作業療法士
『横浜介護求人センター』

第22回【知っておきたい清拭の事5選】

【知っておきたい清拭の事5選】
清拭は体調が悪い方・怪我をされている方・お風呂に入る体力が無い方の清潔を保持するために行います。皮膚の観察を行う事、血行促進やリラックスの効果も期待できます。不快な思いをせずに気持ちいいと思っていただけたらいいですよね。今回は清拭時のポイントを5つまとめました。

【1. 忘れ物が無いように準備する】

清拭中に“物が足りない”と裸の状態の利用者様のそばを離れなくて済むように必要な物品がしっかりと準備できているか確認します。とはいえ忘れてしまう事は誰にでもありますが、そばを離れる際タオル等で裸の状態のままにしないようにしていますよね?たまに裸の状態のまま離れてしまう人が居ますが注意しましょう。

必要な物品は施設によって多少異なるかもしれませんが
・バスタオル
・フェイスタオル
・シャンプー
・ドライヤー
・着替え
・陰洗ボトル
・パッド類
・保湿剤・塗布薬
等があげられます。

タオル系は多くて困ることは無いので多めに準備しています。体を隠す用・清拭する際シーツが濡れないようにするために身体の下に敷く用等々に使います。フェイスタオルも体を拭く際に暖かいタオルで身体を温めながら行うため多めに準備しています。汚れたら洗濯籠に入れて綺麗なタオルを使う事が出来るのでお勧めです。

ベッド上でシャンプーを行う際はペットボトルの蓋に細かい穴をあけてお湯を出せるようにすると便利です。また、首元にタオルを当てておくことで漏れる事を防ぐことが出来ます。フラットシートがあればその上でシャンプー出来るのでいいですが、無い場合はテープ型おむつを使用することが多いです。

シャンプー用のお湯は清拭のお湯と同じ温度では火傷してしまうため人肌程度やそれよりもちょっと暖かい程度がいいかと思います。いきなりジャーっとかけずにお湯の温度を確認していただくことも大切です。ぬるいと寒い思いをさせてしまう事もあるので気を付けましょう。

【2. 部屋の温度を調整する】

特に冬場は温度が低くならないように気を付けます。職員が暖かいと感じても高齢者は寒がりな方が多いです。また、裸になるので服を着ている職員の体感温度に合わせるのではなく、利用者様が寒くないと感じる温度に調整をします。冬場はすぐに暖かくならないため、清拭を行う15分前ぐらいから温度を高くしてつけておきます。

職員は冬でも熱さに耐えながら汗だくになりながら行いますが、利用者様が“寒い”と感じないようにすることは大切です。寒いと感じるまま行ってしまうと風邪をひいてしまう可能性があるからです。せっかく清拭を行ってもそれが原因で風邪をひいてしまったとなれば悲しいですよね。

秋口や春先も温度調整が必要です。夏も冷房のかけすぎには注意が必要です。職員感覚の暑いで温度を下げてしまうと裸の状態の利用者様は寒いと感じてしまうからです。暑いか暑くないか言える利用者様であればいいですが、言えない方の場合は肌が冷たくなっていないか、鳥肌が立っていないかなど観察できるといいと思います。

【3. お湯を準備する】

清拭はお湯の中にタオルを付けて出して体を拭いてはまたお湯につけてを繰り返します。繰り返しているうちにお湯の温度はどんどん下がっていきます。冬場であれば部屋に運んでいろいろと準備している間にも温度が下がってしまいます。

理想の温度は50~60度程度とされていますが、冬場の時はもう少し高い温度のお湯を用意するようにしています。熱いお湯であれば温度が下がる時間を遅らせる事が出来ますし、身体を拭く前にタオルを振って丁度いい温度まで下げる事が出来るからです。

お湯が冷めてしまうと汲みなおすまでに時間がかかりますし、その間利用者様はバスタオル類をかけたとしても服を着ていない状態なため寒いです。なので特に冬場の気温が低い時は熱めのお湯を準備するようにしています。
時々100度近くないと「ぬるいよ!」と言われる方がいらっしゃりますが、これは熱すぎます。

職員も火傷をしてしまうリスクがあるので100度近くの温度はやめましょう。逆にお湯の温度をあげずに普段使っているシャワーの温度を一番高くして使っている方も居ます。用意している段階から40度程度しかなくすぐに冷めてしまいます。

冷たい水で身体を拭くとかえって体を悪くしてしまう可能性がある為温度確認は必要です。また、複数人清拭する必要がある時はお湯を使いまわすことは行わず新しいお湯をその都度用意するようにします。感染症のリスクもそうですが、他の人が使ったお湯で身体を拭かれたくないですよね…。

【4. プライバシーに気を付ける】

部屋の窓のカーテンが全開になっていたり、部屋の扉が開いていたりしていませんか?もし自分が清拭をされる立場だったとしてこのような状況だったらどう思いますか?誰かに見られてしまわないかと気が気ではないですよね。想像しやすいのはエステや脱毛の時の状態で、扉を全開でされていたら嫌じゃないですか?

私たちは日々ケアを行う中で利用者様の裸について見慣れてしまっている事があるかもしれませんが、される側としてはいつだって恥ずかしい物だと思っています。職員に見られる事すら恥ずかしくて「ごめんね。」や「こんな体洗わせて申し訳ない。」と言われた事無いですか?

いくつになっても“恥ずかしい”という気持ちは残っていると思っています。なので外からは見られないようにすることや大人数で介助しない事・バスタオル等で裸になっている個所を少なくする等の配慮が必要だと感じています。リラックスして清拭できたらいいですよね。

身体を拭く時も保湿クリームを塗る時も、服を着る時も一気に全身行うのではなく、上半身から、下半身からと分けてあげる。片方の足から行う等気にかけて行う事が出来たら清拭される側も恥ずかしい思いや寒い思いをしなくて済むのではないかなぁと思っています。ちょっとしたことですが意識出来ると良いですね。

【5. 清拭の順番を知る】

清拭っていつもどこから始めていますか?清拭にも行う順番があります。
① 顔
② 腕
③ 胸・お腹
④ 背中
⑤ 足
⑥ 陰部・臀部
私は末端からと思っていたためこの順番を知った時は間違った清拭の仕方をしていたと驚きました。正しい清拭の順番を知ることで適切なケアが出来るので知ることは大切です。

顔は一番初めに綺麗なお湯・綺麗なタオルで拭きます。ごしごしと拭かずに優しく拭きます。顔を拭くにも順序があります。目→鼻→口周辺→額→頬→頚部→耳の順で拭きます。目は皮膚が薄い為軽くなでるように拭き、目頭から目じりに向けて拭きます。

胸は女性の場合胸の下も拭き残しが無いように拭きます。腹部はお腹に円を描くように拭きます。マッサージの効果があり排便や排ガスを促す効果にも繋がります。体を拭く際は基本的にくるくると円をかくように全身を拭いていきます。

足を拭く時は指の間や足裏も拭くようにします。足の裏や指の間は垢が出やすい為このとき使ったタオルはお湯に戻さず洗濯籠に入れるようにしています。1度では落ちない時はバケツに入っているタオルを新たに使用するようにしています。垢まみれのお湯は使いたくないですよね。

陰部と臀部ですが、一番汚れが見られるところであり、排便をしている場合もあるので一番最後に行います。この時洗い流さない陰部洗浄用せっけんがあれば使用し洗います。気を付けたいのはボディークリームやハンドソープの洗浄力は高すぎてしまい常在菌を殺してしまうため使用しないようにしましょう。

ボディーソープの場合泡の流れが悪かったり、洗い残しがあったりするとか逆に皮膚トラブルの原因になることがあります。専用の石鹸がありますので出来れば用意していただくとよいかと思います。今は洗い流さなくていいタイプのものがあります。普段から使えるのでお勧めです。臭い軽減にも繋がりますよ。

今回は清拭の仕方についてまとめました。清拭っていつもいつも行うわけではないため“あれ?これでよかったんだっけ?”と思う事があります。その度に見直すようにしていますが毎度見直すのは大変なので、清拭の仕方を図にして用意しておくことも一つの手かもしれません。少しでもお役に立てれば幸いです。

(2023年9月19日)


第21回【虐待が発生しやすい環境 5選】

【虐待が発生しやすい環境5選】
介護の仕事を13年間してきて虐待が発生してしまう原因は虐待を行った職員自体に問題がある場合もありますが、働く環境によって虐待を発生させやすくしてしまっている事もあるなぁと感じる事があります。働く環境を見直すことで虐待を抑止することが出来る場合もあります。

昨今施設内での虐待がボイスレコーダーや監視カメラなどの普及で表に出てきやすくなっています。今までは知らず存ぜぬで済んでいたのかもしれませんが、これからは施設をあげて対応していかなければどんどん施設の悪いイメージが付いてしまいかねません。少しでもご参考になれば幸いです。

【1. 人間関係が悪い】

介護の人間関係ってとても特殊だと感じています。上下関係があまりなく“ため口”や“使ってはいけない汚い言葉”を職員同士で平気で使っている光景を目にする事があります。一般企業ではありえないのではないかなぁと感じます。出先でそんな会話をスタッフ同士で行っていたら印象が悪いと感じませんか?

出先で聞くと“感じ悪い”“雰囲気が悪い”と感じるのに、どうして介護現場では平気で話してしまうのでしょうか?一番の原因は外部があまり介入しないからだと感じています。コロナ禍に入ってからは今まで以上に外部の人が入らなくなり、緊張感が緩んでしまってはいないでしょうか?

