタン、消しゴム等の異食もありました。手の届く所に置かない、食べてしまうかもしれないと思う事が事故を防ぐには大切になってきます。

【5. 施設から居なくなる】

これは数か所の施設でありました。自宅で最後まで暮らしたいという気持ちは痛い程良く分かります。納得して施設に入る方は少なく、うまい具合施設に連れてこられそのまま入所になる方は少なくありません。家に帰りたい利用者様と施設に泊って欲しいご家族様の希望どちらの気持ちも分かるので複雑です。

だいたい帰りたくなる時間は日が暮れる夕方が多く「家に帰って夕飯の準備をしなくちゃ。」と話される方が多い印象です。あの手この手を使って家に帰りたいと思う意識を他に向けられないかと試しますが、落ち着かれるようになるまでとても大変です。

職員の目を盗んでサッといなくなってしまう方も居て、ほんのちょっと他利用者様の介助をしている間に姿が見えなくなっていたなんてこともあります。事務所職員が気付いて止めてくれればいいのですが、デイサービスの帰る時間帯に他利用者様に紛れ込んでしまうと難しい事もあります。

中には他利用者様の面会に来たご家族様と一緒に玄関まで行き外に出てしまう方もいらっしゃいました。すたすたと歩かれていたため、違うご利用者様のご家族様と思っていたとの事でした。確かに利用者様なのか、ご家族様なのかの判断は職員以外の方では難しいかもしれないと思いました。

姿が見えないと急いで探し回りますが、施設内で見つけられない時は本当に焦ります。交通事故にあってしまう危険性や方向が分からず街をさまよってしまう可能性があるからです。冬場は凍死、夏場は熱中症など命に関わる可能性も大いにあります。見つけられるまで非常に緊張感が漂います。

今までの経験の中で驚いた離設は2回程ありました。1回目は直接関わっていないのですが、2階に入所されていた利用者様が避難用の滑り台を降りて外に出てしまったことです。たまたま滑り台の降り口付近を見ていた職員がいて気が付き行方不明になる前に気が付けたので大丈夫でした。

2回目は1階の利用者様で部屋の窓のカギを開けて外へ出られました。これもたまたま外の防犯カメラを見ていた職員がいて外に出ている事に気が付きすぐに対応したので事なきを得ました。職員は必要最小限の人数で対応しているため常に見守っている事は出来ません。難しいです。

他利用者様のケア中に居なくなってしまった場合気が付く事が遅れる可能性もあります。常に戸締りや所在確認の必要があり、ちょっとした物音にも反応するようになりました。ずっと気を張っているため仕事終わりはどっと疲れが襲ってきます。

衝撃を受けた利用者様いかがでしたでしょうか?結構重い内容だったかもしれません…。ほとんど表に出ないことですが、介護士って介護だけでなくこういう大変な方の対応もしなくてはなりません。サービス業とはいえ我慢できないことも多いです。

介護士って虐待の報道は沢山され、利用者様の人権についてはどんどん改正されていますが、介護士の人権を守ってくれるようにならないと介護士離れは解決しないのではないかと感じています。施設としても対策をしっかりと考えて職員を守れる施設が増えると介護士としては嬉しい限りです。

 

(2023年5月31日)


第13回 “あきらめ”の思考 Part.3【あきらめてはいけない事】

あきらめの思考Part1【燃え尽きない為に完璧を求めない!あきらめる事も時には必要】、Part2【あきらめとやらないは異なる】はいかがでしたでしょうか?同じ“あきらめ”でもかなり内容は異なりますよね。今回は最終のPart3【あきらめてはいけない事】をまとめました。

“あきらめ”って状況によって一旦あきらめた方がいい事・あきらめではなく手を抜いているだけな事・そしてこれだけはあきらめてはいけないなと思う事があるなぁと感じています。少しでもご参考になりましたら幸いです。

【1. ケアの質】

介護施設ってほとんどの施設が介護士不足で人手が足りないですよね…。介助に時間をかけられないと思う事もありますが、ケアの質を落としていいとは私は考えておりません。むしろ人手が足りない中でもケアの質の向上を目指した方が後々大きな差になると感じています。

例えば“歯磨き”。介護士になってからこの職員さんの歯磨きって“丁寧だなぁ~”“うまいなぁ~”と感じたことって正直あまりありません。逆に“本当に磨いたの?”“歯が汚いなぁ”“これじゃぁ肺炎になってしまうよなぁ”と思う事の方が多いです。

出来てない方の言い分として多く耳にするのは“嫌がるから…”“歯が無いから”“手が出るから”等々…。こういう事を言う職員が多いところって結構な確率で歯ブラシはカビが生えている物をいつ交換したのかも分からない期間使っている・歯磨きの使用具も1個しかない事が多い印象を受けています。

また、手袋を使用せず素手で磨いており、歯の表面を軽く左右に動かすだけの事が多いです。いくつかの施設を経験している職員さんの場合はもう“やる気”の問題だぁと思っていますが、今の施設しか知らずそのようにしか教わることが出来なかった職員さんの場合は可哀そうだなぁと思ってしまいます。

後者の方が教えてくださる場合、初めは“そうなんですねぇ~”と思って聞いていますが、なるべく早い段階から「やってみてもいいですか?」と聞いて行わせていただくようにしています。手袋を装着し両手を使って歯磨き。意外と綺麗に出来てしまう事が多いです。

“えっ!?歯磨き嫌がらない”“やらせてくれますね!!”と驚かれることもあります。必ず声をかけながら手が出てくるときはよけながら、時には腕を掴まれながらも実施します。歯磨きがしっかりできていないと軽くブラッシングするだけで出血が酷い!!

歯科診療の先生から軽く磨いて出る血は出してしまった方がいいと教わっているため私は躊躇しませんが、初めて出血を見た職員は“えぇ!!”と驚いていました。歯磨きをおろそかにすると歯槽膿漏や誤嚥性肺炎を誘発するリスクを伝えながら、手袋を着用する重要性についても説明しています。

こうすると教わることが出来なかっただけの職員さんは次から真似して歯磨きをしてくれるようになる傾向にあります。前述の職員さんに関しては伝えてもきっとやりません。変わる傾向にある人はごくわずかだと感じています。

以前の施設に転職した際、口腔ケアに関して看護課長さんより「ここは誤嚥性肺炎が多いので、歯磨きをしっかりしてくれますか?」と言われた事を今でも覚えています。“ん?”と思いましたが、現場に入って納得でした。時間をかけて徐々にケアの質が上がると外部評価も変わってきます。

施設担当の歯科診療の先生からの評価がまず変わりました。「今年に入ってから歯が格段に綺麗になったね。」と言われるようになりました。この話が歯科診療を対応している看護師から介護職にされます。そのうち「ここのユニットは大丈夫だね。」と看護師からの評価も上がります。

この経験って私は“成功体験”だと思っています。自分たちの頑張りが第三者から認められる事は、ケアの質の向上に繋がります!!“出来てない”“ダメ”“汚い”という評価よりも格段にいいですよね!!これが施設全体に広まれば、施設の評判としても高くなると思っています。

実際に歯科診療の先生が訪問された家で施設選びの相談をされた際、〇〇の施設は丁寧だからいいよと紹介してくださった事もありました。頑張りって必ず誰かが見ていてくれて評価されます。地道で長い道のりですが、ケアの質はあきらめてはいけないと感じています。

これは他のケアに関しても同じです。お風呂の時に足の指の間やかかと、手の拘縮部分の垢をこすって落とす。ひげを剃る・顔を拭いて目ヤニを綺麗に取る・乾燥していたら保湿剤を塗る・爪が伸びていたら切る等々細かい事ですが、私は無意識にそこの部分を観察してしまっています。

気が付いてさっと出来てしまう職員さんが居ると“おっ!!”っと嬉しくなり、密かに“ファン”になってしまいます。その職員さんの行動を観察しいいところをどんどん真似しようとお手本にさせていただいています。こういう職員さんがいると楽しくなります。

【2. 出来る事があるはず】

介護の仕事をしていると困ることって多々ありますよね。利用者様の対応が主ですが、“無理です”と諦めてはもったいないなぁと感じています。介護をし始めた頃は代替え案など浮かばす“できません”“無理です”と思いがちでした。

しかし、年々“こうしてみたらどうだろう?”“これがだめだったかぁ。じゃぁ次こうしてはどうだろう?”“テレビやYouTubeでこの情報を得たから試してみよう!”と試していくうちにやっていればいつかヒットする事が出てくるという事が分かりました。

すぐに結果として見える事もあれば、長い時をかけないと見えない事もあります。同じ症状でも1人1人違う個性がある為仕方がないと思っていますが、ヒットしたときの快感は格別です(笑)“無理”“出来ない”で諦めるのはもったいないなぁと思ってしまいます。