私が今まで体験した“えっ?”と思った事は“無視をする”“自分よりも後に入ってきた職員に対し厳しく接する”“自分の機嫌によって態度が変わる”“自分の思い通りにならないと機嫌が悪くなる”“あの職員は仕事が出来ないから一緒に仕事をしたくないとシフトを変えて欲しいと無理難題を言ってくる”等です。

まず“無視”については転職を数回してみて、どこの施設にも一定数いるなぁと感じています。挨拶をしても無視・自分の意にそぐわない意見を言う職員は無視・自分を持ち上げない人は無視…。等本当に“幼いな”と思っています。無視できるほど強いと思っているのかもしれませんがはたから見たらただの我儘ですよね。

介護の仕事ってチームプレイです。職員の数だけ物の見方や視点が異なるため意見に相違が出てくるのは当たり前な事だと感じています。意見が異なるからこそ色んな物の見方が出来るようになったり意見をすり合わせて質の良いケアが出来たりするものではないのでしょうか。

自分の意見が通らないからと機嫌が悪くなり無視をする職員が居る事によって職場の雰囲気が悪くなるどころか、自分の意見を言いにくい職員さんであれば“嫌われないように”と自分の意見を押し殺し、無視する職員の意見に同調するようになります。これではいい意見を持っているかもしれない職員を潰してしまう事になります。

ケアの質が良くなるどころか“おかしい”と思っても反対意見が出なくなると頭では“悪いケア”と分かっていても従うしかなくなってしまいます。これを繰り返していくと初めは“悪いケア”と思っていた心も次第に“当たり前”“いつもの事”“仕方が無い”という気持ちに変わってきてしまいます。

異なる意見を言う事ってとても勇気が必要です。私も経験があるのですが、反対意見を伝えてから無視され始めましたが、これを耐えるのって結構しんどいです。しかし悪いケアを見て見ぬ振りが出来ない性格上最後まで同調せずに頑張りました。最終的には上司が注意してくれましたが心が折れますよね。

時折上司がランダムに見回りを行う、会議に出席する、上司がしっかりと悪い事は悪いと言えるような訓練を行う等の仕組みが必要なのかもしれません。お互いに“それはちょっとまずいかもね”と言い合える関係性つくりが重要だなぁと感じています。とても難しい事ですが必須だなぁと…。

次に体験したのは“自分よりも後に入ってきた職員に対し厳しく接する”です。今までの中で出会ったのは1人なので、とてもレアケースなのかもしれません(笑)。転職して配属されたユニットのリーダーさん(Aさん)がこのタイプでした。

転職時初めの数週間は常に穏やかで利用者様や職員に対して敬語会話され、とても丁寧な方という印象を抱いていました。「何かあったら聞いてください。」「大丈夫ですか?」「やりにくい事とか無いですか?」等とても優しくて穏やかな印象だったのですが、日を重ねるごとに徐々に本性が見え始めました。

休憩時間ってだいたいこの時間にこのシフトの職員が入るって決まっているかと思いますが、急に「〇〇さん、先に休憩言ってください。」と他の職員を休憩に行かせたかと思うと態度が一変。「何考えてるんっすか?ちゃんと会議録読んでるんですか?」と怒り始めました…。

転職してまだ1週間。会議も行われていなければ利用者様の顔と名前を覚える事や介助の仕方について必死に覚えている段階。教えて頂いている期間であったので言われた時は“?”となり理解することが難しかったです。さらには“あれが出来ていない”“これが出来ていない”と出来ていない事を探して注意し始める。

Aさんは私に何を求めているのか本当にわかりませんでした。こんな感じの事を30分以上言われ続けメンタル的に大分参っていたところに休憩していた職員が帰ってきましたが、それを察知すると急に元の穏やかないい人に戻るのですごく怖かったのを今でも覚えています。

転職してまだ1週間しか経過しておらず、相談できる相手もいない・Aさんは私以外の前ではとてもいい人を続けているため数か月間はどうしたらいいものかずっと悩んでしました。仲が良くなってきたころにその職員に相談したところ今までにもそういう事があり、私の前に入った職員が何名かすぐにやめていったとの事でした。

私が全く表に出さなかったので気が付かなかったと言われました。事情を聴くとAさんは以前勤めていた職の関係で自分よりも先に入った人に対しては“先輩”と敬うという意識が強く、後から入った職員には指導という名の“きつく対処する”事が当たり前だと思ってしまっていたようです。

職種を聞いたら納得はしましたが陰湿すぎると思いました。この職種で働かれている方は常にこんな環境下で仕事をしていたのかと思うと恐ろしいです!!自分が所属していたところの習慣でいつの間にか良し悪しも分からなくなってしまうのは怖いなぁと感じました。

なぜ私だけにあたりが強かったのかというと、私が配属される前に異動してきたのがAさんで、Aさんからすると前からユニットにいた職員は全員“先輩”という認識だったそう。後から入ってきたのが私だけだったため指導という名の注意が始まったそうです。本当に怖くて同じ時間の勤務が嫌で嫌でたまりませんでした。

他にも自分の機嫌によって態度が変わったり、好き嫌いで仕事をするなど“社会人としてどうなの?”と思う方は老若男女問わず意外と多い印象を受けています。こういうストレスとずっと抱えていると自分よりも立場の弱い利用者様にストレスのはけ口が向いてしまうのかなぁと感じています。

実際に自分もストレス過多になった際口調がきつくなってしまったりイラっとしやすくなってしまったりという事実体験しました。後からすごく申し訳ない気持ちになり罪悪感で落ち込みます…。人間関係の悪さからくるストレスをため込むことで突発的に虐待のきっかけを作ってしまう人もいるのではないかと危惧しています。

【2. 問題解決が出来ない】

【1.】でもお伝えしたような人間関係の悩みや利用者様の問題に耳を傾けず放置しているとまずいです!“話をしてもしょうがない”“相談した方が余計にストレスを感じた”という思いをさせてしまうと目に見えない所で問題が大きくなりやすいと感じています。

一番“これはまずいよなぁ~”と感じた対応は自分にとって“面倒”と思う事は知らん顔してしまう上司です。職員が利用者様に対してマズイ対応をしていると話が出た際「あいつやってるんだろう。知ってる。ダメだよなぁ~。」で終わってしまう…。

またある時は看取り対応が続いてしまいメンタル的に落ち込んでいる職員のフォロー体制について相談した際、対応した職員を呼び理由も聞かず「看取りを経験するっていい事だぞ。不安なら本を読んだ方がいい。自分も看取士の資格を取ったから勉強して資格取得したらいいよ。」と軽く返してしまう始末…。

職員間のトラブルや職場内の環境についての話が出ると「それは主任に任せているから~。俺じゃなくて主任に話して~。」と擦り付け、主任も主任で「えっ?それ俺?」や「これは困ったねぇ~。でもまぁ何とかなるでしょう。」「注意していいよ~。」と丸投げ。

こうなるともう誰に相談したらいいのか分からなくなりますよね。一生懸命頑張っている職員は嫌気がさして施設を去っていきますが、残っている職員はどんどんやりたい放題になっていきます。自分の思い通りにならないとすぐに怒り出すように。誰も注意しなければそうなりますよね。

また、逆に上司の意見が強すぎて問題解決が出来なくなっているパターンもありました。問題が発生した際の解決方法をユニット内や当事者同士で話し合う習慣が無く、問題が起きたら上司に報告して上司が対応策も考える・又は対応策が全く出ないという施設がありました。

同じ事故報告が何度も何度も出ているにも関わらず対応が無い。事故報告書を書いている職員にどう対処したら事故が減ると思うか尋ねると「分かりません。いつも上司が考えているから上司が考えてくれるかと。」と言われた事がありました。自分で考える癖が全くついていな印象でした。

しかも1人だけではなく大半の人が自分で考える事をせず「上司が何とかしてくれると思います。」「対応策は上司が考えてくれますから~。」と他人任せ。上司も忙しい為事故対策についての検討結果が出るまでに1週間以上かかる上にこれ意味があるのかなぁと思う対応策だったことも。

1週間に同じような転倒事故が3回起きてもセンサーマットの設置を頑なに嫌がり「センサーマットはこの施設にはありませんから。センサーマットは拘束ですから。職員がしっかり見守っていれば大丈夫です。」と。職員も忙しい為常にその方を見守れるわけではありませんし、すでに3回も事故が起きています。

その都度ご家族様に謝罪の電話をしているわけで、ご家族様から転倒について言われないかのと尋ねると「転倒のリスクは伝えてあります。これ以上何をしろっていうんですか?」と怒られた時は“えっ?”となりました。頭の打ちどころが悪かった場合命に関わる可能性もあると伝えても「説明してありますから。」と。

「では転倒を防ぐことが出来ない事は仕方がありませんね。骨折するリスクもありますが、職員の見守りにも限界があります。」と強めに伝えましたが「家族には伝えてありますし、家族も了承していますから。」と。正直何かあった際ご家族様から苦情が来るのではないかとひやひやしていました。

部屋の扉を閉めて部屋を真っ暗にして寝たい利用者様でしたが、上司からの指示は“部屋の扉を全開、洗面台の電気はつけたまま”というもの。対応策を聞いた時は本人のプライバシーや意思はどうなるんだと思いました。案の定電気を消してほしい、扉を閉めて欲しいといつも以上に起きてくるようになりました。

こうなると転倒も増えてきます。転倒を起こしてほしくないと思う職員はこういう行動をして転倒した利用者様に対し必要以上に怒ってしまう事があります。一度感情がセーブできなくなるとどんどんエスカレートしていきます。利用者様が泣いてしまう程怒っている時もあり、見かねて対応を変わったことが何度かありました。

そのことを上司に伝えもっと違う解決策が無いかと相談しましたが何もなく、車いすに鈴を付けたら「人権侵害だ。」と怒られる始末。本人の意向に沿った中で対策をしたいとユニット職員で話し合い、最終的にユニット費で足元に置くセンサーライトを購入し、トイレに起きた際に光で起きたことが分かるように対処しました。

職員も車いすの音を拾う事に注力するよりも光で起きたことが分かるようになったので可能な限り付き添えるようになり精神的にも余裕が持てるようになりました。センサーマットのように音が鳴るわけではないためすべてに反応することは出来ていないと思いますが、リスクを減らせることにはつながったかと思います。

職員のマンパワーだけに頼るのではなく、職員も利用者様も双方に負担の少ない解決方法を探し出し対応していく事で職員のストレス軽減に繋ると感じています。さらには心の余裕の無さから必要以上に強く当たってしまうという事を回避できるのではないかと感じた出来事でした。

【3. 職員を一方的に責める】

何かトラブルが発生した際カンファレンスを開く事があるかと思います。問題が発生した原因が職員の怠慢によるものであれば注意を受けても仕方が無いかと思うのですが、そうではなくどう考えても防ぎようがないという場合でも原因を追及せずに職員が悪いと一方的に責める上司がいました。

ユニット型特養でしたが、人手が足りず夜勤者が来るまで朝から1人勤務。食事介助が5名に8割近くの方が全介助ないし転倒注意の方で集めていたユニットに配属でした。正直ここまで職員の数が少ないところは初めてだったうえに職員がそろっていたとしてもこの介助量はきついと思うレベルでした。

介助はほぼベッド上での排泄介助だったため部屋にこもることが多く、食事介助も部屋で召し上がる方もいらっしゃりリビングでの見守りが難しい&部屋での急変にも気が付くことが遅くなってしまう環境。その上看取り対応の利用者様を集めていたユニットだったので本当に大変でした。

お風呂も機械浴中心、離床や臥床も職員2人対応。職員が1人勤務の時はお風呂介助等出来ないため清拭対応でしたが1日5人の清拭を通常業務以外に行う事はとても至難の業としか言いようがありませんでした。通常のようにしていたら到底終わるわけがない為休憩を取らずに行う事がほとんど。

休憩が取れないことや業務量に対しての職員数が明らかに足りていない事はずっと相談していました。職員数が少ないのに何故ここまで手のかかる利用者様を集めたのだと疑問でしかありません。他のユニットに異動した職員から「すごく楽になりました。」と言われると私も異動したくてたまりませんでした。

それでも事故を最小限にとどめていた事や急変時にすぐに対応できていた事が誇らしく感じる程そこのユニットに配属になっている職員は頑張っていました。しかしいくら頑張っていてもどうにも防げない事故やトラブルは出てきます。

そんな時カンファレンスで「ちゃんと見守りをしていたのか?見守り不足だろう。」「いつ行っても職員の姿が見えない。どこに居るのか。」「もっと利用者様と関わる時間を持たなければいけない。」「いつもユニット内や部屋が汚い。」と言われてしまうと“無理だろう!!”と心の中で大きな声で叫んでいました。

看取りに関しても常に3~4名看取りの方を対応し、1人帰天してはすぐに他のユニットから看取りの方を移動してくるため常に気が休まず利用者様情報を得る事や対応を覚える事に一苦労。ユニットケアってこんなんだっけ?って思ってしまう程“おかしい”と感じていました。

利用者様の介助量と職員数が合っていない事が一番の問題で、職員数を増やしてほしい(せめてユニット内に早番と遅番を配置して欲しい)と訴えてきましたが「人が居ないから無理だ。」「知り合いを紹介しろよ。」というのみ。人員配置基準も満たしていたのか怪しい感じでした。

現場の職員が一生懸命頑張って努力して何とかなっている事も知ろうとせず、悪いところばかり注意されたり文句しか言われなかったりすると相当ストレスが溜まります。職員同士で支え合えるユニットだったため何とかなっていましたが、職員の大異動があってから一気に崩れ落ちました。

忙しい時にペースを乱される事を利用者様がしてしまった時に大きな声で怒ってしまったり、口喧嘩をしてしまったり、無理やり介助をしたりしてしまう事が発生しはじめました。現場の状況をしっかりと把握して判断する能力が求められますよね…。

【4. 責任転嫁する】

今まで述べてきたように様々なリスクやこういう事故が起きると安易に想像できる事を助言しても全く耳を貸さなかったのに、いざ提言したとおりの問題が発生した際に「俺は聞いていない。」「なんでもっと早く分からなかったんだ。」「自分たちは関係ない。職員の問題だろう。」と責任転嫁する上司がいました。

面倒が起こるとすぐに“自分は知らなかった”“自分は関係ない”と上司が言ってしまうのはまずいですよね。トラブルを未然に防ぐために、こういうトラブルが起きそうだから早めに対処をした方がいいと伝えているのに何の対応もせず言った通りのトラブルが発生する。

現場の職員としては“だからあれほど提言したのに!!”となりますよね。こうなった時にどこに問題があったのかカンファレンスを行いますが大抵「俺は知らなかった。」「問題が分かっていたのならば現場で対処が出来なかったのか。」「主任は知らなかったのか?」等言いがちです。

責任転嫁をすればするほど信用は無くなりますし、職員のストレスは大きくなります。モヤモヤとした気持ちが立場の弱い利用者様に向かってしまう事が起こりえます。どういう理由があれ虐待は絶対に良くないことですが、ストレスをため込んでしまうとこういう事になりかねません。

上司は問題に真摯に向き合いどこに原因があってどう対処したらよかったのか、助言された時点で何か出来る事が無かったのか等を検証し、対処していく事が大切だと感じています。“自分は悪くない”と責任を転嫁してしまう事は絶対に避けて欲しいなぁと感じています。

【5. 傍観しているだけ】

暴力行為のある利用者様や奇声をあげ続ける利用者様の対応で困っていた時、上司やケアマネージャーに相談しても「仕方が無いよね。」「利用者様の性格を把握しなさい。」で終わってしまう事が何度かありました。事務所職員は利用者様と関わらないから現場の気持ちなんて分からないよねと溝が深まるばかり。

何の対応もしていなければ“やれることがあるだろう”と言われても仕方が無い部分もありますが、あの手この手を使ってもダメ、何か熱中できるのが無いかと探して行ってみるもダメ、ご家族様に趣味等聞いて対応するもダメな場合もあります。そうなると職員もこれ以上どうしていいか分からないとなってしまいます。

色々と試しても失敗が続き、その間も暴力や奇声に耐え続けていると次第にメンタルがやられてきてしまいます。認知症外来や精神科の受診が出来ないかと相談しても「薬に頼るのは拘束だ!虐待だ!」と言われてしまうと“じゃぁどうすればいいのよ!?”となってしまいます。

毎月のユニット会議で議題として持ち出してみますが「毎月同じ事話しているけどどうしたいの?意味ないじゃん。」と言われた時はさすがに現場でどうしようもなく、他の利用者様とのトラブルも発生している事、職員のメンタルが限界にきている事を伝えどう対処したらいいかお手本を見せて欲しいと言ってしまいました。

実際に丸1日でもそのような環境の中で仕事をしてみれば職員の気持ちも分かってもらえるかと思って提案したのですが「忙しいから無理。」と逃げますよね…。薬でぐったりするほど状態を落としたいわけではなく、認知症の症状を抑える薬などで落ち着くパターンもある為行ってみて欲しいと伝えても理解されず苦労しました。

こんな環境ではいろんな事が起きてしまします。実際何人かにあなたが行っている事は虐待に繋がってしまうと伝えた事があります。ストレスは痛い程理解できますが、やってはいけない線を越えてはいけません。虐待を抑止するためにも病院受診をと訴えていましたが理解しようとしない上司を説得するのはとても大変です。

最終的には生活相談員として転職されてきた方がこの状態をそのままにしておくのはおかしいと上司を説得してくれ病院受診に繋がりました。利用者様の症状に合う薬の量になるまでは薬の調整が難しく日々状態観察をして記録に残し受診の度に持って行ってもらいました。

ぐったりするほど強い薬では寝たきりと変わらず今まで出来ていた事も出来なくなってしまう事、思わぬ転倒や誤嚥のリスクに繋がります。怒らず、暴力も出ないけど自分で出来る事は今まで通り自分で出来る所を目指して調整していきました。とても時間がかかりましたがその人らしさを残せたのは良かったです。

これらの事が虐待を生んでしまう悪い環境だと長年介護に携わっていて感じる事です。働く環境を整えるだけで職員のストレス軽減に繋がり、虐待を防ぐことにも繋がると思っています。残念ながらニュースで介護士の虐待について耳や目にすることが多いですよね。

原因を聞くと「忙しかった。」「ストレスが溜まっていた。」という話が出てきます。いつもは穏やかな職員でも過度なストレスを感じ続けてしまうとちょっとした出来事から虐待が始まってしまいます。どんな時でも虐待をしていい理由なんてありませんが、一度ストッパーが外れてしまうとエスカレートしていきます。

環境と整える事で虐待しそうになる“初めの1歩”を止める事が出来るのであれば、施設をあげて環境を整えていく事が大切だと感じています。ネット社会の今、いままで以上に情報が外に漏れやすくなります。早急な環境整備・職員満足度調査などが必要なのかもしれませんね。

(2023年9月5日)


第20回【看取りの時に意識している事 9選】

【看取りの時に意識している事9選】
看取りって何度経験しても“本当にこのケアで良かったのかな?”“もっと出来る事はなかったかな?”と自問自答してしまいます。これが正解なんてことは無い分毎回毎回考えさせられ、ケアの見直しを行いつつ対応しています。悩んだ分回数を重ねるごとにケアの質は良くなっていますが、それでも悩みは尽きません…。

不安や葛藤に加えご家族様の対応、他の利用者様の対応、他職種連携等々いろんな事がありますよね。今回は私が看取りの時に意識している事をまとめてみました。Instagramの方でも反応があったので同じように悩まれている方がたくさんいらっしゃるのだと感じています。少しでもお役に立てれば幸いです。

【1. 食事は無理をしない】

看取り期の食事に関しては毎回カンファレスの時に議題に上がります。それほどどうしたらいいかという判断は職員によって意見が様々です。食べられる量でいいと思う職員・無理くりにでも出された分は食べて欲しいと思う職員・少し食べただけですぐに回収してしまう職員、本当に様々です。

また、職員間だけでなくご家族様の希望であってもご本人様が食べられる状態ではない食形態の場合もあります。説明しても「好きだったものなので…。」「これは食べて欲しい。」との希望。ご家族様の気持ちは理解できるのですがそれを食べた場合誤嚥するリスクもある。または量が多すぎて食べきれない等の問題もあります。