以前対応した利用者様にとても対応に困った方がいらっしゃいました。高次脳機能障害・認知症・水分制限・カリウム制限等々の制約があった方で、自分の思うようにいかないとすぐに大声を出して怒鳴る・他利用者様の水分を取って飲んでしまう・ベッドからの転落・車いすからの転倒等々問題山積みでした。

酷い時は洗面台に栓をして顔を入れて水をがぶがぶ飲んでしまう程。飲みすぎては何度も嘔吐して救急搬送…。カリウム数値がおかしくなっており入院、退院してはまた同じこのことの繰り返し…。医者からは水分管理をしっかりするように言われますが、そうすると怒鳴り出す…。

怒鳴り出すと手が付けられず他利用者様から「怖い」「うるさい」とのクレームが。利用者様同士で喧嘩しています事も何度もありました。病気のせいだと分かっていても職員もストレスが溜まってきます。ご家族様からうかがう以前の性格は穏やかな人だったと聞いていたためセーブできない本人も辛かったと思います。

本来なら専門病院を受診してあった薬を処方していただきたかったのですが、施設側が断固薬反対で叶わず。相談員さんが変わってからはこの状況で放置するのはおかしいとやっと病院受診につなぐことが出来ました。ここで注意したいのが強すぎる薬はNGという事!!必要以上の薬はドラックロックになってしまいます。

医者と相談しながら弱い薬から開始してもらい、ユニット内でも出来ることは無いかといろいろと試しました。まずは何かに集中できる時間を作る為生活歴からヒントが無いか試したり、塗り絵・パズル・写経・以前興味のあった本・散歩・体操・日光浴・ヒーリング・アロマ等々試しました。

1回断られたからと言ってこれはダメだと決めつけず、今日はこれが良かったというものを探し記録しました。この中からたった1つだけ集中して出来るものがあった時は本当にみんなで喜びました。また、怒鳴り始めてからは効果が無い事も分かったので、ソワソワし始めたタイミングで提供するようにしました。

以前とは全く異なるほど怒鳴る回数も減り、利用者様も職員も心のストレスが大幅に減りました。何がヒットするかなんてやってみないと分かりませんし、私たちが“えっ?これ?ないでしょ!”と思ってもそれが意外と良かったりもします。先入観を持たずに少しでも可能性があるのであればやってみることが大切です!!

これは他の事にも役立ち、たとえば環境が整えば自力摂取できる方がこぼしてします。麻痺の問題で上手く口に運べない方に関してすぐに食事介助に移行するのではなく、自助具を変えてみる・すくいやすいように水分をゼリーに変えてみる等々試せることって結構あります。

ちなみに100円ショップの子供向けの商品って結構高齢者にも使える事あります!!“それ子供用でしょう。ありえないんだけど…”と言われた事もありますが、子供向けのイラストのままだったら分かりますが、子供用品と分からない、本人が気に入っていれば全然ありだと思っています。そこは工夫次第ですよね。

考える力が身に着くと自然と“どうにか出来ないかなぁ”と自然と考える頭になり、普段の生活の中から“おっ!これ使えそう”“こういうのが欲しいと思っていた”等欲しかった情報をGET出来る事が増えます。情報収集し、ユニット内で相談して試してみるのが楽しくなっています。

【3. 労働環境】

介護施設って結構ブラックな施設多くないですか…。休憩が取れない・無料残業が多い・異常な連勤シフト・好き嫌いで分かれるシフト・無視・いじめ等々…。見ていてあきれる事もありますが、何か所か施設を転々としましたが、どの施設でも見られる光景です。

ある程度あきらめが付いてしまっている部分もありますが、少子高齢化の今の時代で人手不足が深刻な今現在、この労働環境をしっかりと整備出来る施設が職員から選ばれる施設になると感じています。最近YouTubeのおススメで労働基準法について上がってくることがあり見ていましたが学ぶ事ばかりです。

今は労働者が権利を訴えやすくなった分、労基に訴えて監査が入り指導を受けたという話を耳にする機会が増えました。介護施設って年数が長い施設程昔の考えのまま運営されていることが多い印象を受けていますが、時代と共に考え方や職場環境を変えていかなければいけないなと感じています。

変化を嫌う傾向にある施設では提案・意見しても断られることも多く、煙たがられることがほとんどでした(笑)しかし、転職後に私が訴えていた内容の事で労基に入られ指導を受けたと耳にすることもあり、あの時しっかりと考えて変えていたら良かったと言われた事もあります。

変えるって常務理事会等での決定が必要だったり、今いる職員さんたちの意識も変えていかないといけなかったりするため結構労力を使いますが、労働環境が変わった施設の退職者はとっても少ないです。やめたことを後悔してしまう程です(笑)