食事に関しては他職種連携が重要だと感じており、栄養士・看護師・ケアマネージャー・介護職員とが何度も話し合いを行っていく必要があると感じています。想像しやすいように実際の現場で起きた事を例に挙げてみたいと思います。

介護現場の大多数の職員が食事介助をするのが怖いと思うほど咽こみが酷い方がいらっしゃいました。看護師に相談しており看護師側も「無理すると窒息・誤嚥するから食べられる量でいい。」と話す人と手を抑えてまで食べさせ「全部食べたよ~。」と全量食べる事がいいと思っている看護師がいました。

このように看護師側でも人によってどうするのがいいか意見が分かれる部分です。しかし、無理やり全量を食べた後はその後に嘔吐されたり、誤嚥されるのか熱発されたりすることがほとんどでした。記録を見返す限り全量食べたときに限って夕方に熱発というパータンが多かった為カンファレンスを開くことにしました。

食べた後に嘔吐や熱発をされてしまうと看取り期での体力がさらに消費されてしまう事、食べたい時に食べたいものを食べられる量でいいのではないかという事を話し合い、無理せず本人の体調に合わせて対応するという事に決まりました。ご家族様にも報告しその方向でいいか了承を得てもらいました。

今では臭いのスプレーというものもある為、食べられなくても臭いで感じていただくという方法もいいと思います。死に向かって徐々に体力が落ちていきますが、介助者の無理なケアでその期間を短くするのは良くないなぁと感じています。辛い思いをしないで最期を迎えていただきたいと考えてケアしていきたいです。

【2. こまめに部屋に伺う】

看取り期に入ると起きている時間が徐々に短くなってきます。起きている時間が短いと食事の時や排泄介助、お風呂や清拭の際位しか関わりが無くなってしまいがちです。寂しい思いをして頂きたくないため部屋の前を通過するたびに部屋に伺い声をかけるように意識していました。

中にはコールを連打されたり叫ばれたりする方もおられ、その原因が「寂しいの。」と話されることが多かったです。部屋を閉め切りにせず部屋の外の音が聞こえるように工夫したり、目をつぶっていても耳は聞こえている事が多い為今日の天気や何の日かを伝えるようにしたりしています。

こまめに部屋に伺う事は利用者様の状態を観察する事にも繋がります。肩呼吸が始まった・痰がらみが酷い・口腔内の乾燥が見られる・口腔内がカサカサしている・下顎呼吸が始まった・末端の冷えが見られるようになった等細かな情報を得る事も出来ます。

細かな観察が息を引き取っている事に気が付かなかったという事を防ぐことにもなりますし、看護師やケアマネージャーとの連携にも繋がります。ちょっとでも気になったことがあれば報告し、記録に残せると良いなぁと思っています。忙しい時もありますが意識して顔を見に行くようにしています。

【3. ご家族様との時間を作る】

看取り期に入ってからすぐに亡くなってしまう方・数年経ってから亡くなる方と亡くなり方は人それぞれです。いつ亡くなるかなんて医者にも看護師にも介護士にもわかりません。ですが、そろそろかなぁと感じる事は出来ます。日ごろからご家族様に様子を伝える事が大切だと感じています。

面会にいらっしゃった際にはその日の様子や直近の出来事についてお伝えしたり、お部屋でご家族様が過ごしやすいようにテーブルや椅子などを設置したりしています。施設によってはポットやコップを用意しているところもありました。

また、施設によってですが宿泊できる事もあり、ご家族様が遠慮なく“泊まりたい”と言っていただけるような雰囲気作りが大切だなぁと感じています。職員に遠慮してしまい泊まれないという関係性よりも安心して“泊まる”という選択が出来るように日ごろから会話をして関係性を築けるように意識しています。

これは私の体験談になります。看取りを経験していくにつれ“そろそろかも”と思うようになることが増えてきました。面会によく来てくださるご家族様であれば都度報告できるのですが、中々面会に来られないご家族様の場合は自分の直観を信じてケアマネージャーに伝えご家族様へ面会の依頼をしてもらいました。

数日後に面会に来られましたがその夜に帰天されたという事がありました。ご家族様より「最後に会えてよかった。このまま会えないままお別れしてしまったら後悔していた。」との話がありました。直観を信じてご家族様へ面会の依頼をしてもらって良かったなぁと感じた出来事でした。

介護の仕事をしていて看取りを何度か経験していくと不思議と直感がさえる時があります。部屋に入った瞬間に“ん?”と感じたり、臭いや表情から感じたり、根拠はなくただの直観なのでなんとも説明しにくいのですが、こういう感って結構当たるんですよね…。

またあるご家族様は看取り期に入ってから何度も面会に来てくださりその度にお部屋で数時間過ごされていました。最後の時は娘様たちに看取られながらお亡くなりになられましたが、ご家族水入らずで過ごせた時間は良かったと感謝されていました。

それ以外にも親子関係の溝が修復されたり、職員と一緒にケアをして頂くことで“何もしてあげられなかった”という思いを少しでも減らせたりすることが出来たらいいなぁと思っています。ご利用者様も最後は会いたかったご家族様の顔を見る事が出来て良かったのではないかと感じています。

【4. 音楽をかける】

【2.】でも書きましたが、看取り期に入ると起きる時間が徐々に短くなってきます。静かに過ごしたいという方には行っていませんが、寂しさを感じられる方や音楽が好きな方、テレビ番組が好きな方にはご家族様に相談して施設備品をレンタルや持ってきていただいたりしています。

好きな音楽やテレビ番組・映画等があれば持ってきていただき部屋で流すようにしています。また、部屋の扉を少し開け廊下の音や人の話し声が聞こえるようにもしています。何もないよりも穏やかな表情をされていたり、「嬉しい。」と話されたりしていました。

音楽以外にも好きな香りがあればお部屋で焚いたり、コーヒーが好きだった方には部屋にコーヒー豆を用意してみたりしました。飲めなくても唇にちょこっとつけてあげるだけで嬉しそうにされていました。出来る範囲で可能な事を行っていけたらいいなぁと思っています。

寂しい思いをしてしまわないように、好きな物に触れながら穏やかに過ごせるように出来る事を行っていきたいです。まだ元気な時から本人やご家族様から沢山の情報を得ていく事が“鍵”になってくると思います。看取りに入ったからではなく今から出来る事をしていけたらいいですね。

【5. 皮膚トラブルを作らない】

寝ている時間が増える事・栄養バランスが悪くなることから皮膚トラブルがおきやすくなります。皮膚トラブルが起きると痛みを生じてしまいます。痛い状態で寝ているのは辛いですよね。皮膚トラブルを作らないように看護師や理学療法士、作業療法士と連携していく事が大切になってきます。

褥瘡は仙骨、腸骨、踵にできやすいため圧抜きや圧がかからないようなポジショニングが重要です。体位交換の時間が適切か、使用しているマットレスは合っているのか、排泄による患部への影響がないか等を検証していく必要があります。

状況に応じて除圧マットやエアーマットに交換したり、体位交換の向きを褥瘡部に圧がかからないような方向にしたり、排泄の尿量や排便リズムに合わせて排泄時間を見直したりすることが重要だと感じています。褥瘡にならずに済んだ時は“良かった”と安堵します。

褥瘡などで痛々しい姿を見るよりも綺麗な状態の方がご家族様も嫌な思いをされないかなぁと思います。職員の頑張りになってしまいますが皮膚の状態をよく観察し報告していく事で小さい皮膚トラブルで済むように出来たらいいなぁと思っています。

保湿はとても大切なので排泄介助の度・口腔ケアをした時・部屋に伺って気になった時などいつでも塗れるように部屋に用意しておくといいと思います。ボディークリームも成分によっては余計に乾燥が見られてしまう物もあります。看護師と相談して対応していけたらいいですね。

【6. お風呂の回数を調整する】

お風呂って結構体力を消耗するんですよね。本来ならば週2回の入浴が義務づけられていますが、体調に合わせて1回は入浴、1回は清拭等調整することも必要だと思っています。看護師と相談して無理のないように清潔保持をしていくようにしています。

状態が悪い時には週2回とも清拭にする場合もあります。入浴してさっぱりして欲しいという気持ちもありますが、無理して体力を奪ってしまっては元も子もないので看護師の指示に従って行うようにしましょう。以前、数週間入浴が出来ない状態の利用者様をお風呂介助したその日に亡くなられた方もいらっしゃいます。

入浴の判断はご家族様より「入れてあげて欲しい。」との要望がありそのうえで行いました。ご家族様からは「最後にさっぱりしてよかった。気持ちよかったね。」と言っていただけましたが、入浴後に帰天されてしまう場合もあるんだなぁと体感した出来事でもありました。

リスクがある場合は看護師と一緒に入浴介助を行う事もありだと思います。その方が介護士の方も安心できます。施設によって対応が変わってくるかと思いますが、看護師に相談してみるのもありかなぁと思っています。一緒に居てくれるととても心強いです!!

【7. シュミレーションする】

日中人手が多い時間帯であれば看護師も事務所職員も居るので安心ですが、1人の時間になると不安になってしまいますよね。看取りの経験が無い職員や経験が浅い職員であればとても不安に感じる事が多いと思います。そんな職員さんとシュミレーションを行うようにしています。

マニュアルがあればマニュアルを用意し分からない箇所が無いか確認します。分からない部分があった場合には説明をし、理解してもらったところで流れについて一緒に確認しています。マニュアルが分かりにくい時はわかりやすく噛み砕いたシートを作り用意し、見れば行動できるようにもしていました。

それでもパニックになってしまいどうしたらいいのか分からなくなってしまう場合もあります。そんな時はいつでも連絡をしていい旨伝えておきます。その声をかけておくだけでも大分安心材料になるみたいですので是非声をかけてあげてください。

また、ご家族様がいらっしゃった場合は介護士が伝えてはいけない言葉についても説明しておきます。間違っても「お亡くなりになりました。」「ご愁傷さまです。」等は医者の死亡判断が出てからでないと言えない事、ご家族様より報告があった場合には「看護師に報告します。」でとどめておく事等伝えています。

看護師が到着するまでの間不安だと思いますが、死亡判断は医者にしかできません。介護士の立場としては呼吸が確認できない位しか言えません。言ってしまいそうになりますが、言わないように伝えるようにしています。突っ込んでくるご家族様は「何故お前が判断するんだ!」と怒ってきます…。

【8. ご家族様のフォロー】

看取りはご家族様のメンタルフォローを大切になってきます。介護士側は利用者様の1人と思ってしまいますが、ご家族様にとっては大切な方です。本当に看取りで良かったのか・病院に行った方がよかったのではないか・何かしてあげられたのではないか等不安や葛藤を抱かれています。

面会が多い方の場合は面会に来られるたびに声かけ、話を傾聴するようにしています。また、帰天された際にはご家族様へ感謝をされていた事や面会に来てくださり顔を見る事が出来ただけで安心できたと思う事や嬉しかったと思う事等ご家族様が自責してしまわないような声掛けを意識しています。

以前勤めていた施設での話ですが、帰天後荷物を整理しに来られたご家族様が挨拶をしても事務所職員全員スルーしてしまったという事があり苦情に繋がりました。当たり前だと思いましたし、すごく恥ずかしいなぁと思いました。現場で一生懸命対応してもちょっとしたことで印象は変わります。

施設全体としてどうご家族様の対応をしていくのかきちんと指導していく必要があるなと感じた出来事でした。挨拶を無視する施設はほとんどないと思いますが、こんな恥ずかしい苦情が出ないようにしていかないといけませんね!!

【9. 職員のフォロー】

看取りの経験が無かったり浅かったりする職員や看取りが続いてしまった職員へのフォローを意識しています。施設によっては看取りの後にご家族様と一緒に湯灌やエンゼルケア・セレモニーを行う事もあります。普段の業務以外に行わなくてはいけないことが多く精神面での負担も大きいです。

看取りが続いた時も“また私の時だ”と繊細な職員の場合凹んでしまう事があります。中には泣いてしまう事もあります。それだけ看取りは職員のメンタル的な負担も大きいです。看取りに対して不安はなかったか・困った事はなかったか・今の気持ちはどうか等聞くようにしています。

場合によっては落ち着くまで休憩室で休んもらいその間フォローに入る場合もあります。職員に合わせて臨機応変に対応していけるといいですね。また、他の職員や他職種の職員からの理解をしてもらう必要もあるなぁと感じています。心もとない声をかけられたらダメージが大きくなるからです。

以前の施設での出来事ですが、1か月に数名看取り対応をした職員がいました。その月以外にも当たっており精神的に大分ダメージを受け話かけるだけで涙が出てきてしまっていました。転職したばかりであったため、こういう場合のメンタルフォローはどうしているのか施設長に相談しました。

すると、その職員を呼んで「看取りでなんで泣くんだ?」「本を読んで勉強したらいい。」と言い放ったそうです。それを言われた職員はさらに落ち込んでしまいました。連続でしかも1か月のうちに数名看取る事って精神的にダメージが大きいです。

私も何度も看取りを経験している為、対応した職員の気持ちの辛さが痛い程分かるからメンタルフォローを依頼したにもかかわらず、逆にメンタルをえぐる結果になってしまいました。その職員に対し申し訳ない気持ちでいっぱいで謝る事しかできませんでした…。

施設長の立場の人ががそれを理解できないと結構辛いものがあるなぁと感じました。看取りを行うのであればメンタルフォローのスキルも身に着けて欲しいなぁと思う出来事でした。学ぶ事はもちろん大切ですが、経験した人にしか分からない苦悩やメンタル的ダメージがあるのでそこを見てあげられたらなぁと思っています。

以上の9つが私が看取りを行っていて意識するようにしている事です。書いていても実際には出来ていない事も多々あると思います。少しでも“寄り添う”事が出来たらいいなぁと思いながらコミュニケーションを取っていけたらと考えています。

看取りっていいなぁと感じる事が多いですが、利用者様・ご家族様・職員のフォローも大切になってくると感じています。施設全体でどのように対応していくのか事例検討を含め対応していけたらいいですね。

(2023年8月21日)


第20回【介護現場の洗濯あるある7選】

介護施設って1日何回洗濯をするんだと言うほど常に洗濯をしていますよね。洗濯機の数は施設によって異なりますが、業務用、汚染衣類用、食事エプロン用、利用者様衣類用、職員衣類用等様々です。乾燥機も家庭用が各ユニットにあったり、業務用があったその施設に就職してみないと分からないですよね。

洗濯の仕方って職員の性格やこだわりが垣間見えるなぁ~と思う事が多々あります。色別で洗ったり、全部の服を洗濯ネットに入れたり、逆に洗濯ネットなんて全く使わなかったり、裏返したり、見ていて面白いなぁと思う事やまずいでしょ!と思う事もあります。今回は洗濯についてのあるあるをまとめました。

【1. ハイターの種類を間違えてしまう】

汚染衣類を洗う時にやってしまいがちなのがワイドハイターとキッチン用のハイターを間違って入れてしまう事です。なぜキッチン用ハイターが洗濯室に置いてあるかというと、ポータブルトイレや尿瓶を漂白する為に使用するからです。ワイドハイターよりもハイターの方がより漂白力が強い為使われています。

汚物室にはこの2種類が置いてあることが多く、急いでいる時に誤ってハイターを入れてしまう事が度々あります。その都度衣類の色落ちが問題になり、誰が対応したのかの犯人捜し…。対応してしまった職員が始末書を書くなんてこともあります。

一方で責任逃れをしたくて誰に聞いても対応していないと返って来る事もあり、“誰も対応しなくて勝手に色が抜け落ちるの?勝手に汚染衣類がバケツに入り漂白剤が入るの?オバケの仕業なのかしら?”となることも…。責任逃れの場合疑いたくない気持ちと責任の所在を突き止めるのに一苦労します。

これを解決するために漂白対応した職員の名前を書くボードを設置するようにしました。何時に誰が誰の衣類を漂白したのかを知ることによって責任の所在が明らかになることと漂白時間が短すぎてやっている意味が無いなんてことが無いようにしました。これを始めてからミスも減りました。

【2. ティッシュやパッドを一緒に洗ってしまう】

洗濯が終わりいざ衣類を取り出そうとした際、衣類と一緒にティッシュやパッドが出てくると“やってしまった”と思ったり“ティッシュやパッドと一緒に洗濯したの誰ぇ~”と思ったりしてしまいます。この後の作業がとてつもなく大変なので一気にやる気がガタ落ちします(笑)

今施設に入所されているお年寄って戦争時代やその直後の時代を生きてこられている世代である為、“勿体ない精神”がとても強く、数回使ったティッシュもまた綺麗に畳んでしまっている事があります。ポケットに入れてくれていればいいのですがそういう事ばかりでは決してありません。

介護施設で働いたことがある方ならうなずかれているのではないかと思うのですが、服と服の間や下着の中、ズボンの内側、袖等“えっ!!こんな所に入れる!?”と思うような個所に器用にしまっています。ポケットをくまなく探すだけでなくありとあらゆる可能性を考えて探さないといけないです!!

パッドに関しては完全に職員の取り外しミスですね!入浴介助後の洗濯ものから一緒に出てくることが多いです。下着に付けるパッドやリハビリパンツとパッドが一緒に出てくることもありました。ポリマーが散乱している時はもう洗濯物に触りたくすらないです。

この場合は乾燥機が使えなくなるため1枚1枚洗濯物を“バサバサ”と振ってある程度のポリマーを落としてから手干ししています。乾燥機にかけた際にポリマーが溶けて衣類に付着してしまったり、乾燥機が壊れてしったりする可能性があるからです。1枚1枚ハンガーにかけて自然乾燥します。

しっかりと乾いた後、再度“バサバサ”すると簡単にポリマーが落ちてくれますが、いつもよりもはるかに時間がかかる作業なので、間違って洗ってしまわないようにすることが大切です!洗濯機に貼り紙をしていても見ない人は見ないのでどうにか出来ないかなぁ~と悩んでいます(笑)

時々ポリマーに“塩”をかけると良いという話を聞くことがありますが、洗濯機の故障に繋がる可能性がある為おススメはしません。各洗濯機メーカーさんの方でポリマーを洗ってしまった時の対処法についてネットに上げてくださっていますので、調べて対処することが一番いい解決方法だと思います。

各メーカーさんが出す程なので、パッドやおむつを洗濯してしまう事って結構あるあるなんだろうなぁと感じています。お子さん用のであればまだポリマーの量が少ないですが、1200吸収等おとな用の大きいパッドを洗ってしまった時は絶望ですね…(泣)

何度か対処したことありますが遅番者が洗っていってくれたポリマーまみれの衣類を夜中に一人で“バサバサ”しながら干していたのが懐かしい…。自分も洗ってしまったことがあるのですが、本当に気を付けて洗濯したいですね!!