職員間の問題については上司が入って解決していくしかありません。放置はNGです!!また、話を聞いているだけもNG!しっかりと話を聞き、周りの職員への聞き取り調査を行い必要であれば指導もしていかなくてはなりません。退職理由の1番は人間関係です。

雰囲気を壊してしまう職員が1人いるだけで環境は悪化します…。仕事が出来たとしても雰囲気を壊して今うのはチームワークが大切な介護施設ではNGだと思っています。1人の為に他の職員を手放すのは勿体ないです。

また、シフト作成について時々好き嫌いでシフトを作る方がいます。誰が見てもこのシフトは酷いと思うシフトが上司のお咎めなく認められている状況を見るとモヤっとします。好きな職員は楽なシフトで、嫌いな職員は連勤に会議は休日出勤。これはやってはいけないことです!!

シフト作成は公平に作らなければ不満に繋がります。この状況を放っておけば退職にも繋がりますし、精神的にも大きなダメージを与えます。我慢しがちな職員だった場合職場に出勤することも出来なくなってしまう事もあります。上司の管理責任になりますね。見逃さないで欲しいです!!

あきめはいけない事は大きくこの3つに分類できるのではないかと感じていますが、皆さんいかがでしたでしょうか?これが叶えばいい施設になるんだろうなぁと思っていますが、現実はそうそう上手くいかないものですよね。

その中でも少しでもいいから変わっていけたらいいなぁと思っています。まずは自分が率先して変えていく意識をもって、かつ押し付けないようにしていきたいと思っています。素敵な施設になったら働くのも楽しくなりますよね。嬉しい報告が出来るように頑張っていきたいと思います!!

(2023年3月24日)


第12回 “あきらめ”の思考 Part.2【“あきらめ”と“やらない”は異なる】

前回は【あきらめの思考Part1.燃え尽きないために完璧を求めない!】をまとめしたが、如何でしたでしょうか?今回はPart2.【“あきらめ”と“やらない”は異なる】についてまとめます。前述と後述では全く意味が異なってきますよね。私が感じた事について出来事を踏まえまとめてみました。

【1. “あきらめ”と“やらない”は信頼関係にも繋がってくる】

介護施設って慢性的に人手不足で、その中でやりくりしてなんとか業務をこなしていますよね。食事介助や排泄介助・入浴介助は人手が無いからと怠ったりやらなかったりするわけにはいきません。そんな中で“あきらめ”と“やらない”について感じた出来事です。

私が経験した職員がいない場面はユニット内で朝から夕方まで1人勤務をしたことです。隣の協力ユニットも夜勤者が遅番者出勤まで残業して、遅番者が来たら遅番者が一人…。一人勤務って結構ハード!!何かが遅れたらそのまま全部遅れ休憩が取れないなんてことも。

ここでは職員A,Bを例に“あきらめ”と“やらない”について比較していきたいと思います。朝から体調不良者やイレギュラーな事がたて手続きに起こっていた時の10時のお茶の時間。食事介助が必要な利用者様が5名。また食事開始が11時からの利用者様も数名いる状況。

こんな場合みなさんはどう乗り越えますか?5名の水分介助を行うと、飲み込みに時間のかかる方もいて1時間程度かかります。ここで“あきらめ”を選択したA職員は水分摂取が比較的出来る利用者様の介助を諦め、水分がなかなか摂れない利用者様を優先的に介助して11時まで対応しました。

一方“やらない”を選択したB職員。介助なんてする時間はないと自分に言い聞かせ誰一人としてお茶の介助をしませんでした。自分で飲める利用者様にも提供しませんでした。この選択が“あきらめ”と“やらない”の違いだと感じています。

A職員の場合は今出来る範囲の中でしっかりと状況判断をして対応していますが、B職員の場合ははなからお茶を提供するつもりがありません。この違いって結構重要で、人手が無い時にA職員かB職員かで利用者様のトータルの水分摂取量がかなり異なってきます!!