【3. 乾燥機にかけてはいけない衣類を乾燥機に入れてしまう】

秋口から春先までの間この問題が発生します。乾燥機に入れてはいけないニット類やセーター類が乾燥から縮んだ状態で出てきたときは“うわぁ~”となります。子供サイズまで縮んでいた事もあり、明らかにもう着る事が出来ないサイズになっていました。

この場合、当たり前ですがご本人様やご家族様に謝罪しなくてはなりません。完全に職員のミスなので、謝罪+弁償することもあります。ご家族様によっては「良いですよ。」と話してくださる方や職員の対応を責める方、施設では洗濯しないでくださいと話される方等様々です。

職員のミスなのでただただ謝罪する事しかできませんが、家族様によっては本当に何を言われるか分からない、きっと怒るだろうと思いながら電話するのは心臓に悪いです。ミスしないことが大切なのでどうしたかいいか話し合ったこともあります。

おしゃれが好きな職員の場合は結構衣類の素材を見てから乾燥機に入れても大丈夫か判断してくださったり、ちょっとでもトラブルになりそうだなぁと思った衣類は手干ししてくださったりするのですが、そういう職員ばかりではありません。

私も衣類について詳しい方ではないのですが、怖いかなと思ったら手干しするようにしていますがこの感覚も分からない方もいらっしゃるのが現実。その場合は乾燥機の蓋にタグに書いてある洗濯表示を印刷してこの印は乾燥機NGと分かるようにしました。

毎回服のタグを確認することは大変ですが、慣れてくればこの衣類は乾燥機にかけられないだろうなぁと分かるようになります。見ないで“大丈夫だろう”と思い乾燥機にかけられるよりも見なくても“これは乾燥機だめだろうな”となってくれたらいいなと思っています。

ご家族様の中には施設で洗濯が出来ない素材の衣類をお持ちになられる方もいらっしゃいます。その場合は施設での洗濯事情を説明しクリーニングにかけてもいいか、自宅に持ち帰るか等決めて頂いています。また、乾燥機使用する事が多い事も伝えるようにしています。

【4. 洗濯量が多い】

ユニット型特養であれば10人の衣類+入浴者の衣類等を毎日洗濯しています。夏場でも内出血や怪我から肌を守る為長袖を着用していたり、羽織物を来ていたりするので洗濯量が多いです。冬場ならはさらに分厚い服や羽織を数枚来ているため下手したら倍近く洗濯をすることも!

乾燥機を使用したとしても1回の乾燥に1時間近くかかる為、洗濯機を6回も回すと6時間以上乾燥に時間がかかることになります。これは滞りなく順調に回した時なので、この間に介助等が入ればもっと時間がかかってきます。毛布や寝具類を乾燥する時はそれだけで1回回すことになるので本当に時間との勝負です!

天気のいい日はなるべく天日干ししようとしていますが、ベランダまでの動線が長いと億劫になりますね…。夏は気温が高い為あっという間に乾いてくれるので夏の洗濯は好きです。毛布類も洗ってあげたくなります。この気持ち分かる方いらっしゃいますかねぇ(笑)

【5. 誰のか分からなくなる】

洗濯・乾燥が終わって衣類をたたんで仕分けをしていると名前が無かったり文字が薄くなっていたりして誰のか分からないなんてこと多いですよね。柄やサイズを見て分かる時もありますが、似たり寄ったりしている衣類や黒い靴下は本当に誰のか分からないです。

ご家族様がお金を出して購入された衣類ですので、本来ならばしっかりと管理して無くなるなんて事は避けたいのですが、毎回チェックしている余裕が無い上に毎回洗濯畳を行うわけではないので職員全員が日ごろからチェックしていく習慣を作ることが大切だと感じています。

名前が薄くなっていたら書き直す・タグが薄くなってきていたら襟元のタグに名前を書く・黒い衣類には名前タグを貼る等するようにしています。テプラに名前タグ用の物がありますが、100円ショップの名前シートでも十分ですというより、100円ショップの方が剥がれにくいと感じています。

剥がれにくくするにはタグの端を丸く切るだけで効果があります。名前つけの時は切る作業が面倒かもしれませんが、剥がれにくくなれば貼る作業を減らすことが出来る上に紛失も減るのでお勧めです。長めに熱を当てれば尚剥がれにくいなぁと感じています。

また、アイロンが施設に無い場合用意していくのが大変ですよね。家に衣類を持って帰るのも大変…。そこで私はヘアアイロンをアイロン代わりに使用しています。これが結構いい感じで、持ち運びにも便利です。温度が調整できるのもだと良いですよ。

【6. 違う人の衣類を着ている】

介助をしているとたまに“あれっ?これってこの方の服じゃない気がする”と思う事無いですか?私はこう感じたときは高確率で違う人の服を着ている事が多いです。トイレに行った際に着替えるようにしています。ご家族様が気付く前に気が付けて良かったなと思いますが、間違いはまずいなぁと感じています。

衣類を返却する際に必ず名前を確認して仕訳をすることになっていても間違えている事が結構あります。何故なのか分からず対処が難しいなぁと感じていました。1人1人専用の洗濯ネットを用意し、1袋ずつ名前を確認して畳むことにしていますが、間違える方って一気に全部袋から衣類を出していたんです。

畳んでいるうちに他の方の衣類と一緒になってしまったり、これはこの方のだと思い込んで疑うことなく他の方の衣類と一緒にしてしまったり…。こうなってくると1人での返却が出来なくなってきます。必ず2人で確認して~とやっていたら仕事が終わりません。

どうしたらいいのか結構悩むところです。毎月衣類整理をしてもらったり、名前のチェックをしてもらったりしていますが、時間が取れないことの方が多いです。時間外で行う事は良い事ではないため業務内に組み込みたいのですが人手がある時でないと出来ない…。難しい…。

せめて服を着替える時に名前が合っているかだけでも確認していただければ間違った衣類を着せずに済むのでその手間は行ってほしいと伝えるようにしています。ご家族様が親の為に買った服を他の利用者様が来ているのを見たら嫌な気持ちになりますよねと伝えると理解していただきやすい印象があります。

【7. ボールペンを一緒に洗ってしまう】

職員の衣類を施設で洗っていた時の話です。洗濯を出す際にポケットを良く確認せずに出してしまう職員がいると自分の衣類にボールペンのインクやハンコのインクが付いて返ってくることがあります。インクの色が目立つ服についてしまった場合は泣く泣くおさらばすることも。

また、ハンコの場合印鑑が服にいくつも押されて返って来ることもあり、これもまた使用できなくなります。これ以外にハンドクリーム・口紅・ライター・USBメモリが入っていたことも。私も何度かやってしまったことがありますが幸いにも他の職員さんへの被害が無かったことが救いでした。

ライターの場合、そのまま乾燥機に入れられてしまうため爆発の危険もあり厳重注意の張り紙が出ました。介護施設での爆発事故なんてあったらと考えると恐ろしい…。仕事終わりで疲れもあると思いますがしっかりと確認しないといけないですね。

洗濯あるあるいかがでしたか?介護施設で働いたことがある方は結構分かる内容ではないでしょうか?ミスを全くなくすことは出来ませんが、ミスの回数を減らすことは工夫次第で出来ると思っています。洗濯のトラブルで悩まれている方に少しでも参考になりましたら幸いです。

(2023年8月9日)


第19回【今でも記憶に残る看取り 2事例】

看取りを行う施設ってどんどん増えて行っていますよね。初めて看取りを経験したときはどうしたらいいのか分からない上にご家族様の対応もどうしたらいいのか不安でしかありませんでした。看取りっていいなぁと感じる時も怖いなぁと感じる時もあります。

今回は私が看取り対応をしてきた中でとても印象に残ったエピソードをご紹介します。どれも実体験です。同じような体験をされた方や不安を感じた方がいらっしゃるかと思います。少しでも看取りについて知って頂けたら幸いです。内容は個人情報の観点から事実とは異なる事も交えながら書いています。

【1. 感動的なエピソード】

とても頭の回転が速く職員の事を良く見ていたAさん。私が出会った時は椅子や車いすから降りて床をいざっていました。異動が決まったため挨拶をしに行った際、ユニット玄関入口の床で横になっていたのが初めての出会いで、転倒して倒れているのかと驚いたのを今でも覚えています。

気に入らないと「馬鹿野郎。」「あんた嫌い。」と自分の意思を発言され、時には手が出る事もありました。引っかかれた職員も多く対応が大変だと聞かされました。また、元気な頃は杖を振り回しながら職員を追いかけていたとも聞いてとてもパワフルな方なのだと教えられました。

施設内でもそれほど元気だったAさん。在宅介護の時は本当に大変だったと娘様より話を良く聞かされていました。嫌な事があると夜中でも家から出て行ってしまい家族総出で外を探し回り、気が付いたらいつの間にか家に戻っていたなんてことがしょっちゅうだったそう。

その間Aさんはどこにいたのかというと、隣の家の庭先に身を潜め家族が探しに出たのを確認して家に戻っていたと…。こんな生活をしていたら家庭崩壊しますよね。娘様より寝る時間もない程、本当に辛い時間だったと話されていましたが本当にそうだと思いました。

こんなことが続き良く緊急ショートを利用されていたそうで、入所が決まってホッとしたと話されていました。それだけではなく、Aさんと娘様の間には「もっと深いわだかまりがあるんです」と娘様よりいろいろな話を教えて頂きながらAさんと関わっていました。

これだけの負担がかかっていた娘様ですが面会には毎月来てくださっていて凄いなぁと感じていました。それなのに面会の度に寝たふりをされていたAさん…。月日が流れこれだけ元気だったAさんも徐々に体力の衰えが見え始めました。寝ている時間が増え、床に降りても自分で椅子に座ることが出来ず横になったまま。

トイレにお連れしても足に力が入らず職員1人でトイレ介助することが難しくなっていきました。食事も途中で寝てしまう事が増えたり、自分で食事を食べる事が難しくなってきたり…。しかし介助をしようとすると怒るなど、どうしたらAさんが望むケアが出来るのか見直さなければいけない事がどんどん出てきました。

面会の度にご家族様に説明し、必要物品が出てきたら購入金額をお伝えし購入しても大丈夫か相談するといつも「必要だったら購入していいです。」と快諾してくださっていた娘様。本当に頭が上がらない思いでした。おかげで色んなケアを提供することが出来ました。

ここから娘様と職員との二人三脚のケアがスタート。面会の度に今日はこういうケアをしてみてどうだったか、購入させていただいた物品がどうだったかを伝えたり、最近の様子についてこういう良い事があった、こういう事を話されていた、こういう事で怒られてしまった等話をしたりしていくようになりました。

二人三脚でケアをしていく間もどんどんAさんの状態が悪くなっていきそのうち起きている時間が食事の時間のみになってきました。施設側から娘様へ看取りの説明を行い施設で看取る方向に決まり、食事は食べたいものを食べられる時に食べたい量だけでいいという流れになりました。

パワフルだったAさんも体力の衰えと共に「ありがとう。」「あんた大好き。」等感謝の言葉が多く聞かれるようになりました。看取り期に入り最期が近くなる方の中には人が変わったように穏やかになられる方がいらっしゃるのですがAさんはまさしくそのタイプでした。