高齢者って水分を中々摂らない方が多く、知らないうちに脱水になっていることが少なくありません。脱水は大量不良を引き起こす原因に繋がります。そう考えると、今出来る範囲の中で優先順位を考え水分摂取が難しい方を先に対応できる事は凄い事だと思っています。

そして“あきらめ”を選択したA職員のようなタイプの方は10時のお茶が飲めなかった利用者様に関しては昼食時にずらして提供し、ご利用者様の“無理のない範囲”で飲めるように対応していることが多い印象です。一度に飲めない方も優先して10時に提供することを選択しています。

15時の時間はまだ夕食まで時間がある為介助して飲めることが多いですが、B職員の場合は15時のお茶は自分で飲める人だけ…。なぜなら介助に1時間かけられないと判断しているから。または比較的のめる方を介助して時間のかかる方は次のシフトの職員に任せる叉はそもそも作っていないか…。

そうなると1日の中での水分摂取の差がA職員とB職員で最大400ccにもなります。これって結構大きな差だと思っています。A職員とB職員に対する意識の違いも感じていて、A職員の場合“できななった”と話すことが多いですがB職員の場合は“出来ないよ”“ムリだよ”と話す事が多いなぁと感じています。

A職員とB職員、同じ環境の中での対応の違いは“信頼度”にも繋がってくると思っています。やれる範囲で頑張るという姿勢はリーダーや上司の立場からすると何かあったらA職員に任せたい!頼りたい!となります。考え方や対応の仕方って大事です!!

【2.“あきらめ”と“やらない”は対象が異なる】

【1.】で感じられたかもしれませんが“あきらめ”を選択するAタイプ職員の対象は“利用者様”ですが、“やらない”を選択するBタイプ職員の対象は“自分自身”だと感じています。利用者様が困らないように対応するか、自分自身が大変にならないように対応するか…。

この選択の違いの差って大きいですよね。Aタイプ職員の場合は苦労することが多いですが、その分沢山の経験を積んで学び、人としても職員としても“凄いなぁ”と思える方が多い印象を受けています。Bタイプ職員の場合は出来ない理由ばかり見つけようとしている印象があります。

介護って毎日同じことの繰り返しというわけではなく、利用者様の状況は常に異なる為臨機応変な対応やその場その場での判断が大切になってきます。介護に携わり始めの頃は何を優先したらいいのか、どう業務をこなしていけばいいのか分からずただただ時間に追われていました。

経験年数と共に何を優先したらいいのか、どう動いたら効率よく行くのかを考えられるようになり、ここまではやらなくはならないが、この部分は“あきらめる”しかないという事も判断できるようになりました。また、諦めてはいけない事に関しては他職種に助けを求める事も必要だと学びました。

Aタイプ職員は頑張っているからこそ周りも自然と助けてくれるようになり、周りを巻き込む力も凄いなぁと感じています。憧れの職員さんであり真似したい職員さんでもあります。行動を真似することも大切ですが、考え方を教えてもらい真似することがA職員に近づく近道だと感じています。

頑張りって周りの職員や利用者様・ご家族様も良く見ています。Aタイプ職員が多くなることは施設の信頼度にも繋がってくると感じています。Aタイプ職員を目指すことは容易ではないですが、近づけるように私も頑張っていきたいと思います。

【3. “あきらめ”ていい事と“あきらめてはいけない”事の判断をつけられる】

例えば入浴の回数は国の基準で週2回は実施しないといけないと決まっています。これは人手が無いからと諦めてはいけない事で、これを“無理だから”とあきらめてしまうと監査で引っかかる事になります。監査に引っかかるという事は指導が入るという事!これはまずいですよね!!

職員1人で入浴対応が出来る利用者様の場合はどうにかなることが多いですが、職員が2人必要になってくる入浴介助の場合はどうにもならない事もあります。そんな時は入浴を“あきらめ”ても清拭に切り替えて対応します。この切り替えが出来るかがとても重要です。

この切り替え・判断が出来る職員が少なくても各ユニットに最低1人は居て欲しいなぁと思っています。判断できない人ばかり集まっている職場は、監査が怖いですねぇ…。以前勤めていた職場では主任クラスがこの事を理解できておらず衝撃を受けました。

主任クラスが「人がいないんだもんしょうがないよね~。」とお気楽な事を言っていましたが、今年が初監査との事で、どうなった事でしょうねぇ~(笑)。考えただけでも怖いなぁ~と…。この施設で学んだことは最低でもリーダーや主任クラスはこの点しっかりと把握しならないという事です。

施設としてはしっかりと役職者に監査基準や法についての教育も行っていかなくてはならない事だと痛感しました。勿論、自分個人で学ぶ事も大切です。私もまだまだ法については把握しきれていない事が多いので、一緒に勉強していきましょう!!

今回は“あきらめ”と“やらない”事は異なるについてまとめてみました。どう伝えたらいいか悩みましたが、意味合いが上手く伝わりましたでしょうか?伝え方についてもっと学んでスキルアップしていきたいと思います!!

次回は【あきらめの思考Part3.あきらめてはいけない事】についてまとめます。介護をするにあたり、あきらめてはいけない事って結構ありますよね。先日私が所属している地域おむつアドバイザーの中で「見慣れてはいけない。当たり前だと思ってはいけない。」という言葉を耳にしました。

凄く胸に響いたとともに、これって“あきらめてはいけない事”にも繋がってくるなぁと感じました。是非Part3を楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。最後までご拝読ありがとうござました。

 

(2023年3月9日)


第11回 “あきらめ”の思考 Part.1【燃え尽きないようにするために】

“あきらめ”と聞くとあまり良いイメージが無いですよね。私も少し前までは悪いイメージしかありませんでした。しかし、仕事をしていくうえでどうしても諦めないといけない事、いったん諦めた方がいい事等があるという事に気が付きました。

“あきらめ”について考えた時
① 燃え尽きないために完璧を求めない!諦める事も時には必要!
② “あきらめ”と“やらない”は異なる
③ あきらめてはいけない事
に分類できるのではないかと思いました。おなじ“あきらめ”でも①~③に分けてみると意味は大分異なりますよね!!

今回は【①の燃え尽きないために完璧を求めない!あきらめる事も時には必要】について私なりの考えをまとめてしました。頑張りすぎて疲れてしまった方・頑張っているけどこれでいいのか悩まれている方等、迷われている方に是非見て頂けたらと思います。

【1. 燃え尽きないようにするために】

完璧主義の方・頑張り屋さんの方に燃え尽きてしまう方が多いですよね。私の周りでも燃え尽きて仕事が出来なくなってしまった職員さんが何人かいました。頑張っている姿を近くで見ていただけに苦しんでいる様子を見るのがもどかしく、助けてあげられなかった事を後悔しています。

介護ってチームワークが大切で、他職種とも密に連携を取っていかなければならず自分一人ではどうにもならない事が多いですよね。問題に対する原因が分かっていても物理的に時間や人手が足りないとなるとどうしても解決できない事もあります。

“利用者様の為に”とあれもこれもしなくてはと思いがちですが、できない事があることもあると認識しあきらめる事も大切です。根詰めて根詰めて自分をダメにしてしまうならば、一旦あきらめて環境が整うように努める事も必要かなと感じました。

私も最善のケアを目指すあまり力が入りすぎて次の日が休みの日は明け方まで仕事をする・誰が見ても分かるようなユニット内のマニュアルを作る・統一したい事は見える化する・利用者様の買い物やユニット内の買い物は仕事後や休みの日にする等常に仕事の事気にして生活をしていました。

そうすることでケアの統一やミスが格段に減りましたが、自分の貴重な時間を使い、無料残業でボーナスに反映されるわけでもなくただただ“リーダー”としての責任感だけで行ってきました。しかし、その行動が知らないうちに心身ともに疲労を蓄積し体に反応として出てしまうのです。

私が体への反応として経験した辛かった出来事は
1.朝目が覚めたら体が全く動かなくなっていた。
2.休みの日でも外に出ず1日中起きられずに寝ている。人と会うのが億劫だったり笑顔が出なくなったり、楽しみを感じなくなる。
3.息を吸うと肺なのか心臓なのか覚えていませんが激痛が走り息が吸えず、少しでも動くと体に激痛が走り泣きながらもう死んでしまうのではないかという恐怖を覚えた という出来事がありました。

それぞれの詳細をまとめてみました。読んで辛くなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。その方は読まずに次の項目に飛んでください。

1. の時は入職1年目の冬の事でした。特殊な業種で入職した為数か月ごとに職場が変わり、その間に夜勤までをこなして独り立ちしなくてはなりませんでした。介護は全くの未経験で知識もなくこなすのに必死でした。自分に“出来る”“大丈夫”と言い聞かせていた真っ最中の事でした。

もう少しで1年が経過するという時に体の方が限界を迎えてしまいました。朝目が覚めたら目線以外動かない。というよりも動かすと体中に激痛が走り首を動かす事もしんどく、起き上がるなんて激痛すぎて出来ない程身体が思うように動かなくなっていました。

前日までは問題なく動けていただけに自分でもどうしたのか分からずパニックです。一人暮らしをしていたので頼れる人も近くにおらずとりあえず親と職場に電話して病院へ。首を動かすだけで激痛が走る状態だったためタクシーで向かいました。

どこを受診していいのか分からなかったためとりあえず整形外科へ受診に行きましたが、道中のブレーキやアクセルの振動でさえ全身に痛みが走り苦痛でした。着いてからも歩く事、レントゲン台に乗ること・降りる事がきつかったのを覚えています。検査の結果はというと異状なし。混乱でした。