娘様の面会時にはいつも寝たふりをしていたAさんも徐々に話をするようになり、娘様が驚かれることもありました。そんなある日、お部屋で2人きりで話をされて出てこられた娘様より「母と和解しました。今まで思っていた胸の内を伝えたら『ごめんね』と泣きながら謝られたんです…」との話が…。

涙を流しながらその話をされた時、思わず私ももらい泣きしてしましました。介護の仕事をしているといろんなご家族様を見ます。仲がいいご家族様もいれば音信不通のご家族様や面会をお断りしなければいけないご家族様等様々です。ここまで関係が修復したケースは10年以上介護をしてきた中で初めての事でした。

和解された日からほどなくしてAさんは帰天されました。ご家族様の希望で湯灌等は行わず朝早くに自宅に戻られる事になったとの情報をもらい、その時間に合わせてご挨拶に向かいました。Aさんの顔を見ただけで涙が止まらなくなり、これほど思い入れのある利用者様は初めてでした。

挨拶をしていると娘様がいらっしゃりAさんが部屋で出ていかれた後娘様より「ありがとう。」と泣きながら抱きつかれた時はもう涙が抑えきれず私も沢山泣いてしまいました。この出来事は看取りを経験した中で1番思い出に残る感動的な看取りでした。

この時はご家族様と一緒に二人三脚でAさんのケアが出来た事、娘様と職員の信頼関係がしっかり作ることが出来た事、ご本人様の意思を尊重したケアが出来た事、娘様の気持ちに寄り添い話を聞く時間が持てた事が良かったなと思いました。

娘様はAさんが帰天された後、施設でお手伝いをしたいと時々ボランティアに来てくださるようになりました。Aさんはもういませんがそれでも来てくださる関係を作れた事は私にとってもとても意味のある出来事だったと感じています。

【2. 考えさせられたエピソード】

感動的なエピソードを聞くと看取りってとてもいいなと思いますよね。私も看取りって素敵だなぁと思っていました…。しかし、良い事ばかりではありません。凄く難しいなぁと考えされられた看取りもありました。今度は考えさせられたエピソードについてお伝えします。

社交的なタイプのBさん。娘様もとても明るくAさんの娘様のようにとても協力的なご家族様でした。毎年家族旅行に行かれるほど仲が良く、ケアにも積極的に参加してくださっていました。Bさんの状況が悪くなっていったのは本当に早く、あれよあれよという間に悪化していきました。

ケアの方法も数日の間でどんどん変えていかなくてはならない程でした。ご家族様での旅行を計画されていた数日前にはもうご家族様で外出するのは難しい程になっていました。医師の診断は“老衰”こんなにも早く状態が落ちてしまう方は私の経験上初めての事でした。

ご家族様から看取りの同意を頂き看取りに。食事の時間以外起きるのが難しく食事も日によってムラがあり咽こみや誤嚥のリスクも高い状態でした。娘様は2日に1回のペースで面会に来てくださりその都度その日の様子などを伝えていました。

看取り期に入ってからも状態が落ちるスピードが速く食事を摂ることも困難になってくるとご家族様は毎日誰かしらが泊まり一緒に過ごされることになりました。部屋に簡易ベッドや電気ポットなどを用意しいつでも泊まりに来られる環境を作り泊まりやすいように努めました。

そんな中、Bさんの状態が落ちるのが早く娘様の気持ちが追い付かず不安な様子が見られるようになりました。看取りに同意をされていても「やっぱり病院に連れて行って欲しい。」「医者を呼んで欲しい。」「看護師は何故帰ってしまうのか。」等の要望が聞かれ始めるようになりました。

看取りの同意を取っていてもご家族様の要望に合わせ病院へ入院という事も可能なため、娘様の要望をケアマネージャーや看護師に伝えどうしていくのか話し合う時間を作ってもらうようにしました。話し合いを行った結果延命処置はしない為施設での看取りを希望されるという事になりましたが娘様の葛藤が痛い程伝わってきました。

延命はしたくないけれど苦しんでいるBさんの姿を見ると病院に連れて行った方がBさんが楽なのではないかと悩まれ、「医者に連れていって欲しい。」と話されたり「救急車を呼んで欲しい。」と話されたり…。看護師やケアマネージャーが居る時間であれば対応してもらえますが夜間だとオンコールするしかありません。

その都度「なんで母がこんな状態なのに看護師は家に帰るんだ。」と徐々に怒り始めるように…。日中のうちに救急搬送するという事は延命処置をする事だと看護師から説明を受けて納得されていても夜には「救急車。」と話される毎日…。

この時このユニットには新卒者と看取り経験の無い転職者と看取りに不慣れな職員が半数を占めており、一人の時間帯にご家族様の対応をすることがとても不安だという相談をされていました。看取り経験をしている私でさえどう対応していいのか困る状況だったので、未経験だと尚の事怖かったと思います。

Bさんの状態が落ちていくにつれ娘様からのナースコールの数も増えていき「この呼吸は何ですか?」「血圧はいくつ?」「辛そうなんだけど。」「何か食べさせて。」等の希望が…。これが10分~20分おきに職員が呼ばれ始め職員もどう対応していけばいいのか本当に悩みました。

出来る事なら呼ばれた都度対応したいのですが、職員1人しかいない時間帯で他にも9名の利用者様の対応があり、転倒注意な利用者様もいたためそのリスクを抱えながらの対応。呼ばれるたびに5分は対応していたため残業の時間も1時間を超えていくようになりました。

さらに娘様がノートに〇時〇分ナースコール。〇〇職員に△△を依頼。□□対応などをメモされるように。それを知った時には“訴えられる”のではないかと本当に思いました。ケアマネージャーや相談員に報告しどう対応していけばいいのか、娘様の心のケアをどうしていけばいいのか相談しながらの対応。

看取り未経験者だけでなく、関わる全ての職員のメンタルも疲弊していきました。医療的な面の説明は職員からは出来ないため救急搬送等の要望が聞かれた時には毎回看護師へオンコールし看護師から娘様に説明をしてもらう毎日。いっその事入院された方が娘様の心は安定するのではないかと思う程でした。

こんな状況が2週間程度続き、さすがに娘様の体力も辛くなり始め他のご家族様が泊まる事も増えてきました。介護経験者の方が泊まられた際は娘様の要望について申し訳ないと話されており、どうしたらいいのかとても葛藤されている旨の話をされました。

その事は私も他の職員も痛い程理解していましたが、その要望に対応しきれない事や娘様の不安を取り除ききれない事、他の利用者様の対応をほっておくことは出来ない事等職員もまた葛藤しながら仕事をしていました。慣れない職員には様々なケースに備えマニュアルを作り、不安な時はいつでも連絡していい旨伝えていました。

こんな日々を過ごしていくうちにいよいよ食事が全くとれなくなったBさん。看護師からもその旨の話を娘様に伝えていましたが、「食べさせて欲しい。」と食事を持って来られたり、お部屋で仰臥位の状態のまま口に食べ物を口に入れていたり…。誤嚥や窒息のリスクも出てきました。

看護師の方からその旨のリスクについて説明してもらうも扉を閉めた状態では中の様子が確認できないため何をされているか分からず…。ゴミ箱のごみを回収しに行くたびに食べ物の容器が捨ててあるのを見るとどうしたものかととても悩みました。

また、ある時は身内の方15人程が狭い部屋に押しかけてこられ、排泄介助の為声をかけに伺うと大鍋を出されみんなでワイワイと食事会をされて居酒屋かと錯覚するほど。その間もコールや職員を呼びに来られ今現在どういう状況なのか説明を求められたのは本当に大変でした。

その都度医療的な説明は介護士では説明が不十分になってしまうため看護師を呼んで説明してもらう旨伝え対応していましたが、これが毎日でした…。どうしたら納得していただけるのか本当に悩みましたし、看護師やケアマネージャーと何度も話し合いを繰り返しました。

看取りの同意を頂いて3週間もしないある夜、遅番の残りの仕事をしているとBさんの部屋より「お母さん。お母さん。ダメ!!」と大きな声が。部屋に伺うと娘様が心臓マッサージをされており呼吸が止まったのだとすぐに把握できました。看取りの同意を得ている以上職員が心臓マッサージすることはできません。

しかし、娘様の必死な様子を見て止める事も心臓マッサージが出来ないことも伝える事は出来ませんでした。ただ「看護師に報告してきます。」と伝え部屋を出る事しかできませんでした。どういう対応をしたら良かったのか今でも分かりません。

看護師がすぐに来る事を伝えるために部屋に戻ると、心臓マッサージを止めてBさんの手を握り泣いている娘様が。私は娘様に看取ってもらえた事はBさんにとってとても嬉しかったと思うという事・直前の排泄介助でBさんが声が出ない状況で口をパクパクさせ何かを話したがっていた事を伝える事しかできませんでした。

きっと感謝の気持ちを伝えたかったのではないかと…。看護師が到着するまでの時間がとてもとても長く感じました。看護師が到着後は看護師に対応を代わってもらいましたが、“訴えられるんだろうな”と不安に押しつぶされそうになっていました。

日が昇り施設内でお見送りをしているとたまたま面会に来られた他のご家族様よりBさんの娘様へ「ここの施設は本当によくやってくれたでしょう。他の施設も知っているけど、ここまでやってくれる施設は無いよ。ここで看取ってもらえてよかったですね。」との話が。

そのご家族様の言葉のおかげもあり施設を出る際には「いろいろと思う事が沢山ありますが、今回はありがとうございました。」と話され訴えられることはありませんでした。一気に緊張がほぐれホっとした気持ちと色んな感情が混ざりこっそり泣いたのは内緒です!!

今でも個人としても施設としてもどういう対応をした方が良かったのか、本当に看取りで良かったのか等答えが分かりません。施設としても看取りの困難事例として事例検討の題材として今でも検討されています。ご家族様の気持ちに寄り添う事がこれほど難しいのかと考えさせられる看取りでした。

看取り期に入られてから数年過ごされる方、数日で帰天される方等本当に人それぞれですが、看取りに入ってすぐ帰天された場合ご家族様の気持ちの整理が追い付かない事は当たり前だと思っています。ご家族様のメンタルケアも職員が身に付けないといけないスキルなのかもしれません…。

この2例が私が看取りを経験してきた中で今でも印象に残っている出来事でした。看取りを経験されている施設では同じような出来事を経験した事があるのではないでしょうか?自分の施設だけでなく、いろんな施設での様々な事例を聞いて学んでいく事も必要だなぁ感じています。

看取りは色んな事がありますが、私は看取りに対してその方の最期まで寄り添える事・ケアの見直し(本当にこのケアで良かったのか)と感じ、ケアを見つめなおすきっかけになる事からこれからも携わっていきたいなぁと思っています。

(2023年7月31日)


第19回【夏の介護現場!仕事中の熱中症対策7選】

本格的な夏が始まる前からこの急な暑さに参っていませんか?年々異常な程に気温が高くなり、利用者様だけでなく職員も熱中症対策しないと危険ですよね!私は数年前に熱中症になり、熱が身体から抜けず体の芯から熱いという感覚と激しい頭痛に襲われました。

高齢者って温度調節が難しく、暑いのにも関わらず厚着をされたり冷房の風が嫌いだったり、中々涼しくできない環境がありますよね。さらに今年は電気代の価格が上がっている事もあり電気代には厳しい施設が多いのではないでしょうか。私の施設も毎日電気を消すようにとの館内放送が流れています。

そんな環境の中、自分の身は自分で守らないといけません!数年前に熱中症になってから熱中症対策には余念が無い私が行っている熱中症対策をご紹介します。少しでもお役に立てば幸いです!一緒にこれから来る熱い夏を乗り切ってきましょう!!

【1. 水分を1日2Lはとるようにする】

仕事をして動き回っていると中々水分を摂る機会って少なくないですか?私は500mlのペットボトルを3本程持って行っても1本しか飲まなかったなんてことが何度もあります。1Lを飲むのもやっとな日が多いです。喉の渇きが無い状態で身体に入れていく事はとてもしんどいです…。

しかし、熱中症とは喉が渇いたと思った時にはもう熱中症になっていたりなりかけていたりします。喉が渇いていない時からキッチンに入ったら飲むようにする等ルールを決めて意識的に摂るようにしています。飲み物はスポーツドリンクや果汁ジュースではなく水や麦茶等糖分の入っていないものを摂っています。

砂糖が多く入っている飲み物を多く摂取してしまうと血糖値が上がってしまい、小学生でも飲みすぎで糖尿病になってしまった人がいると聞いてから飲んだとしても1本にして残りは水や麦茶にするようにしています。糖分って飲めば飲むほど喉が渇いたりすることもあるのでほどほどに!!

入浴介助の後は過酷な環境の中での仕事を頑張ったご褒美に小さいサイズの炭酸を飲んでいい事にしています。高温多湿で頑張った後の冷えた炭酸ってなんであんなにも美味しいんでしょうか。やめられなくなります(笑)

【2. 塩分を摂るようにする】

汗っかきな方ならば理解していただけると思うのですが、汗を多量にかいた後って黒い服を着ていると白っぽくなることありませんか?汗もしょっぱい感じの臭いになり、きっと白いのは塩の結晶だと思っています。これからの季節汗をかくときに着る服の色は気にしないといけないなぁと思っています。

出てしまった塩分を補給する事ってとても大切ですよね。仕事中に効率的に塩分を補給できる手段としては塩飴や塩分入りの飲み物を飲むようにしています。食事では梅干や塩辛等“塩”を意識的に取り入れるようにしています。ただし、食べすぎると高血圧になる可能性があるので食べすぎには要注意です!!

汗をかきやすい時期になるとユニットやお風呂場に塩飴を常備しておき、誰でもいつでも食べられるようにしています。ちょっとした工夫ですが、ユニット職員の健康を守ることも大切だと思っているので色んな種類の塩飴を用意していました。

私のお勧めは飲み物ならば“梅ソルティー”飴ならば“塩サイダー”がおススメです。塩サイダーの飴はユニット職員にも大好評でした!美味しく食べられるのがいいですよね。スーパーやドラッグストア、アマゾンなどで安くまとめて購入していました。

【3. ボディーシート】

有難い事に数年前から-〇℃という感じの冷感のボディーシートが発売されています。初めて使った時にはそのひんやり感にとても驚き、感動したのを覚えています。今では毎年まとめ買いして暑い夏を乗り切っています。なくてはならない必需品です!

最近ではいろんなメーカーさんが出してくださり、首に巻くタイプや大判型など種類も多くとてもありがたく思っています。冷感シートで拭いた後に扇風機等風が当たる場所に行くとさらに冷感を感じ涼むことが出来ます。とてもおススメです。

接触冷感タオルも使用していたことがありますが、襟元がびしょびしょになってしまったり首に巻いているとすぐにぬるくなってしまったり、その都度振って対応していましたが手間を感じるようになってしまい今では冷感シートに頼っています。そろそろまとめ買いする頃かなぁと思っています。

このタイプの冷感シートもお風呂場に香りやメーカーを変えて数個おいておくようにしていました。結構使ってもらえると嬉しいです。暑さ対策大切ですし、お風呂介助をしてくださっている職員さんが一番熱中症になるリスクが高いので少しでも予防に繋がったらなぁと思っています。

【4. 首を冷やす】

今は主流になりつつあるクールリングを使用しています。先ほども書いたように冷感タオルでは襟元がびしょびしょになってしまいますが、こちらはびしょびしょにはなりません。初めは“ひやっ”としますが30分もしないうちにぬるさを感じるようになるため3個ぐらい用意しています。

冷凍庫で早く固まってくれるので本当にありがたいです。保冷剤だと溶けてから固まるまで時間がかかりますが、クールリングは交換するまでの間の時間で十分冷えてくれるので夏の必需品になっています。使い終わったものはアルコールできちんとふき取ってから冷凍庫に入れるようにしています。

これ以前は首にかける扇風機を使っていましたが、ファンの音で利用者様の声が聞き取りにくかったり抱える時に利用者様にぶつかってしまう危険や圧迫してしまう危険があったりしたので使う回数がとても少なくなりました。一人の時間になり記録を打つ際に使っていたぐらいです。

また、メーカーにもよるのかもしれませんが風を感じても生ぬるい風で涼しいとはあまり感じませんでした。利用者様のドライヤーをかける時の汗対策にはいいのかもしれません。首にかける扇風機は買ったもののあまり出番がありませんでした。

【5. 接触冷感マスク】

コロナが5類相当に下げられた今でもマスク着用が義務化されている施設は多いのではないでしょうか?真夏のマスクって本当にしんどいですよね。特にマスクをしたままのお風呂介助なんて地獄です!!コロナ禍になって冷感マスクが発売されるようになって本当にありがたかったです。

とはいえいくら冷感といえどマスク無しよりは蒸れますし、熱いです!しかも私はですが、普通のマスクに対して汗の吸収が悪いような気がしています。きっと冷感加工や性能の問題なんだろうと思っていますが、汗が口周りに付いているなぁと感じる事が多いです。

肌が弱いので夏場は汗かぶれで肌荒れが酷くなり痛みを感じてしまう事が度々あります。マスクが汗を吸収しきれなくなったりある程度の時間使用したマスクは交換するようにすることで皮膚トラブルが大幅に軽減されました。勿論あまりにも酷くなってしまった時は皮膚科にも通いました。

夏の汗かぶれにお悩みの方は勿体ないと感じるかもしれませんがこまめなマスクの交換が一番有効的でしたのでお試ししてみてください。今年の夏もマスクによる肌荒れと戦いながら涼しくなる季節を待ちわびたいと思います。車やロッカーにも常備し持ってくるのを忘れたとしても大丈夫なようにしています。

【6. 冷感スプレー】

これは服にバシャバシャかけています。本当に涼しくなるのでお勧めです!「あっつ~い!!」と感じたらスプレーして冷感を感じています。結構涼しさを感じられることが出来ています。かけすぎるとヒリヒリするので注意が必要です(笑)

お風呂介助前や仕事前、休憩中に服にスプレーすることはもちろんですが、ユニットやお風呂場にも用意しています。今は服だけで履く制汗剤でも冷感を感じられるものが出ているのでいろんなものを使っていい感じのものを見つけたいと思っています。

頭皮にも“バチバチ”となるスプレーをしていますが、ぱちぱち感が爽快で汗をかいた頭皮にスプレーするととても気持ちがいいです。これは大学生の頃から使用しているのでもう13年以上愛用しています。13年って凄いですよね!まだ廃盤にならず発売されている事に感謝しかありません。

【7. 小型扇風機】

これは本当に便利でもう何年も愛用しています。コードレスな事や扇風機の角度を変えられるものがおススメです。脱衣所で風を感じながら着替え介助を行ったり、記録を打つ際にデスクに置いて使用しています。私が使用している物は風量を5段階で調整できるのでそれもありがたいです。

普段使いはもちろんですが、これからは洪水などの水害で電気が使えない時に充電しながら使う事が出来るので重宝します。ソーラーで充電できるバッテリーも用意してあるので涼むものが何もないよりは安心です!施設に忘れて帰った時は他の職員が使っていたようです(笑)

一度使ってしまうと風が無い事がとても不便に感じます。広い空間での冷房は効き目を感じにくいですが、風があるだけで涼しく感じる事が出来ます。16時間夜勤で介助していない間はずっと使っていますが、充電が切れて朝には使えなかったという事は今のところありません。

汗で蒸れたマスクを乾かしたり、冷感マスクの冷感を感じる為に使う事もあります。やはり夏は冷感を感じる事が重要だなぁと思っています。便利なグッズが沢山出ているのでいろんなものを使ってみたいなぁと考えています。

熱中症対策いかがでしたでしょうか?ご参考になるものがあればとても嬉しいです。おススメの熱中症対策グッズがありましたら是非教えて頂きたいです。

(2023年7月14日)


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