有難いことに次の日に親が駆けつけてくれかかりつけの整体に向かい針治療にかけてみる事に。針治療を行なった後恐る恐る起き上がると、なんと!!痛み無くスムーズに動くように!!激痛から解放された事・動くようになった安堵感を今でも鮮明に覚えています。

1年の中で数か月ごとに特養・グループホーム・デイサービス・事務所など次々と職場が変わり、介護のケアや業務を必死に覚えている中で心身ともに常に緊張状態になっておりそれが蓄積され体が限界を迎えたのだろうとの事でした。

2. は完全に鬱のような症状だったなと今なら冷静に考えられます。本当に仕事以外で人とあることが億劫で出 来たら一人になりたかったです。仕事中は笑顔を意識していたため周りには気づかれていませんでしたが職場を出ると真顔や疲れた顔をしていたと思います。

今でいう笑顔うつ(微笑みうつ)病だったのかなと思います。このケースの場合他人に気が付かれにくくどんどん悪化しやすいです。私の場合丁度長期休暇が取れるタイミングで実家に帰りゆっくりしたことで解消された気がします。

介護職って心身ともに疲労が蓄積されやすく健康を保てるようにしないといけないはずなのに、なかなか長期休みが取れない職種ですよね…。たまたまリフレッシュ休暇を取り入れている法人に就職することが出来たので1週間しっかり休むことが出来たのが大きかったです。

人が充実していないと取り入れる事が難しいかもしれませんが、職員の心身の健康を守るためにも是非取り入れていって頂きたいなと節に願っています。今まで4施設を経験しましたが、リフレッシュ休暇があったのは初めの1施設だけでした。それが現状です…。

3. は仕事上の人間関係やご家族様の対応で疲れていた時に発症しました。結構クレーマー気質のご家族様で毎日面会に来られその対応だけでも気が滅入っていました。今は携帯を持って入所される方が多く、何かあるとすぐに電話をされご家族様が来られる…。

認知症症状があることが理解できていないご家族様の場合、電話の内容が事実とは異なる内容だとしても本当だと思いその都度時間を問わず面会に来られ職員に詰め寄っていました。その時の施設は何時に面会に来られても許可している施設でした。

クレーマーだと分かっているなら面会時間を決めて対応して欲しかったのですが、ご家族様の希望優先でその訴えも叶わず…。事務所職員も退勤している時間帯。職員は1人しかいない。1人になる時間の恐怖とストレスから来た症状だと思っています。

何度か対応しきれずに他のユニットに逃げ込んで施設長を呼ぶ事もありました。その後“みんな大変事はわかっているよ”と言われましたが、ならば毅然とした態度で面会に制限をかける等して職員を守って欲しかったと思いました。

そんなある日の夜勤明け、自宅に帰りヒット一息ついていると急に息をすることが出来なくなる程に息を吸うだけで激痛が。次第に空気がほんの少ししか吸えなくなり助けを呼びたくても声が出せずただ泣くだけ。体もちょっと動くだけで全身に痛みが走りもうだめかと思ったほどです。

たまたま家族が休みで異変に気が付いてくれたのですぐに病院に行きましたが病院に着くころには症状が治まり、肺のレントゲンを撮影しても異常なし。ストレスって本当に怖いです!!

自分では“まだ大丈夫”“もっとやれる”と思っていましたが、身体が“もう限界だよ!”と訴えていたんだなと感じました。きっとこうなる前から症状はあったのだと思いますがそれに気が付くことが出来ませんでした。

こういうことがあると介護から離れたい気持ちが強くなるのですが、燃え尽きる前に自分と向き合って休む事・逃げる事も大切だなと感じました。無理は絶対に禁物です!同僚も頑張りすぎて顔面麻痺の症状が出た人もいます。“大丈夫”と思おうとすること自体“大丈夫ではない!”です!!

【2. チームの輪を乱さないようにするために】

介護って本当に意識や技術・向上心の差が大きい職業だと思っています。例えば介護未経験者や経験が浅いチームの場合、経験豊富な職員や意識が高い職員のレベルに合わせてしまうと付いてこられなくなってしまいます。

頑張っていてもそこまでの余裕が無く必死に働いている職員にとっては自分を責めてしまう事もあります。また、出来ていない事に着目しがちになる為チーム内がギクシャクしだす事もあります。そうなってしまうとチームの輪が乱れますよね…。

リーダーになりたての頃、自分がリーダーなのだから同じユニット職員のレベルを上げるのも仕事!出来ていないことは注意し出来るようになってもらう。指導していく事が役割だと意気込み行っていましたが、出来ていないことに目がいってしまい雰囲気を悪くしてしまいました。

相談されることも減り、次第に孤立しはじめギクシャク…。注意しかされないリーダーとはきっと一緒に仕事をすることも嫌だったと思います。その人なりの考え方やキャパシティーを全く気にする余裕もなく、今思えば自分の理想を一方的に押し付けていたのだと猛省しています。

責任感で指導するのではなく、自分が率先して質の高いケアをする事で真似したいと思える職員・リーダーになることの方がいい関係性を築きながら良いチームワークを作っていく事が出来ると今は思っています。楽しい雰囲気を意識した方がおのずと質も上がっていきました。

手を抜いている事に対して目をつぶることは出来ないですが、例えば忙しくて掃除が出来なかった・急変対応があってどうしてもできなかった業務に関しては“仕方がない”事としています。また、時間がかかってしまう事についてもスピードを求めないように気を付けています。

スピードが速い=仕事が出来るではないと思っているからです。仕事が早くてもケアが雑であれば意味がありません。安全かつ利用者様に不快な思いをさせないように丁寧且つ迅速なケアを目指すように伝えています。チーム内の力量に合わせたケアを意識して目標ラインを決めています。

時折出来ていないことをチクチク詰め寄る方を見かけますが、見ている方もとても嫌ですし雰囲気に出ます。職員も利用者様もいやすいようにある程度目をつぶる(今は諦める)ことも大切だと学びました。見守り指導しつつ徐々に高いレベルを目指していく事が大切だと感じています。

【3. 自分を守る為に】

【1.】とも重なってきますが、頑張りすぎる事は自分をないがしろにしている事だと気が付きました。自分が健康でなければいいケアは出来ません。まずは自分のメンタルや体力を万全の調子にすることが何よりも大切です。

早出出勤や無料残業、休日出勤、急な休みに対応するための出勤・休みの返上等々体力的に辛い事をしていました。始めは“大丈夫?”と心配されていても次第に“やってくれるのが当たり前”になっていきました。やってしまうから出来るものだと思われてしまうのだと学びました。

こうなってしまうと自分を自分で追い込むだけです。定時内に上がる・仕事は家に持ち帰らない・出来ない事は出来ないと断る・仲間に頼るという事を意識するようにしました。自分を犠牲にしてまで頑張る必要はありません!!

優先順位を考えて今やらなくてはいけない事・後回しでもいい事を見極めていく事が大切になってきます。また、 “あきらめる”のではなく、“どうしたら解決できるのかを考える”“自分が頑張るのではなくチームで頑張る”へ考え方を変えました。

以前の私は人に頼ることが悪い事だとどこかで思っていて、なんでもかんでも一人で乗り切ろうとしていました。せっかく「手伝いますか?」と声をかけてもらっても「大丈夫。」と答えていました。悪いと思って断っていましたが実はこれ“頼りにされていない”と相手に思わせてしまっていたんです!!

そんなこと全く考えもしていなかったのですが、ある時とても尊敬しているリーダーさんから「頼ってもらえると嬉しいもんだよ。頼りにしてもらえないと自分じゃ頼りにならない。ダメなんだと思ってしまう。」と言われハットしたのを今でも覚えています。

私は“悪い”と思っていても受け取る側は“役に立たない”“信用してもらえていない”と感じてしまう。言葉にしないことでいつの間にか溝が出来てしまっていました。これでは上手くいかず余計一人で頑張るしかなくなりますよね…。気持ちをきちんと伝えていく事も大事だなぁと思いました。

一人だと無理をしてしまったり“出来ない”“無理だ”と諦めたりしていたこともチームで取り掛かればどうにかなることが多いです。それは仲間の知識やアイディアで対応できるから。自分では考えつかない事が沢山出るのであきらめなくてはいけないなと思っていたことでも突破できることが増えました。

頼るってとても勇気がいる事ですが、“信じて頼る”という事もリーダーとして、ないより仲間としてもとても大切な事だと学びました。

以上の事から燃え尽きないためにあきらめる事も大切だと実体験を元に感じました。実際に経験しないと“頑張ればいい”“あきらめる事はいけない事!”と思っていたかもしれません。時には肩の力を抜くことも必要です。少しでもこの出来事が誰かのお役に立てたらと思います。

次回以降②“あきらめ”と“やらない”は異なる、③あきらめてはいけない事についてまとめていきたいと思います。

(2023年2月21日)


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